耐用年数20〜40年ほどの高い耐久性で、外壁材として圧倒的な人気を誇るサイディングですが、時間の経過とともに劣化することは避けられないため、定期的なメンテナンスとして外壁塗装が必要です。
しかし、その優れた性能を十分に発揮するためには、サイディングの種類や補修のタイミング、サインとなる劣化症状などをしっかり理解し、自分の目的に合った塗料を選ぶことが不可欠です。
そこで本記事では、サイディングの補修方法や種類、外壁塗装の塗料などの基礎知識、補修用の目的別おすすめ塗料などを解説します。
塗料を選ぶときの注意点も紹介していますので、サイディング補修を検討している方はぜひ最後までご覧ください。
おすすめ記事:外壁塗装の塗料4種類の選び方を解説!相場・耐用年数から最適な塗料を選ぼう
サイディングの主な補修方法は「外壁塗装」
サイディングに施す定期メンテナンスとして、もっとも一般的な補修方法は「外壁塗装」です。
外壁塗装は、住宅の美観と耐久性を維持・向上させる重要な役割を持っており、色あせやチョーキング現象、剥がれやひび割れなどの様々な劣化症状を一度に補修できます。
なお、サイディングの外壁塗装にかかる費用相場は、塗装面積や劣化状況など様々な条件次第で変動しますが、30坪ほどの一般的な戸建て住宅で「約60〜100万円」が目安です。
外壁塗装の費用については、以下記事で詳しく解説していますのであわせて参考にしてください。
関連記事:外壁塗装の費用相場はいくら?10坪〜100坪の適正価格と安く抑えるコツ
まずは、サイディング補修に関する基礎知識として、以下の3点を押さえておきましょう。
- サイディング4種類の耐用年数と補修周期
- サイディングに外壁塗装が必要な劣化症状
- サイディングの外壁塗装に使われる主な塗料
サイディング4種類の耐用年数と補修周期
サイディングには大きく4つの種類があり、それぞれの耐用年数や補修周期は以下のとおりです。
サイディングの種類 | 耐用年数 | 補修周期(外壁塗装) |
窯業系サイディング | 20〜40年 | 8〜15年 |
金属系サイディング | 20〜40年 | 10〜15年 |
木質系サイディング | 15〜40年 | 3〜10年 |
樹脂系サイディング | 20〜50年 | 20〜30年 |
耐用年数に大差はありませんが、補修周期に関してはもっとも短い木質系サイディングで3〜10年周期、もっとも長い樹脂系サイディングで20〜30年周期とかなりの差があるため、外壁塗装のタイミングには注意しましょう。
種類ごとに適したタイミングで補修することが、外壁サイディングの寿命を長く保つポイントです。
なお、サイディング4種それぞれの特徴や選び方については、以下の記事で詳しく解説していますので、気になる方はあわせてご覧ください。
関連記事:外壁サイディングの4種類を徹底解説!耐用年数・費用相場と選び方を紹介
サイディングに外壁塗装が必要な劣化症状
上述のとおり、サイディングには種類それぞれで異なる耐用年数や補修周期がありますが、それらの年数はあくまでも一般的な目安です。
住宅の周辺環境や気象条件、手入れの頻度や施工品質などによっては、目安の周期よりも短い期間で再塗装が必要になるケースもあります。
たとえば、サイディングに以下のような劣化症状が見られた場合には、なるべく早急な補修が必要です。
- 色あせ・サビ
- チョーキング現象
- 塗膜の剥がれ・膨れ
- 外壁のひび割れ・欠け
- 外壁の反り・浮き
- シーリングのひび割れ・切れ
上記の劣化症状は、軽度であれば緊急性はそこまで高くありませんが、長期間放置してしまうと雨漏りや内部腐食などの深刻なダメージにつながります。建物自体の寿命を著しく縮めてしまう可能性もあるため、早期の発見と対処を心がけましょう。
サイディングの外壁塗装に使われる主な塗料
サイディングをはじめとする、多くの外壁塗装に使われる主な塗料は以下のとおりです。
塗料の種類 | 耐用年数 | 施工価格(平米単価) |
アクリル塗料 | 3〜8年 | 1,000〜1,800円/㎡ |
ウレタン塗料 | 5〜10年 | 1,700〜2,200円/㎡ |
シリコン塗料 | 8〜13年 | 2,000〜3,500円/㎡ |
ラジカル塗料 | 10〜15年 | 2,500〜4,000円/㎡ |
フッ素塗料 | 15〜20年 | 3,500〜5,000円/㎡ |
無機塗料 | 20〜25年 | 4,500〜5,500円/㎡ |
それぞれ異なる特徴を持っており、グレードによって耐用年数や施工価格も大きく変わるため、外壁塗装を行う予算やタイミングに応じて適切な塗料を選びましょう。
ただし、耐用年数が短いアクリル・ウレタン塗料では、サイディングの補修周期よりも先に寿命を迎えてしまい、結果的に余計な手間とコストがかかる可能性が高いです。そのため、基本的にはシリコン塗料以上のグレードから選ぶことをおすすめします。
【目的別】サイディング補修におすすめの塗料5選
サイディング補修に用いる塗料は、塗料に求める機能やスペックを理解し、自分の目的に沿った塗料を選ぶことが大切です。
ここでは、以下3つの目的別にサイディング補修のおすすめ塗料5種類を紹介します。
- コスパ重視なら「シリコン塗料」or「ラジカル塗料」
- 耐久性重視なら「フッ素塗料」or「無機塗料」
- 見た目や質感を残したいなら「クリア塗装」
自分の目的や重視する内容を基準に、長く済む住宅の外壁にふさわしい塗料を選びましょう。
コスパ重視なら「シリコン塗料」or「ラジカル塗料」
コストパフォーマンスを重視する方には、耐用年数と施工価格のバランスが魅力的な「シリコン塗料」または「ラジカル塗料」がおすすめです。
項目 | シリコン塗料 | ラジカル塗料 |
耐用年数 | 8〜13年 | 10〜15年 |
施工価格(平米単価) | 2,000〜3,500円/㎡ | 2,500〜4,000円/㎡ |
シリコン塗料は、お手頃な価格ながら安定した耐久性で10年程度は保てるのが特徴。一般住宅の塗料として、もっとも多く採用されている塗料です。
一方、ラジカル塗料は比較的新しい塗料で、紫外線による劣化を抑える機能があり、シリコン塗料よりも優れた耐久性を大きく変わらない価格で実現できます。
どちらも費用対効果が非常に高く、初期コストを抑えつつ、しっかりと長持ちする塗装を施したい場合に最適です。
関連記事:
シリコン塗料のメリット・デメリットとは?耐用年数や他の塗料との違いを解説
ラジカル制御塗料の特徴・耐用年数・費用相場!シリコン塗料との違いも解説
耐久性重視なら「フッ素塗料」or「無機塗料」
耐久性を重視する方には、長期にわたって外壁を美しく保てる「フッ素塗料」または「無機塗料」がおすすめです。
項目 | フッ素塗料 | 無機塗料 |
耐用年数 | 15〜20年 | 20〜25年 |
施工価格(平米単価) | 3,500〜5,000円/㎡ | 4,500〜5,500円/㎡ |
フッ素塗料は約15〜20年、無機塗料は約20〜25年と、どちらも非常に優れた耐久性と汚れに強い性質を備えており、1度塗装すれば以後20年前後は再塗装の必要がありません。
初期コストは塗料の中でもかなり高価ですが、住宅の美観を長く維持したい方や、将来的なメンテナンスの手間やコストを抑えたい方には最適です。
ただし、フッ素・無機のような高耐久塗料を使用する場合は、サイディングの残りの耐用年数に対して、オーバースペックでないかじっくり検討する必要があります。
関連記事:
フッ素塗料の価格は?メリット・デメリットとおすすめメーカーを紹介
無機塗料を選ぶメリット・デメリットとは?耐用年数・費用相場も解説
見た目や質感を残したいなら「クリア塗装」
サイディングの見た目や質感を残したまま塗装したい場合には、「クリア塗装」がおすすめです。
クリア塗装とは、色を付けるための顔料を含んでいない、無色透明な塗料を用いて行う外壁塗装のこと。ベースとなる塗料には、主に以下の4種類が使用されます。
- アクリル塗料
- ウレタン塗料
- シリコン塗料
- フッ素塗料
従来の色付き塗料では、外壁本来のデザインは失われてしまいますが、無色透明なクリア塗装であれば、色や風合いをそのまま残しつつ耐久性を高められます。
そのため、木の質感や風合いが大切な木質系サイディングや、レンガ調サイディングなど、デザイン性の高いサイディングの塗装には特におすすめです。
ただし、金属系サイディングや光触媒コーティング済みの場合など、クリア塗装が向いていないサイディングもあるためご注意ください。
関連記事:クリア塗装とは?価格相場やメリットデメリットを解説
サイディング補修に使用する塗料を選ぶときの注意点
サイディング補修用の塗料を選ぶ際には、以下3つのポイントに注意が必要です。
- 伸縮性の高い弾性塗料は避ける
- サイディングに適した塗料か確認する
- サイディングの残りの耐用年数を考慮する
これら3つのポイントをしっかり押さえて、自宅のサイディングに最適な塗料を選びましょう。
伸縮性の高い弾性塗料は避ける
弾性塗料は、ゴムのような伸縮性と柔軟性を持つ塗料です。モルタルやコンクリートなどのひび割れしやすい外壁でよく使用されますが、サイディングには向いていないため注意が必要です。
特に窯業系サイディングには熱を吸収しやすい性質があり、夏場には外壁表面が60℃以上の高温になることも。このような高温環境下では、外壁内部の水分が蒸発に伴い、柔らかい弾性塗料に膨れや剥がれが発生しやすくなってしまうのです。
また、サイディングはひび割れに強く、わざわざリスクを取ってまでひび割れ対策をする必要はないため、弾性塗料の使用はかならず避けましょう。
サイディングに適した塗料か確認する
外壁塗装に用いられる塗料には、製品やメーカーによって「適用下地」が定められています。適用下地とは、塗料の安全性を考慮し、塗装に適していると指定された下地(外壁材)のことです。
サイディングには「窯業系」「金属系」「木質系」「樹脂系」の4種類がありますが、塗料によっては使用できないサイディングもあるため、使用前にかならずチェックしましょう。
なお、製品ごとの適用下地は、塗料メーカーのパンフレットやカタログから確認可能です。
サイディングの残りの耐用年数を考慮する
サイディング補修の塗料を選ぶ際は、サイディング自体の耐用年数を考慮して選びましょう。
たとえば、耐用年数が残り10年ほどのサイディングに、耐用年数20〜25年の無機塗料で塗装するとどうなるでしょうか?塗装の寿命はまだまだ残っているのに、先に外壁の張り替えが必要になるため、明らかにオーバースペックであることが分かります。
サイディングの耐用年数が残り数年しかないのに塗装が必要な場合は、耐用年数の少ない低グレードの塗料を選ぶか、そもそも塗装は行わずに張り替えてしまうのも一つの選択肢です。
目的に適した塗料を選んでサイディング補修に備えよう
本記事では、サイディングの補修方法や種類などの基礎知識や目的別おすすめ塗料、塗料を選ぶときの注意点などを解説しました。
サイディング補修では、外壁塗装を行う目的や予算に適した塗料を選ぶことが大切です。目的や重視する内容を基準に選ぶ場合は、以下の5種類がおすすめです。
【サイディング補修の目的別おすすめ塗料】
- コスパ重視なら「シリコン塗料」or「ラジカル塗料」
- 耐久性重視なら「フッ素塗料」or「無機塗料」
- 見た目や質感を残したいなら「クリア塗装」
なお、塗料選びの際には、サイディング自体の耐用年数も考慮して選ぶと、効率的かつ経済的な塗り替えプランが立てられます。ぜひ本記事や専門家のアドバイスを参考にしながら、最適な塗料を選んでサイディング補修に備えましょう。