延床面積80坪規模の住宅で外壁塗装を依頼する場合、費用相場は210万円~240万円と、200万円を超える見積もり金額となることが多いです。
外壁塗装の費用は、塗料を使う塗装面積に大きく左右され、80坪の住宅になると職人の人手や工期も必要となることから、想定よりも高額な費用が発生することもあります。
そこで本記事では、80坪の外壁塗装費用の相場と費用内訳、安く抑えるためのコツや業者選びの注意点などについて解説します。
80坪の家の外壁塗装費用は210万円~240万円が相場
80坪の住宅で外壁塗装を依頼すると、210万円~240万円が費用相場となります。80坪の規模の住宅では、塗装する外壁の面積が広く、使用する塗料の量が増えることや工期が長くなることから、一般的な住宅よりも費用相場は上昇する傾向にあります。
ただし、本記事で紹介するのは延床面積をもとに簡易的に計算する費用相場となります。個々の住宅での正確な外壁塗装費用を知りたい場合には、専門的な技術を持った塗装業者に現地調査を依頼し、外壁の状態や必要な付帯工事を加味した上で、詳細な見積書を作成してもらうことをおすすめします。
なお、外壁塗装で言う「80坪の家」とは、各階の床面積を合計した「延床面積」を指していることにご注意ください。たとえば、1階部分が40坪、2階部分が40坪の2階建ての住宅が一例です。住宅を上から見た時の広さである建築面積や、駐車場・庭を含めた敷地面積とは異なりますので、広さを調べる際にはご注意ください。
80坪以外の坪数ごとの外壁塗装費用の相場については、下記のページでも詳しく解説しています。
関連記事:【2024年版】外壁塗装の費用相場はいくら?10坪〜100坪の適正価格と安く抑えるコツ
80坪の外壁塗装の費用内訳・計算方法
80坪の外壁塗装費用の内訳として、主に以下の4種類の費用が含まれています。
- 塗料代
- 人件費・工事費
- 足場代
- その他の費用
それぞれ塗装費用全体のうちどれぐらいの割合を占めるのか、具体的にどのような工事で使われるのかを解説します。
塗料代
外壁塗装工事における材料費にあたる塗料代は、外壁塗装費用のうち約2割〜3割を占める費用です。塗料代は使用する塗料の単価と、塗料を塗る外壁面積によって決まります。塗料のグレードが高く、塗装面積が広い工事ほど塗料代が高くなる計算です。
塗料ごとの費用相場と耐用年数をまとめると、下記の表の通りです。
種類 | 耐用年数 | m2あたり費用相場 |
アクリル塗料 | 約5年~8年 | 約1,000円~1,800円 |
ウレタン塗料 | 約8年~10年 | 約1,700円~2,500円 |
シリコン塗料 | 約10年~15年 | 約2,100円~3,500円 |
ラジカル塗料 | 約8年~16年 | 約2,200円~4,000円 |
フッ素塗料 | 約15年~20年 | 約2,000円~5,000円 |
セラミック塗料 | 約10年~25年 | 約3,500円~5,000円 |
無機塗料 | 約20年~25年 | 約3,500円~5,500円 |
80坪の住宅の塗装面積は約320m2なので、たとえば平米単価3,000円のフッ素塗料を使用した場合、「320m2 × 3,000円 = 96万円」が塗料代に相当します。80坪の住宅では、塗装面積が広いことから平米単価の違いが大きな価格差につながることになるため、見積もり金額はしっかりと確認しておきましょう。
関連記事:外壁塗装の塗料4種類の選び方を解説!相場・耐用年数から最適な塗料を選ぼう
人件費・工事費
外壁塗装における人件費・工事費は、費用全体のうち約3割を占めます。人件費は、主に塗装作業を行う職人の方々の人件費で構成されていますが、契約関連のサービスを受けるための営業・事務スタッフの人件費も含まれます。80坪の住宅をはじめ、塗装面積が広く外壁塗装の工期が長くなるほど、人件費は上昇する傾向があります。
一方で工事費は、外壁塗装を行うために欠かせない養生や飛散防止ネットの設置などの工事費用で構成されています。軒天や雨どいの塗装を行う場合には別途費用が発生するほか、外壁の下地補修や継ぎ目(シーリング)の補修を行う場合にも、追加費用が発生します。
作業内容 | 費用相場 |
飛散防止ネット | 150円~400円/m2 |
養生 | 200円~300円/m2 |
高圧洗浄 | 250円〜450円/m2 |
シーリング(打ち換え) | 700円~1,500円/m |
シーリング(増し打ち) | 500円~1,000円/m |
軒天(軒裏) | 800円~1,600円/m2 |
雨どい | 800円~1,800円/m |
雨戸 | 2,000円~4,000円/枚 |
廃棄物処理 | 10,000円~30,000円/式 |
これらの工事費用は塗装業者からの見積書で詳しく記載されているため、不明な点があれば、塗装業者に直接問い合わせてみると良いでしょう。
足場代
外壁塗装における足場代は、費用全体のうち約2割を占める費用で、職人の方が安全に作業するために不可欠な費用です。塗料代と同様に、足場の設置面積と費用単価をもとに計算され、80坪のように規模の大きな住宅ほど料金は高額になります。
80坪の住宅での足場の設置面積は、塗装面積(約320m2)を1.3倍した416m2が目安です。この広さに、足場代の平米単価である800円〜1,200円/m2を掛けると、約33万円〜50万円が大体の足場代であると計算できます。
関連記事:足場費用の相場はいくら?外壁・屋根リフォームに必要な足場代の適正価格
その他の費用
外壁塗装でのその他の費用には、上記で解説した以外の事務手数料や交通費、駐車場代などが含まれます。費用全体のうち約2割〜3割を占め、塗装業者の見積書では「諸経費」としてまとめて記載されていることもあります。もし費用全体の3割以上の諸経費が計上されている場合には、具体的な内訳について、塗装業者に問い合わせてみると良いでしょう。
80坪の家の外壁塗装事例
「外壁塗装の窓口」では、80坪の外壁塗装を行う施工例として、下記の事例を掲載しています。
- 築45年の戸建住宅:80坪(外壁・屋根塗装)2,330,000円
使用した塗料はシリコン塗料、73万円の屋根塗装を同時に行ったケースですが、費用相場の価格帯に収まる金額となっています。外壁塗装と屋根塗装を同時に行うと、一度の塗装費用は高額となりますが、足場をそのまま利用できたり工期が短縮されたりすることで、別々に依頼するよりも長期的に見た費用を節約することができます。
ほかにも、外壁塗装費用の参考となる事例について、下記のページでまとめているので参考にしてください。
80坪の家の外壁塗装費用を安く抑えるコツ
続いて、80坪の家で外壁塗装を依頼する場合に、できるだけ費用を抑えて施工するためのコツについて解説します。
- 複数の業者から相見積もりを取る
- 助成金・補助金をチェックする
- 外壁塗装の閑散期に依頼する
それぞれのポイントについて一つひとつご説明します。
関連記事:外壁塗装を安く依頼する12のコツ!費用相場よりも割安に工事するには
複数の業者から相見積もりを取る
外壁塗装費用を安く抑えるためには、なるべく複数の塗装業者に見積もりを依頼することが重要です。1社の見積もりだけで即決してしまうと、その見積もり金額が妥当なのかどうかが判断できないデメリットがあります。しかし複数の業者の見積書を比較することで、できるだけ安い塗装業者を見つけることができます。
また、ほかの塗装業者の見積もり金額と比べて安すぎる業者や、高すぎる業者を選択肢から外すことにも役立ちます。そのため外壁塗装を検討する際には、2社〜3社以上の塗装業者に現地調査を依頼して、詳細な見積書を作成してもらいましょう。
関連記事:外壁塗装では相見積もりが不可欠!費用を抑えて信頼できる業者を選ぶためのポイント
関連記事:外壁塗装の見積もりは何社取れば良い?見積書のチェックポイントと費用相場を解説
助成金・補助金をチェックする
自宅の外壁塗装がお住まいの自治体での補助金・助成金の対象となっている場合、工事の前に正しく申請することで、費用負担を軽減できることがあります。断熱・遮熱塗料を使用したヒートアイランド対策のリフォームやエコリフォームであれば、補助金・助成金の対象になりやすいため、機能性の高い塗料を少ない費用負担で使用することができます。
自宅の外壁塗装工事が補助金・助成金の対象となるかどうか、お住まいの自治体のホームページまたは窓口で確認してみると良いでしょう。地域密着型の塗装業者から最新の補助金・助成金情報を得られることもあるので、遠慮なく相談してみてください。
関連記事:【2024年版】外壁塗装の助成金・補助金まとめ|申請方法・条件や注意点を解説
外壁塗装の閑散期に依頼する
外壁塗装では塗料を乾かす工程が必要になることから、天候が安定している春・秋が繁忙期、夕立や積雪が影響する夏・冬が閑散期となっています。しかし現在では、塗料の品質向上により、夏・冬にも外壁塗装工事を行うことが可能となっており、夏の日照時間の長さ、冬の乾燥した空気によって工期が短縮されることもあります。
そのため外壁塗装費用を少しでも抑えたい場合、夏場・冬場を選んで塗装業者に問い合わせてみるのもおすすめです。
関連記事:外壁塗装に適した時期とは?季節ごとのメリットと塗り替え周期も解説
80坪の家で外壁塗装を依頼する時の注意点
最後に、80坪の外壁塗装工事を依頼する時に押さえておきたい注意点として、以下の3つを解説します。
- 平米単価の違いが大きな価格差となることに注意
- 工期が長期化する傾向にある
- 地元業者では80坪の外壁塗装に対応できない場合も
これらの注意点を踏まえて、外壁塗装工事を進めましょう。
平米単価の違いが大きな価格差となることに注意
80坪の規模の住宅となると、塗料を使用する外壁面積が広くなるため、使用する塗料の単価によって大きな価格差が生じることがあります。たとえば、1坪5,000円の塗料と1万円の塗料があった場合に、10坪の家では5万円と10万円で5万円の価格差ですが、80坪になると40万円と80万円で40万円の価格差となります。
このように、選ぶ塗料の単価によっては想定以上の見積もり金額を提示されることがあるため、どの塗料を使用するかは塗装業者と相談しながら決めることをおすすめします。
なお、塗料ごとの特徴や選び方については、下記のページもご覧ください。
関連記事:外壁塗装の塗料4種類の選び方を解説!相場・耐用年数から最適な塗料を選ぼう
工期が長期化する傾向にある
80坪の家で外壁塗装工事を行う場合、30坪程度の一般的な住宅と比べて、工期が長くなる傾向にあります。30坪の外壁塗装であれば1週間〜2週間ほどで完了するのに対して、80坪の住宅になると2週間〜3週間ほどの工期を必要とします。
外壁塗装工事が長期化することで、塗料の臭いなどで近隣への影響が出てしまったり、旅行・外出の予定が組みにくくなったりするため、スケジュールには十分注意しながら工事を依頼しましょう。
関連記事:外壁塗装の工期は最低でも2週間?工程中のチェックポイントも解説
地元業者では80坪の外壁塗装に対応できない場合も
80坪の規模の外壁塗装の場合、少人数の職人で工事を請け負っている地元業者では人員が足りず、依頼を断られてしまうケースもあります。すでに工事日程が埋まっており、希望の日程で外壁塗装工事を行えない可能性もありますので、塗装業者の見積もりや問い合わせは早めに取り掛かることが大切です。
関連記事:優良な外壁塗装業者の選び方を解説!警戒すべき悪徳業者の見極め方とは
まとめ
80坪の外壁塗装費用は、210万円~240万円ほどが相場であり、200万円以上の予算を必要とするケースが多いです。外壁塗装費用を少しでも安く抑えるためには、複数の業者からの相見積もりを取ったり、お住まいの自治体での補助金・助成金を利用するのが効果的です。
ただし、80坪の規模の外壁塗装工事では、使用する塗料によって費用総額が大きく変動することがあるほか、工期が長引くケースや、少人数の地元業者では対応できないケースも考えられます。そのため外壁塗装を依頼したい時には、早めに見積もりや問い合わせを行いましょう。