モルタル外壁はひび割れが生じやすいため、塗装による定期的なメンテナンスが欠かせません。塗装方法は複数ありますが、適切な塗料を選定しないと塗膜の膨れが起きやすくなるため注意が必要です。
この記事では、モルタル外壁の塗装方法と費用相場、適切なメンテナンス時期を解説します。おすすめの塗料も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
外壁の塗り替え時期かも...
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モルタル外壁の特徴
モルタル外壁は、セメントに水と砂を混ぜ合わせた素材で作られた外壁のことです。継ぎ目のない美しい仕上がりと高い耐火性が特徴で、サイディング外壁が主流となった今でも根強い人気があります。
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モルタル外壁の塗装費用の相場
モルタル外壁の塗装費用は、一般的な30~40坪の住宅で100万円前後が相場です。ただし、使用する塗料の種類によって費用は変動します。
塗料の種類だけでなく外壁の劣化状況などによっても費用は変わってくるので、相場はあくまで参考程度にとどめておきましょう。
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モルタル外壁の塗装方法
モルタル外壁の塗装方法には主に5種類あり、それぞれ仕上がりが異なります。塗装方法による違いを把握し、業者に依頼するときの参考にしましょう。
リシン仕上げ
リシン仕上げは、小さな骨材を混ぜた塗料(リシン)をスプレーで吹き付けて、細かいデコボコを作る方法です。 マット感の強いザラザラした仕上がりが特徴で、落ち着いた印象を演出できます。
最もオーソドックスな塗装方法であり、ほかの仕上げ方に比べて工事費用が安いのがメリットです。また、通気性もあるため、湿気の高い日本の住宅に適しています。ただし、薄い塗装なのでひび割れが起きやすく、表面のデコボコ部分に汚れが蓄積しやすいので注意が必要です。
関連記事:リシン塗装とは?費用や耐用年数、メリット・デメリットを解説
スタッコ仕上げ
スタッコ仕上げは、スプレーガンで外壁にスタッコを吹き付け、デコボコとした外壁に仕上げる方法です。スタッコはセメントに骨材を混ぜているため、耐久性が高く、耐用年数が約10年と長いのが特徴です。また、厚みがあるため、重厚感や高級感のあるワンランク上のデザインに仕上がります。
ただし、リシンよりもデコボコが激しく、表面に汚れが付着しやすいのが難点です。また、塗料が乾燥しにくく、塗膜にムラが生じやすいデメリットもあります。
関連記事:スタッコ仕上げとは?費用相場やメリット・デメリットを解説
吹き付けタイル仕上げ
吹き付けタイル仕上げは、タイルガンという特殊な機械を使ってランダムな模様を付ける仕上げ方法です。砂利や砂を含まない塗料を使用するため、陶磁器のようなザラザラ感の少ない見た目に仕上がります。また、弾性があるためひび割れしにくく、水を弾きやすい防水性も備わっています。さまざまな模様を表現できますが、汚れが目立ちやすいのが難点です。
パターンローラー仕上げ
パターンローラー仕上げは、デコボコのある専用ローラーで模様を作りながら仕上げる方法です。選んだローラーのデコボコによって自由に好きなパターンを作ることができ、タイル調や波模様、花柄などの多様なデザインから選べます。デザイン性にこだわりたい人にはピッタリだといえるでしょう。また、ローラーを使った塗装方法なので、安全性と作業性に優れているのも魅力です。
左官仕上げ
左官仕上げは、左官職人がコテやハケなどを使って手作業で模様をつけていく方法です。コテの種類や動かし方によって自由に模様を表現できるので、他にはない個性的なデザインに仕上がります。
デザイン性の高さが魅力ですが、職人の技術力によって出来栄えが変わる点に注意が必要です。技術力の低い職人に依頼すると、色ムラや塗り残しが生じる場合があります。美しい仕上がりにするには、施工事例や実績などを事前にチェックして、腕の良い職人を見極めることが大切です。
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モルタル外壁の劣化症状と塗装のメンテナンス時期
モルタル外壁を塗装する適切なタイミングは、劣化症状が現れた時です。メンテナンス時期を逃さないように、劣化症状を把握しておきましょう。
チョーキング
チョーキングとは、外壁の表面に白い粉が生じる状態のことです。紫外線などの影響によって塗料に含まれる顔料が分離すると、顔料が表面に浮き出てチョーキングが起こります。外壁に触れたときに手に白い粉のようなものが付いたら、劣化のサインです。
チョーキングは塗膜の防水効果が切れている状態なので、放置しておくとカビや雨漏りの原因につながります。チョーキングが起きたときは、まずは高圧洗浄で外壁の汚れをしっかりと洗い落とし、塗り替えを行いましょう。
関連記事:外壁に生じるチョーキング現象とは?原因や放置リスク、補修・対策方法を解説
カビ・コケ
モルタル外壁は表面にデコボコが多く、湿度が高い場所はカビやコケが生えやすくなります。カビやコケが発生すると美観が失われるだけでなく、衛生的にも良くありません。 放置していると雨風などの影響で汚れがさらに目立つようになり、剥がれなどの劣化症状が起きます。
軽度のカビやコケなら洗剤で簡単に落とせますが、カビやコケが繁殖してから1年以上経過すると簡単には取れません。高所や重度のカビやコケを除去するのは大変なので、専門業者への依頼をおすすめします。
関連記事:外壁のコケをスッキリ落とすには?繁殖の予防法や放置した時のリスクを解説
ひび割れ
経年劣化や地震などが原因で、外壁にひびが生じるケースがあります。モルタルは他の素材よりもひび割れが起きやすく、放置すると隙間から雨水が入り、雨漏りのリスクが高まります。
髪の毛の細さほどの小さなひびであれば、経過観察で問題ありません。しかし、幅が0.3mm以上、深さが0.5mm以上ある場合は早急な処置が必要です。専門業者に依頼して早めに補修を行いましょう。
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モルタル外壁の塗装におすすめの塗料
ひび割れが起きやすいモルタル外壁には、弾力性や伸縮性に優れた弾性塗料がおすすめです。弾性塗料は外壁の動きに柔軟に対応するため、モルタルの弱点をうまくカバーできます。弾性塗料には3つの種類があり、それぞれ特徴が異なるので、よく比較して選びましょう。
単層弾性塗料
単層弾性塗料とは、粘度の高いゴム系塗料で、ムラのないきれいな仕上がりになるのが特徴です。弾性シーラーという下塗り材を塗った後に、2回の上塗りを行うため、塗装回数が3回で済みます。少ない工程数で終えられるのが魅力ですが、重ね塗りの回数が少ない分、弾性や強度は強度は弾性塗料の中で最も低くなります。
微弾性塗料
微弾性塗料は、粘度が高く上塗り材と密着しやすく、下地を整えて強化する性質を持ちます。塗装回数は3回ですが、単層ほど頻繁な塗り直しが必要ないため、メンテナンスコストを抑えやすい利点があります。弾力性とコストのバランスに優れた塗料であり、上塗り次第では長持ちするため、コストパフォーマンスを重視したい人におすすめです。
複層弾性塗料
複層弾性塗料は強度と耐久性に優れた塗料で、5回塗りが基本です。弾性シーラーを塗ったあと、中塗りと上塗りをそれぞれ2回ずつ行います。重ね塗りによって外壁の強度が高くなる ため、ひび割れ対策を強化したい場合におすすめです。
ただし、塗装回数が多い分、他よりもコストがかかるのが難点です。工程数も多く、工期も長くなるので、余裕をもったスケジュール調整が必要です。
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モルタル外壁を塗装する際の注意点
モルタル外壁を塗装する際は、いくつか注意点があります。塗装方法や塗料の選定を間違えると、満足いく仕上がりにできません。施工してから後悔しないように、事前に注意点を確認しておきましょう。
塗装によって風合いがなくなる場合がある
モルタル外壁はデザインの高さが特徴ですが、塗装すると表面のデコボコが消えて均一になり、柄や模様が消えてしまいます。
現在のデザインを残したい場合は、塗り替えでは対応できません。元の風合いを残したい場合は、下塗りにシーラーを使用する、または再度吹き付けするなど、塗装以外の方法で行いましょう。
塗り替える前に下地処理が必要になる
美しい仕上がりを実現するには、塗り替え前の下地処理が欠かせません。汚れや旧塗膜が付いたままの状態で塗装すると、塗料がうまく密着せず、塗膜が剥がれやすくなります。仕上がりにも影響するため、事前に高圧洗浄やケレン作業などが必要です。下地処理をしっかり行うことで、表面をきれいに仕上げられます。
塗料の吸い込みが起きやすい
モルタル仕上げの外壁は、塗装時に塗料の吸い込みが起きやすい性質があります。吸い込みが多いと塗料が増えるだけでなく、施工にも時間がかかります。そのため、塗料や施工時間は余裕をみて設定しておきましょう。色ムラも発生しやすいので、吸い込みを止めるフィラーやシーラーの使用をおすすめします。
適切な塗料を選定する必要がある
モルタル外壁はひび割れが発生しやすい性質があるため、弱点をカバーできる塗料を選定する必要があります。弾性塗料は塗膜がゴムのように伸びるため、ひび割れの防止に効果的です。塗装する際に塗膜に厚みをつけると、さらに効果を増します。 また、モルタル外壁は湿気で塗膜が膨れやすいため、膨れを防ぐために透湿性の高い塗料を選定しましょう。
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モルタル外壁の塗装方法を知り満足いく工事を実現しよう
モルタル外壁の塗装方法は主に5種類あり、見た目のデザインや工事費用はそれぞれ異なります。塗装方法の違いを知っておくと、満足のいく仕上がりを実現できます。
ただし、モルタル外壁はひび割れや塗料の吸い込み、塗膜の膨れなどが起きやすいため、塗料の選定などには十分に注意が必要です。外壁を塗り替えるときは、実績の多い優良業者に依頼しましょう。複数の業者に相見積もりをして、費用やサービス内容をよく比較し、信頼できる業者に工事を依頼することが大切です。
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