外壁塗装の費用相場は、住宅の延床面積(各階の床面積の合計)をもとに金額を概算することができます。たとえば30坪の住宅の外壁塗装では、60万円〜90万円が相場です。ただし坪数で計算する費用相場は、住宅の形や窓・ドアなどの開口部の面積によって、金額が変動することがあります。また、使用する塗料によっても費用は異なるため、塗料ごとの相場を把握しておくことが大切です。
今回の記事では、外壁塗装の費用相場について、10坪〜100坪の住宅それぞれの目安と、使用する塗料ごとの目安について一覧でご紹介します。外壁塗装の費用を相場よりも安く抑えるコツについても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
外壁塗装の費用相場一覧
まずは住宅の延床面積をもとに塗装面積・費用相場についてまとめると、下記の通りです。
延床面積 | 塗装面積 | 費用相場 |
10坪(約33m2) | 約40m2 | 約25万円~30万円 |
20坪(約66m2) | 約80m2 | 約50万円~60万円 |
30坪(約99m2) | 約120m2 | 約60万円~90万円 |
40坪(約132m2) | 約160m2 | 約90万円~120万円 |
50坪(約165m2) | 約200m2 | 約120万円~150万円 |
60坪(約198m2) | 約240m2 | 約150万円~180万円 |
70坪(約231m2) | 約280m2 | 約180万円~210万円 |
80坪(約264m2) | 約320m2 | 約210万円~240万円 |
90坪(約298m2) | 約360m2 | 約230万円~270万円 |
100坪(約331m2) | 約400m2 | 約260万円~300万円 |
上記の表にある坪数は、建坪ではなく延床面積となっているため、たとえば1階が20坪、2階が10坪の住宅なら30坪の欄を参考にしてください。1階が20坪、2階と3階が10坪の3階建てであれば、40坪の欄が費用相場の目安となります。
坪数がわかると、塗装が必要な外壁の面積をおおまかに算出することができます。外壁の面積は、住宅の延床面積の1.2倍が目安とされており、たとえば30坪(約99m2)の住宅であれば、塗装面積は「99m2 × 1.2 = 約120m2」と計算します。
この塗装面積に対して、使用する塗料の平米単価を掛けることで、費用相場の目安を把握することができます。
外壁塗装の費用内訳と相場
外壁塗装の費用相場には、塗料代や人件費などのさまざまな費用が含まれています。ここでは外壁塗装の費用内訳について、各費用の相場とともに解説します。
- 塗料代の相場
- 人件費・工事費の相場
- 足場代の相場
- その他費用の相場
上記の4つの費用について、それぞれご紹介しましょう。
塗料代の相場
外壁塗装にかかる費用のうち、使用する塗料ごとの費用相場は下記の通りです。
種類 | 耐用年数 | m2あたり費用相場 |
アクリル塗料 | 約5年~8年 | 約1,000円~1,800円 |
ウレタン塗料 | 約8年~10年 | 約1,700円~2,500円 |
シリコン塗料 | 約10年~15年 | 約2,100円~3,500円 |
ラジカル塗料 | 約8年~16年 | 約2,200円~4,000円 |
フッ素塗料 | 約15年~20年 | 約2,000円~5,000円 |
セラミック塗料 | 約10年~25年 | 約3,500円~5,000円 |
無機塗料 | 約20年~25年 | 約3,500円~5,500円 |
外壁塗装における塗料代は、費用全体の2割〜3割ほどを占めます。耐用年数が長く断熱性・遮熱性に優れた塗料であるほど、平米あたりの費用相場が高額となる傾向があります。塗装面積が広くなるほど塗料代の総額が高額になりやすくなるため、予算に合わせて種類を選ぶことが大切です。
新築・築浅の住まいをはじめとして今後も長く住み続ける予定がある場合には、平米単価よりも耐用年数を重視して選ぶ方が、塗り替えまでの期間が長くなりトータルコストを抑えられることも多いです。
それぞれの塗料の特徴や選び方について詳しくは、下記のページも参考にしてみてください。
関連記事:外壁塗装の塗料4種類の選び方を解説!相場・耐用年数から最適な塗料を選ぼう
人件費・工事費の相場
外壁塗装で必要な費用の中でも、人件費・工事費に計上されるのは以下の費用項目です。これらの費用が工事費用全体のうち、約30%を占めます。
作業内容 | 費用相場 |
飛散防止ネット | 150円~400円/m2 |
養生 | 200円~300円/m2 |
高圧洗浄 | 250円〜450円/m2 |
シーリング(打ち換え) | 700円~1,500円/m |
シーリング(増し打ち) | 500円~1,000円/m |
軒天(軒裏) | 800円~1,600円/m2 |
雨どい | 800円~1,800円/m |
雨戸 | 2,000円~4,000円/枚 |
廃棄物処理 | 10,000円~30,000円/式 |
「飛散防止ネット」の設置や「養生」「高圧洗浄」などは、外壁塗装工事で必ず必要となる費用であり、塗装面積に応じて相場が決まります。軒天や雨どいの塗装も同時に行う場合には、付帯工事費用として料金が上乗せとなります。
足場代の相場
足場代は、塗装工事で住宅の周りに組み立てる作業場の設置費用を指します。職人が安全に作業を行うためには必須の費用であり、費用相場は800円〜1,200円/m2、工事費用全体の約20%を占めます。足場代の目安は、外壁の塗装面積の1.3倍に単価を掛けることで算出することができます。
たとえば30坪の住宅で塗装面積が約120m2の場合、1.3倍した足場の設置面積は約156m2、この広さに800円〜1,200円/m2を掛けると、足場代の目安は約12万4,800円〜18万7,200円となります。
また、外壁塗装と「屋根塗装」を同時に依頼すると、工事1回分の足場代で依頼できるため、費用の節約につながります。屋根塗装の費用相場は約20万円〜40万円が目安です。屋根の状態や予算に合わせて、同時に依頼することも検討してみましょう。
なお、外壁塗装の業者の中には「足場代無料」として低価格な見積もりを出すケースがありますが、足場代は安全に工事を行うために欠かせない費用であり、本来であれば無料にできる項目ではありません。無料とした足場代を「諸経費」「その他」に含めて請求、または工事後に追加請求されることも考えられるため注意が必要です。
関連記事:足場費用の相場はいくら?外壁・屋根リフォームに必要な足場代の適正価格
その他費用の相場
費用全体の残り約20%〜30%を占めるのが、事務手数料や職人の方々の交通費・駐車場代などの費用です。見積書では「諸経費」「その他」などと記載されていることが多いですが、詳しい内訳を知りたい場合には、業者に相談してみると良いでしょう。
関連記事:【2024年版】外壁塗装の費用相場はいくら?10坪〜100坪の適正価格と安く抑えるコツ
外壁塗装の費用の支払い方法
外壁塗装の費用の支払い方法には、以下の3つが用意されていることが多いです。
- 現金払い
- クレジットカード払い
- ローン支払い
費用の支払いのタイミングとともに、それぞれご紹介します。
現金払い
外壁塗装の費用を現金で支払う際には、工事完了後の一括後払いとなることが多くあります。工事が完了したことを確認した上で支払いを行うため、代金を持ち逃げされるリスクがなく、依頼者にとって最も安心な支払い方法です。
ほかにも、費用の一部を工事前に支払い、残りを工事後に支払うパターンも存在します。工事前の一括払いが求められた場合、工事が行われず連絡が取れなくなってしまい、持ち逃げされるというリスクも考えられるため注意が必要です。
クレジットカード払い
クレジットカード払いに対応した業者であれば、クレジットカードを使うことで現金を用意したり振込手続きを行ったりする必要がなく、簡単に決済を行える利点があります。クレジットカード会社のポイントも付与されるため、費用負担を軽減できるのもメリットです。
しかし外壁塗装の費用は100万円以上のまとまった金額になることも多く、クレジットカードの限度額が不足するケースも考えられます。その場合には、事前にクレジットカード会社に連絡して、限度額を一時的に引き上げてもらうと良いでしょう。
ローン支払い
外壁塗装の費用を一括で用意するのが難しい場合、リフォームローンなどを使ったローン支払いを検討すると良いでしょう。外壁塗装業者が提供するローンや、銀行が提供するローン商品などが選択肢となりますが、住宅ローンを組んでいる場合には借入先の金融機関に相談してみるのがおすすめです。
関連記事:外壁塗装でローンを組むメリット・デメリット解説!注意点や負担を抑える減税制度も
外壁塗装の費用負担を安く抑えるコツ
外壁塗装の費用は、30坪の住宅でも60万円〜90万円、広い自宅や塗料のグレードを上げた場合には100万円以上となることも珍しくありません。塗料の耐用年数は約10年〜20年なので、十年単位で高額な出費が必要となる工事でもあります。
そうした外壁塗装の費用を相場よりも安く抑えて経済的な負担を軽減するためには、以下のような方法を検討してみましょう。
- 相見積もりを取り寄せる
- 火災保険・助成金を検討する
- 劣化が進む前に施工する
一つひとつ詳しくご紹介します。
相見積もりを取り寄せる
外壁塗装の見積もりを依頼する時には、同じ条件で複数の業者に問い合わせて、相見積もりを取ることが重要です。複数の業者の見積もりを比較することにより、自宅の外壁塗装費用の相場や目安を把握することに役立ちます。相場と比べて安すぎる業者はトラブルを避けるために候補から外し、相場よりも高い業者はなぜ高額になるのかを確認してみると、自宅にとって最適な業者が見つかりやすくなるでしょう。
見積もりを依頼する時のポイントやチェック項目については、下記のページでもご紹介しています。
関連記事:外壁塗装では相見積もりが不可欠!費用を抑えて信頼できる業者を選ぶためのポイント
関連記事:外壁塗装の見積もりは何社取れば良い?見積書のチェックポイントと費用相場を解説
火災保険・助成金を検討する
強風や積雪、雹(ひょう)などの自然災害によって外壁が傷み、修復が必要になったケースでは、火災保険が適用されることがあります。火災保険を利用することで費用負担を軽減できるため、当てはまる可能性がある場合は手元にある保険証券を確認してみましょう。
また、外壁塗装は自治体の助成金・補助金の対象となる工事です。中でも遮熱・断熱塗料を使った工事は助成金の対象となる可能性が高く、一度自治体で実施している助成金制度を調べてみることをおすすめします。
関連記事:【2024年版】外壁塗装の助成金・補助金まとめ|申請方法・条件や注意点を解説
関連記事:外壁塗装で火災保険が適用される4つの条件とは?費用を抑えた工事のコツ
劣化が進む前に施工する
外壁塗装の工事は、10年〜20年のサイクルで定期的に行うことが望ましく、劣化が進んでしまうと一度の工事にかかる費用が高額になる傾向があります。外壁が劣化して建材が劣化したり、壁の内側でカビが発生したりしてしまうと、建物の寿命を縮める原因にもなります。その結果、建て替え費用などのトータルコストが膨れ上がる可能性もあるため、劣化が進む前に早めの外壁塗装工事を依頼することが大切です。
ほかにも外壁塗装工事の費用を抑えるコツを下記の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:外壁塗装を安く依頼する12のコツ!費用相場よりも割安に工事するには
まとめ
外壁塗装の費用相場は、一般的な広さの延床面積30坪の住宅であれば、60万円〜90万円が目安です。坪数が増えるほど塗装面積が広くなり、使用する塗料や足場の組立・解体が増えることから、費用も上乗せとなります。具体的な費用内訳や項目ごとの費用相場については、本記事でご紹介した一覧表も参考にしてください。
外壁塗装の費用を相場よりも安く抑えるためには、利用できる火災保険・助成金がないかを確認したり、劣化が進む前に適切なサイクルで塗り替えを行うことが効果的です。事前に相見積もりを取って費用相場を把握することも重要ですので、複数の業者からの見積書を取り寄せてしっかりと比較・検討してみましょう。