瓦が劣化してきたときは塗装によるメンテナンスが必要です。ただし、すべての瓦に塗装が必要というわけではありません。またDIYは危険が伴うので、事前に業者への相談が必要です。
この記事では、瓦の塗装が必要な種類やタイミング、業者を選ぶ方法を解説します。屋根のメンテナンスを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
外壁の塗り替え時期かも...
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瓦の塗装が必要な種類
瓦にはさまざまな種類がありますが、すべてに塗装が必要というわけではありません。塗装を施すことで、かえって外観を損なう恐れがあるため注意が必要です。まずは、どのような瓦に塗装が必要かを確認しておきましょう。
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粘土系
粘土系瓦は防水性が高く、50年以上の長い期間にわたって性能を維持できるため、基本的に塗装は必要ありません。塗っても塗料が密着しにくく、すぐに剥離して見栄えが悪くなる可能性が高いです。
しかし、瓦の下に敷かれた防水シートや棟瓦をおさえる漆喰などは、20~30年ほどで劣化して雨漏りの原因になることがあるので、点検は定期的に行いましょう。
セメント系
セメント系の瓦は、塗膜が経年劣化しやすく、防水性や耐久性が低いので、10〜15年ごとの塗り替えが必要です。メンテナンスを放置すると美観が損なわれるだけでなく、ひび割れなどの劣化症状が進行し、原状回復できない恐れがあります。また表面が粗く、コケやカビが生えやすいため、点検を早めに行う心がけが必要です。
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スレート瓦
スレート瓦はセメントを主成分とした平板状の屋根材であり、軽量で薄いため、劣化スピードも早い傾向にあります。デザイン性と耐震性に優れていますが、耐衝撃性や断熱性が比較的低いため、築8~10年で塗り替えが必要です。
紫外線で劣化すると雨水を吸収するようになり、湿気を帯びてコケも繁殖します。メンテナンス時期を逃すとスレート自体が劣化し、塗装しても耐久性が蘇ることはありません。その場合は新しい屋根材に交換する必要があり、手間と費用がかかるので、手遅れになる前に対応しましょう。
金属系
金属系の瓦は防水性が高い一方でサビやすい性質があるため、定期的な点検と塗装が必要です。メンテナンスを怠るとサビが広がり、穴が開いて葺き替えが必要になる場合もあります。
特に雨や湿気の多い地域では、サビ防止の塗装が不可欠です。金属の表面を塗膜で覆うと、水分や酸素の接触を遮断できるため、サビの発生を抑えられます。 トタン製は5~8年、ガルバリウム鋼板製は15~20年ほどで塗り替えをしましょう。
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瓦を塗装するメリット
塗装によって住宅の寿命が上がり、美観を改善できる利点があります。住環境の向上に大きく関わるものなので、どのような利点があるかを把握しておきましょう。
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防水効果が高まる
防水効果のある塗料で塗ることで防水性能が向上し、雨漏りと湿気による被害の防止に役立ちます。瓦が雨水を吸収すると、サビが発生して穴があく可能性があります。サビを放置すると雨漏りにつながるため、定期的なメンテナンスが必要です。劣化する前に対応すれば、防水効果より長く保てます。塗装の頻度は素材によって異なるので、自宅の瓦の種類を確認しておきましょう。
耐久性が向上する
瓦を塗装すると紫外線や雨水などから瓦を保護できるため、耐久性が向上します。特に四季の変化が激しい日本では、耐候性を向上させるためにも塗装が重要です。塗膜で保護することで屋根材が長持ちし、材質の劣化を防げます。
瓦に小さな傷や亀裂などが生じた場合も、塗料で埋められます。塗膜で小さな傷がつきにくくなるので、屋根の寿命を延ばすことに繋がります。
好きな色に変えられる
瓦塗装は外観を美しくできるだけでなく、好きな色に変更できる利点もあります。住宅の雰囲気を一新したい、個性的な見た目に変えたいという場合に適した方法です。
外壁などとあわせて塗り替えれば、古くなった家も新築のように生まれ変わります。ただし、塗料によってカラーバリエーションが異なるので、好きな色がある場合は業者に相談しておきましょう。
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瓦を塗装するデメリット
瓦の塗装には利点がある一方で、注意点もあります。良い面だけでなく悪い面も把握した上で、慎重な判断をしましょう。
他の屋根材と比べてコストがかかる
瓦は塗装する前に高圧洗浄などの下地処理が必要になるため、他の屋根材と比べて費用や時間がかかります。下地処理をおろそかにすると仕上がりに影響するため、作業は省略できません。さらに瓦屋根は動きやすく、瓦同士で接触して塗膜がはがれた場合は再度塗り直す費用と手間がかかります。
DIYは危険なので自分で塗装できない
瓦の塗装は高所作業であり、プロでも対応が難しいため、素人がDIYで行うのは危険です。塗料自体は通販サイトやホームセンターなどで購入できるため、自分で塗ることも可能ですが、屋根の破損や落下などのリスクが伴います。
仕上がりにムラがあると、期待した効果が得られず、業者に塗り直してもらう場合は追加費用が必要です。高い効果や安全のためにも、最初から専門業者に依頼するのがおすすめです。
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瓦の塗装が必要な劣化症状
瓦を塗装する適切なタイミングは、劣化症状が現れたときです。以下の症状が現れたときは、早めにメンテナンスを検討しましょう。
色あせ
瓦の表面が色あせで変色している場合は、塗り替えるタイミングです。 紫外線や雨風にさらされると塗膜が弱まり、瓦表面の色があせてきます。劣化の初期症状なので経過観察でも問題はありませんが、美観を損なうため、なるべく早めに専門業者に点検してもらいましょう。
コケ・藻
コケや藻が発生している場合は、塗り直した方が良いでしょう。日当たりの悪い箇所や水はけが悪い箇所だと、コケや藻が発生しやすくなります。
コケや藻が発生するのは、防水性が失われているサインです。放置しておくと瓦内部にまで侵入して、ひび割れが発生しやすくなります。屋根全体の耐久性が低下するので、早急に対処しましょう。
チョーキング
チョーキングは、塗料に含まれる顔料などが粉状となって表面に現れる現象のことです。紫外線や雨などの自然環境による劣化が原因で起こるもので、放置すると塗膜が流れ落ち、瓦本体が剥き出しになってしまいます。 塗膜が剥がれると耐水性が低下し、雨漏りが起きやすいので、できるだけ早く対応しましょう。
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瓦の塗装にかかる費用の相場
工事にかかる費用は、塗料によって変動します。塗料にはウレタンから無機まで主に4つのグレードがあり、耐久性が高くなるほど費用は高くなります。
塗料の種類 | 耐用年数 | 平米単価 | 費用相場(30坪屋根面積80㎡) |
ウレタン | 5〜10年 | 1,700~2,500円 | 40〜45万円 |
シリコン | 7〜12年 | 2,300~3,500円 | 42〜50万円 |
フッ素 | 15〜20年 | 3,500~4,800円 | 55〜70万円 |
無機 | 20〜25年 | 4,300~5,500円 | 63〜80万円 |
ウレタンは初期費用を安く抑えられますが、耐用年数が短いため、メンテナンスコストがかかります。すぐに建て替える場合はウレタンでも良いですが、今後長く住む予定の場合は、フッ素や無機がおすすめです。
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瓦塗装で失敗しない業者の選び方
屋根瓦の塗装は難易度が高いため、業者選定を慎重に行う必要があります。信頼できる業者を選ぶために、押さえておくべき3つのポイントを紹介します。
関連記事:納得できる屋根修理業者の探し方とコツ|悪徳業者を見分ける方法も
同じ種類の瓦の塗装実績がある
業者を探すときは、ホームページに掲載されている施工実績を確認し、自宅と同じ瓦の施工実績があるかをチェックしましょう。瓦の種類によっては施工実績がない、または対応していない場合があります。
経験や知識が乏しい業者だと、塗料選びを間違えたり適切な下地処理ができなかったりして、満足いく仕上がりになりません。実績豊富な業者であれば、不測の事態にも柔軟な対応ができ、イメージどおりの仕上がりを期待できます。
国家資格を持った職人が在籍している
塗装業は資格や許可がなくてもできる職種ですが、資格を持った職人がいることは、信頼できる業者を選ぶ際の一つの目安になります。
屋根塗装に求められる国家資格は「塗装技能士」です。塗装技能士には1級と2級があり、1級で7年以上、2級でも2年以上の実務経験がないと受験資格を得られません。資格を取得しているということは、実務経験のある職人がいるという証になります。
資格があるだけで優良業者といえるわけではありませんが、技術やモラルのない悪徳業者と見分ける際の参考になるでしょう。
点検や見積もりの内容が詳細で明確である
工事の見積もりを依頼した際に、細部まで調査してくれる業者であれば安心です。細かい部分も状態が分かる写真やビデオを撮ってくれる業者なら、契約後に追加工事が発生するリスクが少なく、スムーズに工事を終えられます。
また、見積もりに費用の内訳を詳しく記載している業者であれば、手抜き工事をされたり追加費用を請求されたりするトラブルを防止できます。しかし、「一式」などと費用をまとめて記載されている場合、各工程や単価がわからないため、適正単価なのかを判断できません。適正価格で工事をしてもらうためにも、単価や数量などを細かく明記した見積もりを出してくれる業者を選びましょう。
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瓦の塗装をして屋根の美観と機能性を高めよう
セメント系や金属系の瓦、スレート瓦は防水性や耐久性が低いので、定期的なメンテナンスが必要です。塗装によって屋根の美観が向上するとともに、防水効果と耐久性も高まって屋根材が長持ちします。色あせやコケなどの劣化症状が現れたら、早めにメンテナンスをしましょう。
自分でDIYで行うのは危険なので、専門業者に依頼するのが無難です。メンテナンスを依頼する際は、施工実績が豊富で、詳細な見積もりを提示してくれる業者を選びましょう。
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