木質系サイディングは、ナチュラルで温もりのあるデザインが人気の外壁材です。しかし、自然素材ならではのデメリットもあるので、実際に施工するときはいくつか気を付けるべき点があります。
この記事では、木質系サイディングの種類や価格を解説するとともに、メリットやデメリットを紹介します。メンテナンス頻度やおすすめメーカーも紹介するので、外壁塗装を検討している方はぜひ参考にしてください。
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木質系サイディングとは?
木質系サイディングは、無垢材の表面を加工して、防火性などの必要な機能を加えた外壁材です。
木材を外壁材にそのまま使用すると、雨や風によるカビなどの劣化や害虫による被害が起こりやすくなります。そのようなリスクを回避するために、加工して機能性を高めたのが木質系サイディングです。
木質系サイディングの種類
木質系サイディングには、大きく分けて以下2つの種類があります。
無垢材 | 天然木材を加工して作られたもの。杉、桧、レッドシダーなどの樹種があり、どの樹種を選ぶかによって価格や耐久性が異なる。 |
集成材 | 複数の木材を接着剤で固定したもの。無垢材よりも強度と耐久性が高く、樹種を問わずに作ることができる。 |
使用する木材の種類によって仕上がり具合や価格が異なるので、業者とよく相談しながら慎重に選定しましょう。
木質系サイディングの価格と耐用年数
木質系サイディングと、他のサイディング材の価格と耐用年数を比較すると、以下のようになります。
サイディング | 材料費 | 耐用年数 |
木質系 | 約6,000~10,000円/㎡ | 7〜10年 |
窯業系 | 約4,000~5,000円/㎡ | 7~10年 |
金属系 | 約3,000~9,000円/㎡ | 10~15年 |
樹脂系 | 約8,000~10,000円/㎡ | 20~30年 |
木質系は天然木を使用しているため、費用が高く、耐用年数が少ないのが特徴です。そのため、なるべく低コストで施工したい人には不向きだと言えます。
ただし、木材の種類によって価格や耐久性が変わるので、費用面で不安のある方は施工業者に一度相談してみましょう。
関連記事:外壁塗装の耐用年数は10〜20年が限度!寿命を延ばすコツや劣化症状を解説
木質系サイディングのメンテナンスの頻度
他の外壁材に比べて耐用年数が少ないため、メンテナンス頻度は自ずと高くなります。7年程度で塗り替えなどのメンテナンスが必要になるため、将来的な補修費用を想定した上で施工を判断することが大切です。
メンテナンスを怠って15年以上放置すると、水が木材の内部に入り込み、腐り始める危険性があります。施工から7年未満であっても、状態によっては早めの補修工事が必要になる場合もあります。
メンテナンス頻度を極力抑えたい場合には、他の外壁材を選んだほうが良いでしょう。
木質系サイディングのメリット
木質系サイディングには、デザインと機能面で他の外壁材にはないメリットがあります。ここでは、主なメリットを3つ紹介します。
温かみのあるデザイン
木質系サイディングは天然の木材を使用しているため、人工の木目調では再現しきれない独特の風合いと温もり感があります。
他のサイディング材でも木目調のデザインに仕上げることは可能ですが、人工的な質感が拭えません。天然の木材を使用する木質系サイディングなら、見た目にナチュラルさと高級感があり、カラーリングによって仕上がりのイメージも自由に変えられます。
同じ木材を使用しても、木目はそれぞれ異なるため、同じデザインに仕上がることはありません。外壁に個性を出したい方、外観に高いこだわりを持つ方にはおすすめの外壁材です。
色合いの変化を楽しめる
経年によって変化する色合いも魅力の一つです。他の外壁材だと、施工直後は美しくても、時間の経過とともに見た目が汚くなったり劣化したりして、美しさがどんどん損なわれてしまいます。
その点、木質系サイディングは年数を重ねるごとに色合いが変化していくため、経年の変化も味わいとして楽しめます。木材だけがもつナチュラルで繊細な質感は、ほかの素材で再現するのは困難です。色合いが変化していくほどに、家に対する愛着もさらに湧くでしょう。
断熱性が高い
木材を主原料としているため、熱を吸収しにくく、断熱性に優れています。外壁に金属系サイディングを使用した場合、熱がこもりやすく、特に夏は室内が暑くなりがちです。木質系サイディングなら、外壁の熱が室内に伝わるのを防ぐ効果があるので、真夏も快適に過ごせるでしょう。
四季の変化に左右されにくく、外気の影響を受けにくいことから、省エネ効果も期待できます。一年を通して室温を快適な状態で維持できるため、エアコンの使用頻度も少なくなり、健康にもお財布にも優しい家が実現します。
木質系サイディングのデメリット
木質系サイディングは天然木ならではの温もりが魅力ですが、自然素材ゆえのデメリットもあります。施工してから後悔することのないように、ここで主な欠点を確認しておきましょう。
防火性能が低い
自然の木材を使用しているため、耐火性は他の外壁材に比べて劣ります。そのため、住宅が密集しているエリアの準防火地域では、使用できない可能性があります。
特殊加工で防火性能を付与することも可能ですが、費用がかかるのがネックです。特殊加工された製品には準防火地域に対応したものもありますが、費用が高額になる可能性があります。
施工を決める前に、木質系サイディングが使用できるかどうかを専門業者や自治体に相談して確認しておきましょう。
メンテナンス期間が短い
木質系サイディングは腐食に弱く、3~10年に一度は再塗装が必要です。日本は雨が多いため、定期的に傷み度合いをチェックし、メンテナンスを行う必要があります。雨が多い地域や台風による影響を受けやすい地域の場合は、メンテナンス周期をさらに短くした方が良い場合もあります。
メンテナンス期間が短いことから、費用も決して安くはありません。メンテナンスをせずに雨風に晒され続けると、傷みの進行も早くなり、劣化が進んで元の状態に戻すことはできなくなります。
木質系サイディングを採用する際は、施工費だけでなく維持費が高くなることを事前に心得ておきましょう。
施工業者が少ない
木質系サイディングの取り扱いには高い技術力が必要になるため、施工できる業者が少ないといったデメリットがあります。そのため、いざ施工したいと思っても、近くに施工業者が見つからず、工事を始められない可能性もあります。
技術力が未熟な業者に無理に依頼すると、仕上がりが雑になったり施工後にトラブルが発生したりする可能性があるため注意が必要です。施工業者を探すときは、施工実績や口コミなどを確認して、信頼できる業者に依頼しましょう。
関連記事:優良な外壁塗装業者の選び方を解説!警戒すべき悪徳業者の見極め方とは
木質系サイディングのメンテナンス方法
木質系サイディングは水に弱く、耐久性も高くないため、短いスパンで定期的なメンテナンスが必要です。木質系ならではの美しい外観を長く維持するためにも、ここで正しいメンテナンス方法を確認しておきましょう。
メンテナンスに適した時期
木質系サイディングの耐用年数は7〜10年なので、この時期にメンテナンスを行うのが適切です。ただし、以下のような劣化症状が現れた場合は、時期を待たずに早めにメンテナンスを行いましょう。
- カビ、苔
- 剥がれ
- ひび割れ
- 外壁の反り
上記の劣化症状は部分的な補修で対応することも可能ですが、内部まで劣化が進んでいる可能性もあるので、早めに業者による点検と補修工事を行う必要があります。劣化症状を放っておくと、症状が悪化し、メンテナンスに高額な費用がかかることがあるので注意が必要です。
塗装メンテナンスの流れ
塗装メンテナンスの手順は以下のとおりです。
- 足場の組み立て
- 養生
- 下地調整
- 下塗り
- 中塗り
- 上塗り
- 足場の解体
どの工程も半日〜1日かかるのが一般的で、すべての作業が完了するまでに10日ほどかかります。雨が降れば工事が中断するため、梅雨などの時期は工事完了までに数週間かかることも珍しくありません。
塗装メンテナンスを早めに終わらせたい場合は、気候が安定した春や秋の季節に行うことをおすすめします。
関連記事:【2024年版】外壁塗装の費用相場はいくら?10坪〜100坪の適正価格と安く抑えるコツ
木質系サイディングのおすすめメーカー
木質系サイディングを扱っている国内のおすすめメーカーを3つ紹介します。木質系の欠点を補う商品やデザインに優れた商品もあるので、外壁塗装を検討する際の参考にして見てください。
ニチハ「オフセットサイディング」
ニチハでは、国産木材チップを使用したオリジナルの外壁材「オフセットサイディング」を販売しています。木材としては珍しく耐火性に優れており、準不燃材料認定を受けるなど、その効果は保証されています。
また、耐凍害性にも優れており、耐凍結融解性試験(JIS試験方法)を600サイクル繰り返しても、表面の塗膜はく離や厚みの変化などはほとんどありません。そのため、寒さが厳しい地域でも凍害のリスクを最小限に抑えることが可能です。
ナガイ「ウエスタンレッドシダー外装材」
ナガイでは、耐久性や防腐性に優れた「ウエスタンレッドシダー外装材」を製造・販売しています。真っ直ぐで美しい木目が特徴で、木材ならではの透湿性や通気性も備わっており、機能性は良好です。外壁材だけでなく、ラティス・ウッドデッキ用の資材も展開されています。
実際の仕上がり具合を確認したい場合は、東京・大阪・名古屋・福岡・長野にあるナガイのショールームへ出かけてみることをおすすめします。
高広木材「本実サイディング」
高広木材が製造・販売している「本実サイディング」は、カナダ産のレッドシダーから作られている外壁材です。 レッドシダーは腐朽や虫害に強い特徴があり、色の濃淡が強いのが特徴で、上品な印象の見た目に仕上がります。
働き幅には2種類があり、木のぬくもりを感じたい方にはノッティー(節あり)タイプ、高級感のある仕上がりを望む方にはクリアー(節なし)タイプがおすすめです。
縦張りと横張りの両方に対応できるため、外壁だけでなく、軒天から内装まで幅広い用途に使用できます。
木質系サイディングで美しい外壁塗装を実現しよう
木質系サイディングは、天然素材ならではの温もりあるデザインが人気ですが、木材特有の傷みやすさや価格が高いといったデメリットがあります。
施工やメンテナンスに費用はかかるものの、仕上がりは上品で、木材ならではの温かみのある住宅や住み心地の良い住まいを実現したいと考えている方にとっては、唯一無二の素材といえます。
最近は機能性に優れた商品を販売しているメーカーもあるので、業者探しを慎重に行い、木質系サイディングの美しさを活かした外壁塗装を実現しましょう。