2024-09-27 07:20:53 更新

アスベストの見分け方6選!ロックウールとの違いや対処法を解説

アスベストの見分け方6選!ロックウールとの違いや対処法を解説
編集者プロフィール
輿石 雅志
1972年生まれ。早稲田大学理工学部応用化学科卒業。40万人以上の方が利用している国内最大級のマッチングプラットフォームを提供する外壁塗装に特化した無料相談サイト「外壁塗装の窓口」を運営。著書に「マイホームの外壁塗装 完全成功読本」(幻冬舎出版)。
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住宅の外壁や屋根の工事をするときに「アスベストが使われているのではないか」と不安に思うこともあるでしょう。アスベストは人体にとって有害な物質であり、リフォームなどの工事を行う際には注意が必要です。

この記事では、アスベストの見分け方を解説するとともに、アスベストを見つけたときの対処法を紹介します。新築やリフォームなどの工事を控えている方は、参考にしてみてください。

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アスベストとは?

アスベストの見分け方6選

アスベストが使用されやすい場所

アスベストを見つけたときの対処法

アスベストの見分け方は難しい!専門業者に調査を依頼しよう

アスベストとは?

アスベストとは、天然鉱物の一種です。柔軟性・耐熱性・絶縁性・吸音性・耐火性に優れており、安価で扱いやすいことから、1970年代までは優れた建材として幅広い用途で使用されていました。

しかし、健康被害の危険性が明らかになったことから、アスベストの製造や使用は徐々に規制され、現在では新たな使用が全面禁止されています。

アスベストが引き起こす健康被害

アスベストが原因で引き起こされる健康被害は、主に5つあります。

  • 石綿肺
  • 肺がん
  • 悪性中皮腫
  • 良性石綿胸水
  • びまん性胸膜肥厚

大気中に飛散したアスベストを長期間吸い込むと、肺の様々な病気を引き起こす可能性があります。アスベストは発症までの潜伏期間が平均40年と長く、高齢になってから病気を発症することがあります。

現在は建築材料としての使用が禁止されていますが、古い建築物には使用されている可能性があるので注意が必要です。

アスベストの危険レベル

アスベストは発じん性(飛散リスク)によって、危険レベルが3段階に分類されています。

レベル1 発じん性が著しく高い
レベル2 発じん性が高い
レベル3 発じん性が比較的低い

レベル3なら飛散リスクが低いため、撤去作業をする際に厳重な保護具などは必要ありません。しかし、レベル1になると撤去する際に大量のアスベスト粉塵が飛散するため、撤去作業をする前に労働基準監督署などに必要書類を提出する必要があります。

ロックウールやグラスウールとの違い

アスベストと見た目が似ている素材に「ロックウール」と「グラスウール」があります。ロックウールは高炉スラグや天然岩石を溶かして作られた鉱物繊維で、グラスウールはガラスを細かく繊維化したものです。

これらは見た目だけで判別するのは難しいですが、主に繊維の太さが異なります。

素材 繊維の直径
アスベスト 0.02〜1マイクロメートル程度
ロックウール 3~6マイクロメートル程度
グラスウール 4~9マイクロメートル程度

ロックウールやグラスウールの繊維はアスベストより太いため、肺の奥まで届くことは基本的にありません。人体への危険性もほとんどなく、万が一肺に入っても体外に排出されるため安心です。対してアスベストの繊維は非常に細いため、肺に入り込み病気を引き起こす危険性があります。

アスベストの見分け方6選

アスベストは他の建材に混ぜ込まれているため、素人が見分けるのは困難です。しかし、ある程度の判別は付けられます。

ここでは、アスベストの見分け方を6つ紹介します。

建物の建築時期

建物の築年数を調べれば、アスベストが使われている可能性をある程度判断できます。

現在日本ではアスベストの輸入・使用を全面禁止しているため、2006年以降に建てられた戸建て住宅にはアスベストが含まれていません。しかし、1975年以前に建てられた建物には大量のアスベストが使用されています。

日本では1975年に5重量%を超える石綿の吹付けを原則禁止して以降、段階的にアスベストの使用が禁止されていき、2006年には全面禁止されています。

2006年以前に建てられた建物にはアスベストが使用されている可能性があるため、必要に応じて調査が必要です。

使用している外壁材

戸建て住宅で使用される外壁材のなかで、アスベスト含有の可能性があるものは主に4つあります。

  • 建築用仕上げ塗装材(1970~1999年)
  • 建築用下地調整塗材(フィラー)(1970~2005年)
  • 石綿含有金属系サイディング(1960~2004年)
  • 繊維強化セメント板(1960~2004年)

外壁材だけでなく、スレートやセメント瓦などの屋根材にもアスベストが含まれているものがあるので注意が必要です。

なお外壁塗装の材料には、シックハウス症候群を引き起こすホルムアルデヒドなどの化学物質が使用されている可能性があります。外壁塗装に使用される有害物質については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

外壁塗装の材料に含まれる有害物質とその影響

素材の色

素材の色が青色・灰色・白色・茶色の場合は、アスベストである可能性があります。青色はクロシドライトによる吹付け石綿、茶色はアモサイトによる吹付け石綿である可能性があります。

ただし、ロックウールもアスベストと同じ色合いなので、色だけで正確に判別はできません。別の見分け方も試したうえで、アスベストかどうかを判別する必要があります。

触れたときの特徴

アスベストの一部を手のひらに載せて指でこすったときに、砕けずに繊維状のまま残っていればアスベストの可能性が高く、砕けた場合はロックウールと判別できます。

アスベストは触っても無害ですが、粉塵を吸い込むリスクがあるため、触れるときは細心の注意が必要です。アスベストに触れる前に保護具を着用するなど、適切な対策をとりましょう。

お酢を使ったときの反応

アスベストは酸に強いため、お酢をかけても溶けずに残ります。ロックウールの場合はお酢をかけたときに溶けるため、アスベストとロックウールの違いを確認するときに利用できます。

ただし、1975〜1990年頃に作られたロックウールにはアスベストが含まれている可能性があるため、お酢だけでなく別の方法でも確認した方が良いでしょう。

石綿含有建材データベース

国土交通省及び経済産業省が提供している「石綿(アスベスト)含有建材データベース」を使用すれば、建材にどれだけアスベストが含まれているのかを把握できます。建材の名称やメーカー名を入力して検索すれば、石綿の種類や含有率などの情報を確認できます。

使用されている建材の名称やメーカーなどがわからない場合は、建築物の竣工年や施工部位などから検索することも可能です。データベースは誰でも無料で利用できるため、アスベストを見分けるときの役に立ちます。

アスベストが使用されやすい場所

健康被害を未然に防ぐには、アスベストの見分け方だけでなく、建物で使用されやすい場所を知っておくことが大切です。

アスベストがよく使用される場所は、主に4つあります。

吹き付けアスベスト

吹き付けアスベストとは、アスベストとセメントを混合して吹き付け施工したものです。使用期間は1960年代から1975年初頭までであり、主に鉄骨造建造物の柱や梁、空調機械室・ボイラー室・エレベーター機械室・立体駐車場の天井や壁などに使用されていました。

見た目は綿状で柔らかく、手で触れると崩れやすいのが特徴です。断熱効果や防火性があるため、建物のあらゆる部分に吹き付けられており、目視では確認できないところにも残存している可能性があります。

吹き付けロックウール

吹付けアスベストが1975年に原則禁止になって以降は、吹付けロックウールに使用が切り替わり、1987年まで製造されていました。吹付けロックウールは、ロックウールをセメントやアスベストなどと混ぜたもので、見た目や使用場所は吹付けアスベストと酷似しています。

なお、アスベストを混ぜて使用していた期間は1980年頃までであり、現在製造されている吹付けロックウールには含まれていません。

アスベスト保温材等

アスベスト保温材等は、アスベストと天然鉱物等を原料にして成形した保温材です。珪藻土保温材やパーライト保温材、石綿けい酸カルシウム保温材などの種類があり、主に化学プラントやボイラーの本体、配管の曲がった部分(エルボ)などの保温を目的に使用されていました。

板状保温材や筒状保温材は、各種プラント塔の外壁や配管の定形部に使用され、ひも状保温材は各種プラントの曲管部などに巻き付けて使用されています。また、布団状保温材は、各種プラントのポンプやバルブ等に部分等に被せて用いられています。

これらのアスベスト保温材等は、1974年から1987年までの間に製造が終了しています。

アスベスト成形板

アスベスト成形板は、アスベストをセメント等とともに成形した建材です。耐熱性や耐久性などの特性があることから、住宅やビルなどの外壁や屋根、天井や床などに幅広く使用されています。

吹付けアスベストの使用が原則禁止になる1965年ごろから1975年までの間に、多くのビルで使用されており、使用禁止になった後も、しばらくの間はロックウールにアスベストを混ぜて使用されていました。

アスベストを見つけたときの対処法

自宅の外壁や屋根にアスベストが含まれている可能性がある場合は、専門業者に調査を依頼しましょう。建材にアスベストが使用されている場合、解体作業中にアスベストが飛散してしまうため、工事をする前に必ず調査が必要です。 

調査を業者に依頼する場合の費用は、10〜100万円が相場です。 ただし、実際の価格は調査する範囲やアスベストの量などによって変動するため、複数のアスベスト調査会社や解体業者から相見積もりを取りましょう。

なお、調査と除去工事の両方を同時に頼めば、別々の業者に作業を依頼するよりも割安になる場合があります。 

アスベストの見分け方は難しい!専門業者に調査を依頼しよう

アスベストを見た目だけで判断するのは困難であり、実際に触れると粉塵を吸い込むリスクがあるため、素人が見分けるのは困難です。アスベストが建材に使用されている可能性がある場合は、自分で調査しようとせずに、専門業者に調査を依頼しましょう。

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