屋根のリフォームには複数の種類があり、どの方法を選択するかによって費用も変わります。劣化が激しくなければ部分修理で対応できる場合もあるので、屋根の状態に合わせて適切な方法を選ぶことが大切です。
この記事では、屋根リフォームの種類と費用相場を解説します。部分修理にかかる費用やリフォーム費用を安く抑える方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
屋根リフォームの種類と費用相場
屋根リフォームには「塗装」「カバー工法」「葺き替え」の3種類があり、工事の規模が大きくなるにつれて費用も高くなる傾向にあります。
屋根リフォームの種類 | 費用相場(30坪の場合) |
塗装 | 40~80万円 |
カバー工法(重ね葺き) | 80~120万円 |
葺き替え | 140~200万円 |
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各種類の特徴と費用相場を詳しく解説していきます。
塗装
屋根材に施された塗料が劣化したときは、屋根の表面を塗りかえる塗装を行います。塗装によって屋根の美観が回復し、屋根材の寿命を延ばすことが可能です。同じ色で塗り直すことも可能ですが、違う色を選ぶことで家のイメージチェンジができます。
ただし、塗装によって寿命を延ばせるのは屋根材のみであり、屋根下地の寿命は延びません。屋根表面のみの劣化であれば塗装が向いていますが、屋根下地が劣化している場合は他の工法を行った方が良いでしょう。
塗装の工事費用は30坪住宅で40~80万円が相場となっており、工期は10~15日間が一般的です。
関連記事:屋根塗装の相場は40〜80万円が目安!坪数ごとの費用や内訳、安く抑えるコツを紹介
カバー工法(重ね葺き)
カバー工法(重ね葺き)は、古い屋根の上から新しい屋根材をかぶせる工法です。既存屋根の撤去作業がないぶん、リフォーム費用と時間を節約できるメリットがあります。
一方で屋根が重くなり、耐震性が下がる恐れがあります。元からある部分の劣化は直らないため、既存屋根の下地や内部まで劣化が進行している場合には不向きです。
カバー工法の工事費用は、平均的な30坪住宅で80~120万円が相場です。必要な工期は5~10日間ほどです。
関連記事:屋根カバー工法とは?費用相場とメリット・デメリット、工事できない家の条件も
葺き替え
葺き替えとは、既存の屋根材をすべて撤去して新しい屋根材に交換する工法です。表面の屋根材だけでなく下地も新しくなるため、トラブルを根本から解決でき、屋根の寿命がリセットされます。
ただし、既存屋根の撤去費用や下地の材料代などが発生し、最も大規模な作業となるため、他の工法よりも費用が高額です。工事費用は平均的な30坪住宅で140~200万円が相場となっており、工期は10~15日ほどかかります。
関連記事:屋根の葺き替え工事とは?費用相場やカバー工法・屋根塗装との違いを解説
屋根の部分修理の種類と費用相場
劣化している箇所が限られている場合は、リフォームをせずに部分修理で済ませられる場合があります。屋根の部分修理には主に4つの種類があり、それぞれ費用相場が異なります。
部分修理の種類 | 費用相場(30坪の場合) |
屋根材の修繕 | 3~30万円 |
棟板金の交換 | 10~30万円 |
雨樋の修理・交換 | 3~30万円 |
漆喰の交換 | 10~25万円 |
どの修理方法を選んでも、リフォーム費用に比べてかなり安価で対応ができます。ここでは、部分修理の種類と費用相場について詳しく解説します。
屋根材の修繕
屋根材の修繕は、屋根表面の瓦やトタンなどが破損した場合に、壊れた部分だけを直す修理方法です。修理する範囲が限られているため費用が安く、修理範囲が約1畳分であれば4万円以下に費用を抑えられます。
ただし、高所の作業は足場が必要になるため、足場設置費用として20万円ほど上乗せされます。また、直した箇所の色合いが周囲から浮いてしまい、美観が損なわれることもあるので注意が必要です。
屋根材の修繕費用は3~30万円が相場となっており、工期は1~3日間が一般的です。
関連記事:屋根材8種類の特徴まとめ!耐久性・費用相場とリフォームでの選び方を解説
棟板金の交換
棟板金の交換は、屋根の頂上にある金属製の棟板金を交換する工法です。劣化した部分だけを直すので、費用を安く抑えやすいメリットがあります。
ただし、屋根のなかで棟板金は寿命のサイクルが早いため、築15年を過ぎたあたりでリフォームが必要になります。
棟板金の交換にかかる費用は、平均的な30坪住宅で10~30万円が相場となっており、工期は2~4日間が一般的です。
関連記事:屋根棟の修理費用の相場とは?火災保険で直せるケースと安く抑える方法
雨樋の修理・交換
雨樋が壊れたり詰まったりしたときは、雨樋の修理・交換を行います。壊れた雨樋を放っておくと、水が屋内に侵入して外壁の傷みが早くなるため、早めの修理・交換が必要です。
詰まりの掃除だけなら3万円程度で対応できますが、壊れた雨樋を全交換する場合は30万円ほどの費用がかかります。低い所の掃除ならDIYでも可能なので、予算や雨樋の劣化症状なども考えながら、適切な修理・交換方法を選びましょう。
漆喰の交換
漆喰交換とは、既存の漆喰を一度剥がして新しいものに塗りかえる工法です。漆喰とは瓦屋根側面の白い接着剤のことで、漆喰にヒビや傷みがあると瓦のズレが生じます。ズレた部分や剥がれた部分から雨水が入れば腐食や雨漏りにつながるため、漆喰の交換が必要です。
工事費用は平均的な30坪住宅で10~25万円が相場となっており、工期は2~4日間が一般的です。漆喰は年月とともに剥がれてしまうので、耐用年数に達している場合はリフォームを検討しましょう。
屋根リフォーム・修理を安い費用で行うための方法
屋根リフォーム・修理にかかる費用をなるべく安く抑えたいなら、以下の方法がおすすめです。
- 相見積もりをする
- 火災保険を活用する
- 定期的にメンテナンスを行う
各方法について詳しく解説します。
相見積もりをする
複数の業者から相見積もりを取ることで、費用を比較でき、最も費用の安い業者に工事を依頼できます。
最初から一つの業者に絞って依頼してしまうと、相場より高い費用がかかってしまい、損することが少なくありません。事前に2〜3社に見積もりを依頼して費用を比較すれば、ある程度の相場がわかるため、費用面で損をするリスクを軽減できます。
費用だけでなく、スタッフの対応や工事の内容も比較できるため、自分と相性の良い業者を見つけやすくなるでしょう。
関連記事:屋根塗装の作業工程と費用の内訳は?見積書の見方と費用を抑えるコツも解説
火災保険を活用する
屋根修理の原因が自然災害である場合は、火災保険を利用できる場合があります。火災保険を活用すれば、工事費用が保険によってまかなわれるため、安い費用で屋根をリフォーム・修理できます。火災保険を利用できる条件は契約内容によって異なるので、事前に保険会社に確認しておきましょう。
ただし、屋根破損の原因が自然災害であっても、事故日より3年が経過すると火災保険は使用できません。申請には期限が定められているので、自然災害の被害に遭った場合は、早めに屋根の点検を行いましょう。
関連記事:屋根修理で火災保険を申請する方法とは?補償されないケースと請求手続きも紹介
定期的にメンテナンスを行う
普段から定期的に屋根のメンテナンスを行っておけば、屋根に異常が生じたときにすぐに気づくことができ、部分的な修理で対応ができます。メンテナンスによって屋根を適切な状態に維持できれば、屋根材の寿命が延びるため、将来必要な屋根リフォームにかかる費用を安く抑えられます。
屋根は5年に一度、点検や清掃などのメンテナンスを行うことが一般的です。屋根の点検は高所作業になるため、自分で対応しようとせずに専門業者に依頼しましょう。
屋根リフォームで使える補助金制度
屋根リフォームをする際は、補助金制度を活用できる場合があります。補助金制度を利用できれば、リフォーム費用を大幅に節約することも可能です。
ここでは、屋根リフォームで使える2つの補助金制度を紹介します。
関連記事:【2024年版】外壁塗装の助成金・補助金まとめ|申請方法・条件や注意点を解説
長期優良住宅化リフォーム支援事業
長期優良化リフォーム推進事業は国が推進する補助金事業で、住宅の耐震性や省エネ性能などを向上させるリフォームに対して、補助金などを提供しています。屋根の修理やリフォームも制度の対象となっており、1戸あたり100万円まで補助金が支給されます。
ただし、補助金を受けるには認定を受けた事業者に工事を依頼しなければならず、選択肢がある程度限られます。ほかにも、専門家による住宅診断やリフォーム履歴を作成するといった条件があるため、利用する前に必要事項を確認しましょう。
自治体の助成制度
屋根リフォームでは、自治体が独自の助成や補助金事業を行っているケースがあります。特に瓦屋根の葺き替え工事は耐風改修の補助金に該当する可能性があるため、地元の自治体に確認してみましょう。
なお自治体の助成・補助金制度を利用するときは、事前に申請に必要な書類を用意する必要があります。場合によっては抽選で交付が決まったり、年度内の予算がなくなれば早期に終了したりするため、工事が決まったら早めに申請しましょう。
屋根リフォーム・修理をするときの注意点
屋根のリフォーム・修理をするときに注意すべき2つのポイントを紹介します。
DIYでリフォーム・修理はしない
屋根は高所作業となり危険を伴うため、DIYでリフォームや修理を行うのはおすすめしません。高所作業に慣れていない素人が対応すると転落する恐れがあるため、安易なDIYはやめた方が無難です。
また、火災保険を利用して屋根の修理ができる場合であっても、申請前にDIYで修理を行ってしまうと、火災保険が適用されない可能性があります。火災保険を利用する際は被害写真や被害を直す業者からの見積書が必要になるため、DIYは応急処置程度までにとどめておきましょう。
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悪徳業者に依頼しない
屋根のリフォーム・修理をする際に、悪徳業者へ依頼するのは避けましょう。その場で契約するよう急かす業者や、見積書に具体的な工事内容や数量が記されていない業者は悪徳業者である可能性が高いです。悪徳業者に依頼してしまうと、不必要な工事を追加されて工事費用が高額になったり、雑な工事をされて施工直後にトラブルが生じたりするケースがあります。
業者を選ぶときは見積書の内容をしっかりチェックし、丁寧な説明と充実したアフターフォローを行ってくれる優良な業者に依頼しましょう。
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屋根リフォーム・修理をするときは適切な種類と業者を選ぼう
屋根リフォームには「塗装」「カバー工法」「葺き替え」の3種類があり、劣化具合に応じてどの種類を選ぶかが決まります。異常が生じている箇所が部分的である場合は、費用の安い修理工事で済ませることも可能です。
日頃から定期的にメンテナンスを行い、異常が起きたときに早期に対応すれば、リフォーム・修理費用を安く抑えられます。屋根のリフォーム・修理を行うときは相見積もりをして、信頼できる業者に依頼しましょう。