塗料には水性と油性の2種類があり、それぞれ長所と短所があります。両方の違いを把握しておくと、外壁や屋根のリフォームをするときに予算や目的に合う塗料を選びやすくなり、失敗せずに済みます。
この記事では、水性塗料と油性塗料の特徴や違いを紹介します。「どちらを選べば良いか…」と迷ったときは、参考にしてみてください。
外壁の塗り替え時期かも...
おすすめ記事:外壁塗装の塗料4種類の選び方を解説!相場・耐用年数から最適な塗料を選ぼう
水性塗料とは?
水性塗料とは、塗料を水で薄めて塗りやすくしたものです。主成分が水のため、安全性が高く、DIY用途にも広く使われています。
メリット | 臭いが少ない化学物質の排出が少ない使用した道具を水洗いできる |
デメリット | 季節や天候に左右される金属部分は密着しにくい木材が反ることがある |
臭いが発生せず扱いやすい利点がある一方で、使用する場所や時期が限られるので注意が必要です。
水性塗料のメリット
水性塗料の最大の魅力は、臭いが少なく、安全に使用できる点です。塗料の溶剤は水であるため、作業中に強い臭いが発生しません。そのため、工事中に気分が悪くなる心配がなく、臭いのこもりやすい室内でも使えます。
また、大気汚染やシックハウス症候群の一因とされるVOC(揮発性有機化合物)の排出が少なく、改正建築基準法による室内環境基準において最高評価の「F☆☆☆☆」を獲得している商品が多いのも利点です。化学物質の排出が少なく、人体や環境への影響も少ないため、施工業者にとっても扱いやすいです。
作業に使った道具は水洗いでき、繰り返し使用できる点も魅力です。引火の危険性がないので保管・管理がしやすく、DIY初心者や一般住宅でも気軽に扱えます。
水性塗料のデメリット
水性塗料は乾燥しにくく、季節や天候に左右されやすいのが難点です。一定の温度に達しないと水分が蒸発しないため、特に気温が低い時期や湿気の多い時期は乾燥するまで時間がかかります。乾くまでは水に弱いため、完全に乾燥する前に水滴などが付着するとぼやけてしまい、雨に濡れると溶けて流れてしまいます。作業する際は暖かく晴れている日を選び、十分な換気をしながら作業を行うことが大切です。
また、金属に塗りにくいのも難点です。窯業系サイディングやモルタルなどにはよく馴染みますが、アルミやステンレスなどの金属素材は密着しないため、あらかじめ下地をサンドペーパーで磨くなどの対策が必要です。
木材は水分量が多くなると変形する性質があり、木材に塗装すると乾燥後に反る場合があります。薄い板に塗装や重ね塗りをする際は、事前に反り止めの金具を付けるなどの対策をしましょう。
外壁の塗り替え時期かも...
油性塗料とは?
油性塗料は、有機溶剤で薄めて塗りやすくした塗料です。耐久性が高く長持ちするため、外壁や屋根などに広く使われています。
メリット | 耐久性が高い乾燥が早い素材を選ばない |
デメリット | 臭いが強い化学物質を排出する道具を水洗いできない |
機能性・耐久性は水性よりも優れていますが、取り扱いには注意が必要です。
油性塗料のメリット
油性塗料の最大の魅力は、耐久性が高く、長持ちしやすい点です。塗料に含まれる有機溶剤が耐久性の高い塗膜を作り、乾燥すると硬化します。これにより、色褪せしにくく、長期間にわたって美しい状態を維持できます。また、水や汚れにも強く、外壁や屋根などの雨風の影響の大きい場所でも問題なく使用できます。
環境に左右されにくく、乾燥が早いのも魅力の一つです。気温や湿度に左右されにくく、時期を選びません。強化剤を混ぜた塗料なら3時間程度で乾燥し、短い時間で作業が完了します。また、金属なども下地塗り不要で対応できるので、さまざまな場所のリフォームに向いています。
油性塗料のデメリット
油性は有機溶剤を使用しているため、揮発時にきつい臭いが発生します。臭いが強く、塗装が仕上がった後も数日ほど臭いが残る場合があるので、室内での利用は向きません。
また、環境や健康に悪影響を及ぼすVOC(揮発性有機化合物)を排出するため、外壁工事を行う時はもちろん、ベランダや庭で使うときも近隣住民への配慮が必要です。
シンナーは引火性が高く、保管場所や管理方法には十分注意が必要です。作業に使用した道具は水洗いできないので、うすめ液で洗う、または使用後に捨てる必要があります。手軽に取り扱えない点は、大きなデメリットだといえます。
しかし、最近では弱いシンナーで溶かせる「弱溶剤」の商品も開発されています。従来よりも臭いや刺激がなく、人体や環境への影響も少ないため、DIYでも扱いやすくなっています。
外壁の塗り替え時期かも...
水性塗料と油性塗料の違い
水性と油性の最も大きな違いは「希釈剤」です。希釈剤とは、塗料の粘度を低くして塗りやすくするための液体です。水性は水、油性にはシンナーが希釈剤として使われており、臭いや仕上がりなどに違いが出ます。
価格の違い
油性塗料は希釈のためにシンナーを使っており、品質も良いため、価格が高い傾向にあります。価格重視で選ぶなら、水性の方が良いでしょう。しかし、最近は水性の耐久性も上がっており、価格が高い商品もあります。性能が同等のものであれば、価格にもほとんど差はありません。
臭いの違い
水性塗料は使用時に臭いがほとんど発生しませんが、油性にはシンナーの強い臭いが発生します。人によっては強い臭いに耐えられず、吐き気や頭痛を起こす場合があります。匂いだけでなく、人体に影響を及ぼす化学物質を排出するため、小さな子供や赤ちゃん、ペットを飼っている家庭での使用は避けた方が無難です。ただし、近年は臭いや刺激を抑えた弱溶剤の塗料も登場しているので、業者とよく相談して選びましょう。
仕上がりの違い
水性塗料はムラやハケ跡が残りますが、油性は乾燥とともにハケ跡やローラー跡がなくなり、凹凸のないまっすぐな塗膜に仕上がります。 また、水性は重ね塗りをするほど木目が目立たなくなりますが、油性は重ね塗りをするほど木目が際立ち、木の風合いを活かすことができます。油性は耐用年数も長いため、のツヤのある美しい状態を長く維持できます。
外壁の塗り替え時期かも...
水性塗料と油性塗料はどっちがいい?
水性と油性の違いを把握した上で、どのように使い分けるかを解説します。 塗装したい場所や目的によって、どちらを使用すべきか確認してみましょう。
水性塗料が向いているケース
水性塗料は臭いがほとんどなく、化学物質を排出しないため、換気しにくい屋内での使用に向きます。危険性は低いため、小さい子どものいる家庭や住宅密集地、学校や公共施設でも安心して使えます。
また、保管がしやすく使用後の道具も簡単に清掃できるので、DIY初心者でも気軽に扱えます。棚や机など、DIYで非金属への塗装をする際におすすめです。
油性塗料が向いているケース
油性塗料は耐久性が高いため、主に屋外向きです。特に直射日光や雨風が当たる屋根や外壁、ウッドデッキやベランダなどへの塗装におすすめです。なかでも屋根は日中ずっと紫外線が当たっており、劣化しやすい部分なので、高い耐久性が要求されます。屋根なら臭いは上へ拡散されるため、周辺への影響を最小限に抑えられます。
また、対応できる素材の範囲が広く、金属にも密着するので、トタンや雨どいにも使えます。摩擦への耐性も高いため、屋内ではフローリングなどの利用におすすめです。
外壁の塗り替え時期かも...
水性・油性以外に塗料選びでチェックするポイント
塗料を選ぶときは、他にも注目すべきポイントがあります。どの種類を選ぶかによって費用や仕上がりが変わってくるので、ここでしっかり確認しておきましょう。
配合されている樹脂の違い
塗料の価格や耐用年数は、配合されている樹脂によって異なります。樹脂の耐久性は、水性・油性問わずアクリルが最も低くなっており、耐久性が高くなるほど価格も高価くなるのが一般的です。
塗料の種類 | 耐用年数 | 価格(1㎡あたり) |
アクリル塗料 | 5〜8年 | 1,500〜1,800円 |
ウレタン塗料 | 8〜10年 | 1,800〜2,200円 |
シリコン塗料 | 10〜15年 | 2,500〜3,200円 |
フッ素塗料 | 15〜20年 | 3,500〜4,500円 |
住宅に採用されることが多いのは、価格と耐久性のバランスに優れたシリコンです。フッ素は価格が高めですが、メンテナンスの手間を省ける点を考えると、コストパフォーマンスは良好です。アクリルは耐用年数が短いので、数年以内に建て替える場合に適しています。どの塗料を選ぶのが良いかは使う場面や状況によって異なるので、よく比較して選びましょう。
1液型と2液型の違い
塗料には「1液型」と「2液型」の2種類があります。1液型は缶を開封した後そのまま使えますが、2液型は使用時に硬化剤を混ぜ合わせなければならず、扱える業者が限られています。しかし、2液型は耐久性に優れており、住宅をはじめ、橋などの大型建築物に採用されています。
水性塗料の多くは1液型であり、油性は2液型が多い傾向にあります。外壁や屋根のような高い耐久性が必要な場所には2液型、耐久性を求められない場所には1液型を使用するなど、用途や場所によって使い分けるのがおすすめです。
外壁の塗り替え時期かも...
水性塗料と油性塗料の違いを知って外壁塗装に活かそう
水性塗料と油性塗料には、それぞれ良い面と悪い面があります。臭いを気にせず使いたいなら水性がおすすめですが、耐久性を求められる部分には油性が向いています。使用目的や場所によって適した塗料は異なるので、それぞれの違いを把握した上で使い分けると良いでしょう。
なお、現在は塗料も進化しており、機能性の高い商品も登場しています。リフォームをするときは実績豊富な業者に相談して、住宅に適した塗料をじっくり選定しましょう。
業者を選定するときは、業界最大級の専門サイト「外壁塗装の窓口」が役立ちます。簡単な入力で相場をチェックできるため、業者を探すときの参考にしてください。
外壁の塗り替え時期かも...