30坪の一般的な広さの戸建て住宅では、外壁塗装費用の相場は60万円〜90万円が平均的です。
屋根塗装を同時に行う場合には80万円〜120万円と、100万円前後の予算があれば工事を依頼することが可能です。
自治体からの補助金・助成金を利用すればさらに費用負担を抑えることもできますが、一方で外壁の劣化が激しい場合、塗装前に下地補修や張り替え工事が必要となる可能性もあります。
そこで今回の記事では、30坪の外壁塗装費用について一般的な相場と料金内訳、高額になる条件や適正価格で依頼するコツなどについて解説します。
30坪の家の外壁塗装費用相場は60万円〜90万円が一般的
延床面積が30坪の住宅で外壁塗装を依頼すると、60万円〜90万円が費用相場となります。この金額には、塗料代や人件費、足場代などが含まれており、屋根塗装や劣化した外壁の補修を依頼しない限りは、大きくオーバーすることはありません。
ただし、上記の費用相場は家の延床面積をもとに簡易的に計算した金額であり、正確な塗装費用は外壁の状態や立地条件などによっても左右されます。あくまでも目安の金額として考え、実際の費用は塗装業者の見積もり金額を参考にするようにしてください。
また、「30坪の家」が指すのは延床面積が30坪の住宅であり、たとえば1階が15坪、2階が15坪の2階建ての建物が当てはまります。敷地面積が30坪、または建築面積が30坪の平屋でない住宅では、外壁塗装費用は30坪の家とは異なる点に注意してください。
関連記事:【2024年版】外壁塗装の費用相場はいくら?10坪〜100坪の適正価格と安く抑えるコツ
30坪の外壁塗装の費用内訳と計算方法
30坪の外壁塗装費用に含まれるのは、主に以下の4つの費用です。
- 塗料代
- 人件費・工事費
- 足場代
- その他の費用
それぞれどのような目的で使われる費用なのか、詳しく解説します。
塗料代
塗料代は、外壁塗装で使用する塗料などの材料費を指します。費用全体の約2割〜3割に相当し、家の塗装面積と塗料の平米単価をもとに計算することが一般的です。塗料の種類ごとの費用相場は、下記の表の通りです。
種類 | 耐用年数 | m2あたり費用相場 |
アクリル塗料 | 約5年~8年 | 約1,000円~1,800円 |
ウレタン塗料 | 約8年~10年 | 約1,700円~2,500円 |
シリコン塗料 | 約10年~15年 | 約2,100円~3,500円 |
ラジカル塗料 | 約8年~16年 | 約2,200円~4,000円 |
フッ素塗料 | 約15年~20年 | 約2,000円~5,000円 |
セラミック塗料 | 約10年~25年 | 約3,500円~5,000円 |
無機塗料 | 約20年~25年 | 約3,500円~5,500円 |
耐用年数が長くグレードの高い塗料ほど、平米あたりの費用単価は上昇します。そのため一度の外壁塗装で発生する費用が高額となりますが、次の塗り替えまでの期間が長くなるため、何度も外壁塗装を依頼する必要がなくなるメリットがあります。長期的に見ると耐用年数の長い塗料を使った方が節約効果が高まるケースも少なくありません。
どの塗料を選べば良いか迷った時には、下記のページも参考にしてみてください。
関連記事:外壁塗装の塗料4種類の選び方を解説!相場・耐用年数から最適な塗料を選ぼう
人件費・工事費
人件費・工事費は、外壁塗装費用全体のうち約3割を占める費用です。人件費は、塗装作業を行う職人の方々や、各種サービスを提供してくれる営業・事務の方々に支払う人件費で構成されます。人件費の計算は塗装業者によって大きく異なりますが、工期が長くなるほど職人の方々の稼働日数が増え、人件費が高額となる傾向があります。
また、工事費には外壁塗装を実施するために欠かせない、各種工事のための費用が含まれます。工事費が必要となる代表的な作業内容をまとめると、下記の通りです。
作業内容 | 費用相場 |
飛散防止ネット | 150円~400円/m2 |
養生 | 200円~300円/m2 |
高圧洗浄 | 250円〜450円/m2 |
シーリング(打ち換え) | 700円~1,500円/m |
シーリング(増し打ち) | 500円~1,000円/m |
軒天(軒裏) | 800円~1,600円/m2 |
雨どい | 800円~1,800円/m |
雨戸 | 2,000円~4,000円/枚 |
廃棄物処理 | 10,000円~30,000円/式 |
いずれも住宅の塗装面積や、塗装を依頼する箇所によって金額は異なりますので、正確な費用は塗装業者が作成する見積書をチェックすると確実です。
足場代
外壁塗装を安全に行うために欠かせない足場代は、費用全体の約2割を占めます。基本的に住宅の塗装面積をもとに計算しますが、家の外周に余裕を持たせて足場を設置するため、塗装面積を1.3倍した広さで計算することが多いです。
30坪の塗装面積は約120m2なので、1.3倍した足場の設置面積は約156m2です。この広さに足場代の平米単価の目安である800円〜1,200円/m2を掛けると、足場代は約12万円〜19万円と計算できます。
関連記事:足場費用の相場はいくら?外壁・屋根リフォームに必要な足場代の適正価格
その他の費用
上記以外の費用として、自治体に許可を申請するための事務手数料や交通費・駐車場代、廃材の処理費用なども必要です。こうした費用はまとめて「諸経費」と見積書に記載されていることが多く、一般的には費用全体の約2割〜3割に相当します。もし諸経費の金額が全体の3割を超えるようであれば、見積書の詳しい内訳を問い合わせてみると良いでしょう。
関連記事:外壁塗装の見積もりは何社取れば良い?見積書のチェックポイントと費用相場を解説
30坪の家の外壁塗装費用が相場よりも高額になる条件
30坪の家の塗装費用は60万円〜90万円の範囲に収まることが多いですが、中には100万円以上の費用が発生するケースもあります。外壁塗装費用が高額となる条件には、以下のような要素が挙げられます。
- 外壁の劣化が激しいこと
- 道路使用許可・道路占用許可を必要とすること
- 屋根塗装を同時に依頼したこと
それぞれ順番にご紹介しましょう。
外壁の劣化が激しいこと
外壁のひび割れやシーリング(外壁の継ぎ目)の剥がれなど、外壁の劣化が激しい場合には補修工事が必要となり、工事費用が高額になることがあります。
外壁の劣化が激しい場合には、これまでの外壁を撤去し、新たな外壁に交換する張り替え工事が行われることもあります。大規模なリフォームになるにつれて必要な費用は上昇するため、外壁の劣化が進む前に定期的に外壁塗装を依頼することが重要です。
道路使用許可・道路占用許可を必要とすること
自宅の敷地内に工事車両を停められるスペースがなく、道路にはみ出さないと工事を行えない場合、「道路使用許可・道路占用許可」を申請する必要が出てきます。その場合には、警察署への申請のために事務手数料が発生するほか、交通誘導員を置く必要があるため工事費用が高額になります。
そのため都心部の住宅街の奥まった立地にある住宅など、十分な工事スペースが取れない場合に追加費用が発生することを押さえておきましょう。
屋根塗装を同時に依頼したこと
外壁塗装を屋根塗装と同時に依頼するケースは多いですが、2つの工事を依頼するため一度の塗装費用は高額となります。30坪の住宅で屋根塗装を同時に依頼した場合、合計で80万円〜120万円が費用相場です。
ただし、外壁塗装のために組み立てた足場をそのまま屋根塗装に使用できるほか、別々に依頼するよりも工期を短縮できるため、まとめて依頼した方がトータスコストは安くなる傾向があります。外壁と比べて屋根の部分は、雨風にさらされやすく紫外線を浴びる時間も長いため、塗り替えを必要とする場合には早めにメンテナンスを依頼しましょう。
関連記事:屋根塗装の相場は40〜80万円が目安!坪数ごとの費用や内訳、安く抑えるコツを紹介
30坪の家の外壁塗装事例
「外壁塗装の窓口」では、過去に外壁塗装を実施した30坪の事例について、下記の通り掲載しています。
- 築12年の戸建住宅:30坪(外壁・屋根塗装)880,000円
- 築10年の戸建住宅:30坪(外壁塗装)610,000円
- 築22年の戸建住宅:30坪(外壁塗装)840,000円
屋根塗装を含めても60万円〜90万円の相場に収まるケースは多く、100万円以上の高額な費用が求められることは少ないです。下記のページでも詳細な内訳について解説しているので、費用相場を調べる時の参考として活用してみてください。
30坪の家の外壁塗装を適正価格で依頼するコツ
最後に、30坪の外壁塗装を適正価格で依頼するためのコツとして、次の3つについて解説します。
- 複数の業者の見積もりを比較・検討する
- 豊富な実績を持つ業者に現地調査を依頼する
- 相場よりも安すぎる・高すぎる見積もりに要注意
それぞれのポイントを踏まえ、信頼できる塗装業者に依頼しましょう。
複数の業者の見積もりを比較・検討する
外壁塗装を依頼する業者を選ぶ時、1社の見積もりだけで決めるのではなく、複数の業者の見積もりを比較・検討することが、適正価格で依頼するコツです。複数の見積書を見比べることで、割高な業者・割安な業者を見極めることができるので、費用を抑えて外壁塗装を依頼することも可能になります。
また、複数の塗装業者に問い合わせることで、営業担当者の対応や見積書のわかりやすさなど、金額以外の面でも比較できるおかげで、信頼できる塗装業者を探しやすいメリットもあります。
関連記事:外壁塗装では相見積もりが不可欠!費用を抑えて信頼できる業者を選ぶためのポイント
豊富な実績を持つ業者に現地調査を依頼する
見積もりの作成のために塗装業者に現地調査を依頼する時には、公式ホームページや口コミの評判もチェックしながら、豊富な実績を持つ業者に問い合わせることも重要です。たとえば公式ホームページをチェックして、最新の施工実績を画像・動画とともに公開している業者であれば、自分たちの施工に自信を持った優良業者と判断できます。
外壁塗装についての悩みに真摯に対応してくれるなど、問い合わせの際の対応も考慮して、信頼できる塗装業者を選びましょう。
関連記事:優良な外壁塗装業者の選び方を解説!警戒すべき悪徳業者の見極め方とは
相場よりも安すぎる・高すぎる見積もりに要注意
本記事で解説してきた費用相場や、複数の業者から取り寄せた見積もり金額の平均と比べて、安すぎる・高すぎる業者には要注意です。相場を大きく下回る格安業者に依頼した場合、重ね塗りの回数を減らしたり、塗料のグレードを無断で落としたりと、手抜き工事に遭う危険性が高まります。
格安工事をセールスポイントにしている業者の中には、「足場代無料」「キャンペーン価格」を打ち出しているケースも少なくありませんが、こうした格安業者は選択肢から外しておくのが賢明です。
関連記事:外壁塗装の悪徳業者を見分ける4つのチェックポイント
関連記事:【2024年版】外壁塗装の助成金・補助金まとめ|申請方法・条件や注意点を解説
まとめ
30坪の外壁塗装を依頼した場合、費用相場は60万円〜90万円が一般的な水準です。外壁の劣化が激しく大規模な外壁リフォームとなる場合や、立地条件が悪く道路使用許可を必要とする場合、屋根塗装を同時に依頼する場合などを除けば、100万円以上の見積もり金額となることは少ないです。
信頼できる塗装業者に適正価格で工事を依頼するためには、複数の業者から見積もりを取得して比較・検討したり、豊富な実績を持った業者に現地調査を依頼したりするのが効果的です。相場よりも安すぎる・高すぎる業者は候補から外して、安心して依頼できる塗装業者を見つけましょう。