2024-07-05 07:11:15 更新

ガイナ(塗料)とは?メリット・デメリットや価格相場を解説

ガイナ(塗料)とは?メリット・デメリットや価格相場を解説
編集者プロフィール
輿石 雅志
1972年生まれ。早稲田大学理工学部応用化学科卒業。40万人以上の方が利用している国内最大級のマッチングプラットフォームを提供する外壁塗装に特化した無料相談サイト「外壁塗装の窓口」を運営。著書に「マイホームの外壁塗装 完全成功読本」(幻冬舎出版)。
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外壁塗装をする際に、どの塗料を選ぶべきか迷っている方もいるでしょう。外壁塗装に使われる塗料にはシリコン塗料やウレタン塗料など様々な種類がありますが、近年はガイナを利用する方が増えています。

この記事では、ガイナの特徴やメリットやデメリットを詳しく解説します。ガイナの施工を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

外壁塗装の塗料に関する詳しい解説はこちら

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ガイナとは?

ガイナのメリット

ガイナのデメリット

ガイナはどんな建物におすすめ?

ガイナのメリット・デメリットを考慮して選ぼう

ガイナとは?

ガイナとは、ロケットの機体を守るためにJAXA(宇宙航空研究開発機構)が開発した断熱塗料を、株式会社日進産業が一般向けに改良した塗料です。

ロケット打ち上げ時の高熱から機体を守る高度な断熱技術が使用されており、2017年度には省エネ大賞「審査委員会特別賞」を受賞するなど、ガイナの持つ機能性と先進性は高く評価されています。

また、木材や金属、ガラスなどの様々な素材に塗装できるのもガイナの特徴です。船舶や重要文化財を含む多くの建物に採用されてきた実績を持ち、断熱・遮熱塗料の中で高い人気を誇ります。

ガイナの耐用年数

ガイナは特殊セラミックやアクリルシリコン樹脂などを原料としており、耐久性が約15~20年と長いのが特徴です。さらにガイナの持つ断熱・遮熱性能により、建物の膨張や収縮を最小限に抑えられるため、一般的な塗料と比較して2〜3倍の耐久性があります。

ガイナを外壁に塗装することによって、建物の耐久性を向上させることができ、メンテナンスの回数も少なく済ませることができます。

関連記事:外壁塗装の耐用年数は10〜20年が限度!寿命を延ばすコツや劣化症状を解説

ガイナの価格相場

ガイナの価格は、一般的な30坪の戸建てで100~140万円ほどが相場となっています。(1平方メートルあたりの単価は3,800〜4,500円)

外壁と屋根をまとめてガイナで塗装する場合は、合計で120~170万円ほどの費用がかかります。

関連記事:【2024年版】外壁塗装の費用相場はいくら?10坪〜100坪の適正価格と安く抑えるコツ

ガイナのメリット

宇宙技術から生まれたガイナには、室内環境を快適に保つさまざまなメリットがあります。ここからはガイナの下記のメリットについて紹介します。

  • 断熱効果がある
  • 遮熱効果がある
  • 結露が発生しづらい
  • 防音効果がある
  • 経年劣化しにくい

断熱効果がある

ガイナの塗膜には熱の移動を抑制する効果があるため、冬は屋内の熱が逃げにくく、夏は屋外の熱が侵入しにくいメリットがあります。外壁だけでなく内装にもガイナを塗装すれば、建物全体の断熱効果がさらに高まり、冬も夏も快適に過ごしやすくなります。 

実際にガイナを販売する日進産業が戸建て住宅の屋根と外壁にガイナを塗装し、11~1月の電気使用量を比べたところ、ガイナを塗装した後の方が暖房にかかる電気使用量を約27.1%削減できることも判明しています。

ガイナによって建物の断熱効果を高めれば、冬の暖房にかかる電気代の削減にも役立ちます。

遮熱効果がある

ガイナには、光を反射させて温度の上昇を防止する遮熱効果があります。外壁にガイナを塗装すれば、日光が長時間あたっても高温になりにくいため、夏場も快適に過ごせるでしょう。

日進産業が行った実験で、一般塗料を塗布したコンクリートとガイナを塗布したコンクリートにそれぞれ48℃のライトを照射したところ、ガイナの方が裏面温度が5℃低いという結果が出ています。

室内温度の上昇を抑えられればエアコンの効き目もよくなるため、省エネや節電にも役立つでしょう。

関連記事:遮熱塗料は効果なしって本当?メリット・デメリットや選び方を解説

結露が発生しづらい

結露は外部と室内の温度差が大きいほど発生しやすくなりますが、ガイナの塗膜は温度変化に適応する特性があるため、結露の発生を抑制できます。

結露が発生すると、汚れやカビが生えるなどの問題が起こりますが、ガイナを外壁に塗布すると余計な熱移動がなくなるため、結露を防止して快適な住環境を実現できます。

防音効果がある

ガイナの塗膜は空気を含んだ球体の多層構成になっており、音を効率的に反射して音の振動を抑える作用があります。

ガイナを塗布することで、室内からの音漏れだけではなく、外部の音も遮断することが可能です。そのため、踏切や車の通行量が多い道路の近くにある住宅には、最適な塗料だといえるでしょう。

経年劣化しにくい

ガイナは主成分に紫外線に強い特殊セラミックを使っており、経年劣化しにくいメリットがあります。時間の経過とともに塗膜表面は汚れていきますが、表面が汚れても断熱性能が劣化することはありません。

通常の塗料の2〜3倍の耐久性があるため、頻繁にメンテナンスをする必要がなく、維持管理が楽になります。

ガイナのデメリット

ガイナはメリットが多い一方で、下記のようなデメリットもあります。

  • 施工費用が高い
  • ツヤがない
  • 色の選択肢が限られる
  • 汚れが付着しやすい
  • 業者によって技術力に差がある

施工費用が高い

ガイナの費用は、外壁塗装で一般的なシリコン樹脂塗料の費用と比べて1.5〜2倍ほど高くなります。外壁塗装の工事にかかる費用も数十万円以上高くなるため、ガイナを選ぶことに躊躇する人も少なくありません。 

しかし、シリコン塗料と比べると耐久性が高く、塗り替えの回数も少なく済むため、メンテナンス費用を抑えられます。30年という長いスパンでみれば、メンテナンスの回数が少ないガイナ塗装の方がトータルコストは安く済みます。

遮熱効果などの多くの機能性があるため、コストパフォーマンスを考えて塗料を選ぶと良いでしょう。

ツヤがない

ガイナはツヤ(光沢)なしタイプのみの製造となるため、ツヤがある塗膜が好みの方にはおすすめできません。

他の外壁塗料は「ツヤあり」「5分ツヤ」「ツヤ消し」というようにツヤの度合いを選択できる場合が多いですが、ガイナは全てツヤなしのマットな仕上げとなるので注意が必要です。

また、塗膜の表面に細かい凹凸ができてザラザラした触り心地になるため、フラットな仕上がりが好みの方にもおすすめできません。

色の選択肢が限られる

ガイナのカラーには52色のバリエーションがありますが、白に色を混ぜてカラーを作るため、すべて淡色となります。赤や黒といった濃いカラーバリエーションは選べないため、外壁を濃いカラーで仕上げたい場合は、他の塗料か類似のカラーを選択することになります。

特に屋根は濃いカラーの方が一般的なため、濃色系のカラーバリエーションが豊富な遮熱塗料で屋根を塗装するなど、他の塗料との組み合わせを考えた方が良いでしょう。

なお、屋根塗装の色の選び方については、下記の記事を参考にしてください。

https://gaiheki-madoguchi.com/articles/139

汚れが付着しやすい

水性塗料であるガイナはツヤがないため、油性塗料のように汚れを拭き取ることができません。そのため、雨だれや土ぼこりなどの汚れが付着しやすく、一度付いた汚れはそのままになってしまいます。

近隣に雑木林や畑などが多く、土ぼこりが舞いやすい環境にある建物にガイナで塗装すると、汚れが付着して目立ちやすくなります。汚れがついた外壁を放置しておくと、建物の美観を損なうだけでなく、コケやカビの発生原因になるため、定期的な清掃が必要です。

業者によって技術力に差がある

ガイナを塗布する際は、セラミックを均等に散らすなど高い技術力が求められます。他の塗料と比べて扱いにくく、塗りにくい塗料といわれており、ガイナの特徴を熟知した業者でないと性能を十分に発揮できません。

ガイナを依頼する場合は、ガイナ塗装の施工実績が豊富で、取り扱いに慣れた業者を選ぶことが大切です。

なお、優良な業者を探すためのポイント・見極め方については下記の記事を参考にしてください。

関連記事:優良な外壁塗装業者の選び方を解説!警戒すべき悪徳業者の見極め方とは

ガイナはどんな建物におすすめ?

ガイナのメリットとデメリットを踏まえたうえで、ガイナに適した建物の特徴を紹介していきます。

日当たりの良い建物

周りに日光を遮るものがない日当たりの良い建物は、外気温の影響を受けやすいため、断熱・遮熱性能の高いガイナの使用が適しています。

日当たりが良い建物は、冬場は快適でも、夏場は室内に熱がこもりやすく暑くなりやすいデメリットがあります。外壁や屋根にガイナを塗装すれば、夏場の室温上昇を抑えられるため、快適な室内環境が実現します。

断熱対策が不十分な建物

ガイナは断熱材が入っていない、もしくは少ない建物に適した塗料です。断熱対策が不十分な建物にガイナを施工すれば、建物全体の断熱性能が高まり、夏は涼しく冬は暖かくしたい室内環境が実現します。

築年数の長い建物では外壁や屋根の断熱施工が不十分な場合があります。また窓が多い建物や窓に断熱対策が施されていない建物も、断熱性能が低くなる可能性があります。

断熱施工が不十分な建物はエアコンの効きが悪いため、電気代も高くなりがちです。省エネ性を高めたい建物や電気代を安く抑えたい建物にも、ガイナが役立ちます。

淡い色の塗料を施工したい建物

濃い色よりも淡い色を好む方や、明るいカラーで外壁を塗装したい建物には、ガイナが適しています。

ガイナのカラーバリエーションは52色ありますが、その全てが淡彩色です。通常の塗料と比べると色の選択肢は少ないですが、全体的に柔らかな色合いでツヤがないため、落ち着いた雰囲気の建物に仕上がります。

淡い色は周囲に溶け込みやすく、他の色にもあまり影響を与えません。そのため、サッシや屋根の色とも組み合わせやすく、和風から洋風まで幅広いスタイルに使用できます。

ガイナのメリット・デメリットを考慮して選ぼう

ガイナは断熱・遮熱や防音などの多くの性能があり、耐久性にも優れた塗料です。夏は涼しく冬は温かく保つという効果があるため、外壁や屋根にガイナを塗装すれば、一年を通じて快適に過ごせます。

しかし、費用が高額で色の選択肢が限られるデメリットもあるため、ガイナを使用すべきかどうかは業者とよく相談して決める必要があります。

ガイナの特徴を熟知した業者を選ばないと優れた性能を十分に発揮できないので、業者選びは慎重に行いましょう。

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