木造外壁の塗装は、外壁の見た目を美しく保つだけでなく、耐久性を高めて長く使い続けるためにも重要なメンテナンス作業です。
しかし、使用する塗料や木造外壁そのものの特徴をまったく知らず、業者への依頼に不安を抱えている方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、木造外壁の基礎知識や塗装の必要性、塗料の種類や費用相場などについて解説します。
具体的な施工手順やDIYについても紹介していますので、木造外壁の導入や塗装を検討している方はぜひ最後までご覧ください。
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木造外壁(板張り外壁)とは?特徴や塗装が必要な理由を解説
木造外壁とは、名前のとおり木材を主材料としてつくられる外壁のことです。
スギ・ヒノキ・カラマツなどの天然木材を「羽目板」や「木質系サイディング」として加工し、外壁下地に張り付けるため、別名「板張り外壁」とも呼ばれています。
以下からは、木造外壁の基礎知識として、以下2つの内容を見ていきましょう。
- 外壁を木造にするメリット・デメリット
- 木造外壁における塗装メンテナンスの必要性
外壁を木造にするメリット・デメリット
外壁を木造にするメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | ・木造ならではのおしゃれで温かみのある雰囲気を感じられる ・素材・張り方や経年変化によって個性的なデザインを楽しめる ・優れた断熱性・調湿性で快適な住環境に整えられる ・部分的なメンテナンス・張り替えがしやすい ・無垢材を用いるため廃盤になる心配がない |
デメリット | ・その他の外壁材と比べて初期費用が高い ・その他の外壁材と比べて頻繁なメンテナンスが必要 ・高温多湿に弱く腐食・カビ・シロアリの発生リスクがある ・直射日光・紫外線によって変形・変色を起こしやすい ・高い技術力を要するため施工できる業者が限られる |
外壁を木造にする最大のメリットは、その高いデザイン性です。木造ならではのナチュラルな雰囲気や、素材・張り方、経年変化などによって他にはない個性的なデザインを楽しめます。
また、木材は一枚ごとに張り付けられるため、部分的な張り替えが簡単なことも大きなメリットです。無垢材を使用しており、その他外壁材のように廃盤になることがないため、張り替え時に同じ素材を入手できない心配もありません。
一方デメリットとしては、他の外壁材と比べて初期費用が高いことや、高温多湿・紫外線などの影響を受けて劣化しやすい点などが挙げられます。
経年劣化を「味」として楽しめる方であれば、見た目に大きな問題はありませんが、長期的に放置しているとカビや腐食、シロアリなどが発生する恐れもあるため注意が必要です。
木造外壁における塗装メンテナンスの必要性
デメリットでも述べたように、木造外壁は高温多湿や紫外線に弱く、劣化やトラブルが発生しやすい性質を持っています。
中でも外壁の見た目や耐久性に大きな影響を与えるのが、以下2つの症状です。
- 木材のカビ・腐食
- シロアリなどの虫害
上記の2つは木造外壁ならではの劣化症状ですが、これらのリスクは「防腐性」や「防虫性」などの機能が付加された塗料を用いて塗装することで防止可能です。
具体的には、約3〜5年に1回の周期で外壁塗装を行いましょう。塗装の耐用年数は通常10年ほどですが、劣化が早い木造外壁の場合は、本来の耐用年数よりも短い周期での塗装メンテナンスが必要です。
なお、木造外壁の寿命は平均20〜30年ほどとされていますが、適切にメンテナンスを行うことで40〜50年以上使い続けられるケースもあります。
外観の美しさと耐久性を維持し、外壁そのものの耐用年数を延ばすためにも、3〜5年ごとのこまめなメンテナンスを心がけましょう。
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木造外壁の塗装に使われる塗料2種類
木造外壁の塗装に使用される塗料は、大きく分けて以下の2種類があります。
- 造膜型塗料
- 浸透型塗料
それぞれ大きく異なる特徴を持っており、どちらにも良い点・悪い点の両方があるため、以下を参考に自分の希望に適した塗料を選びましょう。
関連記事:外壁塗装の塗料4種類の選び方を解説!相場・耐用年数から最適な塗料を選ぼう
造膜型塗料
造膜型塗料は、木材表面を塗膜で覆い、外側から保護するタイプの塗料です。
優れた耐久性・防水・防腐性により、外部からのダメージを効果的に防げるため、浸透型塗料と比べて塗り替えの頻度や手間を抑えられるのが特徴。
ただし、塗膜で覆うことにより、木材ならではの質感が失われ、調湿機能もやや低下してしまう点に注意が必要です。また、木材の伸縮に対応できず、割れ・剥がれ・膨れなどの塗膜劣化も起こりやすくなります。
以上のことから、造膜型塗料は木材の見た目や質感よりも、機能性を重視する方やメンテナンスの手間を減らしたい方におすすめです。
なお、具体的な造膜型塗料としては、たとえば以下のような塗料が挙げられます。
木造外壁の塗装に使われる造膜型塗料 | |
合成塗料 | アクリル樹脂塗料 ウレタン樹脂塗料 フタル酸樹脂塗料 油性調合ペイント(OP) 合成樹脂調合ペイント(SOP) |
天然塗料 | 漆・カシュー塗料 セラミック樹脂塗料 自然塗料 |
浸透型塗料
浸透型塗料は、木材に浸透させて内側から保護するタイプで、いわゆる「ステイン」と呼ばれる塗料です。
塗膜をつくらないため、割れ・剥がれ・膨れなどの塗膜劣化がなく、木材ならではの質感や機能をそのまま残せることが大きな特徴。
ただ、撥水性や防カビ・防腐性は備えているものの、防水性や耐久性は造膜型塗料にやや劣るため、比較的高頻度での塗装メンテナンスが必要です。
以上のことから、浸透型塗料は木材の質感やデザインにこだわりたい方や、こまめなメンテナンスが苦にならない方に適しています。
なお、具体的な浸透型塗料としては、たとえば以下のような塗料が挙げられます。
木造外壁の塗装に使われる浸透型塗料 | |
合成塗料 | 木材保護着色塗料 |
天然塗料 | 柿渋自然塗料 |
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木造外壁の塗装にかかる費用相場
木造外壁の塗装にかかる平米単価および、30坪ほどの一般的な住宅での費用相場は以下のとおりです。
- 1㎡あたりの平米単価:約6,000〜12,000円
- 一般的な住宅(30坪)の費用:約60〜120万円
この金額は、足場代から工事・人件費、材料費・諸経費などをすべて含めた費用となります。
外壁の劣化状況や使用する塗料、塗装面積や付帯部の有無、施工方法や依頼する業者など、条件次第で大きく変動するため上記金額はあくまで目安です。
自宅の外壁塗装にかかる費用を正確に把握したい場合は、3社以上の複数業者から相見積もりを取得し、実際にかかる料金の相場感をつかみましょう。
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なお、外壁塗装の費用については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。費用の内訳や平米単価などを知りたい方は、あわせて参考にしてください。
関連記事:【2024年版】外壁塗装の費用相場はいくら?10坪〜100坪の適正価格と安く抑えるコツ
木造外壁の塗装タイミングと施工手順
木造外壁の美観と耐久性を長く保つには、適切な塗装メンテナンスを行うことが大切です。
ここからは、木造外壁の塗装を実際に依頼するにあたって、かならず知っておくべき以下の2点について詳しく見ていきましょう。
- 木造外壁の塗り替えが必要なサイン
- 木造外壁に塗装する際の施工手順
関連記事:外壁劣化の原因は?主なサイン・種類と補修方法を解説
木造外壁の塗り替えが必要なサイン
木造外壁の塗装は、通常3〜5年に1回の周期で行いますが、以下のような劣化症状が見られた場合は、時期にかかわらず早急に対応する必要があります。
【木造外壁の塗り替えサイン】
- 塗膜の割れ・剥がれ・膨れ
- 塗膜の変色・チョーキング現象
- シーリング材(目地)のひび割れ
- 外壁材の浮き・割れなどの変形
- 外壁材の腐食・カビ・シロアリの発生
これらは木造外壁において、高温多湿や紫外線の影響を受けて起こる代表的な劣化症状です。
塗膜・シーリングの劣化や外壁材の変形を放置していると、そこから雨水の侵入を許し、カビや腐食の原因となり、シロアリが好む環境をつくってしまいます。
腐食の進行やシロアリの発生状況によっては「外壁の倒壊」という最悪の事態につながる可能性も。上記のような塗り替えサインを見つけた場合は、放置せずになるべく早めに対応しましょう。
木造外壁に塗装する際の施工手順
木造外壁の塗装を依頼する際には、業者に丸投げするのではなく、自分でも工程やスケジュールを把握しておくことが大切です。
適切な工程、無理のないスケジュールが組まれているかどうかを、見積もりや打ち合わせの段階で見抜ければ、手抜き工事や悪徳業者に騙されて損することはなくなります。
木造外壁を塗装する際の作業工程、およびスケジュールは以下のとおりです。
工程順 | 施工内容 | 施工スケジュール |
1 | 足場仮設 | 1日目 |
2 | 高圧洗浄 | 2〜3日目 |
3 | 下地調整(塗料除去・補修など) | 4〜5日目 |
4 | 養生 | 5日目 |
5 | 下塗り | 6日目 |
6 | 中塗り | 7日目 |
7 | 上塗り | 8日目 |
8 | 完了検査(最終チェック) | 9日目 |
9 | 足場の撤去・引き渡し | 10日目 |
外壁塗装の施工手順は、木造かどうかにかかわらず基本的に約1〜2週間ほどかかります。
ただし、外壁の劣化状況や塗装面積、使用する塗料や施行日の気温・湿度などによっても、施工内容やスケジュールは変動するため、上記あくまで目安として参考にしてください。
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関連記事:外壁塗装工程を一覧で紹介!手順や日数、注意点を詳しく解説
【DIY】木造外壁の塗装は自分でできる?
結論、木造外壁の塗装をDIYで行うことは基本的におすすめしません。
浸透型塗料を用いた塗装作業だけであればDIYも可能ですが、外壁塗装には塗料を塗る以外にも様々な工程があり、専門的な知識や技術が不可欠です。
万が一、施工時にミスや失敗があった場合には、塗装の見た目や保護性能が低下したり、リカバリーとしてさらなる費用がかかったりする可能性も考えられます。
また、慣れない作業による事故や怪我の危険性があることはもちろん、週末などの限られた作業時間で施工する場合は、工事が大幅に長期化する可能性も。
【一般的な住宅(30坪)での費用相場】
- DIYでの費用相場:約30〜50万円
- 業者に依頼した場合:約60〜120万円
費用に関しても、DIYであれば業者に依頼するより半額ほど安く済みますが、作業にかかる手間や時間、事故や失敗のリスクなどを考えると、決してコストパフォーマンスが良いとは言えないのが実情です。
以上のことから「どうしてもDIYで塗装したい!」という方以外は、安全性やクオリティを考慮して専門業者に任せることを強くおすすめします。
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関連記事:【2024年版】外壁塗装の費用相場はいくら?10坪〜100坪の適正価格と安く抑えるコツ
木造外壁の特徴や塗装方法を理解して適切な施工を
本記事では、木造外壁の基礎知識や塗装メンテナンスの必要性、塗料の種類や費用相場、施工手順やDIYなどについて解説しました。
木造外壁の塗装は、外観を美しく保つだけでなく、腐食やカビ、シロアリなどの劣化症状から守るためにも欠かせない作業です。
外壁材や塗料の特徴をしっかりと理解し、適切な工程・タイミングで施工を行うことで、おしゃれで味のある見た目、そして快適な住環境を守りましょう。
なお、DIYでの塗装は費用を約半分に抑えられる反面、多くの手間やリスクを伴うため、知識や経験がない場合はプロの業者に依頼することをおすすめします。