2024-11-07 05:10:30 更新

外壁塗装の「中塗り」とは?上塗りとの違いや乾燥時間、費用相場まで解説

外壁塗装の「中塗り」とは?上塗りとの違いや乾燥時間、費用相場まで解説
編集者プロフィール
輿石 雅志
1972年生まれ。早稲田大学理工学部応用化学科卒業。40万人以上の方が利用している国内最大級のマッチングプラットフォームを提供する外壁塗装に特化した無料相談サイト「外壁塗装の窓口」を運営。著書に「マイホームの外壁塗装 完全成功読本」(幻冬舎出版)。
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外壁塗装の「中塗り」とは、下塗り後・上塗り前に行う塗装工程です。

塗装の耐久性・保護性能や仕上がりの美しさを左右する非常に重要な工程ですが、その役割や必要性、作業工程などについて詳しく知らない方も多いのではないでしょうか?

そこで本記事では、外壁塗装における中塗りの必要性や下塗り・上塗りとの違い、作業工程や乾燥時間などを詳しく解説します。

記事後半では、中塗りに用いる塗料の種類や費用相場も紹介していますので、自宅の外壁塗装を検討している方はぜひ参考にしてください。

目次閉じる

外壁塗装の「中塗り」とは?下塗り・上塗りとの違いは?

省略NG!外壁塗装に中塗りが欠かせない3つの理由

1日で終わる?中塗りの作業工程と乾燥時間

中塗りに用いる塗料の種類と費用相場

中塗りは外壁塗装の仕上がりを左右する重要な工程

外壁塗装の「中塗り」とは?下塗り・上塗りとの違いは?

外壁塗装は通常、以下3段階の工程に分けて行います。

  1. 下塗り
  2. 中塗り
  3. 上塗り

名前からも分かるように「中塗り」とは、下塗りと上塗りの間に行う塗装作業のことです。

主に塗装面のムラや凸凹を均一に整えたり、塗料の耐久性・密着性を高めたりなど、より高品質な上塗り(仕上げ)にするためのサポート的な役割を持っています。

なお、中塗りと上塗りは基本的に同じ塗料が使われるため、塗装業者の見積もりなどでは、中塗りを「上塗り1回目」、上塗りを「上塗り2回目」と表現されることが多いです。

以下からは、中塗りと「下塗り」「上塗り」の違いについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

中塗りと「下塗り」の違い

中塗りと下塗りのもっとも大きな違いは、その役割にあります。中塗りは高品質な仕上がりのための補助役なのに対し、下塗りは外壁と中塗り・上塗り塗料を密着させる接着剤のような役割を持っています。

下塗りを省略すると、外壁に塗料がしっかり密着せず塗装が剥がれやすくなったり、中塗り・上塗り塗料が外壁に吸い込まれてムラができたりしてしまうため注意が必要です。

また、役割の違いに伴って使用する塗料も中塗り・上塗りとは異なり、外壁の状態や材質によって「シーラー」「プライマー」「フィラー」といった下塗り材が使い分けられます。

下塗りの重要性や塗料については、以下の記事でさらに詳しく解説していますので、気になる方はあわせてご覧ください。

関連記事:外壁塗装で下塗りは不可欠!下塗りの重要性と役割、作業手順を解説

中塗りと「上塗り」の違い

上塗りは、外壁塗装の仕上げとして最後に行う工程です。中塗りが上塗りをサポートする役割なのに対し、上塗りは外壁の最表面に施す塗装のため、見た目を決定づけたり、外壁を雨や紫外線から保護したりなどの重要な役割を持っています。

上塗りが施されなかったり手抜きだったりすると、塗りムラが出て外観が悪くなるのはもちろん、塗装の耐久性や保護性能が低下して、結果的に建物そのものの寿命を縮めることにつながりかねません。

なお、塗料に関しては、基本的に中塗りと同じものを使います。塗料の種類によっては、一定の厚さをつくるために、さらに2〜3回ほど重ね塗りする場合も。

上塗りの重要性や塗料については、以下の記事でさらに詳しく解説していますので、気になる方はあわせてご覧ください。

省略NG!外壁塗装に中塗りが欠かせない3つの理由

中塗りは、上塗りと同じ塗料を用い、仕上げの質を高める補助材的な立ち位置にあることから「省略しても問題ないのでは?」と思った方も多いのではないでしょうか。

しかし、中塗りは塗装の見た目や性能を左右する重要な工程のため、省略するのは基本的にNGです。

ここからは、外壁塗装に中塗りが欠かせない3つの理由を詳しく見ていきましょう。

  • 上塗り塗料の密着性・耐久性を高める
  • ムラのない美しい仕上がりにする
  • 塗料が持つ外壁の保護性能を高める

上塗り塗料の密着性・耐久性を高める

中塗りは、上塗り塗料の密着性や耐久性を高めるために欠かせない工程です。

外壁と塗料をくっつける役割は主に下塗りが担っていますが、下塗りだけでは不十分な場合が多く、中塗りでムラのない滑らかな下地をつくることで、上塗り塗料をよりしっかりと密着させられます。

これにより塗装が剥がれにくくなり、耐用年数を迎えるまで長持ちさせることが可能です。中塗りを省略すると、上塗り塗料の密着が弱くなり、結果的に塗装の耐用年数が短くなってしまうためご注意ください。

ムラのない美しい仕上がりにする

中塗りは、ムラのない美しい外壁に仕上げるためにも重要な工程です。

外壁塗装は通常、下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りで行いますが、下塗りと上塗りだけの2回塗りでは、不均一な見た目になる可能性が高いです。

中塗りを省略すると、気泡や色ムラが残ったり下塗りや外壁の色が透けたりと、美観を損ねる要因になり、中塗りをしっかり行うことで、ムラのない美しい外壁に仕上げられるのです。

「わざわざ中塗りと上塗りに分けなくても、上塗りを1回で分厚く塗れば良いのでは?」と思った方もいるかもれませんが、そもそも塗料は1度に塗装できる量が決められています。

規定以上の塗料を一度に塗布すると仕上がりが悪くなるだけでなく、塗料の性能を十分発揮できず様々なトラブルにつながる恐れがあるため、かならず規定に則った量で施工することが大切です。

塗料が持つ外壁の保護性能を高める

中塗りは、塗料が持つ外壁の保護性能を高めるためにも不可欠です。

中塗り・上塗りに使われる塗料には、防カビ性や防汚性、防水性や遮熱性など、種類によって様々な機能が付いています。

しかし、これらの機能がしっかり発揮されるのは、塗料メーカーが指定する量・方法に則って塗装した場合のみです。

中塗りを省略した場合は、塗膜の厚みが不十分になり、雨や紫外線などによる影響を受けやすくなってしまいます。塗料が本来持っている外壁の保護性能が発揮されず、結果的に建物そのものの寿命を縮める恐れも。

近年では「中塗り不要」の塗料も増えていますが、それ以外の塗料では原則として中塗りは必須工程となるため、塗装業者が省略していないかしっかり確認しましょう。

1日で終わる?中塗りの作業工程と乾燥時間

外壁塗装の中塗りは、単なる中間工程ではなく、全体の仕上がりに大きく影響を与える重要なステップです。

ここからは、中塗りの作業工程に関して知っておくべき、以下3つの内容について詳しく解説します。

  • 中塗りおよび外壁塗装の作業工程・スケジュール
  • 中塗りと上塗りの間隔・乾燥時間
  • 中塗りと上塗りの色を変えるのはNG

関連記事:外壁塗装工程を一覧で紹介!手順や日数、注意点を詳しく解説

中塗りおよび外壁塗装の作業工程・スケジュール

一般的な外壁塗装の作業工程・スケジュールは以下の9ステップです。

工程順 施工内容 施工スケジュール
1 足場の仮設 1日目
2 高圧洗浄 2〜3日目
3 下地調整 4日目
4 養生 4日目
5 下塗り 5日目
6 中塗り(上塗り1回目) 6日目
7 上塗り(上塗り2回目) 7日目
8 完了検査(最終チェック) 8日目
9 足場の撤去・引き渡し 9日目

中塗りは、下塗り塗料がしっかり乾燥した後に行われ、中塗りの作業自体は1日で完了します。

ただし、外壁塗装全体の施工期間は、外壁の状態や塗装面積にもよりますがおおよそ1〜2週間ほど。天候や気温によっては遅れが出ることもあるので、余裕を持ったスケジュールが組まれているかも要チェックです。

中塗りと上塗りの間隔・乾燥時間

外壁塗装では、下塗り・中塗り・上塗りの3回に分けて塗装を行いますが、工程ごとに一定以上の間隔をあけて、しっかりと乾燥させることが大切です。

具体的な乾燥時間は使用する塗料にもよりますが、春〜秋は3〜4時間以上、冬であれば5〜6時間以上が目安となります。

また、実際の塗装作業に1〜2時間はかかるため、作業時間も考慮して1日に1工程ずつ行うのが一般的です。天候や気温によっては、さらに間隔をあける必要も出てきます。

乾燥が不十分な状態でつぎの工程に移ってしまうと、ひび割れや膨れなどの施工不良が生じるほか、塗装が不均一になったり艶がなくなったりと、外壁の美観が大きく損なわれる可能性も。

なお、このような乾燥不足による施工不良は、塗装工事の完了直後には分からない場合が多いため注意が必要です。スケジュールを組む段階で、各塗装工程に当てられた時間が短すぎていないか、かならず確認しておきましょう。

【注意】中塗りと上塗りの色を変えるのはNG

外壁塗装において、中塗りと上塗りの色を変える場合がありますが、この施工方法は以下のような理由からおすすめしません。

  • 塗料の耐久性や保護性能が低下して劣化が早くなる
  • 同じ塗料を使用したときに比べて塗料代が余分にかかる
  • 外壁の経年劣化によって中塗り塗料の色が見えてしまう

特に注意すべきは、塗料の耐久性や保護性能が低下してしまう点です。塗料は基本的に同じもので「中塗り・上塗り」を行うことを想定しているため、種類の異なる塗料を使った場合は、本来の耐久性や性能を発揮できない可能性があります。

さらに、塗料の耐久性・保護性能の低下は塗装の劣化を早め、劣化が進むと中塗り塗料の色が見えて外壁の見た目を大きく損なうため注意が必要です。

ただ、中塗りと上塗りの色を変える施工方法にも「塗装作業の進捗が分かりやすい」というメリットがあります。

施工ミスや手抜き防止のために、あえて色変えを推奨している業者もいるため、色変えをおすすめされたからと言ってかならずしも悪い業者とは限りません。

基本的には同じ塗料での塗装をおすすめしますが、施工業者とよく相談し、自分も納得したうえで工事を進めることが大切です。

中塗りに用いる塗料の種類と費用相場

外壁塗装の中塗りに用いる塗料は、主に以下の4種類があります。

種類 耐用年数 費用相場(平米単価)
アクリル系塗料 約3〜8年 約1,000〜1,800円/㎡
ウレタン系塗料 約5〜10年 約1,800〜2,500円/㎡
シリコン系塗料 約7〜15年 約2,500〜3,500円/㎡
フッ素系塗料 約12〜20年 約3,500〜5,000円/㎡

※費用相場は中塗り〜上塗りまでを合計した単価です。

塗料ごとの耐用年数と費用相場を参考に、現在の予算や将来的なメンテナンスコスト、その家に住む期間などを考慮して、あなたの自宅に最適なものを選びましょう。

「どれを選べばいいか分からない」という方には、耐用年数が長く、価格・性能面でのコストパフォーマンスが高いシリコン塗料をおすすめします。

戸建て住宅の外壁塗料としてもっとも主流な塗料の1つであるため、商品数も多く、好みに合った色を見つけやすいのもうれしいポイントです。

各種塗料の特徴や選び方について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:外壁塗装の塗料4種類の選び方を解説!相場・耐用年数から最適な塗料を選ぼう

中塗りは外壁塗装の仕上がりを左右する重要な工程

本記事では、外壁塗装における中塗りの基礎知識や作業工程、塗料の種類や費用相場などを解説しました。

中塗りは、外壁の仕上がりや塗装の耐久性・保護性能などを左右する非常に重要な工程です。省略したり手抜きがあると、見た目が悪くなるだけでなく、メンテナンスの手間と費用がかさむ原因や建物そのものの寿命を縮める原因にもなり得ます。

そのため、中塗りの重要性をしっかり理解している、かつ技術的にも問題ない優良業者に依頼することが重要です。

外壁塗装業者を選ぶ際は、かならず複数の業者から相見積もりを取り、塗装作業や使用する塗料についてしっかり相談したうえで、自分のケースに最適な業者を選びましょう。

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