窯業系サイディングは、日本の住宅で用いられることが多い外壁材です。比較的安価でデザイン性に優れているメリットがある反面、劣化しやすいデメリットもあるため、使用する際は注意が必要です。
この記事では、窯業系サイディングの特徴や種類、リフォームにかかる費用などを詳しく解説します。窯業系サイディングのリフォームを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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窯業系サイディングとは?
窯業系サイディングとは、セメントに繊維質などを混ぜて薄い板状に加工した外壁材です。製造過程で窯の中で高熱処理されることから「窯業系」と呼ばれています。
外壁材の中でも機能性やデザイン性に優れており、日本では7割以上の高いシェア率を誇ります。
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窯業系サイディングのメリット
なぜ外壁材に窯業系サイディングが選ばれることが多いのか、下記の4つのメリットを紹介します。
- 初期費用が安い
- 短期間で施工が可能
- デザインや色の種類が豊富
- 耐火性に優れている
初期費用が安い
窯業系サイディングは複雑な施工の工程がなく、大量生産が可能なことから、初期費用を抑えやすいメリットがあります。1㎡あたりの価格はおおよそ3,000~7,000円程度で、他の外壁材と比べて費用が安いのが特徴です。
短期間で施工が可能
窯業系サイディングは、工場で生産されたサイディングボードを外壁に貼るだけのシンプルな作業なので、比較的短期間で施工が完了します。
張り替えなら10~18日程度、カバー工法は7~14日程度で終わるため、近所迷惑が心配な方も安心です。塗り壁と違い、職人の技術力に左右されることも少なく、仕上がりに差が出にくいのもメリットです。
デザインや色の種類が豊富
テクスチャーやカラーのバリエーションが豊富で、デザインの自由度が高いのもメリットの一つです。タイル調や木目調、レンガ柄、ストーン柄などさまざまな種類があり、自由なデザインの組み合わせが可能です。
本物と区別がつかないほど仕上がりも美しいため、費用を抑えながら自分好みの外壁デザインに仕上げられます。
関連記事:外壁塗装の色選びで後悔しないためのコツ!人気のおすすめカラーを解説
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耐火性に優れている
窯業系サイディングは優れた耐火性能を有しているのもメリットです。火の耐久性を示す耐火等級で3〜4級を獲得したものが多く、おおよそ45分~60分程度火を遮るとされています。
別名「防火外壁材」とも呼ばれるほど耐火性に優れているため、万が一近隣で火事などが起きても、被害を最小限にとどめられます。
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窯業系サイディングのデメリット
コストパフォーマンスに優れた窯業系サイディングですが、いくつかデメリットもあります。下記では窯業系サイディングの3つのデメリットについて紹介します。
- 定期的なメンテナンスが必要
- 熱がこもりやすい
- 防水性能が低い
定期的なメンテナンスが必要
窯業系サイディングは耐水性能がなく、劣化しやすい素材のため、こまめなメンテナンスが必要です。耐用年数は10年前後とされており、他の外壁材と比べるとメンテナンスの頻度は高めです。
メンテナンスせずに放置しておくと、ひび割れや剥がれなどが発生します。劣化が進むとメンテナンスでは対応できなくなり、リフォームが必要になる場合もあるため注意が必要です。最初の施工から7〜10年が経過したら、一度外壁の点検を行いましょう。
熱がこもりやすい
窯業系サイディングは原料にセメントを使用していることから、熱を溜め込みやすく、室温が高くなるデメリットがあります。冬場は問題ありませんが、夏場は室内の温度が上がり、エアコンの使用頻度が多くなることが考えられます。
室内の温度上昇を防ぐ対策として、遮熱効果や断熱効果のある塗料を使用するのも一つの方法です。
防水性能が低い
素材がセメントのため、防水機能は基本的にありません。施工には防水性の高い塗料が欠かせませんが、塗料が劣化して剥がれると雨や水の影響を受けやすくなります。
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サイディングの種類を比較
サイディングボードには、窯業系の他にも主に以下の3つの種類があります。
- 金属系サイディング
- 樹脂系サイディング
- 木質系サイディング
それぞれの特徴や窯業系との違いを紹介します。
金属系サイディング
金属系サイディングは、ガルバリウム鋼板やステンレス、アルミニウムなどの金属板を加工した外壁材です。
窯業系サイディングと比べて約4分の1〜8分の1の重さしかなく、軽量であるため、施工をスムーズに進めやすいのが特徴です。熱と凍結に強く、耐久性と防音性が高いのもメリットだと言えます。
その一方で、錆が発生しやすく、傷がつきやすいといったデメリットがあります。断熱性や耐用年数は金属系サイディングの方が優れていますが、デザイン性やコスト面は窯業系サイディングが優れています。
関連記事:金属サイディングのメリット・デメリットとは?後悔しない業者選びのコツも解説
樹脂系サイディング
樹脂系サイディングは、材料に塩化ビニール樹脂を用いた外壁材です。凍結や衝撃、雨などに強いことから、自然環境の厳しいアメリカやカナダなどで採用されることが多い傾向にあります。
軽い汚れなら水をかけるだけで掃除できるため、お手入れしやすいのもメリットです。軽量の材質なので、重ね張りをしても建物への負担を抑えられます。
その一方で施工費が高く、デザインの種類が少ないというデメリットがあります。耐久性で選ぶなら樹脂系サイディングがおすすめですが、デザイン性やコスト面を重視するなら窯業系サイディングが適しています。
樹脂系サイディングは海外で高い人気を誇りますが、日本ではあまり普及していません。国内でのシェア率は1%程度しかなく、施工できる業者も少ないので、業者探しに手間がかかるというデメリットもあります。
関連記事:樹脂系サイディングの塗装で後悔しない!価格や種類、メーカーを比較解説
木質系サイディング
木質系サイディングは、無垢の木材を用いた外壁材です。高い断熱性能と温かみのある風合いが特徴で、安価なものから高価なものまで価格のバリエーションも幅広くなっています。
燃えやすく腐りやすいのがデメリットですが、腐食を防ぐ塗料や不燃処理を施した製品を選ぶことで対処が可能です。こまめなメンテナンスが必要になる点では、窯業系サイディングと共通しています。
木質系サイディングは耐震性に優れていますが、耐火性やデザイン性、コスト面は窯業系サイディングが優れています。
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関連記事:木質系サイディングの種類・価格は?メンテナンス頻度やおすすめメーカーを紹介
窯業系サイディングの価格相場
窯業系サイディングの価格は工法によって異なります。施工の方法によってメンテナンスにかかるコストも変わってくるため、おおよその相場を知っておくと安心です。
張り替えの相場
張り替えとは、古くなった外壁材を撤去して新しい外壁材を設置する工法です。窯業系サイディングの張り替えにかかる費用は、40坪で210〜280万円ほどです。
張り替え費用には、撤去した建材の撤去費用や、外壁の内部を補修する作業費用も含まれるため、他の工法に比べて費用が高くなりがちです。その一方で、壁の内部までメンテナンスができ、外側だけでなく内側も新品に交換できるメリットもあります。
大規模な工事が必要となる場合もあるので、施工前に費用や工期について業者とよく相談しておきましょう。
関連記事:外壁の張り替えにかかる費用とは?外壁塗装・カバー工法との違いや選び方を解説
カバー工法の相場
カバー工法は、新しい外壁材を既存の外壁の上に重ね塗りする工法です。張り替え工法と違い、外壁を解体する必要がなく解体処分費用がないため、費用は40坪で180〜250万円ほどです。
張り替え工法と比べて安価で工事期間も短く済みますが、雨漏りで下地材が腐っていた場合は下地の補修ができません。状況によっては張り替えをした方が良い場合もあるため、価格の安さだけで決めずに、業者とよく相談して適した工法を選びましょう。
関連記事:外壁カバー工法にかかる費用相場とは?外壁塗装・張り替え工事との違いを解説
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窯業系サイディングがおすすめのケース
窯業系サイディングのメリットとデメリットを踏まえたうえで、おすすめのケースを紹介します。
施工費用を安く抑えたい
外壁リフォームの予算が限られており、施工費用をなるべく安く抑えたい場合は、窯業系サイディングがおすすめです。
モルタルのように現場で一から作る素材とは異なり、工場で一定規格に加工されたボードを組み立てるだけのシンプルな施工なので、人件費や材料費を安く抑えられます。
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外壁のデザインにこだわりたい
外壁のデザインに個性を出したい方にも、窯業系サイディングが適しています。デザインの種類が多く、カラーラインナップも豊富で選択肢が多いため、様々なイメージに演出できます。
「タイルやレンガを使ったおしゃれな外壁に仕上げたいけど、本物を使うとお金がかかる…」と悩んでいる方も、低コストで理想の外壁に仕上げることが可能です。
工期を短くしたい
リフォームの工期をなるべく短くしたい方には、窯業系サイディングがおすすめです。工法によって施工にかかる期間は異なりますが、早ければ1週間程度ですぐに仕上がります。
近隣への騒音が心配な方や、工事中の不便な状態を最小限で済ませたい方に適しています。
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窯業系サイディングで理想の外壁を実現しよう
窯業系サイディングはデザイン性が高く、低コストで施工できる人気の外壁材です。コストパフォーマンスに優れており、施工に対応できる業者数も多いため、外壁のデザインにこだわりたい方におすすめです。
しかし、他の外壁材と比べてメンテナンス頻度が高いため、長期的に見て費用計画を立てる必要があります。メリットだけでなくデメリットも考慮したうえで、施工すべきかどうか判断しましょう。
外壁材選びに迷ったときは、専門業者への相談をおすすめします。複数の業者から見積もりをもらい、価格やサービス内容を比較・検討すれば、自分に適した業者が見つかりやすくなります。