コロニアル屋根は価格が安くて施工しやすいことから、日本国内で広く普及しています。しかし、耐久性が低く汚れやすいデメリットがあり、定期的なメンテナンスが必要です。
この記事では、コロニアル屋根の価格や耐用年数、メリットとデメリットを解説します。劣化症状が現れたときのメンテナンス方法や塗装費用もあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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コロニアルとは?
コロニアルとは、ケイミュー株式会社が販売しているストレート屋根材のことです。セメントと繊維質の素材を練り混ぜた生地を薄い板状に製造した屋根材であり、ほかの屋根材よりも価格が安いのが特徴です。
1961年の発売以降は日本国内で広く普及し、市場シェアが高かったことから、住宅屋根用スレート(屋根材)のことをコロニアルと呼ぶようになりました。最近の新築物件の屋根でも、ガルバリウム鋼板やジンカリウム鋼板に次いで多く採用されており、高い人気を維持しています。
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コロニアル屋根のメリット
コロニアル屋根が日本国内で広く普及している背景には、主に3つのメリットがあります。
価格が安い
コロニアルは市場に広く普及しているため、他の屋根材に比べて価格が安いのが特徴です。
メジャーな屋根材の中ではもっとも安価な商品なので、施工費用を低く抑えられます。新築時の初期費用を安く抑えたい方には、ピッタリの屋根材だといえるでしょう。
デザインが豊富で取り扱い業者が多い
コロニアルはホワイトからブラック、オレンジやブルーなどカラーバリエーションや形状が豊富に用意されており、好みのデザインを選べます。単色屋根だけでなく、複数のカラーを使ったデザインもあるため、人とは違ったおしゃれな屋根に仕上げたい方におすすめです。
また、コロニアルはメジャーな屋根材のため扱える業者が多く、瓦工事業者や板金工事業者ともに施工が可能です。業者が扱っていない恐れもなく、施工者の技量による仕上がりのバラツキなども少ないため、安心して採用できます。
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軽量・薄型のため施工しやすい
コロニアルは薄さ5ミリほどの平板で軽量なため、屋根面にくぎで留め付ける直貼り工法で施工できます。軽量で加工しやすいため、切妻屋根から急な傾きの屋根まで、どんな形状の屋根にも使用が可能です。
また、ほかの屋根材に比べて施工しやすく、短い期間で工事が完了するメリットもあります。住宅に負担がかからないため、施工した住宅の耐震性が高まり、地震の揺れを軽減できます。
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コロニアル屋根のデメリット
コロニアル屋根はメリットが多い反面、デメリットもあります。住んでいる地域によっては施工ができない場合もあるので、ここで欠点をしっかり確認しておきましょう。
耐久性が低く汚れやすい
コロニアル屋根の表面はデコボコしており、隙間に汚れが溜まりやすいデメリットがあります。コロニアル屋根の初期費用は安いですが、定期的な掃除とメンテナンスが欠かせないため、トータルコストは高額になりがちです。
コロニアルの耐用年数は20~30年と言われていますが、10年ほど経過すると変色・退色が目立ち始めます。表面の塗膜が劣化すると防水性や耐久性が失われるため、10年前後で塗装メンテナンスを行い、30年目に屋根全体の改修を行うのが一般的です。
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ひび割れしやすい
コロニアル屋根は薄く軽量なため、衝撃に弱く、経年劣化によりひび割れしやすい特徴があります。屋根の上に人が乗ったときや、強風や台風による物の飛来などにより容易に割れてしまうため、日頃から取り扱いには注意が必要です。
特に屋根の点検や清掃をDIYで行う場合は、屋根に乗るとコロニアルが割れてしまう可能性があります。取り扱いに慣れていない人は、専門業者にメンテナンスを依頼しましょう。
断熱性が低い
コロニアル屋根は軽量で薄い構造であるため、熱が逃げやすく、断熱性は低い傾向にあります。凍結にも弱いため、北海道などの寒冷地での使用には不向きです。
寒冷地で使用すると、コロニアル内部の水分が凍結・融解を繰り返してひびが入り、劣化が早まる可能性があります。寒さ対策や断熱性能を重視するのであれば、瓦屋根などの断熱性に優れた屋根材を検討した方が良いでしょう。
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コロニアル屋根の劣化症状
前述した通り、コロニアルは耐久性が低く汚れやすいため、劣化症状が現れたときに適切なメンテナンスが必要です。ここでは、コロニアルに起こる劣化症状を紹介するので、メンテナンスを行うときの参考にしてください。
変色
紫外線や雨風の影響を受けて塗膜が劣化すると、コロニアルの表面が黄色に変色したり色あせが発生したりします。変色や色あせが発生しても、ただちに塗膜の防水性が失われることはありません。しかし、放置すると雨漏りや腐食の原因となり、住宅の劣化が早まるため注意が必要です。
コロニアル屋根の表面に白い粉が吹き出てくるチョーキングが確認できたら、塗料に含まれている成分が分解されて劣化しているため、専門家に点検を依頼しましょう。
コケやカビの発生
紫外線などの影響によりコロニアル表面の塗膜が劣化すると、防水性が低下して屋根面にコケや藻が繁殖します。コケや藻は水はけを悪くするため、屋根表面の劣化がさらに早まり、屋根の内部に雨水が入り込む恐れがあります。
屋根の内部に入った雨水は乾燥しないため、カビが発生する原因となります。カビが繁殖すれば健康被害が生じる可能性もあり、大変危険です。放置すると雨漏りの原因にもなるため、早めに補修を検討しましょう。
ひび・反り
コロニアル屋根の表面塗装が劣化して防水性が失われると雨水が浸み込み、湿潤と乾燥を繰り返すことでひびや反りが起こります。ひびや反りが生じると、屋根の上下の重なり目に数mmの隙間ができ、そこから雨水が浸入して雨漏りの危険が高くなります。
ひびや反りの段階まで劣化したコロニアルは塗装では補修できないため、葺き替えや重ね葺きなどの大規模なメンテナンスが必要です。
剥がれ
コロニアル表面の塗膜が劣化すると、屋根の一部が剥がれることがあります。劣化ではなく、強風や台風によって飛来した物が当たって剥がれが生じることもあります。剥がれが発生した箇所は隙間から雨水が内部に入りやすいため、早めの補修が必要です。
塗膜の剥がれだけでなくコロニアル本体まで劣化が進んでいる場合は、塗装による補修では対応できません。葺き替えや重ね葺き工事を検討しましょう。
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コロニアル屋根のメンテナンス方法と費用
コロニアル屋根で劣化症状が生じたら、適切なメンテナンスを行いましょう。劣化が進行している場合は大がかりな補修が必要となり、費用も高額になるので注意が必要です。
ここでは、コロニアル屋根のメンテナンス方法と費用を解説します。
塗装
新築から10年ほど経過したら、コロニアル屋根の劣化を防ぐために塗装を行いましょう。塗装費用は30坪の住宅で総額30~50万円が相場ですが、使用する塗料によって費用は変動します。
断熱塗料や高耐候性塗料などの機能性の高い塗料を使用すれば、補修の頻度を減らして室内を快適な温度に維持する効果を期待できますが、費用は高くなるので注意が必要です。
また屋根塗装は高所作業のため、足場の設置が必要になり、塗料代以外にも諸経費が発生します。塗装は下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが一般的であるため、工事が終わるまで10日~2週間ほどかかります。塗装をするときは、スケジュールに余裕を持って調整しましょう。
屋根の塗装で使用する塗料について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
関連記事:屋根塗料の5種類を徹底比較!自宅に最適な塗料選びのコツ
関連記事:屋根塗装の相場は40〜80万円が目安!坪数ごとの費用や内訳、安く抑えるコツを紹介
重ね葺き(カバー工法)
重ね葺き(カバー工法)とは、既存の屋根材の上から新しい屋根材を設置する方法です。築20年の住宅や下地まで劣化が進行していないときに用いられるメンテナンス方法であり、30坪の住宅にかかる費用は70~140万円が相場です。古い屋根材の撤去が不要のため、工期が短く、既存の屋根材を全て撤去する葺き替え工事よりも費用を安く抑えられます。
ただし、既存屋根の劣化が激しい場合は、ビスや釘などを打てないため施工ができません。また、既存屋根の上に新しい屋根材を施工すると屋根が重くなり、住宅への負担が増すため注意が必要です。
関連記事:屋根カバー工法とは?費用相場とメリット・デメリット、工事できない家の条件も
葺き替え
葺き替えとは、既存のコロニアル屋根をすべて撤去して新しい屋根材を設置する方法です。コロニアル全体で劣化が進行している場合や、下地の劣化が激しいときは葺き替えが適しています。
葺き替えは既存の屋根材と下葺き材をすべて撤去する必要があるため、ほかのメンテナンス方法に比べると費用が高く、工期も長めです。30坪の住宅の場合、費用相場は総額100~200万円、工期は約1週間~10日が目安です。
費用と工期はかかりますが、劣化した部分をすべて交換して新しくするため、耐久性も上がり、外観も美しくなります。
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コロニアル屋根の施工は優良業者に依頼しよう
コロニアル屋根は価格が安くデザインが豊富なため、新築住宅で採用されやすい人気の屋根材です。軽量で薄型の屋根材のため、どんな形状の屋根にも施工しやすいメリットもあります。カラーやデザインにこだわることで、周りとは一味違ったおしゃれな屋根に仕上げられます。
コロニアル屋根は広く普及している屋根材のため、取り扱い業者も多く、技術によって施工不良やミスなどが生じる心配はほぼありません。ただし、耐久性が低く劣化しやすい素材のため、品質を維持するには適切な工事が必要です。
業者を選ぶときは相見積もりを取り、価格だけでなく実績や工事内容も比較して、優良業者へ施工を依頼しましょう。
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