2024-07-05 07:18:01 更新

アクリル塗料とは?メリット・デメリットと他の塗料との違いを解説

アクリル塗料とは?メリット・デメリットと他の塗料との違いを解説
編集者プロフィール
輿石 雅志
1972年生まれ。早稲田大学理工学部応用化学科卒業。40万人以上の方が利用している国内最大級のマッチングプラットフォームを提供する外壁塗装に特化した無料相談サイト「外壁塗装の窓口」を運営。著書に「マイホームの外壁塗装 完全成功読本」(幻冬舎出版)。
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塗装工事を検討している人の中には、施工費用を安く抑えたいと考えている人もいるでしょう。費用の安さを重視する方には、アクリル塗料がおすすめです。

アクリル塗料は他の塗料と比べて施工費用が安く、カラーバリエーションも豊富なので、自分好みの外壁に仕上げられます。しかし、耐久性が低いため、立地条件や建物の状況によっては施工できない場合もあります。

この記事では、アクリル塗料に関する悩みや疑問を解決するために、メリット・デメリットや他の塗料との違いを解説します。塗料選びに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

外壁塗装の塗料に関する詳しい解説はこちら

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アクリル塗料とは?

アクリル塗料のメリット

アクリル塗料のデメリット

アクリル塗料がおすすめのケース

アクリル塗料で手軽に外装塗装しよう

アクリル塗料とは?

アクリル塗料とは、アクリル系の合成樹脂を主成分とした塗料のことです。アクリル樹脂は耐久性に優れており、日用雑貨品から航空機の窓ガラスまで、さまざまな用途に使われています。

1950年頃から製造が始まり、発色の良い低価格な塗料として広く普及していましたが、近年は高性能な新しい塗料が開発され、塗料の価格も下がってきたことから、需要は少なくなってきています。

アクリル塗料の費用相場

アクリル塗料の1平米当たりの費用相場は1,000~1,800円です。

一般的な30坪の戸建てに換算すると、塗装工事の費用は60万円前後となります。商品にもよりますが、ウレタンやシリコンなどの他の塗料と比べて工事費用は安く済みます。

関連記事:【2024年版】外壁塗装の費用相場はいくら?10坪〜100坪の適正価格と安く抑えるコツ

アクリル塗料と他の塗料との違い

アクリル塗料は他の塗料に比べて耐用年数が短い特徴はありますが、その分価格が安いメリットがあります。

塗料の種類 施工費用(1㎡あたり) 耐用年数
アクリル塗料 1,000~1,800円 3~8年
ウレタン塗料 1,500~2,500円 5~10年
シリコン塗料 1,800~3,500円 8~15年
フッ素塗料 3,000~5,000円 12~20年

アクリル塗料は外壁塗装に使われる塗料の中で最もグレードが低いです。費用が安い分、耐用年数が少ないため、メンテナンス間隔は短くなります。施工回数も増えるため、長い目で見るとコストパフォーマンスは高くありません。

上記でも触れた通り、現在はウレタン塗料やシリコン塗料などの高性能な塗料の価格が下がってきたこともあり、需要は少なくなっています。

とはいえ、ほかの塗料と比べて価格が安く、使用する用途や場所によってはアクリル塗料を使用した方が良いケースもあります。短期間で塗り替えたい方や近いうちに建て替えを検討している方なら、コスパの良い塗料だと言えるでしょう。

アクリル塗料のメリット

アクリル塗料には、主に以下4つのメリットがあります。

  • 施工費用が安い
  • 種類が豊富
  • 高発色でツヤがある
  • 素人にも扱いやすい

それぞれ詳しく解説します。

施工費用が安い

アクリル塗料の施工費用は1平方メートルあたり1,500円前後なので、ウレタンやシリコンなどの他の塗料に比べて安価です。塗装工事を低コストに抑えられるため、外壁を気軽に塗り替えられるでしょう。

また施工費用が安いからといって、決して品質が悪いわけではありません。耐用年数は短いものの、発色が良く、カラーのバリエーションも豊富です。耐用年数や使用用途に注意すれば、しっかりと住まいを守りつつ、外壁の塗り替えを楽しめます。

カラーバリエーション・種類が豊富

アクリル塗料は歴史が長いため、各メーカーからもさまざまな種類が販売されています。カラーバリエーションもレッド系やブルー系をはじめ、グリーン系からゴールド系までさまざまです。幅広い選択肢の中から色を選べるため、「好きな色が見つからない」ということはないでしょう。

なお、外壁塗装の色選びで重要なポイントやおすすめのカラーについては下記の記事をご覧ください。

https://gaiheki-madoguchi.com/articles/1502

高発色でツヤがある

アクリル塗料は乾燥すると表面にツヤが生まれ、住宅の外観を鮮やかに際立たせます。発色が良いため、ハッキリとした色合いを好む方におすすめです。

素人にも扱いやすい

アクリル塗料の多くが1液型であるため、素人にも使いやすく、DIY用に販売されている商品も多数あります。1液型とは、水か溶剤で溶かすだけで使用できる塗料のことです。

1液型 塗料缶は1つのみ。そこに水やシンナーを入れて薄めて塗る。
2液型 塗料缶は主材(塗料)と硬化剤の2つに分かれており、塗装をする直前に主材と硬化剤を混ぜ合わせる必要がある。さらに水やシンナーを入れて薄めてから塗る。

1液型は2液型と比べて塗装する際に手間がかからず、塗料が余っても次の日にそのまま使用できます。施工時の失敗が少ないため、DIYで塗装したい人にもおすすめできます。

アクリル塗料のデメリット

アクリル塗料には、以下のようなデメリットもあります。

  • 紫外線に弱い
  • ひび割れが起きやすい
  • 湿気が入りやすい
  • 耐久性が低い

施工してから後悔しないためにも、ここでデメリットをしっかり把握しておきましょう。

紫外線に弱い

アクリル塗料は紫外線に弱いため、劣化が早く進みます。施工後はツヤがあっても、数年で光沢が失われて変色や褪色が始まってしまい、塗料の機能が十分に発揮されなくなります。

ひび割れが起きやすい

アクリル樹脂は常温では硬くなりやすい特徴を持っています。そのためアクリル塗料には可塑剤が加えられています。

可塑剤とは、素材を柔らかくする薬品類のことです。可塑剤は紫外線によって3~5年程度で徐々に空気中へ抜けていきます。可塑剤が抜けると塗膜の柔軟性が失われるため、塗装面にひび割れが起きてしまいます。

湿気が入りやすい

アクリル塗料は浸透性が高いため、外部の湿度が高い場合は、必要以上に外の湿気を室内に取り込んでしまいます。 そのため、梅雨がある地域や海や川の近くにある湿度の高い地域には不向きです。

浸透性が高いため、汚れなどを弾く効果も期待できません。掃除しないで放置していると、外壁が汚れて建物全体の印象が悪くなります。 

ただし一方で、汚れを弾かない分、塗料を弾くこともないため、重ね塗りがしやすいというメリットもあります。

耐久性が低い

上記の「紫外線に弱い」という点に関連して、アクリル塗料は他の塗料に比べて耐用年数が短いため、こまめな塗り替えが必要です。施工後3〜5年で色あせが目立ち始め、長く放置すればひび割れも発生します。塗装面が剥がれると建物内部に雨水が侵入してしまい、機能面にも問題が生じます。

定期的に洗浄してメンテナンスをしっかり行えば、耐用年数を延ばぜます。しかし、メンテナンスを怠ると数年で塗り替えなければなりません。

こまめに掃除しなければ薄汚れた印象になるため、お手入れが面倒な方には不向きです。イニシャルコストは低くても、長期的に見ると決してコストパフォーマンスが良いとはいえないでしょう。

なお、一般的な外壁塗装の耐用年数について、詳細は下記の記事をご覧ください。

https://gaiheki-madoguchi.com/articles/1504

アクリル塗料がおすすめのケース

アクリル塗料の良い点と悪い点を踏まえたうえで、おすすめできるケースは以下の4つです。

  • 外壁塗装の費用を抑えたい
  • 5年以内に建て替える予定
  • 外壁をこまめに塗り替えたい
  • DIYで塗装したい

上記に当てはまる場合は、施工を検討してみましょう。

外壁塗装の費用を抑えたい

アクリル塗装は他の塗料よりも安いため、工事全体の費用を抑えられます。そのため、塗り替えを前提とした建物の外壁や軒下の塗装、DIYなど幅広いシーンで活用できます。

建物全体をリフォームする際に外壁塗装の費用を抑えられれば、他のリフォーム費用に予算を割くこともできます。

関連記事:外壁塗装を安く依頼する12のコツ!費用相場よりも割安に工事するには

関連記事:【2024年版】外壁塗装の助成金・補助金まとめ|申請方法・条件や注意点を解説

5年以内に建て替える予定

アクリル塗料の耐用年数は3~8年です。そのため、3~5年で建て替える予定がある場合は、耐用年数の高い塗料を選ぶ必要はありません。

他の塗料を使用すると、耐用年数を迎える前に建て替え時期がきてしまいます。費用を無駄にしたくない方や、数年後に家を解体して手放す予定なら、アクリルで十分です。また、数年毎に外壁のリフレッシュをしたい店舗や、短期間で家を売却することが決まっている場合にも、費用の安さがメリットになります。

外壁をこまめに塗り替えたい

アクリル塗料は施工料金が安いので、頻繁に色を塗り替えたい場合や、数年で取り壊しが決まっている場合に適しています。

最近は耐用年数に重点を置く傾向があるため、需要は低くなっています。しかし、発色が良くカラーバリエーションが豊富なため、さまざまな色を試してみたい場合にはおすすめの塗料です。

外壁は建物の印象を決める大きな役割を持っているため、こまめに塗り替えることで建物の資産価値を高められるでしょう。

DIYで塗装したい

アクリル塗料は1液型が多く、2液型のように硬化剤を混ぜなくても塗装ができるため、手軽に施工できます。素人でも比較的簡単に扱えるため、DIYで塗装する場合におすすめです。

2液型のほうが耐久性が高く、近年は2液型の塗料が主流ですが、2液型は塗料と硬化剤を混ぜてから数時間以内に使い切らなければなりません。1液型なら混ぜ合わせる手間がかからず、使い切るまでの時間が決められていないので、自分で塗装したい人におすすめです。

関連記事:外壁塗装をDIYする方法とは?業者に依頼した方が良いケースや注意点を解説

アクリル塗料で手軽に外装塗装しよう

アクリル塗料は、素人でも扱いやすいリーズナブルな塗料です。多くのメーカーからさまざまな種類が販売されており、カラーバリエーションも豊富です。幅広い選択肢から自分好みの色を選べるのは、大きなメリットだと言えるでしょう。

確かに、耐用年数が短いため、こまめなメンテナンスが必要になります。しかし他の塗料に比べて費用が安いという特徴もあるため、外壁を手軽にイメージチェンジできるとも言い換えられます。

外壁を頻繁に塗り替えたい人や、5年以内に建て替える予定の人なら、メリットを活かせるでしょう。是非アクリル塗料で理想の外壁を実現させてくださいね。

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