自宅を新築、または外壁の張り替え工事を依頼する際には、どの外壁材を選ぶか迷うこともあるでしょう。一般的な戸建てで使われる外壁材としては、主にサイディングやモルタル、タイルなどが挙げられますが、どれを選ぶかによって見た目や機能性・耐久性が異なり、費用相場も変動します。
そこで本記事では、外壁材として使われる主な7種類について、それぞれのメリット・デメリットや特徴とともに解説します。外壁材に迷った時の選び方や相談先についても紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
外壁工事全般に関する詳しい解説はコチラ
外壁の塗り替え時期かも...
外壁材の7つの種類
続いて、家の外壁に使われる7種類の外壁材について、それぞれの特徴とともに解説します。自宅に合った外壁材を選ぶ時の参考として、ぜひ役立ててください。
外壁材の種類 | 費用相場 | 耐用年数 | メンテナンス頻度 |
窯業系サイディング | 3,500~5,000円 | 40年 | 7〜8年 |
金属系サイディング | 4,000~6,000円 | 40年 | 10~15年 |
樹脂系サイディング | 6,000~9,000円 | 25〜30年 | 10年 |
木質系サイディング | 6,000~8,000円 | 15〜40年 | 5〜10年 |
モルタル | 1,500~4,000円 | 30年以上 | 5~10年 |
ALCボード | 7,000~15,000円 | 60年以上 | 10~15年 |
タイル | 7,000~9,000円 | 20~30年 | 10~15年 |
これらの7種類の外壁材について、順番にご紹介します。
窯業系サイディング
窯業系(ようぎょうけい)サイディングとは、セメントと木質系の繊維を混ぜたものを、窯を使って高温で焼き上げることによって作られる外壁材です。日本の住宅の外壁材としてはトップクラスのシェアを誇り、各メーカーからさまざまなデザインの窯業系サイディングが販売されています。サイディングボードの中では最も費用相場が安く、コストパフォーマンスに優れるため高い人気を誇ります。
ただし外壁材の中では耐用年数がやや短く、こまめな手入れが必要になることに注意しましょう。定期的に外壁塗装を実施することにより、寿命を延ばして長く使い続けることが可能です。
関連記事:窯業系サイディングとは?種類やおすすめのケース、価格の相場を紹介
金属系サイディング
金属系サイディングは、アルミニウムやガルバリウム鋼板といった金属素材で作られた外壁材で、ほかの外壁材と比較すると非常に軽量な点が特徴です。建物に負担をかけず耐震性に優れているため、外壁の張り替えやカバー工法で用いられることも多いです。耐用年数が長く風雨や衝撃にも強いことから、長期的なメンテナンスコストを抑えられる外壁材でもあります。
デメリットとしては、金属製のためサビが発生することが挙げられます。金属の質感を活かしたシンプルなデザインが多いため、家の外壁にこだわりたい方には不向きです。
関連記事:金属サイディングのメリット・デメリットとは?後悔しない業者選びのコツも解説
樹脂系サイディング
樹脂系サイディングは、非常に軽量で寿命が長く、軽量な外壁材です。再塗装が不要で長期的なメンテナンスコストを抑えることが可能で、外壁の継ぎ目のシーリングも不要なのでほとんど劣化しにくいのが特徴です。日本ではあまり普及していませんが、アメリカをはじめとする海外では主流の外壁材の一つです。
一方で樹脂系サイディングには、価格が非常に高価であり、耐火性に劣るというデメリットがあります。カラーバリエーションが少なくデザイン性に難があることに加え、見た目の質感がプラスチックっぽく感じるものが多く、外観にこだわりたい方には不向きです。
外壁の塗り替え時期かも...
関連記事:樹脂系サイディングの塗装で後悔しない!価格や種類、メーカーを比較解説
木質系サイディング
木質系サイディングは、天然の木材に塗装や不燃処理を施すことで耐久性を高めた外壁材です。ほかの外壁材にはない木の温もりを感じられるのが大きなメリットで、日本の家屋では古くから愛用されてきました。費用相場は非常に高額であり、取り扱うメーカーも少ないですが、国内でも根強い支持を集めています。
木材を使用した外壁材であることから、湿気に弱く腐食を起こしやすいことから、こまめなメンテナンスが欠かせません。定期的な外壁塗装を行わなければ、すぐに劣化が進んでしまうでしょう。
関連記事:木質系サイディングの種類・価格は?メンテナンス頻度やおすすめメーカーを紹介
モルタル
モルタル外壁は、窯業系サイディングに次いで高いシェアを誇る外壁材であり、セメント・石灰・砂などが原料です。職人による塗り方によって個性的なデザインを実現することが可能なので、近年の新築物件にも取り入れるケースは珍しくありません。外壁の継ぎ目がないので凹凸のある外壁にも使用しやすく、ほかの外壁材と比べて費用相場が安くなっていることもメリットです。
しかしモルタル外壁が劣化すると、手で触った時に白い粉がつくチョーキング現象が起こりやすく、ひび割れしやすい性質を持っているため、定期的なメンテナンスが欠かせません。
関連記事:モルタル外壁の特徴・メリットを解説!メンテナンスが必要な劣化症状とは
ALCボード
ALCボードは、軽量気泡コンクリートとも呼ばれ、コンクリートに気泡を含ませることで軽量化を実現した外壁材です。コンクリートの強度を保ちながらも建物に負担をかけない重量の外壁材であり、断熱性や防火性、遮音性にも優れる性質を持ちます。
ただしALCボードは防水性を持たないため、定期的な再塗装によって表面の防水機能を保つ必要があります。パネル式の外壁材なので継ぎ目が多く発生し、定期的にシーリングを含めたメンテナンスが必要になる点にも注意しましょう。メンテナンスを怠ってしまうと、チョーキング現象やひび割れを起こしやすくなってしまいます。
関連記事:ALCパネルとは?外壁材に用いるメリット・デメリットと費用相場を解説
タイル
タイルを使った外壁材は、経年劣化が少なくメンテナンスコストもかからない外壁材です。外壁塗装も不要で耐用年数が非常に長くなるほか、個性的なデザインや高級感あるデザインを実現できるのも魅力です。
一方で、タイルは初期費用がかなり高額で、ほかの外壁材の2倍近い見積もり金額になるケースもあります。タイル自体の耐久性は高いですが、目地となるシーリングは定期的な手入れが必要な点や、タイルが剥落してしまうリスクもある点に注意しなければなりません。
関連記事:外壁タイルの特徴とメリット・デメリットを解説!種類・サイズの選び方も
外壁の塗り替え時期かも...
自宅に最適な外壁材の選び方
家の外壁に使用できる外壁材にはさまざまな種類があり、各メーカーも豊富なデザインの外壁材を販売しているため、どのように選べば良いか迷ってしまうことも多いでしょう。ここでは自宅に最適な外壁材の選び方について、下記の4つの観点から解説します。
- 外壁材の費用相場から選ぶ
- 外壁材の耐久性・メンテナンス性で選ぶ
- 外壁材の断熱・遮熱性能で選ぶ
- 外壁材のデザインで選ぶ
それぞれ具体的にご紹介しましょう。
外壁材の費用相場から選ぶ
外壁材は種類によって費用相場が異なり、予算に合わせて使用する外壁材を選ぶのも一つの方法です。最も安価な外壁材はモルタル外壁で、次いで窯業系サイディング・金属系サイディングと続きます。樹脂系サイディングやタイルは外壁材の中でもやや割高、最も高価になるのがALCボードです。
ただし外壁材は、初期費用が安いものほどこまめなメンテナンスが必要になり、長期的なコストが膨らみやすい傾向にあります。樹脂系サイディングやタイルのようにメンテナンスの頻度を最小限に抑えられる外壁材であれば、手入れにかかる費用・手間を節約することが可能です。そのため初期費用だけで決めるのではなく、長期的なメンテナンスコストも考慮しながら、外壁材を選択するのが大切です。
外壁材の耐久性・メンテナンス性で選ぶ
外壁材の耐久性は、窯業系サイディングとモルタル外壁がやや低めで、樹脂系サイディングやタイル、ALCボードがやや高めとなっています。いずれも定期的な再塗装やシーリングなどのメンテナンスが必要であり、メンテナンスが一切不要な外壁材は存在しません。
外壁材の性質からメンテナンス性に優れているのは、金属系サイディングやタイル、ALCボードが挙げられます。外壁塗装の頻度をなるべく減らしたい場合には、これらの外壁材から選ぶと良いでしょう。
外壁材の断熱・遮熱性能で選ぶ
電気代を抑えて快適な住宅を実現するため、断熱・遮熱性能を重視して外壁材を選ぶのも有効です。特に断熱性能が優れているのはALCボードで、コンクリートに気泡を含んでいることから、高い省エネ性能も期待できます。金属系サイディングも高い断熱性を備えており、機能性と価格のバランスを考えて金属系サイディングを選ぶ方も少なくありません。
なお、外壁の断熱性能は、断熱・遮熱機能が備わった塗料を使用することにより、後から高めることも可能です。
関連記事:外壁塗装の耐用年数は10〜20年が限度!寿命を延ばすコツや劣化症状を解説
外壁材のデザインで選ぶ
外壁材のデザインを重視して選ぶのであれば、窯業系サイディングが最適です。国内でもトップクラスのシェアを誇る窯業系サイディングは、各メーカーが豊富なデザインを販売しているため、デザインに困ることはないでしょう。
シンプルなデザインやスタイリッシュな見た目を好む方向けには、金属系サイディングもおすすめです。色や柄の選択肢は狭いですが、金属特有の質感を持った外壁を実現することが可能です。個性的な外壁デザインの家を作りたい場合、モルタルを使って自由なデザインを叶えるのも良いでしょう。
外壁の塗り替え時期かも...
外壁材を選ぶときの注意点
外壁材はどれを選ぶかによって、住宅の快適性や見た目の雰囲気が変わります。施工してから後悔しないように、ここで外壁材を選ぶときの注意点を確認しておきましょう。
職人の技術力によって耐用年数が変わる場合がある
外壁材の中には、職人の技術力によって仕上がりや耐用年数が変わるものがあります。例えば、モルタルは職人の技術力に左右されやすく、腕の良い職人に依頼しないと耐用年数が下がる恐れがあります。高いデザイン性を求めるならモルタルがおすすめですが、職人の熟練度によって仕上がりが変わる点に注意が必要です。職人の技術力に左右されたくないなら、施工方法がシンプルな窯業系サイディングを選ぶと良いでしょう。
気候・地域特性との相性を確認する
外壁材を選ぶときは、居住地域の気候や地域特性に合うかどうかを考えましょう。海に近い地域であれば塩害に強い外壁材、雪の多い地域であれば耐雪性の高い外壁材が求められます。住んでいる地域に合わない外壁材を選んでしまうと、すぐに劣化してしまい、メンテナンスコストが高くなる可能性があります。外壁材選びで失敗したくないなら、立地条件との相性を事前に確認しておきましょう。
近隣の家や景色に馴染まない可能性がある
外壁のデザインにこだわりすぎると、周りとの景観に馴染まず、悪目立ちする可能性があります。一軒だけ派手な色や奇抜なデザインの外壁材を選ぶと、近隣からクレームがくるかもしれません。近隣とのトラブルを避けるには、周囲の家や景色との相性を考慮することが大切です。自分の好みだけを優先するのではなく、街の雰囲気や景色に馴染むかどうかも考えながら選びましょう。
外壁の塗り替え時期かも...
外壁材の選び方に迷ったときの対処法
外壁材は種類が多いため、どれを選ぼうか迷いがちです。ここでは、外壁材選びに迷ったときの対処法を3つ紹介します。
予算や重視するポイントを明確にする
外壁材を選ぶ前に予算を決めましょう。外壁材はそれぞれ価格が異なりますが、あらかじめ予算を決めておけば、予算内で最適な選択ができます。予算に加えて、重視するポイントを明確にしておくと、選択肢を絞りやすくなります。耐久性やデザイン性など、何を重視するかによって適した外壁材は異なるので、優先順位を決めておきましょう。
専門業者に相談をする
自宅の外壁材を正確に知りたい場合や、修理・交換のために新たな外壁材への張り替え工事を検討している場合には、専門知識を持った業者に相談してみるのが確実です。外壁の劣化や再塗装などの悩みについて、塗装業者やリフォーム業者に問い合わせることにより、最適な工事プランを提示してもらえるからです。
ただし訪問営業の外壁塗装業者で即決するのは避け、1社だけではなく2社〜3社以上の業者に連絡して見積もりを取るようにしましょう。複数の業者からの見積もりを取り、提示金額や対応の質を比較すれば信頼できる業者選びにも役立つので、ぜひ実践してみてください。
なお外壁材に迷ったら、「外壁塗装の窓口」の利用がおすすめです。
厳しい審査をクリアした全国5,000社以上の優良店の中から、依頼者の希望に沿った施工店を無料で紹介。また契約前から施工後まで、経験豊富なアドバイザーによる一貫したサポートを無料で提供しています。是非お気軽にご相談ください。
外壁の塗り替え時期かも...
こだわりがなければ窯業系サイディングがおすすめ
自宅の外壁材でどれを選べば良いか迷った時には、一番人気の「窯業系サイディング」を選ぶのがおすすめです。窯業系サイディングは、サイディングボードと呼ばれる種類の中でもデザインが豊富で相場が安く、日本の住宅で最も使われている外壁材です。
自宅のデザインを優先したい場合にも、コストパフォーマンスに優れた外壁材を選びたい場合にも適しているので、種類が多すぎて外壁材を選べない場合には、窯業系サイディングを選択すると良いでしょう。
外壁の塗り替え時期かも...
外壁材の種類は大きく7種類!おすすめは窯業系だが、用途に応じた選び方を
外壁材の種類には、主に以下の7つが存在します。
- 窯業系サイディング
- 金属系サイディング
- 樹脂系サイディング
- 木質系サイディング
- モルタル
- ALCボード
- タイル
それぞれメリット・デメリットや費用相場は異なり、メンテナンス性も外壁材ごとに変わってきます。自宅に合った外壁材を選びたい場合には、専門業者に相談しながら決めると良いでしょう。本記事で解説してきた外壁材の特徴や選び方を参考にしながら、理想の外壁を叶えてみてください。
外壁の塗り替え時期かも...