外壁塗装では、使用する塗料によって耐用年数や機能性、そして費用相場に大きな違いがあり、自宅の状況や今後のライフスタイルによって最適な塗料は一人ひとり異なります。安すぎる塗料を選んでしまうと塗料の劣化が早く、次の塗り替えがすぐに必要になる一方で、近い将来に建て替えの予定があるのに最高級グレードの塗料を使用するのも、コストの無駄になりかねません。
そこで本記事では、外壁塗装で使われる塗料の特徴と選び方、「1液型・2液型」「水性・油性」といった塗料の性質についても解説します。
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外壁塗装で使われる塗料は主に4種類
外壁塗装で使われる塗料は、メーカーによってさまざまな製品が売られていますが、現在主流なのは「アクリル塗料」「ウレタン塗料」「シリコン塗料」「フッ素塗料」の4種類です。アクリル塗料が最も安価かつ耐久性が低く、フッ素塗料は最も高価になりますが耐久性も向上します。
これらのほかにも、ラジカル塗料や無機塗料、光触媒塗料、遮熱・断熱塗料といった種類が存在し、特定の機能性を求める場合に選択されることがあります。
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外壁塗装の塗料の種類一覧
続いて、外壁塗装で使われる塗料について、それぞれの費用相場や耐用年数などの特徴とともに解説します。
アクリル塗料
アクリル樹脂を用いたアクリル塗料は、平米単価が1,000円〜1,800円程度と、主要な種類の中でも費用相場が安いことが特徴の塗料です。発色に優れているため外壁塗装で主流だった時代もありましたが、耐用年数は約3年〜8年と短いことから、長く住み続ける住宅の外壁には向きません。外壁全体ではなく頻繁に塗り替える箇所に使用したり、近い将来に建て替える予定がある家に使用したりするのが適しています。
関連記事:アクリル塗料とは?メリット・デメリットと他の塗料との違いを解説
ウレタン塗料
ウレタン塗料は、平米単価が1,700円〜2,500円程度であり、耐用年数は約5年〜10年です。伸びが良く密着性に優れた塗料なので、モルタル・木材・金属・コンクリートなど場所を選ばずに使えることが大きなメリットです。ウレタン塗料は仕上がりに独特の光沢を持っているため、建物の雰囲気が大きく変わってしまうこともある点に注意しましょう。
関連記事:ウレタン塗料とは?メリット・デメリットと費用相場を解説
シリコン塗料
シリコン塗料は、外壁塗装で最も人気な塗料であり、平米単価は2,300円〜3,500円程度、耐用年数は約7年〜15年の耐久性を持ちます。透湿性に優れた結露が発生しにくい塗料なので、住宅にとって大敵である水分・湿気から家を守る役割を果たします。価格・耐久性・機能性のバランスが良い塗料であり、多くのメーカーから豊富な製品が販売されているほか、塗装業者も塗料の扱いに慣れていて施工不良を起こしにくい点もメリットに挙げられます。
関連記事:シリコン塗料のメリット・デメリットとは?耐用年数や他の塗料との違いを解説
フッ素塗料
フッ素塗料の平米単価は3,500〜5,000円程度、耐用年数は約12〜20年と、高価格かつ耐久性に優れたハイグレードの塗料です。ビルやマンションでもよく使われる塗料で、耐酸性・耐候性を備えた、酸性雨・紫外線に強い塗料でもあります。フッ素塗料に含まれるフッ素樹脂は、テフロン加工されたフライパンにも使われており、汚れや雨・雪を落としやすい性質を持っています。
関連記事:フッ素塗料の価格は?メリット・デメリットとおすすめメーカーを紹介
ラジカル塗料
ラジカル塗料の平米単価は2,400円程度、耐用年数は12~16年と長いのが特徴です。塗膜の劣化の原因になるラジカルという物質の発生を抑える効果があり、紫外線や雨風に当たっても劣化しにくいのが魅力です。また、汚れが付着しにくく、ツヤと色持ちが長持ちするメリットもあります。ただし、発売されてから間もない新しい塗料であるため、塗装実績がない業者が存在する点に注意が必要です。
関連記事:ラジカル制御塗料の特徴・耐用年数・費用相場!シリコン塗料との違いも解説
無機塗料
無機塗料は炭素を含まない無機物質を主成分としており、平米単価は4,000~5,500円程度、耐用年数は20年以上を誇ります。住宅の外壁に使用される塗料のなかでは耐用年数が最も長く、カビや藻類の発生を防いで長期間美しい外観を維持できます。メンテナンスコストを抑えやすいのが利点ですが、初期費用が高く、外壁以外のメンテナンスと周期が合わせづらいのが難点です。
関連記事:無機塗料を選ぶメリット・デメリットとは?耐用年数・費用相場も解説
ピュアアクリル塗料
ピュアアクリル塗料は、アクリル塗料に含まれる不純物を排除した塗料で、平米単価は4,500円前後、耐用年数は15年~20年が目安です。耐久性と防水性が高いのが特徴で、弾性もあるため、モルタルなどのひび割れしやすい外壁に適しています。しかし初期費用が高く、取り扱い業者も少ないため、依頼先の選定には注意が必要です。
セラミック塗料
セラミックが配合されているセラミック塗料は、平米単価が3,500~14,000円程度、耐用年数は10年〜15年です。ほとんど紫外線を吸収しないため、紫外線による外壁の温度上昇や劣化症状を抑えやすいのが利点です。また、石をまぶしたような立体的な質感を演出できるため、デザイン性の高い外壁に仕上がります。ただし、施工には職人の技術力が問われるため、依頼する業者は慎重に選びましょう。
光触媒塗料
光触媒塗料は、酸化チタンの性質を利用して壁面の汚れを分解できる性質を持った塗料で、平米単価が4,000円前後、耐用年数は12年~15年です。セルフクリーニング機能によって汚れにくく、メンテナンスコストを抑えやすいのが利点ですが、紫外線と雨水に晒されないと本来の機能は発揮されません。そのため、日陰になっている部分や雨水に接しない部分には高い効果を期待できない可能性があります。
関連記事:光触媒塗料を外壁塗装に使うメリット・デメリットとは?費用相場や注意点を解説
ナノテク塗料
ナノテク塗料は、ナノテクノロジーによって樹脂をナノレベルまで小さくした塗料で、平米単価は4,000円前後、耐用年数は12年~15年です。紫外線に強いシリコン化合物を配合しているため、従来の塗料と比較して汚染や色褪せに強いのが特徴です。一方で、製造メーカーが少なく、選べるツヤやカラーバリエーションが少ない点に注意が必要です。
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外壁塗装の塗料の水性・油性の違い
外壁塗装で使用する塗料には、ボールペンなどと同様に「水性」「油性」の2種類が存在しています。塗料の専門的な性質については知らなくて良いのではないかと感じるかもしれませんが、水性塗料・油性塗料のどちらを使うかによって、工事中の臭いや耐久性に差が生まれます。
ここで水性塗料・油性塗料の違いについて詳しく解説しますので、どちらの塗料が自宅に適しているのかを検討してみましょう。
水性塗料の特徴
外壁塗装では、現在は水性塗料が主に使われています。水性塗料の場合、塗料を薄める希釈剤として水を使っているのが特徴で、油性塗料で使用するシンナーを使わないため、塗料の臭いが少ないのが特徴です。また、引火性や環境への悪影響が少ないメリットもあります。油性塗料と比較すると耐久性は低下しますが、現在は水性塗料の開発が進んでおり、耐久性に優れた種類も販売されています。
隣家との距離が近く、近隣への塗料の臭いが気になる場合などは、水性塗料を優先的に使用してもらえるように業者に相談してみると良いでしょう。
油性塗料の特徴
油性塗料には、塗料を薄める希釈剤としてシンナーが含まれるため、塗料の臭いが強いというデメリットがあります。家が密集する住宅街の場合には塗料の臭いが近隣にも広がりやすく、工事中の自宅にも臭いが入り込むことに注意が必要です。
一方で油性塗料は雨に強く、水性よりも美しい状態を維持できるメリットがあるため、塗料がなじみにくい材質の塗装や屋根の塗装で使用されることが多いです。
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外壁塗装の塗料の1液型・2液型の違い
外壁塗装に使われる塗料の分類として、「1液型」「2液型」という言葉が出てくることがあります。1液型塗料と2液型塗料は、塗料が1つの缶にまとまっているか、2つの缶に分けられているかが大きな違いです。
1液型・2液型それぞれで費用相場や耐久性も異なってくるため、ここで2つの違いを押さえておきましょう。
1液型塗料の特徴
1液型塗料は、塗料の表面に塗膜を作るために必要な「硬化剤」という成分が、塗料液と混合された状態で販売されているタイプです。使用する前に塗料・硬化剤を混ぜる手間がなく、2液型と比べてすぐに硬化しない性質を持っているため、余った塗料は翌日以降も使用できるメリットがあります。
塗料の価格も2液型と比較して割安な一方で、金属など塗装に向かない素材もあるので注意が必要です。
2液型塗料の特徴
2液型塗料は、塗料と硬化剤が別々の缶に入っており、塗装工事の前に2つの缶を混ぜた上で水・シンナーで薄めるのが特徴です。一度混ぜ合わせた2液型塗料は、すぐに硬化が進むことから3時間〜8時間程度で使い切らなければなりません。塗装面積に合わせて最適な量を混ぜて使用する必要があるため、プロの業者にとっても扱いが難しい種類です。
1液型と比べると2液型塗料は、塗料の価格が割高である一方で、塗膜が密着しやすい性質を持っているため、素材を問わず塗装できるメリットを持ちます。密着性の高さから、塗料の耐用年数も長くなっています。
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外壁塗装の主要塗料メーカー
外壁塗装で使用される主要な塗料メーカーとして、以下の3社が挙げられます。
日本ペイント
国内最大手の塗料メーカーで、住宅から商業施設まで幅広い用途に対応した塗料・製品を開発・販売しています。特に「パーフェクトトップ(ラジカル塗料)」や「ファインSi(シリコン塗料)」は、耐久性やコストパフォーマンスに優れ、塗料の中でも定番商品として知られています。
関西ペイント
1918年に設立された、創業100年以上の歴史を誇る老舗メーカーです。住宅用の塗料から産業用塗料、船舶用塗料まで、多岐にわたる商品の開発・製造を行っています。外壁塗料においては「アレスダイナミック」シリーズが定番&有名商品です。高耐久、防汚性能、長寿命と長期的なコストパフォーマンスに優れた商品となっています。
エスケー化研
エスケー化研(SK化研)は、機能性や技術力に定評のある塗料メーカーです。建築塗料の展開をメインに、国内だけでなく積極的に海外への進出も行っています。代表商品でもある「クリーンマイルドシリーズ」は住宅外壁の美観を長期間保つと同時に、セルフクリーニング効果により汚れが付きにくい性能を持っています。また「セラミシリコン」は防カビ・防藻性に優れ、湿気の多い環境でも安心して使用できるため、多くの住宅やマンションで採用されています。
そのほか、外壁塗装における塗料メーカーについては、下記の記事をご覧ください。
関連記事:塗料メーカー主要10社まとめ!外壁塗装の人気商品や選び方も解説
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外壁塗装で最適な塗料の選び方
最後に、自宅の外壁塗装での塗料の選び方のコツを3つ解説します。
- 外壁塗装の予算・塗料単価から選ぶ
- 塗料の耐用年数・メンテナンス性で選ぶ
- 外壁塗装の業者が取り扱う塗料から選ぶ
これらのポイントをもとに検討しつつ、信頼できる業者にも相談しながら使用する塗料を選びましょう。
外壁塗装の予算・塗料単価から選ぶ
外壁塗装にかけられる予算をもとに、各塗料の価格で使用する塗料を決めるのが一般的です。塗料の価格は、グレードが低い順に「アクリル塗料」「ウレタン塗料」「シリコン塗料」「フッ素塗料」となり、フッ素塗料が最も高額になります。コスト面を重視する場合には、ウレタン塗料またはシリコン塗料、予算をかけて耐久性の高い塗料を使用したい場合にはフッ素塗料を選ぶのがおすすめです。
ただし、それぞれの塗料のグレードの中でも、メーカーや製品によって見積もり金額が変動することがあります。正確な塗料代を知りたい場合には、外壁塗装の業者に「見積書」を作成してもらうのが確実です。
塗料の耐用年数・メンテナンス性で選ぶ
外壁塗装に使用する塗料は、各塗料の耐用年数やメンテナンス性をもとに選ぶのもおすすめです。たとえば、築10年程度で外壁の再塗装が初めての場合には、長期的なメンテナンスコストを抑えることを優先してフッ素塗料を選ぶ。築30年を過ぎており近い将来建て替える可能性がある場合には、短期的に費用を抑えるためにアクリル塗料を選ぶなど。
外壁塗装では、本記事でご紹介してきた塗料代以外に、「足場代」が発生します。足場代は、職人の方が高所で安全に作業するために欠かせない費用であり、工事のたびに組立・解体費用が必要になります。そのため塗り替えの回数が多くなるほど足場代が膨らんでしまい、トータルコストが上昇する原因になります。
もし外壁塗装で火災保険・補助金、リフォームローンを利用して費用負担を抑えられる場合には、長期的な節約効果を見込んでグレードの高い塗料を選んでみるのも良いでしょう。
関連記事:外壁塗装の耐用年数は10〜20年が限度!寿命を延ばすコツや劣化症状を解説
外壁塗装の業者が取り扱う塗料から選ぶ
自宅にどの塗料が最適なのかわからない場合や、外壁塗装の仕上がりを重視したい場合には、依頼する業者が取り扱う塗料から、おすすめの製品や人気の製品を選ぶのも一つの選択肢です。外壁塗装は使用する塗料だけではなく、塗装を行う職人の技術によっても仕上がりは変わり、業者が使い慣れている塗料の方がきれいに仕上がることも多いです。
不慣れな塗料を使って施工不良を起こすよりも、使い慣れた塗料できれいに仕上げてもらったほうが耐用年数が延びるケースもあるので、外壁塗装の業者に相談しながら決めてみましょう。
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関連記事:優良な外壁塗装業者の選び方を解説!警戒すべき悪徳業者の見極め方とは
外壁塗装において塗料選びは重要!選び方のコツを把握しておこう
外壁塗装で使われる塗料は、主に「アクリル塗料」「ウレタン塗料」「シリコン塗料」「フッ素塗料」の4種類です。中でもシリコン塗料が価格・耐久性・機能性のバランスに優れ、高い人気を誇ります。
また、外壁塗装の塗料には「水性・油性」そして「1液型・2液型」といった違いが存在しており、それぞれの分類によって価格・臭い・耐用年数などが異なってきます。自宅の外壁に最適な塗料を選ぶ時には、こうした塗料ごとの違いをもとに選んだり、依頼する業者が使い慣れている塗料を優先して選んだりするのも効果的です。
本記事を参考に、塗料ごとの違いや特徴を押さえて、自宅に最適な塗料を選択しましょう。
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