2024-08-07 14:12:19 更新

屋根瓦の種類別に価格・耐用年数を比較!葺き替えや修理費用も紹介

屋根瓦の種類別に価格・耐用年数を比較!葺き替えや修理費用も紹介
編集者プロフィール
輿石 雅志
1972年生まれ。早稲田大学理工学部応用化学科卒業。40万人以上の方が利用している国内最大級のマッチングプラットフォームを提供する外壁塗装に特化した無料相談サイト「外壁塗装の窓口」を運営。著書に「マイホームの外壁塗装 完全成功読本」(幻冬舎出版)。
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屋根瓦をリフォームしたいと思っても、さまざまな種類があるため、どれを選ぶべきか迷ってしまうことがあるでしょう。屋根瓦は種類によって価格や耐用年数が異なるため、慎重に選ぶ必要があります。

本記事では、屋根瓦の価格や耐用年数を種類別・形状別に詳しく解説します。葺き替えや修理にかかる費用も紹介するので、屋根をリフォームするときの参考にしてみてください。

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屋根瓦とは?

屋根瓦の種類別に価格・耐用年数を比較

屋根瓦の形状別に価格を比較

屋根瓦の修理・メンテナンスにかかる費用

屋根瓦の特徴を種類別に把握してリフォームに活かそう

屋根瓦とは?

屋根瓦とは、粘土を成型して窯で焼いた屋根の仕上げ材です。日本で古くから使用されている屋根材の一種で、現在も多くの戸建て住宅に屋根瓦が使用されています。

屋根瓦のメリット

屋根瓦のメリットは耐久性の高さにあります。他の屋根材と比べて寿命が長く、50年以上長持ちすることもあります。経年劣化に強く、色褪せはほとんどありません。

断熱性にも優れており、夏は涼しく、冬は暖かく過ごせます。粘土でできているため遮音性も高く、雨の音も粘土が吸収してくれます。

古風なものからモダンなものまで、デザインの幅が広いのもメリットです。屋根瓦は日本の風土と相性が良く、見た目に個性が出せることから、現在も高い人気を誇ります。

屋根瓦のデメリット

屋根瓦は重量があるため、古い家屋だと地震が起きたときに屋根の重みに耐えられず、建物が倒壊する恐れがあります。建物と瓦の重量とのバランスが合っていれば問題ありませんが、耐震基準が見直される前に建てられた古い家屋は耐震性が低くなりがちです。

また、リフォームするときにカバー工法を利用できないのもデメリットです。カバー工法は古い屋根のうえに軽い屋根をかぶせる方法で、費用を安く抑えられるメリットがありますが、屋根瓦ではカバー工法ができません。

そのため、屋根瓦を他の屋根材へリフォームする際は、一度すべての屋根瓦を取り除く必要があります。リフォーム費用が高くなりやすいため、注意が必要です。

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屋根瓦の種類別に価格・耐用年数を比較

屋根瓦には主に5つの種類があり、価格や耐用年数はそれぞれ異なります。

屋根瓦の種類 価格(㎡) 耐用年数
いぶし瓦 8,000~13,000円 50年以上
釉薬瓦(陶器瓦) 7,000~12,000円 50年以上
素焼瓦 5,000~9,000円 50年以上
セメント瓦 5,000~10,000円 20~30年
モニエル瓦(コンクリート瓦) 5,000~9,000円 20~30年

ここでは種類別に主な特徴を紹介します。

いぶし瓦

いぶし瓦は、焼き上げた瓦を煙でいぶし、表面に炭素の膜を施した瓦です。煙でいぶすことにより銀色や黒色の独特の色合いに仕上がるのが特徴で、渋いデザインは和風建築によく合います。

いぶし瓦は粘土で作る瓦の中では高級品のため、廉価なものでも8,000円/㎡、高級なものだと13,000円/㎡以上することもあります。耐久年数は50年以上ありますが、時間経過とともに炭素膜が剥がれるため、30~60年を目途に葺き替えリフォームをしましょう。

釉薬瓦(陶器瓦)

釉薬瓦は、釉薬(ゆうやく)と呼ばれるガラス質の薬剤を塗布して焼き上げた瓦です。表面に光沢があるのが特徴で、釉薬によって着色ができることから、黒・青・緑などカラーバリエーションが豊富です。

釉薬瓦は価格の幅が広く、安い素材で7,000円/㎡ほど、高級な素材で12,000円/㎡以上するものもあります。釉薬を塗ることで水を通しにくくなるため耐水性にも優れており、瓦自体は50~60年ほど持ちます。こまめにメンテナンスしなくても良いのも釉薬瓦の魅力です。

素焼瓦

素焼瓦は、粘土で固めて成型したものを素のまま焼いた瓦です。焼き物の自然な風合いと独特の赤みが特徴で、洋風建築によく使用されています。沖縄の赤瓦や南欧のオレンジ色の瓦は、素焼瓦と同系統です。

素焼瓦は軽量で耐久性に優れており、破損するまで繰り返し使えるため、平均で50年ほど持ちます。価格は手頃なもので5,000円/㎡、高級なものでも9,000円/㎡ほどとなっており、比較的安いことも素焼き瓦の魅力です。

セメント瓦

セメント瓦は、セメント・水・砂で作られた瓦のことです。重量があるため風によるズレが少なく、耐水性や耐火性に優れた特徴を持ちます。

1㎡あたり5,000~10,000円という比較的安い価格が魅力ですが、耐用年数は20~30年ほどとなっており、他の瓦よりも短めです。また、割れやすく色あせしやすい建材のため、定期的に塗装で補強する必要があります。

高度経済成長期に広く普及したセメント瓦ですが、耐久性に劣ることから、近年では使用する住宅が減少しています。

モニエル瓦(コンクリート瓦)

モニエル瓦(コンクリート瓦)は、セメントに砂利を混ぜたコンクリートを主成分に使用している瓦です。日本モニエル株式会社が生産していたことから、モニエル瓦と呼ばれています。

モニエル瓦はセメント瓦は見た目では見分けがつきにくいですが、モニエル瓦は砂利が混ざっているので、切り口がギザギザしているのが特徴です。価格と耐久性はセメント瓦とほぼ同じですが、セメント瓦よりも防水性が高いのがメリットです。

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屋根瓦の形状別に価格を比較

屋根瓦の形状には主に3種類あります。

種類 価格(㎡)
J形(和瓦・和形瓦) 9,500~12,500円
F形(平板瓦) 9,600~13,500円
S形(スパニッシュ瓦) 10,500~13,000円

形状別の特徴と価格を紹介します。

J形(和瓦・和形瓦)

J形は波を打ったような形状をしており、和風・洋風どちらの家にも幅広く使用されている最もスタンダードなタイプです。

カーブの部分に空気を含んで湿度を蒸発させるため、保温性と換気に優れており、湿気が多く寒暖差の激しい日本の気候に適した形状だと言えます。またカーブで瓦同士がずれずに組み合わさっているため、地震が起きても軽い揺れ程度なら瓦の崩壊を防げます。

J形瓦の施工価格は9,500円~12,500円/㎡が相場となっており、3つの形状のうち最も安価です。

F形(平板瓦)

F形は、丸みがない平らな形状をした瓦のことです。別名「平板瓦」とも呼ばれ、見た目がすっきりとした洗練されたデザインが特徴です。和風から洋風建築まで、どんな様式の家屋とも相性が良く、特にモダンな雰囲気の現代建築に合います。 

F形の施工価格は9,600~13,500円/㎡が相場となっており、他の形状と比較して真ん中の平均的な価格です。

重厚なイメージではなく、シャープな雰囲気の家にしたい方にはF形がおすすめです。F形瓦なら凹凸が少ないため、太陽光パネルの設置を検討している住宅に適しています。

S形(スパニッシュ瓦)

S形は、上下の両方向に丸みがあるのが特徴です。和風・洋風のどちらでも使用されますが、南欧風の風合いが強く、どちらかというと洋風家屋に合います。

保温性と通気性が高いのがメリットですが、価格は10,500円~13,000円/㎡が相場となっており、J形・F形よりやや高めです。

費用が高くなっても保温性と通気性を維持したい方や、スタイリッシュな雰囲気や個性的なイメージを演出したい方にはS形が向いています。

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屋根瓦の修理・メンテナンスにかかる費用

屋根瓦の修理・メンテナンスにかかる費用は、瓦の状態や工事の方法によって異なります。

修理方法 費用(30坪の住宅の場合)
差し替え 1〜6万円
塗り直し 10〜30万円
葺き直し 120〜150万円
塗装 40〜70万円
葺き替え 150〜200万円

ここでは修理方法別に、工事にかかる費用を解説します。

差し替え

瓦の割れやズレがある場合は、壊れている瓦を新しい瓦に差し替える必要があります。瓦が割れる原因は、飛来物による破損や大雪の重み、歩行による踏み割れなどです。 

割れた瓦は部分修理で対応できるケースがほとんどなので、ほかの修理と比べると費用が安く、1〜6万円ほどで済みます。

ただし、割れた瓦を放置すると雨水やホコリが入ってしまい、内部の防水シートが腐って修理費が高額になってしまうので、割れに気づいたら早めに対処しましょう。

塗り直し

漆喰の剥がれが生じた場合は、新しい漆喰を塗り直しましょう。

漆喰とは白色の防水材のことで、屋根の中心の棟瓦を支える大切な役割を持ちます。漆喰に剥がれが生じる原因は、経年劣化や強風、地震などです。

漆喰が剥がれると雨漏りするリスクが高まるため、早めの対応が必要です。重ね塗りすると、かえって雨漏りの原因となるので、剥がれた漆喰を事前に取り除いてから塗り直しましょう。

塗り直しにかかる費用は、一般的な30坪の住宅で10〜30万円が相場です。被害度合いや規模によって金額が変動するので、詳細は業者に問い合わせましょう。

葺き直し

葺き直しは、瓦を取り外して下地の補強や補修を行う方法です。下地のみ新しいものを設置して、瓦は既存のものをそのまま使用するため、廃材の量が少なく、処理費を抑えられるメリットがあります。

葺き直しにかかる費用は120〜150万円で、瓦を新しいものに変える葺き替え工事に比べると安めです。葺き直しは見た目が変わらないため、同じ外観を維持したい場合や、費用をなるべく安く抑えたい場合におすすめです。

塗装

セメント瓦は塗料が10~20年ほどで剥げてしまうため、瓦を葺き替える前に塗料の塗り直しが必要です。塗装する際は、高圧洗浄機などで事前に屋根全体を掃除して、下地用の塗料を塗ってから作業を行います。

塗料の劣化が進むと見た目がみすぼらしくなるだけでなく、衝撃にも弱くなります。屋根を長持ちさせるためにも、定期的に塗り替えを行いましょう。

塗装の費用相場は40〜70万円ですが、屋根の劣化具合や塗装面積、塗料などによって相場より高くなることがあります。

関連記事:屋根塗装の相場は40〜80万円が目安!坪数ごとの費用や内訳、安く抑えるコツを紹介

葺き替え

浸入した雨水が原因で屋根の内部が傷んでいる場合や、屋根全体の瓦が劣化している場合は、瓦や防水シートを外して屋根全面を葺き替える作業が必要です。

屋根の葺き替え工事は他の修理方法と比べて大掛かりな作業になることから、費用は150〜200万円ほどかかります。費用は​​高いですが、今後も長く住むのであれば、葺き替えをした方が屋根の安全性は向上します。

また、重量のある瓦から軽量な金属屋根材に葺き替えることで、建物の耐震性を高めることが可能です。

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関連記事:屋根の葺き替え工事とは?費用相場やカバー工法・屋根塗装との違いを解説

屋根瓦の特徴を種類別に把握してリフォームに活かそう

屋根瓦は耐久性が高く、日本の気候に適した屋根材です。一口に屋根瓦といっても、釉薬瓦からモニエル瓦までさまざまな種類があるため、リフォームする際は予算や建物に適した種類を選ぶ必要があります。

近年は耐震性能を考えた軽量の屋根瓦も登場しているので、施工業者と相談しながら、適切な屋根瓦を選びましょう。

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