2025-05-01 07:29:55 更新

屋根カバー工法とは?費用相場とメリット・デメリット、工事できない家の条件も

屋根カバー工法とは?費用相場とメリット・デメリット、工事できない家の条件も
編集者プロフィール
輿石 雅志
1972年生まれ。早稲田大学理工学部応用化学科卒業。40万人以上の方が利用している国内最大級のマッチングプラットフォームを提供する外壁塗装に特化した無料相談サイト「外壁塗装の窓口」を運営。著書に「マイホームの外壁塗装 完全成功読本」(幻冬舎出版)。
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屋根リフォームで使われる「カバー工法」とは、既存の屋根の上に新しい屋根材を被せる(カバーする)ことにより、屋根の耐久性や防水性を高める工事を指します。屋根全体を交換する葺き替え工事とは異なり、工事費用が安く、工期が短くなることから、劣化した屋根のリフォームで検討されることの多い工事です。

しかし屋根が二重になることで重さが増し、耐震性が低下する点や、将来の屋根リフォーム費用が高額になりやすい点などにも注意しながら、カバー工法を選ぶかどうかを検討する必要があります。

本記事では、屋根カバー工法の特徴や費用相場、メリット・デメリットについて解説しますので、自宅の屋根リフォームで最適な工事内容を決める参考にしてみてください。

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屋根カバー工法とは?

カバー工法に使用される屋根材

屋根カバー工法の費用相場は80万円~120万円

屋根カバー工法のメリット

屋根カバー工法のデメリット

屋根カバー工法の工事ができない家の条件

屋根カバー工法で失敗や後悔を防ぐポイント

屋根のカバー工法は費用相場に注意!業者選定をしっかり行おう

屋根カバー工法とは?

屋根カバー工法は、既存の屋根を取り除くことなく、上から新しい屋根材を設置する屋根リフォームのことを指します。今の屋根が大きく劣化しているわけではないが、屋根材の寿命を迎えて雨漏りなどの不具合が起こり始めた際に、検討されることの多い工事方法です。広範囲に雨漏りが発生するなど、屋根自体が激しく劣化している場合には不向きですが、リフォーム費用を安く抑えながら屋根の寿命を延ばしたい時に適したリフォームです。

屋根カバー工法の施工手順

屋根カバー工法は、高圧洗浄によって既存の屋根の汚れを取り除き、その上に新しい防水シートと屋根材を設置するのが大きな流れです。具体的な施工手順は、以下のとおりです。

  • 足場の設置
  • 棟板金・貫板の撤去
  • 下地の調整
  • 唐草・防水シートの設置
  • 新しい屋根材の施工
  • 新しい棟板金・貫板の設置
  • 足場の撤去

耐用年数がやや短いスレート屋根(コロニアル屋根)の上から、ガルバリウム鋼板と呼ばれる軽量な金属屋根を被せる工事が行われることが多いです。

屋根の葺き替え工事との違い

カバー工法よりも大規模な屋根リフォームとして、屋根の葺き替え工事が挙げられます。葺き替え工事では、古い屋根材をすべて撤去・処分し、新品の屋根材に交換する工事を指します。防水シートを含めて屋根全体を新しくするため、選べる屋根のデザインが豊富で、建物の寿命を大幅に延ばすことができるメリットがあります。

一方で、葺き替え工事では古い屋根材の処分費用が発生することから、リフォーム費用が高額になる傾向があります。屋根リフォームの作業量も増えることから、工期が長期化し、日常生活に与える影響も大きくなる点もデメリットに挙げられます。

屋根材が激しく劣化しており、内部の腐食も起こっている場合には、カバー工法よりも葺き替え工事が行われることが多いです。屋根材の劣化は少ないが寿命を迎えている場合などは、葺き替え工事よりもカバー工法が選ばれる傾向があります。

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関連記事:屋根の葺き替え工事とは?費用相場やカバー工法・屋根塗装との違いを解説 

カバー工法に使用される屋根材

カバー工法に使用される主な屋根材は主に3種類です。

下記ではそれぞれの屋根材について解説します。

スレート屋根(カラーベスト・コロニアル)

スレート瓦(カラーベスト・コロニアル)はセメントに繊維材料を混ぜて高温高圧で薄い板状に成型した屋根材です。軽量であること、カラーバリエーションが豊富であることが特徴で、和風・洋風どちらにもマッチしやすい屋根材でもあります。ただし耐久性はガルバリウム鋼板に劣ることから、定期的な塗装やメンテナンスが必要です。

ガルバリウム鋼板

​​ガルバリウム鋼板はアルミニウムシリコンなどでコーティングされた鋼板で、耐久性や耐候性が高いのが特徴です。薄型で軽量なため、耐震性が求められる地域でも安心して使用できます。メンテナンスが少なく済むため、多くの住宅で採用されています。ただし比較的断熱性能が低く、特に夏場には屋根が高温になりやすい点には注意が必要です。

アスファルトシングル

アスファルトを浸透させたガラス繊維のシートに砂や石粒を施した屋根材です。柔軟性があることから、デザイン性が​高いのが特徴です。逆に他の屋根材に比べて耐久性がやや低い点がデメリットとして挙げられるため、寒冷地や強風地域では導入の際にはしっかりと検討しましょう。

耐久性だけでなくデザイン面なども考慮しながら、自宅に適した屋根材を選びましょう。

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屋根カバー工法の費用相場は80万円~120万円

屋根カバー工法の費用相場は、30坪の広さの家で80万円~120万円が目安です。住宅の屋根の広さや傾斜にもよりますが、100万円前後の予算があるとカバー工法を依頼しやすいでしょう。依頼する業者や使用する屋根材によっても見積もり金額は変動するので、なるべく複数の業者からの相見積もりを取り、比較・検討しながら業者を選ぶことをおすすめします。

なお、葺き替え工事の場合には60万円~200万円が費用相場、屋根塗装だけを依頼した場合は40万円〜80万円が相場となっています。

関連記事:屋根塗装の相場は40〜80万円が目安!坪数ごとの費用や内訳、安く抑えるコツを紹介

屋根カバー工法の費用を抑えるためにできること

工事の費用を抑えたいなら、単価の安い屋根材を選びましょう。単価の安い屋根材を選べば、広い家の屋根でも工事費用を抑えられます。

屋根材 単価
スレート瓦(カラーベスト・コロニアル) 5,000~8,000円/㎡
ガルバリウム鋼板 6,000~10,000円/㎡
アスファルトシングル 6,000~10,000円/㎡

単価の安い屋根材を選べば工事費用を抑えられますが、メンテナンスコストがかかる可能性があります。住んでいる地域によってメンテナンスの頻度は異なり、適した屋根材も違うため、業者とよく相談しながら比較検討しましょう。

屋根カバー工法で助成金・補助金は使用できる?

カバー工法で屋根の劣化や雨漏りを修繕するだけでは、補助金は使用できません。屋根の修理で補助金を受けるには、省エネや耐震などの対策が必要です。遮熱性や断熱性を高める目的で工事を行えば、省エネリフォームになるため、補助金を利用して工事費用を軽減できます。

屋根カバー工法の見積書をチェックする際に気をつけること

見積書を見るときは、工事の内容が細かく記載されているかを確認しましょう。費用や施工内容に「屋根カバー工法一式」と記載されている場合、どの工程にどのくらいの費用がかかるのかわかりません。曖昧な見積書を提示する業者に依頼すると、追加費用を請求されるなどトラブルに発展する可能性があります。カバー工法を依頼する際は、費用が明確に記載されているか、見積書に関する質問にきちんと答えてくれるかを確認して、信頼できる業者かどうかを見極めましょう。

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屋根カバー工法のメリット

屋根カバー工法を選ぶことにより、葺き替え工事と比較すると以下のようなメリットが期待できます。

  • リフォーム費用を安く抑えられる
  • 屋根の断熱性・遮音性が改善される
  • 工事期間を短縮できる

これらのメリットについて一つひとつ解説します。

リフォーム費用を安く抑えられる

屋根全体を交換する葺き替え工事と比べると、カバー工法はリフォーム費用を安く抑えられる点が大きなメリットです。古い屋根材を撤去したり処分したりする費用がかからないので、リフォーム資金に余裕がない場合にも適しています。また、新しい屋根材を被せることで屋根の寿命を延ばすことができるので、将来のメンテナンスコストの削減にもつながります。

屋根の断熱性・遮音性が改善される

カバー工法によって屋根の厚さが増すことにより、家の断熱性・遮音性が向上する点もメリットに挙げられます。日差しが強い夏場には、厚みのある屋根の断熱・遮熱効果が実感できることも多いでしょう。激しい雨が続く時期にも、雨音が伝わりにくくなるのもカバー工法のメリットです。

工事期間を短縮できる

屋根カバー工法は葺き替え工事と比較して、必要な作業量が少ないことから工事期間を短縮できるメリットもあります。大体の目安として、葺き替え工事の約半分の工期でリフォームが完了することが多いです。工期が短縮されることで職人の方々の人件費が抑えられて工事費用が安くなるほか、工事中の日常生活への影響も最小限に抑えられます。

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屋根カバー工法のデメリット

続いて屋根カバー工法のデメリットに挙げられるのは、次の3つです。

  • 将来の屋根工事費用が高額になりやすい
  • 使用できる屋根材が限られる
  • 耐震性が低下する

これらのデメリットも踏まえながら、カバー工法を実施するかどうかを検討しましょう。

将来の屋根工事費用が高額になりやすい

屋根カバー工法は、使用する屋根材が2倍になる工事なので、今後の屋根修理や屋根リフォームにかかる費用が高額になりやすい点がデメリットです。たとえば、カバー工法を実施した後、屋根の葺き替え工事を依頼するとなった場合、撤去・処分が必要な屋根材が2倍になるので、通常よりも高額な費用が発生することになります。

また、建て替えに伴って古い住宅を解体する時にも、カバー工法を行った屋根の解体費用が高く見積もられることが考えられます。そのため将来発生するリフォーム費用や解体費用も考慮しながら、最適な工事方法を選ぶことが大切です。

使用できる屋根材が限られる

カバー工法は屋根を二重にする工事なので、重量がある屋根材を使用してしまうと住宅に負担がかかり、寿命を縮める原因になってしまいます。そのためガルバリウム鋼板と呼ばれる金属製の屋根材が使用されることが多く、それ以外の選択肢は少ないのが実情です。家の外観やデザインにこだわりたい場合、屋根材が限られるカバー工法よりも、新品に交換できる葺き替え工事の方が適しているかもしれません。

関連記事:屋根材8種類の特徴まとめ!耐久性・費用相場とリフォームでの選び方を解説

耐震性が低下する

カバー工法によって屋根の重さが2倍になることで、建物の重心が高くなり、耐震性が低下する可能性もあります。まるで大雪が降って屋根に雪が積もっているような状態が、今後続くことになるイメージです。カバー工法では軽量な金属屋根を使うため大幅に耐震性が落ちることは考えにくいですが、揺れによる影響を最小限に抑えたい場合には葺き替え工事を検討することをおすすめします。

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屋根カバー工法の工事ができない家の条件

屋根カバー工法は、屋根の寿命を延ばし、リフォーム費用を安く抑えられる工事方法ですが、すべての住宅で利用できるわけではありません。次のような特徴がある屋根では、カバー工法が断られてしまう可能性が高いです。

  • 瓦屋根を使用している場合
  • 屋根材・下地が激しく劣化している場合
  • 一度カバー工法を実施している場合

それぞれカバー工法が適さない理由について解説しましょう。

瓦屋根を使用している場合

伝統的な日本家屋などに使われる瓦屋根の場合、屋根の表面に凹凸が多いことから、カバー工法が利用できないことに注意が必要です。瓦屋根の屋根材そのものに重量があるので、さらに重さを加えるカバー工法は、建物に大きな負担をかけてしまうことも施工不可とされる理由です。瓦屋根から雨漏りが発生するなどの修理が必要となった場合、部分的な補修または屋根全体の葺き替え工事を実施しましょう。

屋根材・下地が激しく劣化している場合

既存の屋根材や下地が激しく劣化しており、屋根の耐久性を維持できない場合もカバー工法は向きません。過去に広い範囲で雨漏りが発生したことがある家では、屋根の内側が腐食して傷んでしまっている可能性が高く、まずは劣化した部分を補修しなければなりません。たとえば、約20年が寿命とされるスレート屋根の家で、築40年以上経過しているケースなどが挙げられます。

カバー工法を実施できるかどうかは、事前にリフォーム業者の現地調査によって調べてもらう必要があります。その際にカバー工法が不向きであると伝えられた時には、葺き替え工事などを検討しましょう。

一度カバー工法を実施している場合

過去に一度カバー工法を実施している場合には、二度目のカバー工法を行うことはできません。二重の屋根の負担がかかっている住宅に対して、さらに屋根材を被せるのは倒壊の危険性を高めてしまうからです。原則として一つの家でカバー工法を行えるのは、一度だけであると覚えておきましょう。

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屋根カバー工法で失敗や後悔を防ぐポイント

相見積もりを取って比較する

ここまで屋根カバー工法の特徴やメリット・デメリットについて解説してきましたが、屋根リフォームは信頼できる業者を選んで依頼しなければ、施工不良によって屋根を傷めてしまう危険性が高まってしまいます。訪問営業でカバー工法を提案してくる業者などは注意が必要で、1社の話だけでカバー工法を決めるのではなく、必ず複数の業者からの「相見積もり」を取って比較するのが大切です。 同じ条件で複数の業者にカバー工法の見積もりを依頼することにより、大体の費用相場を把握したり、営業担当者の誠実さを見比べたりできるメリットがあります。割高な費用を提示する業者や、悪質な業者を選んで失敗してしまわないためにも、2社〜3社以上の業者に見積もりを作成してもらってから、工事を進めるようにしましょう。

資格と実績を確認する

業者のホームページを見る際に、保有資格と過去の施工事例を確認することで、優良業者かどうかをある程度見極められます。一般住宅の屋根を工事する際に資格は必ずしも必要ありませんが、カバー工法に関わりのある「建築板金」や「施工管理技士」の資格保有者が在籍していたり、建設営業許可を得ていたりすれば、専門的な知識がある証になるため安心して依頼できます。

また、カバー工法は専門性の高い工事のため、施工経験が豊富な業者に依頼することも重要です。屋根の形状や下地の状態によって施工内容も大きく変わるため、過去の実績を確認して安心して任せられる業者を探しましょう。

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屋根のカバー工法は費用相場に注意!業者選定をしっかり行おう

屋根のカバー工法は、古い屋根の上に新しい屋根材を被せる工事方法であり、屋根全体を新しいものに交換する葺き替え工事とは異なります。葺き替え工事と比較すると、カバー工法やリフォーム費用が安く、断熱性・遮音性が向上する点がメリットに挙げられます。一方で、将来の屋根数理費用が高額になりやすい点や、使用できる屋根材が限られる点がデメリットです。

また、瓦屋根の家や、屋根材が激しく劣化している家、一度カバー工法を実施している上では、カバー工法は実施できないので注意しましょう。安心して工事を依頼できる業者を選ぶためにも、複数の業者の見積もりを比較・検討しながら、屋根カバー工法を実施してください。

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