外壁サイディングは、耐用年数30〜40年ほどの高い耐久性が特徴的ですが、長い年月とともに経年劣化はどうしても表れるため、定期的な補修やメンテナンスは不可欠です。
しかし、外壁の補修方法は多岐にわたるため、自宅のケースではどのような修理が必要なのか、そして費用はどの程度かかるのか分からない方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、外壁サイディングにおける劣化症状別の補修方法や費用相場などを徹底解説します。
DIYの注意点や補修手順も紹介していますので、サイディングの補修に備えたい方はぜひ最後までご覧ください。
外壁の塗り替え時期かも...
外壁材に関する詳しい解説はこちら
サイディング補修の必要性は?劣化を放置した場合のリスク
外壁サイディングは、紫外線や雨などの影響により、徐々に劣化が進行します。劣化症状や不具合を放置しておくとさまざまなリスクが生じるため、早めに補修が必要です。ここでは、劣化を放置するリスクと補修を行う必要性について解説します。
凍害
寒冷地域や湿気が溜まりやすい箇所では、外壁サイディングに凍害が生じることがあります。凍害とは、水分が凍結と膨張を繰り返すことで、外壁にひび割れなどが発生する症状です。見た目は小さなひび割れでも、隙間から水分が染み込み、建物の内部までダメージが及ぶ可能性があります。長期間放置するのは危険なので、ひび割れを見つけたら早めの補修が必要です。
雨漏り
ひび割れなどの劣化症状を放置すると、隙間から雨水が染み込み、雨漏りを引き起こす恐れがあります。一度雨漏りが発生すると、建物の骨組みから柱まで隅々の補修が必要となり、工事費用が高額になります。雨漏りや大規模な補修工事を防ぐには、劣化症状を見つけたときに早めの対処が必要です。劣化症状が軽い段階で補修をすれば、工事費用も安く抑えられます。
シロアリの発生
外壁の劣化症状から雨水が侵入すると、建物の内部の湿度が上がり、シロアリやカビが発生しやすくなります。シロアリによって柱の食害が進むと、建物の耐久性が下がり、地震が起きたときに大きな被害が発生する恐れがあります。また、カビの発生によってアレルギーなどの健康被害を引き起こす可能性もあるため、劣化症状を放置するのは危険です。
サイディングの落下
外壁は経年劣化とともに反りや隙間が生じます。反りや隙間を放置すると、釘やビスが打たれている箇所にまで被害が拡大し、サイディングの落下を引き起こします。強風や地震が生じたときに落下して、住人や通行人に被害が及ぶ可能性があるため、そのまま放置せずに早めの補修を行いましょう。
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外壁サイディングの補修方法および費用相場【一覧表】
外壁サイディングの主な補修方法と費用相場は以下のとおりです。
補修方法 | 施工内容 | 費用相場 | |
部分補修 |
ひび割れ補修 | サイディングのひび割れを専用の補修材で埋める | 1〜10万円/箇所 |
ねじの増し打ち | 反りかえったサイディングの上からねじを打ち込む | 1〜10万円/箇所 | |
部分張り替え | 劣化したサイディングボードだけを部分的に張り替える | 5〜6万円/枚 | |
シーリング補修 | 目地に使われているシーリング材の「打ち替え」または「増し打ち」 | 打ち替え:800〜1200円/㎡増し打ち:500〜1000円/㎡ | |
全面工事 |
外壁塗装 | 外壁の防水性を高めるため外壁全面に塗装を施すメンテナンス方法 | 70〜100万円/30坪 |
張り替え | 既存のサイディングを除去して新しい外壁材に張り替える | 200〜250万円/30坪 | |
カバー工法(重ね張り) | 既存のサイディングの上から新しい外壁材を重ね張りする | 120〜200万円/30坪 |
上記の費用は、外壁面積や劣化状況、住宅の条件や施工業者など、様々な要因によって変動するため、あくまで目安として参考にしてください。
なお、本記事ではひび割れやシーリングなどといった、劣化症状ごとに必要となる「部分補修」に焦点を当てて解説しています。
張り替えやカバー工法などの全面工事については、以下の記事で詳しく解説していますので、サイディング全体に工事が必要な場合はあわせてご覧ください。
関連記事:サイディング張り替え工事の費用相場は?必要な時期と業者の選び方を解説
【劣化症状別】外壁サイディングの補修方法
ここでは、外壁サイディングによくある5つの劣化症状と、それぞれに適した補修方法を解説します。
- サイディングのひび割れ・クラック
- サイディングの反り・浮き
- サイディングの欠け・凹凸
- 目地のひび割れ・切れ
- 塗膜の色あせ・チョーキング
劣化症状に応じた補修方法をしっかり理解して、早期の発見・対応ができるよう備えておきましょう。
サイディングのひび割れ・クラック【ひび割れ補修】
サイディングに部分的なひび割れ・クラックが生じた場合は、専用の補修材を用いて隙間を埋める「ひび割れ補修」を行いましょう。
ひび割れはその進行度によって「ヘアークラック」と「構造クラック」の2種類に分けられます。
- ヘアークラック:髪の毛のように細い幅0.3mm未満の軽微なひび割れ
- 構造クラック:外壁深くまで進行している幅0.3mm以上の深刻なひび割れ
構造クラックにまで進行すると、雨水が浸入して建物の構造まで影響する可能性があるため早急な対応が求められます。
なお、ひび割れの進行が激しく、劣化が複数箇所や広範囲に拡大している場合は、全面張り替えが必要になる可能性もあるため注意が必要です。
【ひび割れ・クラックの補修方法】
- 部分的なひび割れ:ひび割れ補修
- 広範囲のひび割れ:張り替えまたはカバー工法
関連記事:外壁のひび割れは危険信号!ひび割れ補修の方法と費用
サイディングの反り・浮き【ねじの増し打ち】
サイディングに部分的な反りや浮きが見られた場合、外壁材の上から新たにねじを打ち込む「ねじの増し打ち」での補修が必要です。
反りや浮きによって外壁に隙間ができると、そこから雨水が侵入し、建物内部まで雨漏りや腐食などの影響が出るおそれがあるため、なるべく早期の対応を心がけましょう。
ただし、反り・浮きが広範囲にわたる場合は、ねじの増し打ちだけでは対応できず、張り替えなどの全面工事が必要になる可能性があります。
【反り・浮きの補修方法】
- 部分的な反り:ねじの増し打ち
- 広範囲の反り:張り替えまたはカバー工法
サイディングの欠け・凹凸【部分張り替え】
サイディングに部分的な欠けや凹凸が見られた場合、劣化したボードだけを張り替える「部分張り替え」での補修が可能です。
サイディングの欠けや凹凸もひび割れや反りと同じように、欠けた箇所からの雨水侵入によって、外壁下地や建物構造まで劣化するリスクがあるため、被害を見つけたら速やかに補修を施しましょう。
ただし、劣化症状が一部であれば部分張り替えだけで対応可能ですが、複数箇所や外壁全体に広がっている場合は、張り替えなどの全面工事が必要になります。
【欠け・凹凸の補修方法】
- 部分的な欠け:部分張り替え
- 広範囲の欠け:張り替えまたはカバー工法
目地のひび割れ・切れ【シーリング補修】
サイディングの目地部分に使われるシーリング材に、部分的なひび割れや切れが見られた場合は「シーリング補修」が必要です。
劣化が進むとひび割れや切れた箇所から雨水が浸入し、建物内部まで影響をおよぼす可能性があるため、なるべく早期の補修を心がけましょう。
なお、シーリング補修方法には「打ち替え」と「増し打ち」の2種類があり、工事内容や費用がそれぞれ異なります。
シーリングの補修方法 | 工事内容 | 費用相場 |
打ち替え | 古いシーリング材を除去し、新しいシーリング材を充填する工法 | 800〜1200円/㎡ |
増し打ち | 古いシーリング材の上から、新しいシーリング材を充填する工法 | 500〜1000円/㎡ |
基本的には、防水性をしっかり回復させられる「打ち替え」が理想です。シーリング材の耐用年数は8〜10年ほどとされているため、外壁塗装と同時期に定期メンテナンスとして施工することをおすすめします。
「増し打ち」は安く補修できる反面、打ち替えよりも劣化が早い傾向にあり、かえってメンテナンスの手間やコストがかさむ可能性があるため注意が必要です。あくまで応急処置として考え、短期間だけ保てれば良い場合や、初期費用を抑えたい場合のみ検討しましょう。
塗膜の色あせ・チョーキング【外壁塗装】
サイディングの塗膜に色あせや、触ると粉が付着するチョーキングが見られる場合は、定期的なメンテナンスとして「外壁塗装」が必要になります。
色あせやチョーキングは、風雨や紫外線の影響を受けて、外壁の防水性や耐候性が低下しているサインです。放置すると、雨水を吸収することによる膨張と乾燥による収縮を繰り返し、結果的に反り・欠けやひび割れなどの劣化症状を引き起こします。
サイディングの場合は、8〜10年ごとの定期メンテナンスとして外壁塗装を行うことで、外壁の保護機能を回復させることが可能です。
美しい外観を維持するため、長く使い続けるために必要な、もっとも重要かつ基本的なメンテナンスですので、定期的な施工を忘れないようにしましょう。
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関連記事:サイディング塗装の費用相場はいくら?外壁塗装が必要な時期や塗料を解説
サイディングの種類に応じて耐用年数は変わる
外壁サイディングには主に4つの種類があり、種類に応じて耐用年数やメンテナンス時期は異なります。
サイディングの種類 | 耐用年数 | メンテナンス時期 |
窯業系サイディング | 40年 | 7〜8年 |
金属系サイディング | 40年 | 10〜15年 |
木質系サイディング | 15〜40年 | 5〜10年 |
樹脂系サイディング | 25〜30年 | 10年 |
まずは自宅の外壁に使われているサイディングの種類を確認し、メンテナンス周期を把握しましょう。劣化症状がなくても、メンテナンス時期を過ぎている場合は、業者に点検を依頼することをおすすめします。
外壁サイディングの種類や耐用年数について詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
外壁サイディングの4種類を徹底解説!耐用年数・費用相場と選び方を紹介
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サイディング補修は自分でできる?DIYをおすすめしない理由と注意点
外壁サイディングの補修は、軽度な劣化であればDIYも不可能ではありませんが、様々なリスクを伴うため基本的にはおすすめしません。
サイディング補修は見た目以上に難しく、材料の選定や施工方法に関する専門知識や技術が不可欠です。誤った施工をしてしまうと、劣化症状がさらに悪化したり、失敗をカバーするために余計な費用がかかったりする可能性も。
DIYで問題なく補修できたとしても、あくまで応急処置にしかならないため、数年のうちに専門業者による点検・補修が必要になる可能性が高い点にも注意が必要です。
また、脚立を用いた高所作業の場合は、転落事故や大怪我につながるリスクもあるため、高所作業に慣れていない方やDIYに少しでも不安がある方は、無理をせず専門業者に依頼することを強くおすすめします。
どうしてもDIYで補修したい場合は、以下2つの条件を満たしているかチェックし、安全に十分配慮しながら作業を進めましょう。
【DIYで補修可能な条件】
- 部分的かつ軽度の劣化症状であること
- 脚立などを用いた高所作業が必要ないこと
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関連記事:外壁塗装をDIYする方法とは?業者に依頼した方が良いケースや注意点を解説
DIY可能なサイディング補修の方法と手順
サイディング補修は、基本的に専門業者に依頼することをおすすめしますが、以下2つのような軽微な劣化症状であればDIYでも十分対応可能です。
- サイディングの0.3mm未満のひび割れ
- 目地・シーリング材の細かいひび割れ
ただし、上述したDIYの注意点や条件をしっかり理解して、かならず無理のない範囲で行いましょう。
関連記事:外壁クラックの補修方法3選!費用を安く抑えるコツを紹介
外壁サイディングの0.3mm未満のひび割れ
ひび割れの中でも「ヘアークラック」と呼ばれる幅0.3mm未満のひび割れであれば、DIYでも対応可能です。
ただし、幅0.3mm以上におよぶ「構造クラック」の場合は、外壁深くまでひび割れが進行している可能性が高く、DIYでの補修は困難なため専門業者へ依頼することを推奨します。
ひび割れ補修のDIYに必要なもの、補修手順は以下のとおりです。
【必要なもの】
- 軍手
- ヘラ
- ブラシ
- 建築用マスキングテープ
- コーキングガン
- シーリング材(ノンブリードタイプ)
【補修手順】
- ブラシを用いてひび割れ箇所に付着している汚れを落とす
- 補修するひび割れの周りに建築用マスキングテープを貼る
- コーキングガンを用いてシーリング材をひび割れに充填する
- ヘラを用いて充填したシーリング材が外壁に馴染むように均す
- シーリング材が乾燥した後、マスキングテープを剥がして完了
目地・シーリング材の細いひび割れ
サイディングの目地に使われているシーリング材に生じたひび割れは、部分的かつ細く入った軽度のひび割れであればDIYでも対応可能です。
ただし、ひび割れがあまりに多い場合や、目地が完全に切れてしまっている場合は、DIYでの補修は難しいため専門業者に依頼することをおすすめします。
シーリング補修のDIYに必要なもの、補修手順は以下のとおりです。
【必要なもの】
- 軍手
- ヘラ
- ブラシ
- 建築用マスキングテープ
- コーキングガン
- プライマー(下塗り材)
- シーリング材(ノンブリードタイプ)
【補修手順】
- ブラシを用いて目地に付着している汚れを落とす
- 補修する目地の周りに建築用マスキングテープを貼る
- 補修箇所にプライマーを塗り、30〜40分ほど乾燥させる
- コーキングガンを用いてシーリング材を古い目地の上から打つ
- ヘラを用いて充填したシーリング材が外壁に馴染むように均す
- シーリング材が乾燥した後、マスキングテープを剥がして完了
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サイディング補修ができる業者の選び方
サイディング補修に対応している業者は数が多いため、どの業者を選べば良いか迷うこともあるでしょう。業者の選び方を間違えると、施工不良などのトラブルを招く恐れがあるため、慎重な判断が必要です。ここでは、業者を選ぶときに押さえておくべき3つのポイントを紹介します。
補修実績の多い業者を選ぶ
サイディング補修は専門知識と技術が必要なため、必ずホームページを確認して、施工実績の多い業者に依頼しましょう。補修実績の乏しい業者や専門外の業者に依頼すると、工事完了後すぐにトラブルが生じる可能性があります。
過去の実績が多い業者であれば、技術力だけでなく提案力も備わっているため、依頼者一人ひとりに適した工事を提案してくれます。工事内容について質問したときに、丁寧にわかりやすく教えてくれる業者であれば安心です。
保証やアフターフォローの有無を確認する
工事完了後の施工不良が生じた場合に備えて、保証やアフターフォローの有無を確認しておきましょう。補修実績の多い業者であっても、施工不良が起きる可能性はゼロではありません。保証やアフターフォローの手厚い業者であれば、工事後にトラブルが生じたときも速やかに対応してくれます。ただし、保証期間や保証の範囲は業者によって異なるので、詳細まできちんと確認しておきましょう。
相見積もりをして価格やサービス内容を比較する
業者を選ぶときは、必ず3〜4社から相見積もりを取りましょう。最初から一社に絞って決めてしまうと、その業者が提示する見積もり金額が高いのか安いのかわかりません。相見積もりを取ることで、工事費用の相場がわかり、冷静な判断がしやすくなります。相見積もりをするときは、価格だけではなく、サービス内容や担当者との相性もチェックして、安心して工事を依頼できる業者を選びましょう。
外壁の塗り替え時期かも...
サイディングの補修では劣化症状ごとに適した工事を行おう
本記事では、外壁サイディングにおける劣化症状別の補修方法や費用、DIYの注意点や補修手順などを解説しました。
サイディングの補修方法や費用は、外壁面積や劣化状況など様々な要因によって変わるため、まずは自宅のケースでの見積もりを取得して工事のイメージをつかむことが重要です。
適切なメンテナンスや補修方法を理解し、劣化症状の早期発見・対応を心がけることで、安心して過ごせる住環境を守りましょう。
なおサイディングにおいて優良の会社を選びたい方は「外壁塗装の窓口」の利用がおすすめです。
厳しい審査をクリアした全国5,000社以上の優良店の中から、依頼者の希望に沿った施工店を無料で紹介。また契約前から施工後まで、経験豊富なアドバイザーによる一貫したサポートを無料で提供しています。
サイディングのような塗装以外のリフォームも依頼可能となっているので、是非お気軽にご相談ください。
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