和室に使用されることの多い砂壁。自然素材ならではの風合いが魅力ですが、経年劣化によって砂が落ちたりひびが入ったりするデメリットもあります。トラブルが生じたときは、速やかな補修が必要です。
この記事では、砂壁を補修する方法と補修にかかる費用や工期を解説します。自分で補修する場合の注意点も解説するので、砂壁の補修を検討している方はぜひ参考にしてください。
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砂壁とは?
砂壁とは、砂や藁などの材料を混ぜ合わせて作られた日本の伝統的な壁材です。和の雰囲気や風情を演出できることから、昔から茶室など和室の内装に使用されてきました。
天然素材を使用した自然な風合いや温かみが特徴で、上品な雰囲気に仕上がりますが、デメリットもあります。まずは、砂壁のメリットとデメリットを把握しておきましょう。
砂壁のメリット
砂壁は吸湿性と放湿性に優れており、室内の湿度をある程度一定に保つことが可能です。湿度の高い時は吸湿し、乾燥している時は加湿するため、一年を通じて過ごしやすい生活環境を維持できます。
また、施工は職人が手作業で行うため、さまざまな模様や質感を演出できます。コテ模様の付け方で多彩な表現ができるので、オリジナルのデザインや模様を取り入れることも可能です。
砂壁は自然素材を用いているため、アレルギーやシックハウス症候群になりにくいメリットもあります。壁が湿気を吸湿する際に、アレルギーなどの原因となるアンモニアやホルムアルデヒドなども吸収し、安心・安全で暮らせる生活環境を実現します。
砂壁のデメリット
砂壁にはメリットが多い一方で、日々の掃除やメンテナンスに手間や費用がかかるデメリットがあります。
砂壁は経年劣化や衝撃などによって砂が剥がれたり粉が落ちたりすることがあり、掃除に手間がかかりがちです。経年劣化によるひび割れを放置すると、美観を損ねるだけでなく、ダニやカビが発生することもあります。
また、砂壁の施工は職人による手作業が基本のため、壁紙の施工と比べると高い費用がかかります。
砂壁を補修するタイミング
砂壁には補修が必要なことはわかっていても、具体的にどのタイミングで補修すべきか良いかわからず困っている方もいるでしょう。
ここでは、砂壁の補修を検討した方が良い3つのタイミングを紹介します。砂壁のメンテナンスをすべきか迷っている方は、判断の基準にしてみてください。
ひび割れがある
ひび割れが生じた場合は、砂壁を補修をするタイミングだと言えます。
ひび割れが壁全体に広がっている場合は、壁の構造や建物全体の安全性に悪影響を及ぼす可能性があります。小さなひび割れであっても、湿気や虫の侵入経路となり、カビや細菌が発生するリスクが高まるので注意が必要です。
ひび割れがある砂壁は見た目も良くありません。特に砂壁のある和室を客間や応接室として使用している場合は、早めにひび割れを補修し、美しい見た目を維持しましょう。
関連記事:外壁のひび割れは危険信号!ひび割れ補修の方法と費用
砂が落ちてくる
砂壁から砂が落ちてくるようになったら、早急に補修しましょう。このままの状態では壁が脆くなり、地震が起きたときに衝撃で簡単に崩れる可能性があります。
砂が室内に散乱すると空気中に微粒子が舞い上がり、アレルギーや呼吸器に問題を引き起こすかもしれません。また、落ちた砂が床や家具に付着して、掃除の手間も増えます。
砂が落ちてくる場合、一部の補修で対処できる場合もありますが、全体の張り替えや壁の補強など大掛かりなリフォームが必要な場合もあります。
施工から10年以上が経過している
砂壁の補修やリフォームは、施工から10年程度が目安です。砂壁は時間の経過とともに劣化や変色が進むため、10年以上経過すると汚れやひび割れが発生しやすくなります。美しい状態を維持するには、施工から10年を目安に表面の汚れやひび割れの修復が必要です。
ただし砂壁の寿命は日々の管理方法や気候などによって異なるため、必ずしも10年が限度ではありません。定期的なメンテナンスを怠っていると、10年を迎える前にひび割れなどの劣化が生じる場合があります。その場合は、10年を待たずに早めに補修やリフォームをしましょう。
関連記事:外壁塗装の耐用年数は10〜20年が限度!寿命を延ばすコツや劣化症状を解説
砂壁の補修方法
砂壁を補修する方法は、主に3つあります。
- 塗装する
- 塗り替える
- 壁紙(クロス)を貼る
それぞれの方法を詳しく解説します。
塗装する
補修費用を安く抑えたい方には、塗装がおすすめです。塗装は砂壁に専用の塗料を塗り、新品のような見た目を取り戻す方法です。
塗装はDIYで自分でできるため、業者に依頼する費用を節約できるメリットがあります。しかし、塗料をしっかり選定しないと、砂壁の調湿性が失われる可能性があるので注意が必要です。
また、塗るときの気温などにも気を付ける必要があります。DIYに慣れていない方や塗料の選び方に迷う方は、専門業者への依頼をおすすめします。
関連記事:【2024年版】外壁塗装の費用相場はいくら?10坪〜100坪の適正価格と安く抑えるコツ
塗り替える
砂壁の調湿性を失わずに補修したい場合は、珪藻土または漆喰への塗り替えをおすすめします。
珪藻土と漆喰はどちらも天然素材であり、砂壁と同様に調湿性に優れています。珪藻土はデザイン性にも優れており、職人の塗り方によってオリジナルの模様をつけることが可能です。
漆喰も塗り方次第で独特の雰囲気を演出できますが、珪藻土よりも強度が高いというメリットがあります。そのため、水回りや屋外での使用におすすめです。
壁紙(クロス)を貼る
和風の部屋を洋風にイメージチェンジしたい場合は、壁紙(クロス)を貼ると良いでしょう。
近年は低価格で購入できる壁紙が多数販売されており、費用を抑えた補修が可能です。壁紙はデザインの種類が多く、消臭や防音など機能性の高い壁紙もあるため、お部屋の雰囲気や好みに合うものを選べます。
ただし、砂壁に直接壁紙は貼れないため、砂壁を固めてから貼るか、事前にベニヤ板を貼り、その上から壁紙を貼るかのどちらかになることが多いです。
砂壁補修にかかる費用と工期
砂壁を補修するときに気になるのは、費用と工期です。「費用を抑えながら短期で補修したい」と考える方も多いでしょう。
ここでは、砂壁補修の方法別に費用と工期を解説していきます。
塗装
塗装で補修する際にかかる費用は、6畳の部屋で10万円程度です。自分で塗装する場合は、費用を1〜3万円程度に抑えられます。
工期は2〜4程度ですが、作業に慣れていない人が自分でDIYする場合は、作業が完了するまで時間がかかる場合があります。マスキングテープやパテ、シーラーなど準備するものも多いため、手間をかけずに塗装したい場合や、仕上がりの確実性を求めるなら、多少お金がかかっても業者に依頼した方が良いでしょう。
塗り替え
珪藻土や漆喰に塗り替える場合の費用は、6畳の部屋で10〜20万円程度です。他の方法と比べて作業に手間がかかるうえに、職人の工賃もプラスされるため、費用は比較的高額になります。ただし工期は2〜4程度なので、日常生活への影響は最小限に抑えられます。
費用を安く抑えたい場合は、自分で行うことも可能です。珪藻土と漆喰はプロの技術がないと施工が難しい面もありますが、塗りムラも味わいのある雰囲気に仕上がるため、DIYでも挑戦しやすいと言えます。
壁紙(クロス)貼り
砂壁の上に壁紙を貼って補修する場合の費用は、6畳の部屋で10〜15万円程度です。1〜2日の短い工期で終了しますが、砂壁の劣化具合によっては費用がかさむ可能性があります。
特に機能性やデザイン性の高い壁紙を施工する場合は費用も高額になりやすいため、予算オーバーしないように注意が必要です。砂壁の状態や壁紙の種類によって費用が変動するので、事前に調査や見積もりを依頼してから施工すると良いでしょう。
なお、下記の記事では砂壁補修を含む、塗装における業者の探し方について詳しくまとめています。業者を選ぶ際の参考にしてください。
関連記事:優良な外壁塗装業者の選び方を解説!警戒すべき悪徳業者の見極め方とは
砂壁を自分で補修するときの注意点
砂壁は自分で補修もできますが、作業する際に注意すべきポイントが2つあります。仕上がりに大きく影響する部分なので、事前に注意点をしっかり把握してから施工しましょう。
塗る前に気温や湿度を確認する
塗料缶にはそれぞれ使用できる気温や湿度が記載されています。事前に決められた範囲外で作業をすると、塗料が乾くのが遅れて作業時間が大幅に伸びたり、施工不良を起こしたりする恐れがあります。
特に気温の低い冬や湿度の高い梅雨は塗料が乾きにくいので注意が必要です。スケジュールの都合で気温や湿度を合わせるのが難しい場合は、エアコンや除湿機などを使用して、可能な限り塗料に適切な環境を整えましょう。
養生は半乾きで剥がす
砂壁を自分で補修するときは、あらかじめマスキングテープなどで養生をしておく必要があります。養生は、補修する場所以外に汚れをつけないために欠かせない作業です。
すべての工程が終われば養生を剥がすことになりますが、塗料が乾いてから剥がそうとすると、塗料がマスキングテープとともに剥がれる可能性があります。そのため、養生は半乾きのタイミングで剥がすことが重要です。テープの上の塗料を軽く触ったときに指につかない程度がベストタイミングです。
砂壁の補修方法を知ってきれいな外壁を維持しよう
砂壁補修の方法は、費用を抑えた方法から砂壁特有の調湿性を活かす方法までさまざまです。壁紙を貼ることによって、洋風にイメージチェンジすることもできるので、予算や仕上がりのイメージに合わせて適切な方法を選びましょう。
自分で砂壁を補修することも可能ですが、塗る時の気温や湿度に注意しなければならず、手間がかかりやすいため、自信がない方は専門業者への依頼をおすすめします。
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