自宅の屋根修理を検討する方の中には、業者からの訪問営業をきっかけに考え始めるケースも少なくありません。「近くで工事しているのですが、屋根が割れているのでお知らせに来ました」といったセールストークで屋根修理の契約を持ちかけようとする業者は多く、中には詐欺を働こうとする悪意ある業者も存在します。
本記事では、近年増加傾向にある屋根修理詐欺について、よく使われる手口と対策、被害に遭ってしまった時の対処法についてもご紹介します。
屋根修理詐欺に多い「点検商法」とは?
屋根修理詐欺の中には、「点検商法」と呼ばれる訪問営業のトラブルが多く報告されています。つまり、善意での屋根の点検を行うと見せかけて、屋根に上った際に意図的に屋根材を壊したり、屋根材が飛んで周囲に被害が出るなどと不安を煽ったりして、屋根修理の契約を迫る手口です。
自宅の屋根は自分で確認することが難しいため、業者が言っていることが本当なのかどうかを判断しづらく、雨漏りや周辺への被害のリスクを指摘されると断りにくく感じるのが詐欺に遭う原因の一つです。
しかし実際に詐欺に遭ってしまった方からの報告では、人為的に屋根材を壊されて修理を迫られたケースや、自宅ではない家の写真を見せられて不要な屋根修理を依頼してしまうケース、契約金の前払いを依頼されて振り込んだところ、工事を行わずに持ち逃げられるケースなども存在します。
こうした屋根修理詐欺の被害に遭わないためには、悪意ある業者がよく使う手口や騙されないための対策、そして万が一被害が遭ってしまった時の対処法を覚えておくことが大切なのです。
実際に使われた屋根修理詐欺の5つの手口
屋根修理で実際に使われた詐欺の主な手口には、以下の5つが挙げられます。
- 突然訪問してきて屋根修理を提案してくる
- 火災保険を使った無料工事を勧めてくる
- ハウスメーカーを装って定期点検しようとする
- 大幅な値引き・キャンペーンで即決を促す
- 理由をつけて工事費用の前払いを要求する
それぞれの手口について詳しく解説しますので、詐欺を見分けるポイントとして押さえておきましょう。
突然訪問してきて屋根修理を提案してくる
屋根修理詐欺に共通する特徴として、「訪問営業」が挙げられます。急に自宅を訪問し、屋根修理を提案してくる業者は十分に警戒する必要があります。悪質な訪問営業でよくあるセールストークとして、以下のような勧誘方法が代表的です。
「近くで工事をしている者ですが、お宅の屋根がずれているのが見えたので」
「このままでは台風の時に瓦が飛んで近所の人に迷惑がかかりますし、雨漏りしてしまいますよ」
「今契約してもらえたら特別に値引きしますよ」
その業者を信用して屋根に上げてしまうと、意図的に屋根材を破壊されるなど、大きなトラブルを引き起こす可能性もあります。訪問営業を行う業者がすべて詐欺を働くわけではありませんが、少なくとも訪問営業の場で契約を即決することは避けた方が良いでしょう。
火災保険を使った無料工事を勧めてくる
屋根修理詐欺の特徴として、火災保険を使った無料工事を強く勧めてくることも挙げられます。住宅の火災保険は、台風などの自然災害によって被害を受けた屋根の修理に使うことが可能で、場合によっては修理費用の全額が火災保険で補償されることもあります。
しかし支給される保険金は、保険会社や審査結果によって異なります。保険金が下りると考えて屋根修理を行ったが、結局保険金を受け取れずに全額自費で工事を行うケースも少なくありません。そのため火災保険を使った無料工事を勧めてくる業者は、積極的に依頼するのは避けた方が良いでしょう。
関連記事:屋根修理で火災保険を申請する方法とは?補償されないケースと請求手続きも紹介
ハウスメーカーを装って定期点検しようとする
屋根修理詐欺の中には、自宅を建てたハウスメーカーを装い、メーカーのアフターサポートの一環として定期点検を実施する手口もあります。メーカーによる定期点検ならば安心だと考えて依頼したが、後から調べてみるとメーカーと関係のない業者だったと判明することも多いです。
そのためハウスメーカーを名乗る業者の定期点検を提案された時には、必ず相手の名刺や社員証を確認し、メーカーの社員であることを確認してから点検を依頼するのが大切です。
大幅な値引き・キャンペーンで即決を促す
屋根修理詐欺の傾向として、大幅な値引き・キャンペーンを提示することで、契約の即決を促すパターンも挙げられます。確実に契約を取るために、本来は100万円の工事をあえて200万円と提示し、今だけのキャンペーンとして半額の100万円で修理できることをアピールするケースが多いです。
その時だけの値引き・キャンペーンであることを強調し、考える時間を与えずに即決を促してくる場合には特に警戒が必要です。
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理由をつけて工事費用の前払いを要求する
屋根修理の代金の支払いは、全額後払いもしくは分割払いが一般的です。もし訪問営業の業者から、工事費用の全額前払いを要求された場合、指示通りに代金を支払うのは避けた方が良いでしょう。「工事日が決まったら連絡する」などと先延ばしにされ、詐欺に遭ったことに気づくのが遅れるケースも多いです。
基本的に工事代金は全額後払いを提案するように心がけ、契約書でも支払いのタイミングを明確に決めておくと安心です。
屋根修理詐欺に騙されないための対策
続いて、悪質な屋根修理詐欺に騙されないための対策として、次の3つをご紹介します。
- 訪問営業で即決しない
- ドローンを使った屋根点検を依頼する
- 自宅とわかる修理箇所の写真をもらう
これらのポイントを踏まえながら屋根修理を依頼して、詐欺から身を守るようにしてください。
訪問営業で即決しない
屋根修理詐欺を防ぐためには、訪問営業の業者で即決しないことが重要です。屋根のメンテナンスは、新築または前回の屋根リフォームから10年〜20年ごとに必要であり、訪問営業をきっかけにそろそろ屋根の点検が必要だと感じることも多いでしょう。
しかし屋根修理を業者に依頼するとしても、必ず複数の業者からの見積もりを取って比較し、費用相場や必要な工事を把握してから契約するのが基本です。訪問営業で契約を迫られたとしても、一旦見積書を作成してもらって他者の見積書と比較すると良いでしょう。
ドローンを使った屋根点検を依頼する
屋根修理詐欺に遭わないために、屋根の点検を提案された時にはなるべくドローン点検を依頼すると良いでしょう。訪問営業の業者を屋根に上げてしまうと、意図的に屋根材を壊されるなどのトラブルに発展する可能性があります。しかしドローンでの点検であれば、そうしたトラブルを未然に防げるのがメリットです。
自宅の敷地内に業者が立ち入る必要がないのもメリットですが、一方で触診ができないので屋根点検の正確性はやや低下します。まずはドローン点検によってひび割れなどがないかをチェックしてから、業者の対応が信頼できると感じた場合には屋根に上って触診を依頼すると良いでしょう。
自宅とわかる修理箇所の写真をもらう
屋根修理詐欺を予防するために、屋根修理が必要と判断する根拠となる修理箇所の写真をもらうのも大切です。屋根修理が必要と言える具体的な証拠があれば、本来不要な屋根リフォームを契約してしまう危険性を防げるからです。
ただし、屋根の修理箇所の写真を見せる際に、悪意ある業者の場合自宅ではない別の家の写真を見せてくるケースもあります。そのため修理箇所の写真を撮ってもらう時には、破損している屋根のズーム写真だけではなく、家の屋根全体や周囲の建物が映る角度の写真とともに撮ってもらうのがポイントです。
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屋根修理詐欺の被害に遭った時の対処法
高齢の家族が訪問営業の話に乗って契約してしまった場合など、屋根修理詐欺の被害に遭ってしまった場合にはどのように対処すれば良いのでしょうか。ここでは屋根修理詐欺に遭った時の対処法・相談先を3つご紹介します。
- クーリングオフを申請する
- 消費生活センターに連絡する
- 警察や弁護士に相談する
これらの手段を使いながら、詐欺の被害を少しでも減らせるように行動しましょう。
クーリングオフを申請する
屋根修理の契約後に詐欺ではないかと判断した場合、まずは業者に対してクーリングオフの申請を行いましょう。クーリングオフは、訪問営業の場合には契約から8日以内の申請であれば、無条件で解除できる制度です。業者の無理な売り込みによって消費者が損失を受けないようにする仕組みなので、屋根修理の強引な契約の解除にも使うことができます。
ただし、自ら業者の事務所・店舗に足を運んで契約した場合、クーリングオフが認められなくなってしまいます。クーリングオフの具体的な手続きや相談については、お住まいの地域の「消費生活センター」に問い合わせてみると良いでしょう。
消費生活センターに連絡する
消費生活センターは、屋根修理詐欺をはじめとする消費者生活に関する相談に対応してくれる窓口です。全国の市区町村で窓口が設置されており、近くの窓口がどこかわからない場合にも「188」の番号に電話することで、相談窓口の案内を受けることができます。
契約した屋根修理が詐欺ではないかと疑われる場合には、クーリングオフの相談も含め、早めに消費生活センターに問い合わせてみると良いでしょう。なお、消費生活センターは契約者本人からの相談に加えて、家族やケアマネジャーからの相談にも対応しているので、高齢の家族が契約してしまった際にも活用してみてください。
警察や弁護士に相談する
契約金の持ち逃げなど屋根修理詐欺の被害を受けてしまった際には、早めに警察や弁護士に相談するのも大切です。最寄りの警察署、または法テラスで相談することにより、詐欺で騙し取られた契約金を取り戻せる可能性が高まります。
また、悪質な業者を摘発して、これ以上の被害が広まることを防ぐ効果もあるため、詐欺に遭ったと気づいた時には遠慮なく警察・弁護士に相談するようにしましょう。
まとめ
屋根修理を依頼する時には、「点検商法」と呼ばれる悪質な詐欺に注意する必要があります。屋根修理詐欺の主な手口として、突然の訪問営業や火災保険を使った無料工事の提案、ハウスメーカーを装った定期点検といった事例が挙げられます。
こうした屋根修理詐欺に遭わないためには、訪問営業だけで即決せずにほかの業者の話も聞くことや、業者を屋根に上がらせずドローン点検を依頼することなどが効果的です。万が一屋根修理詐欺の被害に遭ってしまった時には、消費生活センターや警察・弁護士に相談し、少しでも被害を減らせるように行動しましょう。