2024-08-07 13:16:54 更新

ALCパネルとは?外壁材に用いるメリット・デメリットと費用相場を解説

ALCパネルとは?外壁材に用いるメリット・デメリットと費用相場を解説
編集者プロフィール
輿石 雅志
1972年生まれ。早稲田大学理工学部応用化学科卒業。40万人以上の方が利用している国内最大級のマッチングプラットフォームを提供する外壁塗装に特化した無料相談サイト「外壁塗装の窓口」を運営。著書に「マイホームの外壁塗装 完全成功読本」(幻冬舎出版)。
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ALCパネルとは、セメントや珪石、石灰などを原料とした外壁材で、軽量かつ耐久性に優れていることから高い人気を誇る建材でもあります。外壁材としてはやや高価ながらも、素材が非常に軽量なので建物への影響が少なく、耐震性を高められるメリットがあります。

一方でALCパネルには、防水性が備わっていないので定期的な外壁塗装となり、コーキングを施す部分が多くなるのでコーキングの劣化に注意する必要があるなどのデメリットも存在します。

本記事では、ALCパネルの特徴や耐用年数・費用相場、自宅の外壁材に用いるメリット・デメリットなどについてご紹介します。

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目次閉じる

ALCパネルとは?外壁材としての特徴

ALCパネルの費用相場

ALCパネルを外壁材に用いるメリット

ALCパネルを外壁材に用いるデメリット

ALCパネルの補修工事が必要になる劣化サイン

まとめ

ALCパネルとは?外壁材としての特徴

外壁材に用いられるALCパネル(ALCボード)とは、英語では”Autoclaved Lightweight aerated Concrete”と呼ばれる素材で、日本語では「高温高圧蒸気養生された軽量気泡コンクリート」と訳されます。主原料は珪石・セメント・生石灰など。一般的なコンクリートと比べ、中に気泡を含んでいるため重量が非常に軽く、耐久性が高いのが大きな特徴です。

ALCは1920年代にスウェーデンで開発された素材であり、日本には1962年に製造技術が伝わった歴史を持ちます。以来、外壁や間仕切り壁、床板などのさまざまな用途で使用され続けている建材です。

国内では東京スカイツリーや東京都庁の建材にも使われていることでも有名で、サイディングやモルタル、タイルなどと並んで高い人気を誇る外壁材となっています。

ALCパネルの種類

ALCパネルには、形状や厚さ、表面の加工方法によっていくつかの種類が存在します。

ALCパネルの形状は、一般パネルとコーナーパネルの2種類に分かれ、一般パネルは外壁材として主に用いられるパネル、コーナーパネルは建物の四隅に用いるL字の形状をしたパネルを指します。

また、ALCパネルには、厚さ35mm〜75mmの薄型パネルと、厚さ75mm以上の厚型パネルに分類できます。薄型パネルは木造や鉄骨造の建物に使用され、厚型パネルは鉄筋コンクリート造の建物を中心に使われています。

ALCパネルは、表面の加工によってシンプルなデザインの平パネルと、デザイン性に優れた意匠パネルの2種類に分けることもできます。意匠パネルを選ぶことでデザイン性に優れた外壁を実現することもできるので、建物の美観を重視する方にもおすすめです。

なお、ALCパネルと他の外壁材との違いについては、下記のページでもまとめているのでぜひチェックしてみてください。

関連記事:外壁材の種類はどれがおすすめ?サイディングの特徴や費用相場とともに解説

ALCパネルの耐用年数

ALCパネルの耐用年数は、適切にメンテナンスを行った場合で、約50年とされています。サイディング材やモルタル外壁は約30年、タイル外壁は約40年が耐用年数の目安とされているので、これらの外壁材と比べても長寿命であることがわかります。

ただし、寿命が長いからといってメンテナンスフリーというわけではなく、約10年〜15年ほどの周期で外壁塗装を行い、ALCパネルに備わっていない防水性能を維持する必要があります。外壁塗装を怠ってしまえば、50年以下でALCパネルの交換が必要になることもあるので注意しましょう。

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関連記事:外壁塗装の耐用年数は10〜20年が限度!寿命を延ばすコツや劣化症状を解説

ALCパネルの費用相場

ALCパネルは、住宅に使われる外壁材の中では最も高価な部類です。大体の費用相場は、平米単価で7,500円〜16,000円ほど。最も安価な窯業系サイディングの場合、平米単価が3,000~7,000円ほどに収まるので、場合によっては2倍ほどの価格差になることもあります。

ALCパネルは耐用年数が長く、長期的に見れば窯業系サイディングよりもトータルコストを抑えられることも多いですが、予算に合わせて自宅に最適な外壁材を選ぶことを心がけましょう。

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関連記事:【2024年版】外壁塗装の費用相場はいくら?10坪〜100坪の適正価格と安く抑えるコツ

ALCパネルを外壁材に用いるメリット

次に、ALCパネルを外壁材に用いるメリットについて、以下の3つのポイントをご紹介します。

  • 耐久性・耐火性に優れる
  • 断熱性・遮音性が高い
  • 軽量で建物への負担を抑えられる

それぞれ詳しく解説しましょう。

耐久性・耐火性に優れる

ALCパネルは、不燃材料のコンクリートを用いる外壁材なので、高い耐久性と耐火性を備えていることが大きなメリットです。万が一火災の被害を受けても有害物質が発生することはなく、法規制を受けたりすることもありません。ひび割れ・反りの原因となる有機物が含まれていないため、外壁材自体が非常に丈夫で痛みにくいという性質も持っています。一般的なサイディング材は約15mmの厚みを持つのに対して、ALCパネルは薄型であっても35mm以上の厚みがあるので、衝撃にも強いのが特徴です。

断熱性・遮音性が高い

ALCパネルは、内側に気泡が多く含まれている性質から、断熱性・遮音性に優れるというメリットも備えています。夏は涼しく、冬は暖かい室内を維持することが可能で、冷暖房にかかる費用の節約にもつながります。ALCパネルの厚みと気泡を備える性質のおかげで、屋外からの騒音や上下階の生活音を防ぐ効果があり、落ち着いた住環境を実現しやすい外壁材となっています。

軽量で建物への負担を抑えられる

ALCパネルは、サイディング材やタイルなどの外壁材と比べて非常に軽く、建物への負担を最小限に抑えられるメリットもあります。細かな気泡を含むことにより、従来のコンクリートの1/4ほどの重量に抑えられており、外壁材の重さで建物が傷んでしまうことが少ないのが特徴です。また、家の重心が安定するので地震による倒壊リスクを抑え、耐震性の高い住宅を実現することにも役立ちます。

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ALCパネルを外壁材に用いるデメリット

一方で、ALCパネルを外壁材として使うデメリットには、次の3点が挙げられます。

  • 防水性が低く雨に弱い
  • コーキングから雨漏りするリスクが高い
  • 外壁材の価格が高額

これらのデメリットも踏まえた上で、ALCパネルを採用するかどうかを検討しましょう。

防水性が低く雨に弱い

ALCパネルは、高い耐久性・耐火性を持つ建材ですが、一方で防水性が低く雨に弱い性質を持ちます。防水性の低さを補うために、定期的に表面の外壁塗装を行う必要がありますが、塗装が劣化してしまい内部に雨水が浸入してしまうと、膨張・ひび割れを起こすリスクが高まります。そのためALCパネルを外壁材に用いる時には、防水性の高い仕上げを選び、定期的なメンテナンスを忘れずに行うことが大切です。

コーキングから雨漏りするリスクが高い

ALCパネルは、サイディング材と比べると1枚ごとのサイズがやや小さめなので、規模の大きな家の外壁材に用いる場合には、外壁材の継ぎ目である「コーキング」を多めに使用することになります。このコーキング材も紫外線や風雨によって劣化する素材なので、コーキング部分から雨漏りするリスクがやや高めとなっています。コーキング材の耐用年数は約10年なので、ALCパネルの外壁塗装を依頼する際に、同時にコーキングのメンテナンスを行うと良いでしょう。

関連記事:外壁コーキングの劣化を放置するリスクとは?ひび割れの原因や補修費用も解説

外壁材の価格が高額

ALCパネルは他の外壁材と比べて、本体価格が高額で初期費用がかかるデメリットがあります。最も安価な窯業系サイディングと比べると2倍ほどの価格差が生まれることもあり、限られた予算の中ではALCパネルを採用するのは難しいケースも多くなるでしょう。その分だけ外壁材としての性能は高く、長期的に見た時のトータルコストも抑えられるので、予算に余裕がない場合にはリフォームローンの借り入れなども検討してみると良いでしょう。

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ALCパネルの補修工事が必要になる劣化サイン

最後に、ALCパネルを設置後に気をつけたい劣化サインについてもご紹介しましょう。以下の3つのような症状が現れる場合、外壁塗装などの早めのメンテナンスを依頼することが大切です。

  • チョーキング現象
  • コーキングのひび割れ
  • 外壁材のひび割れ

それぞれどのような劣化サインに注意が必要なのかをご紹介します。

チョーキング現象

チョーキング現象とは、ALCパネルの表面を指で擦った時に、チョークの粉のような白っぽいものが付着することを指します。これは外壁塗装に含まれる顔料が紫外線によって欠落し、色落ちしてしまっている状態です。チョーキング現象が起こり始めると、ALCパネルの表面の保護機能が失われ、防水性が低下するサインとなります。そのまま放置すると、外壁材が傷んでしまう原因になるので、早めの再塗装を依頼しましょう。

関連記事:外壁から白い粉が!チョーキング現象とは?

コーキングのひび割れ

ALCパネル同士をつなげるゴムのような性質を持ったコーキング材は、経年劣化によりひび割れや肉痩せを起こしやすくなります。コーキングの劣化によって隙間ができてしまうと、コーキングの隙間から雨水が浸入し、外壁を劣化させる原因となります。原則として外壁塗装と同じタイミングで補修することが望ましいですが、大きなひび割れが見られる場合には、コーキング部分だけでも補修工事を依頼してください。

関連記事:外壁コーキングの補修費用の相場とは?寿命の目安と打ち直し・増し打ちの違い

外壁材のひび割れ

ALCパネル自体に大きなひび割れが発生している場合には、外壁材の寿命が近づいていることが考えられます。ひび割れを放置すると雨漏りの原因になり、家の基礎部分を腐食させるリスクも高まります。表面の外壁塗装だけでは補修できないことも多く、張り替え工事が必要になるケースもあります。家全体の寿命を縮めてしまわないためにも、外壁に大きなひび割れが発生した際には早めのメンテナンスを依頼しましょう。

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まとめ

ALCパネルはコンクリートの内部に多くの気泡を含む建材で、軽量かつ耐久性・耐火性に優れているので、サイディング材やモルタルと並び外壁材として高い人気を誇っています。耐用年数は50年ほどと長寿命で、耐震性に優れている外壁材ですが、費用相場が高額で初期費用が膨らみやすいことに注意が必要です。

また、ALCパネル自体には防水性がないので、定期的に表面の外壁塗装を行い、防水機能を維持する必要があります。外壁材の継ぎ目であるコーキング材の使用量が多く、コーキングの劣化によって雨漏りを起こすリスクもやや高めなので、10年程度を目安に定期的なメンテナンスを欠かさないようにしましょう。

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