2024-07-05 07:20:53 更新

光触媒塗料を外壁塗装に使うメリット・デメリットとは?費用相場や注意点を解説

光触媒塗料を外壁塗装に使うメリット・デメリットとは?費用相場や注意点を解説
編集者プロフィール
輿石 雅志
1972年生まれ。早稲田大学理工学部応用化学科卒業。40万人以上の方が利用している国内最大級のマッチングプラットフォームを提供する外壁塗装に特化した無料相談サイト「外壁塗装の窓口」を運営。著書に「マイホームの外壁塗装 完全成功読本」(幻冬舎出版)。
詳細を見る

外壁塗装で用いる塗料の中には、セルフクリーニング機能を備えた「光触媒塗料」という種類があります。光触媒塗料は紫外線などの光に対する化学反応を活かし、汚れを浮かせて雨水で洗い流してくれるのが特徴で、劣化の原因となる紫外線に強いため、長い耐用年数が期待できるメリットがあります。

一方で、塗膜が硬くひび割れしやすい点や、施工に専門的な技術を必要とする点、カラーの選択肢が少ない点などに注意が必要であり、光触媒塗料の性質を深く理解してから使用しなければなりません。

本記事では、光触媒塗料の特徴や費用相場とともに、外壁塗装で使うメリット・デメリットについてご紹介します。

外壁塗装の塗料に関する詳しい解説はこちら

目次閉じる

光触媒塗料とは?

光触媒塗料の費用相場

光触媒塗料で外壁塗装するメリット

光触媒塗料で外壁塗装するデメリット

光触媒塗料を選ぶ時の注意点

まとめ

光触媒塗料とは?

光触媒塗料とは、酸化チタンと呼ばれる物質を原料に、光を受けると化学反応を起こして汚れを落とす機能を持った塗料です。外壁で用いられる場合には紫外線、内装で使われる場合には照明などの光にも反応して光触媒の効果を発揮します。光触媒を使用することにより、外壁の汚れが落としやすくなり、紫外線による劣化も軽減されるので、近年高い注目を集めている塗料でもあります。

光触媒塗料の仕組み

光触媒塗料が汚れに強く、高い耐久性を備えている仕組みとして、原料に使われている酸化チタンの化学反応が挙げられます。紫外線を受けた酸化チタンは、外壁の表面の汚れと結合する物質を生成し、汚れが付着するのを防止する働きがあります。さらに光触媒塗料は高い親水性を持ち、水分を弾きにくく表面をつたって流れ落ちる性質があります。これらの働きが組み合わさって、外壁についた汚れを浮かせ、雨水によって洗い流すセルフクリーニング機能を実現しているのです。

なお、光触媒塗料は排気ガスを分解し、カビ・細菌などの繁殖を抑制する空気清浄機能も持っているので、自宅周辺の空気をきれいにする役割を果たします。コロナ禍では、感染症対策として自宅の内装に光触媒塗料を使用するケースも増加しました。

紫外線型と可視光型の違い

光触媒塗料には、紫外線型・可視光型の主に2種類が存在しており、それぞれの違いを押さえた上で塗料を選ぶことが重要です。紫外線型は、屋外で紫外線に反応して光触媒の効果を発揮する塗料であり、可視光型は室内の照明の光などでも光触媒の効果を発揮する塗料となっています。

自宅の内装で使う場合には、紫外線が当たらない箇所も多くなるため可視光型を選び、外壁や屋根の塗料には紫外線型を選ぶのが基本です。

TOTO「ハイドロテクトコート」はすでに販売終了

業界では高いシェアを誇った光触媒塗料として、TOTO製の「ハイドロテクトコート」という製品が存在しましたが、こちらの塗料は2017年6月に販売終了しており、現在は使用できません。ハイドロテクトコートは施工に高い技術が必要な繊細な塗料で、高い品質を維持するのが難しい側面もありました。

現在は圧倒的なシェアを誇る光触媒塗料はなく、各メーカーが取り扱っている光触媒の中から自宅に最適なものを選ぶことが大切です。

光触媒塗料の費用相場

光触媒塗料で外壁塗装した場合の費用相場は、平米単価で3,500円~5,500円ほど。30坪の家で110万円〜135万円が施工費用の目安になります。外壁塗装で人気のシリコン塗料の場合には、平米単価2,500円〜3,500円が相場で、30坪の家であれば60万円〜90万円ほどが目安なので、リフォーム費用は高額になる傾向です。

光触媒塗料は初期費用が高額になる一方で、耐用年数が長くメンテナンスの回数を減らせるメリットがあります。そのため長期的に見ると塗り替えの回数を減らし、外壁塗装の費用を削減できるので、初期費用と将来にかかる費用のどちらを重視するかをもとに、使用する塗料を選ぶことをおすすめします。

関連記事:【2024年版】外壁塗装の費用相場はいくら?10坪〜100坪の適正価格と安く抑えるコツ

光触媒塗料で外壁塗装するメリット

光触媒塗料を外壁塗装で使用することにより、得られるメリットは次の3つです。

  • セルフクリーニング機能により汚れを防げる
  • 紫外線に強く耐用年数が長い
  • 抗菌・空気清浄効果が得られる

それぞれ順番にご紹介します。

セルフクリーニング機能により汚れを防げる

光触媒塗料は、紫外線を浴びることで化学反応を起こし、塗装した表面についた汚れを浮かせて雨水で落としやすくするセルフクリーニング機能を持ちます。外壁を美しく保つためのこまめな手入れが不要で、掃除のための手間や費用を削減できるメリットがあります。光触媒塗料以外の塗料では、外壁の汚れを自分で洗い流したり業者のクリーニングを依頼したりする必要が出てきますが、セルフクリーニング機能を持つ光触媒塗料であればそうした作業も不要です。

紫外線に強く耐用年数が長い

光触媒塗料は、一般的な塗料を劣化させる原因となる紫外線に強く、非常に長い耐用年数を誇ります。シリコン塗料などの他の塗料の場合には、約10年で寿命を迎えることが多いですが、光触媒塗料の場合には15年〜20年の耐用年数が期待できます。耐用年数が長くなれば次の外壁塗装までの期間が長くなり、手間と費用を削減できるメリットが得られるのです。

ただし、外壁材の劣化もしくは外壁材の継ぎ目であるコーキングの劣化などにより、外壁のメンテナンスが必要になるケースもあるため、20年間ずっとメンテナンスフリーとは限らない点には注意しましょう。

関連記事:外壁塗装の耐用年数は10〜20年が限度!寿命を延ばすコツや劣化症状を解説

抗菌・空気清浄効果が得られる

光触媒塗料には、表面に付着したカビ・細菌などを分解する機能に加えて、排気ガスを分解して空気をきれいにする空気清浄効果も持っています。抗ウイルス・抗菌性能の高さから、ウイルスを抑制する内装用塗料が発売され、高い人気を集めたこともありました。そのため自宅周辺をきれいな空気に保ちたい方、排気ガスの影響が気になる方にも適しています。

光触媒塗料で外壁塗装するデメリット

一方で光触媒塗料には、次のようなデメリットも存在することに注意が必要です。

  • ひび割れを起こしやすい
  • 条件によっては汚れに対応できない可能性も
  • 施工には高い技術力が必要
  • カラーの選択肢が少ない

一つひとつ詳しくご紹介しましょう。

ひび割れを起こしやすい

光触媒塗料は、塗膜が硬く振動などによってひび割れを起こしやすい性質を持ちます。地震などで外壁材にひび割れが発生した際に、それに追従して塗膜にもひび割れを起こし、耐久性が低下することがあります。ひび割れを放置してしまうと、隙間から雨水が侵入して建物の寿命を縮める危険性があるため、耐用年数が残っていたとしても外壁のリフォーム工事が必要になることも考えられます。

関連記事:外壁のひび割れは危険信号!ひび割れ補修の方法と費用

条件によっては汚れに対応できない可能性も

光触媒塗料は、汚れの種類や立地条件によっては、セルフクリーニング機能を発揮できないこともあります。たとえば、火山灰やサビなどの無機質の汚れには対応できないほか、鳥のフンや木の枝葉が一箇所に集中した場合にも、汚れを落としきれないケースが出てきます。また、光触媒塗料は紫外線によってセルフクリーニング機能を発揮するため、日当たりが悪い外壁や雨が当たらない外壁の場合にも、十分な効果が得られないことに注意しましょう。

関連記事:外壁の汚れの落とし方は?汚れの原因と対策を解説

施工には高い技術力が必要

光触媒塗料は他の塗料と比べると、施工に高い技術力を必要とする性質があります。施工工程が細かく、塗りムラが発生すると十分な効果を発揮できなくなるなど、施工不良を起こしやすい塗料とも言えます。そのため従来では、TOTO製「ハイドロテクトコート」を使用する場合、TOTOの認定業者でしか施工ができなかった時期があったほどです。

現在はどの業者でも自由に光触媒塗料を使えるようになりましたが、施工不良につながって外壁の寿命を縮めないためにも、光触媒塗料の扱いに慣れている業者を選ぶことが重要です。

関連記事:優良な外壁塗装業者の選び方を解説!警戒すべき悪徳業者の見極め方とは

カラーの選択肢が少ない

光触媒塗料の原料となる酸化チタンは、白色系の顔料に使用されていることから、原色に近い色や濃彩色のカラーの選択肢が少ないデメリットもあります。選べるカラーの選択肢が狭まるため、ベージュ・アイボリーなどの白色系以外のカラーで外壁塗装したい場合には、光触媒以外の塗料を選んだ方が良いでしょう。どうしても光触媒機能を持たせたい場合には、別の塗料で塗装した後、表面に光触媒コーディングを施すことも可能なので、塗装業者に相談してみると良いでしょう。

関連記事:外壁塗装の色選びで後悔しないためのコツ!人気のおすすめカラーを解説

光触媒塗料を選ぶ時の注意点

最後に、光触媒塗料を選ぶ時の注意点として、以下の3つを解説します。

  • 光触媒の効果が発揮される立地条件かどうかを調べる
  • 光触媒塗料は大手メーカーの取り扱いがない
  • 光触媒塗料の扱いに慣れた塗装業者を選ぶ必要がある

これらのポイントも踏まえた上で、光触媒塗料を使うかどうかを検討してみましょう。

光触媒の効果が発揮される立地条件かどうかを調べる

光触媒塗料は紫外線による化学反応で汚れを浮かせ、雨水によって洗い流すことでセルフクリーニング機能を発揮します。そのため塗装する外壁が北向きで日光が当たらない場合や、雨水が当たらない外壁の場合には、光触媒の効果を十分に発揮することができません。15年〜20年の耐用年数を実現することが難しくなることも考えられるので、光触媒の性質が活かせる立地条件かどうか、事前に確認することが大切です。

光触媒塗料は大手メーカーの取り扱いがない

外壁塗装用の光触媒塗料は、国内の大手塗料メーカーである日本ペイント・関西ペイント・エスケー化研には取り扱いがなく、これらを除いたメーカーから塗料を選ぶ必要があります。大手メーカーの信頼性を重視する方にとっては注意が必要で、塗装業者によっては希望する光触媒塗料を扱っていないケースも考えられます。光触媒塗料を使用する場合には、事前にメーカーのカタログなどをチェックしておき、塗装業者にも施工可能かどうかを確認しておくことが大切です。

関連記事:塗料メーカー主要10社まとめ!外壁塗装の人気商品や選び方も解説

光触媒塗料の扱いに慣れた塗装業者を選ぶ必要がある

光触媒塗料は施工に高い技術力を必要としており、光触媒塗料の扱いに不慣れな業者を選んでしまうと、施工不良を起こす可能性が高まってしまいます。光触媒塗料を使った外壁塗装を依頼する際には、業者の公式ホームページをチェックして施工実績が豊富であるかどうかを確認したり、いくつかの業者から相見積もりを取って複数の営業担当者の話を聞いたりするのがおすすめです。

まとめ

光触媒塗料は、紫外線や照明の光に対して化学反応を起こす性質を利用し、外壁の汚れを浮かせて雨水で洗い流せるセルフクリーニング機能を備えているのが大きな特徴です。初期費用はやや高価になりますが、耐用年数が長く汚れにも強いため、長期的に見るとリフォーム費用を削減できるメリットがあります。

一方で塗膜が硬くひび割れを起こしやすい点や、すべての汚れに対応できるわけではない点がデメリットです。また、大手塗料メーカーには光触媒塗料の取り扱いがなく、業者の実績を十分に確認する必要があることにも注意しながら、外壁塗装を依頼するようにしましょう。

外壁塗装の窓口で相場チェックしてみませんか?
ページトップ