カラーベストはデザイン性が高く、安価で施工しやすい屋根材です。日本で広く普及している屋根材の一つですが、メンテナンスに費用がかかりやすいといったデメリットがあるため、実際に施工する際は注意が必要です。
この記事では、カラーベストの特徴やメリット・デメリットを解説します。メンテナンスにかかる費用も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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カラーベストとは?
カラーベストは、ケイミュー株式会社が製造・販売しているスレート屋根材の商品名です。
スレートとは薄型で平たい形状の屋根材であり、カラーベストはスレート市場の9割以上のシェアを持っています。これらの数値の通り、日本国内での普及率はとても高く、新築を中心によく使われてきたベストセラー商品であることから、現在は商品名が一般名称のように使用されています。
※カラーベストには複数の種類があり、長い歴史がありますが、この記事で取り扱うものは2000年代以降に販売された最新のものを記載しています。
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カラーベストの価格
商品の種類によって異なりますが、カラーベストの価格は1㎡あたり4,000〜6,000円が相場です。粘土瓦の一般的な価格は1㎡あたり9,000円前後、金属系屋根は1㎡あたり6,000~9,000円ほどとなっているので、カラーベストはほかの屋根材に比べると価格が安い傾向にあります。新築時の初期費用を抑えたい人には、ピッタリの屋根材だといえるでしょう。
カラーベストの耐用年数
カラーベストの耐用年数は20~30年です。ただし、これは10年ごとに定期的なメンテナンスをおこなった場合の目安であり、メンテナンスをしない場合はもっと早い段階で劣化します。
また、耐用年数は、製造年度や施工環境によっても異なります。耐用年数が経たなくても、色褪せやコケなどが見られた場合は劣化のサインです。放置しておくとさらに劣化が進み、雨漏りなどが発生する恐れがあるため、もし見つかった場合は早めに専門業者へ点検を依頼しましょう。
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カラーベストのメリット
カラーベストが日本で広く普及している背景には、以下4つのメリットがあります。
- 価格が安い
- カラー・種類が豊富
- 軽量で建物への負担が少ない
- 施工業者が多い
それぞれのメリットを詳しく解説します。
価格が安い
上述した通り、カラーベストは屋根材の中でも材料費が比較的安価です。また施工できる会社が多く、工事も短期間で完了するので、施工費用も安く抑えられます。
新築時は屋根以外にもさまざまなものに費用がかかるため、カラーベストを選んでコストを抑える傾向があります。カラーベストが屋根材の主流になりつつある背景には、価格が安いという点が大きいでしょう。すでに多く普及しているため、品質も安定している利点があります。
カラー・種類が豊富
カラーベストはカラーバリエーションやデザインの種類が豊富なため、選択肢の幅が広く、住宅のデザインや好みに合うスタイルの屋根を選べます。
波型や横一文字など、屋根材のカットの形状にもさまざまな種類があり、角度によって見え方が異なります。表面のデザインもグラデーションから木目調まで種類が多いため、 お気に入りのデザイン仕上げることが可能です。
あらゆる外壁材と相性が良く、多彩なカラーの組み合わせの中から選べるため、屋根にオリジナリティを出したい方におすすめです。
軽量で建物への負担が少ない
カラーベストは軽量で住宅への負担が少ないため、地震が起きた際に倒壊しにくいメリットがあります。屋根が重いと地震の揺れによる影響も大きくなりますが、カラーベストは一般的な陶器瓦と比べると半分ほどの重さしかありません。そのため、地震時の揺れも小さくなり、倒壊等のリスクを最小限に抑えられます。
また施工方法が簡単で軽量なので、作業しやすいのも利点です。薄い板状の屋根材を釘やビスで留めるだけで施工できるため、工事も短期間で終わります。
施工業者が多い
カラーベストは国内での普及率が高く、施工できる業者が多く存在します。そのため、どの地域に住んでいても業者選びに困らず、予算や希望条件に合う業者を選定しやすいといえます。
関連して、施工の難易度もそれほど高くなく、技術面も向上していることから、施工後のトラブルも発生しにくいのもメリットです。実績豊富な優良業者に依頼すれば、より満足いく仕上がりを実現できるでしょう。
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カラーベストのデメリット
カラーベストはメリットが多い一方で、以下のようなデメリットも存在します。
- メンテナンス費用がかかる
- 凍害に弱い
- アスベストが含まれている可能性がある
住んでいる地域によっては施工できない可能性があるので注意が必要です。
メンテナンス費用がかかる
カラーベストは初期費用は安いものの、メンテナンスに費用がかかりやすいデメリットがあります。カラーベストはセメントでできており、屋根材自体に防水機能がありません。そのため、水の浸透を防ぐには定期的な塗装が必要です。
屋根材の表面の塗膜は雨水や太陽光によって劣化するため、新築から10年程度で再塗装のメンテナンスが必要になります。塗料の耐用年数に合わせてメンテナンスが必要になるため、費用がかかる点に注意しましょう。
凍害に弱い
カラーベストはセメント系のため、雨水の吸水率が高く、凍害を引き起こしやすい屋根材です。凍害は雨水が寒さで凍ったり暑さで膨張したりすることで、屋根材の内部から割れやひび割れを起こす現象です。そのため、北海道などの寒い地域での施工は不向きです。
また、表面の塗膜は太陽光に当たることで劣化するため、定期的にメンテナンスをしないとカラーベスト自体が水分を含みやすくなり、破損しやすい状況になります。
アスベストが含まれている可能性がある
2000年以前に製造販売されていたカラーベストには、アスベスト(石綿)が含まれている可能性があります。固く圧縮されている状態であれば人の身体への影響はありませんが、屋根の解体や撤去の際に割れると細かく飛散して健康被害が発生します。飛散する範囲は広い地域に及ぶため、近隣住宅にも影響を与えてしまい大変危険です。
アスベストを含む古い屋根材の撤去は、専門の業者でしか対応できません。工事費用が高額になるため、まずは屋根の施工会社や不動産会社に相談してみましょう。
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カラーベストのメンテナンス方法と費用
前述した通り、カラーベストはセメント系のため、定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンス方法は主に5つあり、それぞれ施工にかかる費用が異なります。
部分補修 | 3~5万円程度 |
棟板金の交換 | 15~30万円程度 |
塗装 | 30~80万円程度 |
カバー工法 | 80~130万円程度 |
葺き替え | 100~150万円程度 |
どの方法を選ぶべきかは、劣化症状や施工年数などによって異なります。ここでは、各メンテナンス方法の特徴を確認しておきましょう。
部分補修
ひび割れや破損などがある場合は、部分補修で対応できます。劣化や損傷がある部分だけを補修または交換するだけで済むため、費用は安いケースが多いです。
ただし、経年劣化が原因で破損が発生した場合は、部分補修をしてもすぐに別の箇所で修理が必要になる場合があります。症状によっては全体的にリフォームをした方が良いでしょう。
部分修理にかかる費用は足場の有無によって異なります。足場が必要ない場合の費用は3~5万円程度ですが、足場が必要な場合はさらに15~20万円程度の費用がかかります。
棟板金の交換
屋根頂部に取り付けられている棟板金が破損した場合は、交換する際に15~30万円程度の費用がかかります。棟板金は毎日太陽光や雨水に晒されて劣化し続けており、築7~10年程が経過すると棟板金を止めている釘が抜けてしまいます。
棟板金が外れると雨漏りを起こすことがあるので、早めのメンテナンスが必要です。強風などで棟板金が飛んでしまった場合は、新しい棟板金を取り付ける工事を行いましょう。
塗装
カラーベストを保護している塗膜は、新築から10年程度経つと経年劣化が目立ち始めるため、再塗装が必要です。一般的な住宅の塗装工事の費用は、30~80万円程度が相場です。
塗装工事に使用する塗料には、シリコン系やフッ素系など様々な種類があり、どの塗料を選ぶかによって費用が異なります。グレードの高い塗料を選べばそれだけ費用も高くなるので、予算などを考慮したうえで選びましょう。
関連記事:屋根塗装の相場は40〜80万円が目安!坪数ごとの費用や内訳、安く抑えるコツを紹介
カバー工法
カバー工法は、既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねて貼る方法です。既存の屋根を撤去する作業が必要ないため、短い期間で工事が終わり、工事費用も比較的安く抑えられます。 施工費は新しい屋根材の種類によって変動しますが、一般的な住宅だと80~130万円が相場です。
カラーベストにアスベストが含まれている場合でも、カバー工法であれば飛散する恐れがなく、屋根を廃棄する費用も節約できます。ただし、カバー工法は屋根材を二重で設置するため、住宅に負担をかけてしまう点に注意が必要です。
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葺き替え
葺き替えは、既存の屋根をすべて撤去して新しい屋根材を貼る方法です。雨漏りなどが発生していて劣化が激しい場合は、他の工法では対処できないため、葺き替えが必要になります。
葺き替えは既存の屋根を撤去する作業が必要になるため、費用は100万円以上かかりますが、下地を補修して屋根材を丸ごと一新できるため、屋根の寿命が長くなります。また、外観も新築のように美しくなるため、イメージチェンジも可能です。
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カラーベストの工事は業者に依頼しよう
カラーベストは価格が安く、施工業者も多いことから、日本で広く普及しています。カラーバリエーションやデザインも豊富にあるため、自分好みの屋根材を見つけられるでしょう。
カラーベストの工事を依頼するときは、相見積もりをして、実績豊富な優良業者に依頼することをおすすめします。業者選びで迷ったときは、「外壁塗装の窓口」までお気軽にお問い合わせください。