2024-07-05 08:21:45 更新

屋根棟の修理費用の相場とは?火災保険で直せるケースと安く抑える方法

屋根棟の修理費用の相場とは?火災保険で直せるケースと安く抑える方法
編集者プロフィール
輿石 雅志
1972年生まれ。早稲田大学理工学部応用化学科卒業。40万人以上の方が利用している国内最大級のマッチングプラットフォームを提供する外壁塗装に特化した無料相談サイト「外壁塗装の窓口」を運営。著書に「マイホームの外壁塗装 完全成功読本」(幻冬舎出版)。
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屋根の棟(むね)は、住宅の屋根の頂上に位置する部分で、雨漏りや湿気から家を守る重要な役割を果たしています。しかし凹凸が多い部位であり、風雨の影響を受けやすいため、定期的なメンテナンスと修理が必要です。台風や積雪をきっかけに自宅の屋根棟が傷んでしまい、修理が必要になるケースも珍しくありません。

そこで気になるのが、屋根棟の修理費用がいくらになるのかという点でしょう。屋根リフォームでは決まった定価が存在しておらず、修理内容や選ぶ業者によっても価格が大きく異なります。割高な業者を選ばずに適正料金で依頼するためには、屋根棟の修理費用の相場・目安を知っておくことが大切です。

本記事では、屋根棟の修理費用の相場と、火災保険で直せる条件・注意点、そして修理費用をより安く抑えるコツについても解説します。

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目次閉じる

屋根の棟(むね)とは?

屋根棟の修理費用の相場

屋根棟を火災保険で直せるケースについて

屋根棟の修理費用を安く抑える方法

まとめ

屋根の棟(むね)とは?

屋根棟とは、三角形の屋根の頂上に位置しており、山のように盛り上がった形状を持つ部分です。傾斜のある屋根の面が接する境界部分をカバーする役割を持ち、屋根の隙間からの雨漏りを防いだり、湿度・熱気を外に逃がしたりする機能もあります。

なお、屋根棟には「棟板金」と「棟瓦」の2種類があります。それぞれの屋根棟によって耐用年数や修理費用が異なるため、自宅でどちらの屋根棟が使われているのかをチェックしておくことも大切です。

屋根棟には「棟板金」「棟瓦」の2種類がある

自宅の屋根がスレート屋根または金属屋根の場合には、屋根棟には「棟板金」が使用されます。貫板(ぬきいた)と呼ばれる板で屋根を抑え、その上から金属板を被せて釘で固定する仕組みです。棟板金は釘で固定されているため、経年劣化によって釘が抜ける、もしくは風雨の影響で釘がサビてしてしまうと、屋根棟が欠落したり雨漏りを起こしたりする原因になります。

一方で自宅が瓦屋根を使っている場合には、屋根棟には瓦素材の「棟瓦」が使われます。瓦屋根では、屋根同士が接する部分に漆喰で土台を作り、その上から短冊状の「熨斗瓦」を重ね、半円型の「冠瓦」で上から抑えてから、棟の端を「鬼瓦」で装飾する構造です。瓦自体は耐久性が高く劣化しにくいですが、土台部分に使われる漆喰が劣化し、瓦のズレ・歪みを起こすケースが多いです。

屋根棟の寿命は10年または20年程度

屋根棟の修理が必要になるタイミングについても、棟板金・棟瓦のどちらを使用しているかによって異なります。

棟板金は約10年〜15年で寿命を迎え、釘の打ち直しや交換が必要になるケースが多いです。そのため新築または前回の屋根リフォームから10年を目安に、屋根棟の点検・メンテナンスを依頼すると良いでしょう。棟板金が劣化すると、強風時に屋根棟がガタガタと動く音がすることもあります。もし棟板金がズレていたり、台風によって飛ばされたりしている場合には、緊急の修理が必要になるので注意しましょう。

棟瓦の寿命は、約20年〜25年です。瓦自体は耐用年数が長い素材ですが、棟瓦の土台となっている漆喰は約10年〜15年で劣化するケースが多いです。そのため少なくとも築20年経過したタイミングで、棟瓦の点検を受けることをおすすめします。また、棟瓦の瓦が割れている場合や、瓦が飛んで欠けてしまっている場合にも、早急な修理が必要です。

関連記事:外壁塗装の耐用年数は10〜20年が限度!寿命を延ばすコツや劣化症状を解説

屋根棟の修理費用の相場

屋根棟の修理では、棟板金・棟瓦の修理代に加えて、高所での作業を必要とするため「足場代」が上乗せとなります。30坪の一般的な広さの住宅で約15万円が目安ですので、足場代も考慮して修理費用を計算すると良いでしょう。

棟板金の修理費用

スレート屋根・金属屋根で使われる棟板金の修理費用は、約30万円が目安です。棟板金の主な修理内容は下記の通りです。

  • 釘の打ち直し:15,000円〜40,000円/1棟
  • 貫板の交換:6万円〜12万円(5,000円〜10,000円/m)
  • 棟板金の交換:7万円〜15万円(6,000円〜12,000円/m)

上記の金額に足場代を加え、総額は30万円前後となることが多いです。棟板金の修理は、修理が必要な箇所の長さによって変動するため、屋根の面積が広い大きな家では修理費用が高額になることがあります。

棟瓦の修理費用

瓦屋根で使われる棟瓦の修理費用は、約25万円〜40万円が目安です。棟瓦の修理では、漆喰の補修工事または棟瓦の積み直し工事が行われ、それぞれ次のような費用相場となっています。

  • 漆喰の補修工事:8万円〜10万円(4,000円〜8,000円/m)
  • 棟瓦の積み直し工事:12万円〜25万円(10,000円〜20,000円/m)

漆喰の補修のみで完了する場合には、足場代を含めて25万円程度に収まることも多いです。棟瓦の積み直し工事が必要な場合には、足場代を含めて40万円程度を見積もっておくと良いでしょう。棟瓦の場合にも、作業が必要な屋根棟の長さによって費用が決まるのでご注意ください。

屋根棟を火災保険で直せるケースについて

自宅の屋根棟が台風・雹・落雷・積雪などの自然災害によって被害を受け、修理が必要になった場合には、火災保険の補償を受けることができます。自宅で加入している火災保険のプランにもよりますが、自然災害が原因の住宅の被害は、火災以外でも火災保険の保険金を請求可能です。

屋根棟の修理費用を火災保険でカバーすることにより、自己負担額を抑えて修理を行うことができます。一方で、被災してから3年以上経過している場合や、経年劣化による修理の場合には、火災保険は使えない点に注意が必要です。

火災保険が適用される条件

屋根棟を含めた自宅のリフォームで火災保険が使える条件には、以下の3つが挙げられます。

  • 風災・雹災・落雷・雪災などの自然災害によって破損した屋根棟の修理である
  • 被害を受けたから3年以内に申請している
  • 火災保険の免責金額を超える修理費用が発生する

火災保険の種類には、「住宅火災保険」「住宅総合保険」「オールリスクタイプ」の3つがあり、加入しているプランによって補償対象や保険料は異なります。屋根棟の被害が、自宅で加入している火災保険の補償対象であれば、保険金を請求することが可能です。

ただし被害を受けてから3年以上経過すると、被害を受けたことで必要になった修理であると判断できなくなるため、早めに申請することが大切です。また、火災保険には一定の免責金額を下回る修理費用だった場合に、保険金が支払われないケースもあります。たとえば20万円の免責金額が設定されている場合、15万円の修理費用は補償されないため、事前に契約内容を確認しておくのが大切です。

関連記事:屋根修理で火災保険を申請する方法とは?補償されないケースと請求手続きも紹介

鑑定人の審査で保険金が決まることに注意

屋根棟の修理で火災保険を申請する場合、保険会社に修理金額の見積もりを提出する必要があります。まずは信頼できる修理業者に問い合わせて見積書を作成してもらい、必要書類と合わせて保険会社に提出する流れになります。その後、保険鑑定人が被害箇所を調査し、保険金の請求額が妥当かどうかを判断します。

この鑑定人の審査によって最終的な保険金が決まり、それまでは保険金がおりるかどうか、いくら受け取れるかが未確定であることに注意しましょう。「100%火災保険で補償されると思って修理したが、実際には半額しか保険金がおりなかった」といったトラブルも少なくありません。修理費用が一部自己負担になる可能性も考え、正しい手順を踏んで適切に申請することが大切です。

火災保険の申請に関しては、下記のページもチェックしてみてください。

関連記事:外壁塗装で火災保険が適用される4つの条件とは?費用を抑えた工事のコツ

屋根棟の修理費用を安く抑える方法

最後に、屋根棟の修理費用をなるべく安く抑える方法について、火災保険を使う以外の方法もご紹介します。

  • 相見積もりで業者を見極める
  • 補助金・助成金を活用する
  • 足場を組むリフォームを同時に依頼する

それぞれ順番に解説するので、屋根棟の修理を行う際に参考にしてみてください。

関連記事:納得できる屋根修理業者の探し方とコツ|悪徳業者を見分ける方法も

相見積もりで業者を見極める

屋根棟の修理を依頼する業者を選ぶ時には、必ず相見積もりを取るようにしてください。相見積もりとは、予定する工事内容を統一したうえで、複数の業者から見積もりを取ることを言います。修理が必要な長さ・修理内容を揃えて見積もりを依頼することで、項目ごとに金額を比較しやすくなるメリットがあります。

また、複数の業者の見積書をチェックすることにより、屋根棟の修理費用を大体把握できるようになり、割高な業者を判断しやすくなるメリットもあります。それぞれの業者の営業担当者の対応をチェックして、信頼できる相手かどうかを見極めることにも役立つので、少なくとも2社〜3社以上の業者から相見積もりを取ってみましょう。

関連記事:外壁塗装では相見積もりが不可欠!費用を抑えて信頼できる業者を選ぶためのポイント

補助金・助成金を活用する

屋根棟を含めた屋根リフォームでは、自治体が用意する補助金・助成金を利用できることが多いです。省エネ性能を向上させる屋根リフォームや、耐震性を高める屋根リフォームを補助対象としている自治体が多く、これらの工事と合わせて屋根棟の修理を依頼することで、工事費用の節約につながります。

ただし補助金・助成金を使う場合には、工事前の申請が必ず必要になる点に注意しましょう。工事が完了した後に補助金・助成金を申請しても認められないので、屋根リフォームを検討する段階で自治体の窓口・ホームページで詳しい制度をチェックしておくと安心です。

関連記事:【2024年版】外壁塗装の助成金・補助金まとめ|申請方法・条件や注意点を解説

足場を組むリフォームを同時に依頼する

屋根棟の修理費用で大きな割合を占めるのが、足場の設置費用です。足場の設置は高所での作業では必ず発生する作業であり、削減できる費用ではありません。しかし同じ足場を使い回すことは可能なので、屋根棟の修理と当時に屋根塗装や外壁塗装、外壁の張り替え工事などを依頼すると、トータルの費用を抑えることができます。

また、傾斜が急な屋根の場合、家の周りの足場とは別に屋根足場が必要になるケースもあります。屋根足場を必要とする場合にも、屋根塗装などを同時に依頼できないか相談してみることで、将来のリフォーム費用を削減できるでしょう。

関連記事:屋根塗装の相場は40〜80万円が目安!坪数ごとの費用や内訳、安く抑えるコツを紹介

関連記事:足場費用の相場はいくら?外壁・屋根リフォームに必要な足場代の適正価格

まとめ

屋根棟の修理費用は、棟板金の場合で約30万円、棟瓦の場合は約25万円〜40万円が目安です。いずれの屋根の場合にも、約10年単位で棟板金や漆喰の寿命を迎えるため、新築または前回の屋根リフォームから10年を目安に屋根棟の点検を受けると良いでしょう。

屋根棟の修理では、自然災害による被害を受けた場合に限り、火災保険を使った修理が可能です。火災保険の保険金を受け取ることで修理費用の負担を抑えることができますが、最終的な保険金額が決まる前に高額な工事を依頼してしまわないようにご注意ください。ほかにも相見積もりで業者を比較したり、足場を組むリフォームを同時に依頼することでも修理費用を節約できるので、ぜひ検討してみましょう。

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