60坪の住宅で外壁塗装を依頼すると、費用相場は150万円~180万円の価格帯となるのが平均的です。屋根塗装を同時に依頼した場合は、外壁の張り替え工事を必要とする場合などは、200万円を超える見積もり金額となることもあります。一方で、複数の会社からの見積もりを取って比較したり、外壁の劣化が進む前に塗り替えたりすることで、相場よりも安い金額で塗装を依頼できることもあります。
本記事では、60坪の外壁塗装の費用相場について、費用の内訳や計算方法、相場よりも高くなる条件などについて解説します。適正価格で依頼するためのコツについても紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
60坪の家の外壁塗装費用相場は150万円~180万円が目安
60坪の外壁塗装の費用相場は、150万円~180万円が目安です。これらの金額には塗料代や人件費、足場代などが含まれており、別途工事を依頼しない限りは200万円を超える金額となることは少ないです。
ただし、あくまでも延床面積をもとに簡易的に計算した費用相場ですので、実際の金額は個々の住宅の条件によって変動します。そのため正確な塗装費用を知りたい時には、専門知識を持った塗装業者に現地調査を依頼して、詳細の見積書を作成してもらうと良いでしょう。
なお、本記事では延床面積が60坪の住宅を「60坪の家」と定義して解説しています。建物を上から見た時の面積である建築面積(建坪)や、駐車場・庭などを含めた敷地面積とは異なりますので、坪数の計算にはご注意ください。
関連記事:【2024年版】外壁塗装の費用相場はいくら?10坪〜100坪の適正価格と安く抑えるコツ
60坪の外壁塗装の費用内訳・計算方法
続いて、60坪の外壁塗装を依頼した際の、塗装料金の内訳について解説します。
- 塗料代
- 人件費・工事費
- 足場代
- その他の費用
それぞれの計算方法や費用全体に占める割合とともに解説しますので、塗装業者の見積書をチェックする際の参考にしてください
塗料代
費用全体の約2割〜3割を占めるのが塗料代で、主に外壁塗装に使用する塗料の材料費で構成されています。塗料代は、使用する塗料ごとの平米単価と塗装面積をもとに計算され、塗料のグレードが高く塗装面積が広いほど高額な見積もりとなります。
塗料の種類ごとの平米単価については、下記の表を参考にしてください。
種類 | 耐用年数 | m2あたり費用相場 |
アクリル塗料 | 約5年~8年 | 約1,000円~1,800円 |
ウレタン塗料 | 約8年~10年 | 約1,700円~2,500円 |
シリコン塗料 | 約10年~15年 | 約2,100円~3,500円 |
ラジカル塗料 | 約8年~16年 | 約2,200円~4,000円 |
フッ素塗料 | 約15年~20年 | 約2,000円~5,000円 |
セラミック塗料 | 約10年~25年 | 約3,500円~5,000円 |
無機塗料 | 約20年~25年 | 約3,500円~5,500円 |
上記の表からもわかる通り、平米単価が安い塗料ほど耐用年数が短く、平米単価が高ければ対応年数が長くなる傾向があります。耐用年数が長ければ、次の外壁塗装工事の時期を後ろ倒しにできるので、長期的な費用負担を抑えることに役立ちます。
どの塗料を選ぶのが最適なのか調べるためには、下記の記事を参考にしていただくか、信頼できる塗装業者に相談しながら決めると良いでしょう。
関連記事:外壁塗装の塗料4種類の選び方を解説!相場・耐用年数から最適な塗料を選ぼう
人件費・工事費
人件費・工事費は、費用全体の約3割を占めます。人件費は現場職人や営業・事務スタッフからサービスを受けるための対価であり、主に職人の人数・稼働日数や技術力によって変動します。
工事費は、外壁塗装に欠かせない作業にかかる費用であり、主な内訳は以下の表の通りです。
作業内容 | 費用相場 |
飛散防止ネット | 150円~400円/m2 |
養生 | 200円~300円/m2 |
高圧洗浄 | 250円〜450円/m2 |
シーリング(打ち換え) | 700円~1,500円/m |
シーリング(増し打ち) | 500円~1,000円/m |
軒天(軒裏) | 800円~1,600円/m2 |
雨どい | 800円~1,800円/m |
雨戸 | 2,000円~4,000円/枚 |
廃棄物処理 | 10,000円~30,000円/式 |
いずれの工事費も、工事を行う面積や長さに応じて金額が決まります。軒天や雨どいといった付帯部の塗装が多いケースや、下地補修・シーリング(外壁の継ぎ目)の補修が発生するケースでは、見積もり金額がやや高額となることもあります。
足場代
足場代は費用全体の約2割を占め、足場の設置面積と平米単価をもとに計算されます。外壁塗装工事では、塗装を行う家の外周に少しゆとりを持たせて足場を設置するため、塗装面積を1.3倍した広さが足場代の計算で使われます。
60坪の塗装面積は約240m2なので、1.3倍した約312m2が足場の設置面積となります。足場設置の平米単価の相場は800円〜1,200円/m2なので、約25万円〜37万円が足場代の目安です。
関連記事:足場費用の相場はいくら?外壁・屋根リフォームに必要な足場代の適正価格
その他の費用
塗料代・人件費・工事費・足場代以外に発生する費用は、その他の費用としてまとめて計算されます。費用全体のうち、約2割〜3割が目安です。主な内訳には、事務手数料・交通費・駐車場代・廃材の処分費用などが挙げられます。塗装業者の見積書では「諸経費」「現場管理費」などの項目で記載されていることが多いですが、費用全体の3割を超える金額が提示された場合には、具体的な内訳について確認しておくと安心です。
60坪の外壁塗装費用が相場よりも高くなる要素
外壁塗装費用はさまざまな条件によって計算されるため、時には相場を上回る200万円以上の見積もり金額が提示されることもあります。60坪の塗装費用が相場よりも高くなる条件として挙げられるのは、以下の3つです。
- 外壁の補修・張り替えが必要であること
- 2階建て・3階建てであること
- 屋根塗装を同時に施工すること
外壁塗装費用が相場よりも高くなる原因について、それぞれ解説します。
外壁の補修・張り替えが必要であること
塗装を行う家の外壁が激しく劣化している場合、補修工事や張り替え工事が必要となり見積もり金額が高額となるケースがあります。外壁のひび割れ・剥がれといった程度であれば高額な費用が請求されることは少ないですが、外壁材が傷んでしまい交換が必要と判断されると、大規模なリフォームとなり費用相場も大幅に上昇します。外壁塗装と比べて工期も長くなるため、外壁の劣化が進まないうちに塗り替えを依頼することが重要です。
関連記事:外壁工事にかかる費用・種類を徹底解説!工期や業者選びのコツもご紹介
関連記事:外壁の張り替えにかかる費用とは?外壁塗装・カバー工法との違いや選び方を解説
2階建て・3階建てであること
同じ60坪の住宅でも、平屋なのか2階建て・3階建てなのかによって費用相場は変動します。2階建て・3階建ての建物は高さがある分、外壁塗装の手間や時間が必要で、見積もり金額が高くなりやすいのです。足場や飛散防止ネットを設置する面積が広くなるので、相場を上回る費用になることも考えられます。
屋根塗装を同時に施工すること
外壁塗装と同時に屋根塗装を依頼した場合にも、一度の塗装費用が高額になります。しかし外壁塗装で使用する足場をそのまま屋根塗装でも使えるほか、職人の方々の稼働日数を短縮できるため、別々で塗装を依頼した場合と比べて大幅な節約効果が見込めます。
外壁と同様に屋根の塗装も住宅を長持ちさせるためには欠かせないメンテナンスなので、屋根塗装の塗り替えが必要な時期に差し掛かっている場合には、同時に依頼することを検討してみましょう。
関連記事:屋根塗装の相場は40〜80万円が目安!坪数ごとの費用や内訳、安く抑えるコツを紹介
60坪の外壁塗装を適正価格で依頼するためのコツ
外壁塗装を請け負っている業者の中には、格安料金で契約して手抜き工事するケースや、支払った前金を持ち逃げするケースも存在します。そうした悪徳業者を避けて、適正価格で外壁塗装を依頼するためには、以下のポイントを押さえておくことが大切です。
- 3社以上の業者に見積もりを依頼する
- 外壁が劣化する前に塗り替えを依頼する
- 訪問営業やキャンペーン価格で即決しない
一つひとつ詳しく解説します。
3社以上の業者に見積もりを依頼する
60坪の家で適正価格で外壁塗装を依頼するためには、3社以上の塗装業者に見積もりを依頼し、比較検討しながら決めることが大切です。1社の見積もりだけで塗装を依頼してしまうと、その見積もり金額が相場通りなのか、割高なのかが判断しにくいためです。
また、各業者の担当者の対応や見積書のわかりやすさを比較することで、信頼して工事を任せられる塗装業者を見極めることにも役立ちます。外壁塗装の見積もりを出すための現地調査には、手間や時間がかかりますが、できるだけ多くの塗装業者に問い合わせるようにしましょう。
関連記事:外壁塗装では相見積もりが不可欠!費用を抑えて信頼できる業者を選ぶためのポイント
外壁が劣化する前に塗り替えを依頼する
自宅の外壁の劣化が激しくなると、外壁塗装だけではなく、補修工事や張り替え工事が必要となる可能性があります。大規模なリフォームになると、費用相場を大きく上回る見積もり金額となってしまうため、外壁が傷んでしまう前に早めにメンテナンスを行うことが大切です。
一般的に外壁塗装の塗り替え時期は、10年〜20年とされています。新築から一度もメンテナンスせずに10年以上経過している場合には、まずは外壁塗装業者の現地調査を依頼してみると安心です。
関連記事:外壁塗装の耐用年数は10〜20年が限度!寿命を延ばすコツや劣化症状を解説
訪問営業やキャンペーン価格で即決しない
外壁塗装業者の訪問営業や、キャンペーン価格についてのチラシなどで、外壁塗装を検討し始める方も少なくありません。しかし適正価格で外壁塗装を依頼したい場合には、訪問営業やキャンペーン価格の塗装業者に即決することなく、別の塗装業者の見積もりを取り寄せてみることをおすすめします。
悪徳業者に遭ってしまうトラブルを避けるためにも、格安工事をアピールする業者や、大幅値下げを宣伝している業者で即決せず、慎重に塗装業者を見極めましょう。
関連記事:外壁塗装飛び込み営業は危険?被害事例とトラブルを避けるコツを解説
関連記事:外壁塗装の見積もりは何社取れば良い?見積書のチェックポイントと費用相場を解説
まとめ
60坪の外壁塗装の費用相場は、150万円~180万円が目安です。これらの金額には、塗料代や人件費、足場代などが含まれており、建物の階数や外壁の劣化具合によって費用相場が変動することがあります。
内壁塗装工事を適正価格で依頼するためには、1社の見積もりだけで契約を決めるのではなく、複数の塗装業者の見積もりを比較・検討することが大切です。訪問営業や格安工事のキャンペーンで即決することも避け、信頼できる塗装業者を慎重に選びながら、外壁塗装を進めましょう。