外壁に使う塗料として注目されているのが光触媒塗料です。機能性塗料の一種といわれ、最近では多くの商業施設や住宅に導入されています。それでは光触媒塗料とは、具体的にどのようなものなのでしょうか?また費用や特徴、メリット・デメリットはどのような点が挙げられるのでしょうか?
そこで本記事では、光触媒塗料の相場から施工費用、特徴、選び方、メリット・デメリット、注意点までを徹底解説します。光触媒塗料での外壁塗装を検討している方にとって、役立つ情報が満載の完全ガイドです。
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光触媒塗料とは?その仕組みと特徴を解説
光触媒とは太陽光や蛍光灯などの光をエネルギーとして、さまざまな有害物質を酸化=無害化させる性質のことをいいます。この性質を利用して、汚れや有害物質を分解し、無害化するため、光触媒は防汚効果や空気清浄などにも効果があるとされています。
光触媒塗料は光触媒の性質を活かした塗料です。下記では光触媒塗料の仕組みと特徴について詳しく説明します。
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光触媒塗料の仕組み
光触媒塗料には「酸化チタン」という物質が含まれています。この物質には光を受けると化学反応を引き起こし、活性酸素を生成するという性質があります。活性酸素は物質を酸化させる働きがあり、汚れや有害物質も酸化、分解します。
この仕組みにより表面に付着した汚れが壁面で分解され、雨水で自然に洗い流される自浄作用を発揮。壁面を清潔に保つだけでなく、有害物質の無害化や空気の浄化にも役立ちます。
光触媒塗料の特徴
光触媒塗料の最大の特徴は、優れた防汚効果にあります。壁に光が当たると塗料が汚れや有害物質を分解し、汚れがつきにくい状態を保つため、特別なメンテナンスを必要とせず、耐用年数が長くきれいな外観を長時間維持できます。
さらに光触媒塗料は環境にやさしいという点でも注目されています。化学薬品を使わず、太陽光や雨水といった自然エネルギーを利用して汚れを分解するため、環境への負担が少なく、持続可能な社会に貢献する塗料です。
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光触媒塗料の価格と費用の目安
光触媒塗料の価格は1㎡あたり3,500〜7,500円が一般的です。30坪(約120㎡)の住宅に使用したとすると、塗料代は約42万〜66万円、これに施工費用の目安である30万〜50万円をプラスすると総額は約72万〜116万円となります。
よく使われているアクリル塗料、シリコン塗料と比べ、光触媒塗料の価格相場は高いのかどうか、比較してみましょう。
光触媒塗料の価格:3,500~7,500円/㎡
アクリル塗料の価格:1,000~1,500円/㎡
シリコン塗料の価格:2,500~3,500円/㎡
単純に価格のみを比較すると、光触媒塗料は高くなります。しかし光触媒塗料は耐用年数が長いのも特徴の一つです。それぞれ30坪(約120㎡)の住宅に使用したとして、耐用年数も考慮に入れ比較してみましょう。
塗料の種類 | 塗料代 | 総額 | 耐用年数 |
光触媒塗料 | 42万~66万円 | 72万~116万円 | 16年~20年 |
シリコン塗料 | 30万~42万円 | 60万~92万円 | 8年~15年 |
アクリル塗料 | 12万~18万円 | 42万~68万円 | 4年~7年 |
光触媒塗料の総額は高くなりますが、20年単位で考えると1回の塗り替えで済むのに対し、シリコン塗料は2回、アクリル塗料は3回〜5回塗り替えが必要になります。そのため、耐用年数の長さとメンテナンスの回数などの理由から、光触媒塗料はトータルコストを抑えられる可能性があります。
光触媒塗料の価格を抑えるポイント
光触媒塗料は他の塗料とも比べて施工費用が高くなる傾向にあります。また光触媒塗料は扱いに慣れが必要な塗料でもあるため、優良業者を選ぶ必要もあります。
そのため光触媒塗料を用いた外壁塗装を実施する場合には、相見積もりを取るようにしましょう。相見積もりを取ることによって、価格を抑えることができるようになることに加え、適正な相場や優良業者の見極めができるようになります。
業者を選定するときは、業界最大級の専門サイト「外壁塗装の窓口」が役立ちます。簡単な入力で相場をチェックできるため、業者を探すときの参考にしてください。
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光触媒塗料のメリット
光触媒塗料のメリットとしては次のようなものが挙げられます。一つずつ解説していきます。
- 汚れを自然に分解する「光触媒機能」
- 耐用年数が長い
- エコで環境に優しい
汚れを自然に分解する「光触媒機能」
光触媒塗料はその名の通り光触媒を行う塗料です。塗料に含まれる酸化チタンが太陽光を利用して外壁に付着した汚れやほこり、排気ガスなどを化学的に分解します。分解された物質は雨水により洗い流されていくため、きれいな状態を保つことができるのです。このような特徴からセルフクリーニングをしてくれる塗料ともいえます。
他の塗料の場合、外壁を洗浄するなどのメンテナンスが必要ですが、光触媒塗料には洗浄はほぼ必要ないため、メンテナンスの手間が省略できます。
耐用年数が長い
上記の表でも解説している通り、光触媒塗料は耐用年数16年〜20年と長く、何度も塗り直すことなくきれいな状態を保つことができます。
この耐用年数の高さから、長期的に見た際のコストパフォーマンスが良好になるという点にも注目です。施工費用がやや高い傾向にはあるものの、メンテナンス頻度を抑えられるようになるからです。手間や長期的なコストも抑えたいという方にとってはおすすめの塗料といえます。
エコで環境に優しい
光触媒塗料は環境を汚染する物質を含まず、環境にやさしい塗料といわれています。また、分解の過程で空気中の有害物質を無害化する効果も期待されています。小さな子どもやペットなどいる家庭では、おすすめの塗料といえます。
さらに、抗菌・防カビ効果や空気浄化効果なども期待でき、都市部や工場周辺といった場所でも効果を発揮します。
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光触媒塗料のデメリット
メリットだけ見ると魅力的な光触媒塗料ですが、次のようなデメリットもあります。こちらも一つずつ説明していきます。
- 暗い色の塗料は使用できない
- 専門性が高い、実績が少ない
- 日当たりが悪い場所では効果が発揮されにくい
- 塗膜がひび割れしやすい
- 大きな汚れや無機質な汚れは落とせない
暗い色の塗料は使用できない
光触媒塗料には、酸化チタンが含まれています。この酸化チタンは白色であり、塗料の色も白色かそれに近い色になってしまいます。そのためカラーバリエーションが限られており、特にグレーやブラウンといった暗い色や濃い色を出せません。
暗い色の塗料を使いたい場合は、先に別の暗い色の塗料を塗り、乾いてから光触媒塗料と塗るという方法もあるものの、手間とコスト、技術も必要なため、あまりおすすめの方法とはいえません。
そのため希望する色で光触媒機能を持たせたい場合には、別の塗料で塗装した後、表面に光触媒コーディングを施すのがおすすめです。
専門性が高く、実績が少ない
光触媒塗料は大手メーカーは製造しておらず、従来のアクリル塗料やシリコン塗料より施工実績が少ないのが現状です。また光触媒塗料は粘度が低い、乾きにくいという性質から施工が難しく、施工できる業者が限定されます。
取り扱いに慣れていない業者が光触媒塗料を用いることによって、施工不良に繋がり、費用が無駄になってしまうため注意しましょう。
日当たりが悪い場所では効果が発揮されにくい
光触媒塗料は太陽光を利用して光触媒を行うため、日当たりの悪い場所や密集地では外壁をきれいに保つという効果が減ってしまいます。そのため施工にあたり、自宅の日当たりを考慮に入れる必要があります。
塗膜がひび割れしやすい
光触媒塗料はシリコン塗料などと比較すると、塗った後の塗膜が硬くなるという性質があります。そのため外壁の継ぎ目の充填材(シーリング)などの収縮によってひび割れが出てくることがあります。
大きな汚れや無機質な汚れは落とせない
汚れを分解する働きをもつ光触媒塗料ですが、サビや黄砂など無機質な汚れは分解できません。また鳥の糞や樹液、木の葉などの大きな汚れは分解が追いつかず、美観を保つのが難しくなります。
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光触媒塗料はどのような場合におすすめ?
光触媒塗料のメリット・デメリットを踏まえて、光触媒塗料は次のような状況の方におすすめの塗料です。自宅の状況に当てはまるかチェックしてみましょう。
- 交通量の多い都市部に住んでいる
- 環境に配慮した住まいを実現したい
- 外壁のメンテナンスの手間を減らしたい
- 日当たりの良い家に住んでいる
交通量の多い都市部に住んでいる
都市部や交通量の多い道路のそばの住宅では、排気ガス等で外壁が汚れやすい環境です。このような住宅に光触媒塗料を使用すると、頻繁に洗浄などのメンテナンスの必要がなく、きれいな状態を保つことができます。
環境に配慮した住まいを実現したい
光触媒塗料は環境に配慮した住まいを実現したい方にもおすすめです。光触媒塗料は、自然光を利用して汚れを分解するため、エコロジーで環境にも優しい選択肢といえます。また塗料の原料にも化学的なものが少なく、比較的安全な塗料といえます。
外壁のメンテナンスの手間を減らしたい
塗料自体に光を利用して汚れを分解する働きがあるため、他の塗料と比較すると汚れにくく、メンテナンスの回数を大きく減らすことができます。また耐用年数が長いため、塗り替えも20年に一度程度でよいというのも、おすすめのポイントといえます。
日当たりの良い家に住んでいる
密集地でない日当たりの良い一戸建てに住んでいる場合、光触媒塗料はおすすめできる塗料です。メンテナンスの回数を減らしつつ、外壁をきれいな状態に保つことができます。
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光触媒塗料を用いる際には業者によく相談しよう!
光触媒塗料は、セルフクリーニングという他にはない特徴を持つ塗料です。抗菌・抗ウイルス機能も期待できることから、コロナ禍以降興味を持つ方が増えています。
一方で、価格面などのデメリットも多く、自宅に合うのかどうかしっかり検討する必要があります。導入すべきか悩む場合は、実績のある業者に相談してみるのも一つの方法です。プロのアドバイスも取り入れつつ、納得のいく外壁塗装を行ってください。
なお、現在は塗料も進化しており、機能性の高い商品も登場しています。本記事でも解説した通り、リフォームをするときは実績豊富な業者に相談して、住宅に適した塗料をじっくり選定しましょう。
業者を選定するときは、業界最大級の専門サイト「外壁塗装の窓口」が役立ちます。簡単な入力で相場をチェックできるため、業者を探すときの参考にしてください。
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