延床面積が20坪ほどのコンパクトな住宅では、外壁塗装工事にかかる費用として、50万円〜60万円が目安とされます。一般的な住宅と比べて塗装面積が狭いため、塗装工事にかかる日数が少なく、人件費なども安く抑えられる傾向があります。しかし隣家との距離が近い場合に、足場の組立が困難になるケースがあるほか、2階建てや3階建てでは相場よりも高額な見積もり金額となることがあるため注意が必要です。
そこで今回の記事では、延床面積20坪の住宅の外壁塗装費用について、平均的な相場や料金が高額になる条件、業者選びの注意点などとともにご紹介します。自宅の外壁塗装をできるだけ安く、信頼できる業者に依頼したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
20坪の外壁塗装の費用相場は50万円〜60万円
20坪の住宅で外壁塗装を依頼した場合、目安となる費用相場は50万円〜60万円です。依頼する業者や使用する塗料、建物の形状といった条件によって変動することはありますが、平均的な費用はこの金額に収まると考えて良いでしょう。
ただし、ここで「20坪の住宅」が意味するのは、「延床面積」で20坪の住宅です。たとえば1階が10坪、2階が10坪の合計20坪の住宅が、延床面積20坪とみなされます。家が建っている建築面積や、庭などを含めた敷地面積が20坪の住宅の場合には、費用相場が異なるためご注意ください。
なお、坪数ごとの費用相場については下記のページでも解説しているので、異なる坪数の費用相場もチェックしたい方は参考にしてください。
関連記事:【2024年版】外壁塗装の費用相場はいくら?10坪〜100坪の適正価格と安く抑えるコツ
20坪の外壁塗装の費用内訳
20坪の外壁塗装費用には、塗料代や人件費だけではなく、以下のような費用が含まれています。
- 塗料代
- 人件費・工事費
- 足場代
- その他の費用
それぞれの費用がどのように使われるのか、費用全体でどのくらいの割合を占めるのかを解説していきます。
塗料代
塗料代は、外壁塗装で使用する塗料の材料費であり、使用する塗料のグレードや種類によって価格が変動します。外壁塗装費用全体のうち約2割〜3割ほどを占める費用で、下記の表のように塗料の種類ごとの平米単価で計算されます。
種類 | 耐用年数 | m2あたり費用相場 |
アクリル塗料 | 約5年~8年 | 約1,000円~1,800円 |
ウレタン塗料 | 約8年~10年 | 約1,700円~2,500円 |
シリコン塗料 | 約10年~15年 | 約2,100円~3,500円 |
ラジカル塗料 | 約8年~16年 | 約2,200円~4,000円 |
フッ素塗料 | 約15年~20年 | 約2,000円~5,000円 |
セラミック塗料 | 約10年~25年 | 約3,500円~5,000円 |
無機塗料 | 約20年~25年 | 約3,500円~5,500円 |
20坪の住宅は、一般的な住宅と比べて塗装面積が少ないこともあり、塗料ごとの価格の違いはあまり大きくないのが特徴です。たとえば、1坪あたりの単価が5,000円と1万円の塗料があった場合に、20坪であれば10万円と20万円の差ですが、100坪になると50万円と100万円という大きな価格差となる計算です。
そのため20坪のコンパクトな住宅では、一回あたりの塗装費用よりも、塗り替え回数を抑えることを目的に、耐用年数の長い塗料が使われることも多いです。耐用年数が短く塗り替えサイクルが短いと、毎回工事費用や足場の設置費用が発生するため、長期的には割高となる点に注意しましょう。
人件費・工事費
続いて、塗装作業を行う職人の方の人件費や、外壁の下地補修・養生・高圧洗浄などを行うための工事費についてです。下記の表のように細かな内訳項目があり、費用全体では約3割の割合を占めます。
作業内容 | 費用相場 |
飛散防止ネット | 150円~400円/m2 |
養生 | 200円~300円/m2 |
高圧洗浄 | 250円〜450円/m2 |
シーリング(打ち換え) | 700円~1,500円/m |
シーリング(増し打ち) | 500円~1,000円/m |
軒天(軒裏) | 800円~1,600円/m2 |
雨どい | 800円~1,800円/m |
雨戸 | 2,000円~4,000円/枚 |
廃棄物処理 | 10,000円~30,000円/式 |
軒天や雨どい、雨戸などの付帯部と呼ばれる部位の塗装が多い住宅や、ベランダの防水工事を同時に依頼する場合などは、工事費が高額となるケースもあります。新築してから年数が経っており、外壁の劣化を放置してしまった場合には、塗装の前に下地の補修や張り替え工事が必要となるケースもあるため、施工業者に必要な工事内容を確認しておくと安心です。
足場代
外壁塗装を安全に行うために欠かせない足場代は、費用全体の約2割を占め、足場の設置面積に約800円〜1,200円/m2の単価を掛けて算出します。塗料代や工事費などは、塗装が必要な外壁面積をもとに計算しますが、足場の設置面積は家の外周にゆとりを持たせて設置するため、塗装面積の1.3倍を掛けた広さで求めることが一般的です。
たとえば、20坪(約66m2)の外壁の塗装面積は約80m2なので、1.3倍すると104m2となります。この広さに約800円〜1,200円/m2の単価を掛けて、8万3,200円〜12万4,800円が費用相場となります。
関連記事:足場費用の相場はいくら?外壁・屋根リフォームに必要な足場代の適正価格
その他の費用
費用全体のうち残りの約2割〜3割を占めるのが、「諸経費」「その他」として計上される費用です。主な内訳として、塗装業者が道路使用許可などを申請するための事務手数料や、交通費・駐車場代、廃棄物の処理費用などが含まれています。
塗装業者の見積もりでは「諸経費」と記されていることが多いですが、費用合計の約2割〜3割以上の金額が記載されている場合や、内訳が気になる場合には、費用の詳細について業者に問い合わせてみると良いでしょう。
20坪の外壁塗装相場の計算方法
20坪の外壁塗装費用の相場は塗装業者から見積書を取り寄せる以外にも、自分で計算して求めることが可能です。割高な金額で契約してしまわないためにも、事前におおまかな費用相場を計算しておくと良いでしょう。ここでは20坪の外壁塗装費用の相場について、下記の流れで計算方法を紹介します。
- 延床面積から塗装面積を求める
- 塗料の平米単価を求める
- 足場代・工事費を加えて金額を算出する
それぞれ具体的に解説しましょう。
延床面積から塗装面積を求める
まずは塗料代や足場代を計算するもととなる、外壁の塗装面積を計算します。住宅の延床面積から塗装面積を計算する場合、延床面積に1.2の係数を掛けて、塗装面積の目安を求めることが一般的です。20坪(約66m2)の場合は、1.2を掛けると約80m2なので、塗装面積は約80m2と見積もることができます。
塗料の平米単価を求める
計算した塗装面積に対して、外壁塗装で使用する塗料の平米単価を掛けることで、外壁塗装費用で大きな割合を占める塗料代を計算することができます。仮に平米単価2,000円のウレタン塗料を使う場合には、「80m2 × 2,000円/m2 = 16万円」が塗料代の目安です。
足場代・工事費を加えて金額を算出する
前述の計算に加えて、足場代や工事費、その他の費用を加えると外壁塗装費用の合計を算出することができます。簡易的に求めるのであれば、外壁塗装費用のうち塗料代が2割〜3割を占めることから逆算して、塗料代の3倍〜5倍、つまり「16万円 × 3 = 48万円」から「16万円 × 5 = 80万円」が、塗装費用の目安と考えることができます。
あくまでも簡易的な計算方法となりますので、正確な金額は塗装業者からの見積書を確認しておきましょう。
なお、塗装業者からの見積書の見方については、下記の記事も参考にしてみてください。
関連記事:外壁塗装の見積もりは何社取れば良い?見積書のチェックポイントと費用相場を解説
20坪の外壁塗装の費用相場が高額になる条件
20坪の外壁塗装費用は、塗装面積が広くないため100万円を超えるほどの費用になることは少ないです。しかし以下のような条件に当てはまると、相場を上回る見積もり金額となることもあります。
- 3階建ての住宅である
- 外壁の劣化が激しい
- 屋根塗装を同時に依頼する
なぜ相場よりも高額になるのか、背景や理由とともに解説します。
3階建ての住宅である
同じ20坪の住宅でも、平屋や2階建ての建物と比べて、3階建ての建物は外壁塗装費用が高額となる傾向があります。延床面積が同じであれば塗装面積は大きく変わりませんが、足場の高さが必要となるため、足場代が高額となりやすいことが理由です。
ちなみに、屋根塗装でも同様に足場代が高額となりやすいため、足場を組むリフォームを依頼する時には、必要な工事をまとめて依頼するとお得になります。
外壁の劣化が激しい
新築時から外壁の手入れを行わずに20年〜30年経過した場合など、外壁の劣化が激しい場合にも塗装費用が高額となる傾向があります。塗装を行う前に、下地の補修や外壁の繋ぎ目を埋めるシーリングの打ち替え、雨どいの交換など、さまざまな工事が必要となるからです。そのため外壁塗装は、塗料の寿命に合わせて10年〜20年のスパンで定期的に実施することが大切です。
屋根塗装を同時に依頼する
外壁塗装と屋根塗装を同時に依頼した場合にも見積もり金額は高額となります。屋根塗装の規模にもよりますが、約20万円〜40万円が上乗せされると想定しておくと良いでしょう。ただし、足場の組立・解体が一度で済むので、個別に依頼した場合よりも費用総額は安くなります。
関連記事:屋根塗装の相場は40〜80万円が目安!坪数ごとの費用や内訳、安く抑えるコツを紹介
20坪の外壁塗装を依頼する時の注意点
最後に、20坪の外壁塗装を依頼する時に押さえておきたい注意点として、以下の3つを解説します。
- 都市部では近隣への配慮が必要
- 狭小地では足場の設置が課題に
- 業者選びでは必ず相見積もりを取り寄せる
これらのポイントを踏まえて、外壁塗装を実施しましょう。
都市部では近隣への配慮が必要
20坪の住宅は都市部の住宅街に位置することが多く、近隣の建物との距離が近い傾向にあるため、工事中の騒音や塗料の臭いに配慮する必要があります。外壁塗装で使われる塗料には、水性塗料と油性塗料があり、水性塗料の方が工事中の臭いが少ない性質を持ちます。そのため20坪の住宅では水性塗料を用いるのが望ましいですが、油性塗料と比べて耐久性が低いことを考慮しなければなりません。
狭小地では足場の設置が課題に
20坪の住宅は土地の面積が狭く、隣家との距離が非常に近いケースも多いです。その場合には、塗装工事で必要な足場の設置が難しく、隣家の敷地に足場を組まざるを得ないこともあります。塗装工事で隣の家の敷地を借りる場合、家主に使用許可を得る必要があるため、早めに相談しておくことが大切です。
業者選びでは必ず相見積もりを取り寄せる
20坪の外壁塗装を依頼する塗装業者を選ぶ時には、訪問営業で訪れた業者などに即決で依頼するのではなく、必ず複数の業者からの見積もりを取り寄せ、比較検討した上で依頼しましょう。複数の業者の見積書を読むことにより、自宅の条件でどれくらいの価格帯が平均的なのかを把握することに役立ちます。相場と比べて安すぎる業者を避けることにも役立つので、積極的に相見積もりを活用しましょう。
関連記事:外壁塗装では相見積もりが不可欠!費用を抑えて信頼できる業者を選ぶためのポイント
まとめ
20坪の外壁塗装では、50万円〜60万円が費用相場の目安となります。これらの費用には、塗料代や人件費、工事費などが含まれており、使用する塗料や下地補修工事の有無などによって金額が変動します。平屋や2階建てではなく3階建ての建物であることも、足場を組む面積が増えることから、相場を上回る見積もり金額になりやすいです。
また、20坪の住宅では隣家との距離が近く、足場の設置や工事中の臭いが問題となることがありますので、信頼できる塗装業者と相談しながら工事を進める必要があります。信頼できる塗装業者を探すためには、必ず複数の業者の相見積もりを取り、見積もり金額や担当者の対応などを比較するようにしましょう。