訪問販売とは、塗装業者を始めとした様々なサービスで用いられる営業活動の一つです。
塗装工事は、住宅の外壁や屋根を保護する重要な工事であるため、すべての訪問販売が「悪」というわけではありませんが、中には悪質な訪問販売をしつこく行う業者が潜んでいるのも確かです。
そこで本記事では、塗装工事の訪問販売がよく使う手口やしつこい営業の撃退方法、上手な断り方やNG対応例を解説します。
断りきれず契約してしまった場合の対処法も紹介していますので、悪質な訪問販売に備えたい方や、実際に被害を受けた方はぜひ最後までご覧ください。
関連記事:優良な外壁塗装業者の選び方を解説!警戒すべき悪徳業者の見極め方とは
塗装工事の訪問販売でよくある悪質な手口・営業トーク
訪問販売では様々な手口・営業トークを用いて、言葉巧みに契約を取ろうとしてきます。悪徳業者に騙されて損をしないためにも、よくある手口を事前に理解しておくことが大切です。
ここでは、塗装工事の訪問販売でよく使われる、以下2つの手口・営業トークを詳しく紹介します。
- 「今すぐ工事しないと危険です」と不安や恐怖心を煽る
- 「今なら〇万円引きで承ります」と限定的な値引きで決断を急がせる
関連記事:外壁塗装の悪徳業者を見分ける4つのチェックポイント
「今すぐ工事しないと危険です」と不安や恐怖心を煽る
塗装工事の訪問販売でよく使われるのが、外壁や屋根の劣化・破損状態を大げさに評価し、不安や恐怖心を煽る手口です。具体的には、以下のような営業トークが使われます。
- 「このままでは雨漏りが発生する可能性がある」
- 「すぐに工事しないと外壁が崩れる危険性がある」
- 「放置すれば大きな事故や修理費用の増加につながる」
このような営業トークは、専門家ではない訪問販売員が少し見ただけで、大げさに言っている可能性が高いです。
彼らは塗装業者の振りをするなど、専門的な知識があることを装ってきますが、塗装工事の職人や専門家が営業に来ることはまずありません。
訪問販売員がこのような手口を使ってきた場合は、不安や恐怖心を煽られて契約しないよう、焦らず冷静に対応することが大切です。
「今なら〇万円引きで承ります」と限定的な値引きで決断を急がせる
塗装工事の訪問販売では、限定的な特別サービスや値引きを強調して、その場で即決させる手口もよく使われます。契約を急がせる具体的な営業トークは、たとえば以下のとおりです。
- 「今すぐ申し込んでいただければ10万円引き」
- 「今週までの限定キャンペーンで足場代が無料に」
- 「先着5名様限定で塗装費用が20%OFFに」
このような営業トークは、すぐに申し込まないと損をするという焦りを生じさせ、判断力を鈍らせる狙いがあります。もし本当に工事が必要な場合でも、急いで契約する必要はなく、むしろ時間をかけて慎重に判断することが大切です。
また、塗装工事の費用は、不可欠かつ大きなコストのかかる以下4つの内訳で構成されているため「足場代無料」や「10万円以上の値引き」などの大幅な値引きは本来できません。
【塗装工事費用の内訳】
このような手口を使ってくる業者は、手抜き工事でコストを削減している可能性が高いため、限定的・大幅な値引きにつられて契約することは避けましょう。
関連記事:【2024年版】外壁塗装の費用相場はいくら?10坪〜100坪の適正価格と安く抑えるコツ
しつこい訪問販売を撃退するポイント4つ【上手な断り方】
しつこい訪問販売を撃退するためには、効果的な断り方・対応方法を知っておくことが大切です。ここでは、塗装工事の訪問販売を撃退するポイントを4つ紹介します。
- インターホンで対応または居留守を使う
- 訪問販売員からの質問・営業トークには答えない
- 「必要ない」ときっぱり断る【上手に断る言葉一覧】
- あまりにしつこい場合は警察に通報する
上手に断る具体的な言葉も紹介していますので、いざという時のために、しっかり身につけておきましょう。
1.インターホンで対応または居留守を使う
訪問販売に対してもっとも効果的な対応方法は、直接対面しないことです。玄関を開けずにインターホン越しに対応することで、販売員のペースに乗せられるリスクを大幅に減らせます。
訪問販売の多くはインターホンを突破することを第一関門としており、一度対面してしまえばあの手この手で言いくるめられる可能性があるので、ドアは絶対に開けないようにしましょう。
また、断るのが苦手な方は、居留守を使うのも一つの手段です。居留守をする際は、電気をつけたままにして「営業には対応しない」とアピールするのも効果的。
アポなしで来る訪問販売にいちいち対応する義理や義務はありませんし、ましてや罪悪感を感じる必要は一切ありません。
2.訪問販売員からの質問・営業トークには答えない
訪問販売員は、会話を続けることで商品を売り込む機会をつくるため、販売員からの質問や営業トークに対して返答しないことが重要です。
質問に答えることは、すなわち相手の土俵に上がることを意味します。質問に答えてしまうと、それを糸口にさらなる営業トークを展開され、いつの間にか相手のペースに乗せられて契約してしまうケースも少なくありません。
塗装工事とはまったく関係ない雑談から営業はすでに始まっています。思わず答えてしまいそうな簡単な質問であっても「必要ありません」「お断りします」とだけ、繰り返すことがポイントです。
3.「必要ない」ときっぱり断る【上手に断る言葉一覧】
訪問販売を断る際は「必要ない」という意思をはっきり伝えることが大切です。
曖昧な態度や言葉は、販売員につけ入る隙や契約できる希望を与えてしまうため、相手のペースに巻き込まれる前に、以下のようなシンプルな言葉を用いてきっぱり断りましょう。
【訪問販売の上手な断り方】
- 「必要ないです」
- 「お断りします」
- 「帰ってください」
断る際の注意点として「いいです」「結構です」といった肯定とも取れる返答は使わないようにしましょう。こちらは断っているつもりでも、相手の受け取り方次第ではズルズルと会話を引き伸ばされてしまいます。
4.あまりにしつこい場合は警察に通報する
訪問販売員に「帰ってください」とはっきり伝えているにもかかわらず、しつこく居座り続ける場合は「不退去罪」という刑法犯罪に該当する可能性があります。
あまりにしつこく勧誘される場合は、警察に通報することも一つの選択肢として覚えておきましょう。
特に「帰らないなら警察を呼ぶ」と伝えても帰らない場合、また、威圧的な態度や脅迫めいた言動がある場合は、躊躇せずに110番通報をしてください。
なお、警察に通報する際は、以下の点を明確に伝えることが重要です。
【警察への通報時に伝えること】
- しつこい訪問販売で今も帰ってくれないこと
- 販売している商品・サービスの内容
- 販売員の特徴(人数・服装・年齢など)
通報後は、警察が到着するまでドアを開けずに待機し、安全を確保することを忘れないようにしましょう。
思うツボ!?塗装工事の訪問販売につけ込まれるNG対応例
塗装工事の訪問販売を撃退するには、上述したポイントを押さえて適切に対応することが重要です。しかし、いつの間にか相手のペースに乗せられ、あれよあれよと不要な契約を結ばれてしまうケースがあるのも事実。
そこで以下からは、訪問販売が来た際にしてはいけない3つのNG対応例を紹介します。
- 訪問販売員を家の中に通す
- 適当な理由を付けて断る
- 恨みを買いかねない乱暴な対応
訪問販売員を家の中に通す
まず、もっとも避けるべき対応が、塗装工事の訪問販売員を家の中に通すことです。
家の中に入れてしまうと、販売員が帰らない口実をつくってしまい、長時間におよぶ勧誘を受けることになります。
また、一度家に上げてしまうと物理的に出て行かせることが難しくなるうえに、家の中の様子を見られることで別の商品やサービスの営業をされる可能性も。
訪問販売員を家に通すメリットは何一つありません。かならずインターホン越しに対応し、決して家に上げないことが重要です。
適当な理由を付けて断る
塗装工事の訪問販売を断る際、その場をやり過ごすために適当な理由を付けて断るのも避けるべきです。NGな断り方としては、たとえば以下のような例が挙げられます。
- 「忙しいから」→「お時間あるときに伺います」
- 「決まった業者がいるから」→「そこよりもお安くします」
- 「料金が高いから」→「今契約いただければ〇万円引きします」
- 「主人じゃないと決められない」→「いつ頃お帰りになりますか?」
上記のように、販売員につけ入る隙や反論の余地を与えてしまい、一方的に再訪問などを約束されてしまう可能性があります。
訪問販売を断る際には、わざわざ理由を述べる必要はありません。適当な理由を付けずに「必要ないです」「お断りします」と、きっぱりとシンプルに断ることが大切です。
恨みを買いかねない乱暴な対応
塗装工事の訪問販売員に対して、乱暴な言葉や大声で追い返すことは避けましょう。
特に、侮辱的な言葉や相手の人格を否定する言葉を使うと、販売員の恨みを買う可能性があり、最悪の場合は嫌がらせや報復行為を受けるリスクもあります。
訪問販売員への対応は、感情的にならず、淡々と行うことが大切です。「必要ないです」と端的に伝えつつ、相手の恨みを買いかねない強い言葉は使わないようにしましょう。
塗装工事の訪問販売で断りきれなかった場合の対処法
塗装工事の訪問販売を断りきれず、押し切られる形で契約してしまった場合は「クーリング・オフ制度」を利用しましょう。
クーリング・オフ制度とは、訪問販売などで望まないサービスの契約をした場合に、特定商取引法に基づき契約を解除できる制度です。
塗装業者に対して、契約書類を受け取った日を含めて8日以内に、クーリング・オフする旨を記載したハガキを送付することで申請できます。
ただし、以下の条件に該当する場合は、適用できない可能性があるためご注意ください。
【クーリング・オフが適用できない場合】
- 契約日から8日以内の申請期限を過ぎた
- 自分で自宅に呼んだ・店舗に出向いて契約した
- 過去1年間に取引したことがある業者
- 3,000円未満の現金取引
- 国内外で契約した
なお、クーリング・オフ制度の利用に際して、分からないことやトラブルが発生した場合は、外壁塗装などの無料相談ができる「国民生活センター」に連絡してみましょう。
訪問販売の撃退方法を理解して悪徳業者から身を守ろう
本記事では、しつこい訪問販売の撃退方法、NG対応や契約してしまった場合の対処法などを解説しました。塗装工事のしつこい訪問販売を撃退するポイントは以下のとおりです。
【訪問販売の撃退ポイント】
- 玄関は開けずにインターホン対応・居留守を使うこと
- 訪問販売員からの質問・営業トークには答えないこと
- 「必要ない」という意思をはっきり端的に伝えること
- あまりにしつこい場合は躊躇なく警察に通報すること
特に不安を煽ったり、限定的な値引きを強調して契約を急がせたりと、悪質な手口を使う業者には注意しましょう。
なお、断りきれず万が一契約してしまった場合でも、8日以内であればクーリング・オフ制度が利用できるためご安心ください。
訪問販売への対応は、決して難しいものではありません。この記事で紹介した撃退方法を参考に自信を持って対応し、悪徳業者から大切な我が家と自分の身を守りましょう。