塗料には様々な分類がされますが、中でもわかりやすい分類の1つとして一液型と二液型があります。どちらを選ぶかによって、価格や耐久性が異なってくるので、それぞれの違いを把握しておくことが大事です。
本記事では、二液型塗料の特徴や使用時の注意点などを解説します。一液型との違いを知り、塗装工事を行うときの参考にしましょう。
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おすすめ記事:外壁塗装の塗料4種類の選び方を解説!相場・耐用年数から最適な塗料を選ぼう
二液型塗料とは?
二液型塗料は主剤(塗料のベースとなる成分)と硬化剤(硬化を促進する成分)を混ぜて使う塗料のことです。2つの薬剤を混ぜ合わせることで塗料が硬化し、強度や耐久性の高い塗膜を形成することができるようになります。
ただしその分、2つの薬剤の比率を正確に混ぜ合わせる必要もあり、手間がかかる塗料でもあります。このような特徴から、業者が塗装を実施する場合に使われることが多く、仕上がりの品質や耐久性を重視する場合に選ばれる塗料です。
一液型塗料との違い
二液型塗料は2つの薬剤を混ぜ合わせて使用する塗料であるのに対して、一液型は塗料液と硬化剤があらかじめ混合されている塗料です。使用する際は、塗料缶に希釈剤(水もしくは溶剤)を混ぜてから使います。
そもそも外壁塗料は二液型が主流でした。しかし混合作業に手間がかかり、作り置きできないといった難点がありました。そのような難点を改善するために開発されたのが一液型です。一液型は塗装時に混ぜる必要がなく、すぐに使えるので手間がかかりません。
一液型 | 二液型 | |
塗料缶 | 1つ | 2つ |
混合 | 不要 | 必要 |
価格 | 安い | 高い |
耐久性 | 低い | 高い |
施工の簡易性は一液型の方が優れていますが、塗装できる材質は限られており、耐久性が低いといった欠点もあります。使いやすさだけで選ぶのではなく、使用する箇所や機能性などを比較した上で、最適のものを選ぶことが重要です。
なお、塗料には一液型・二液型の他にも様々な種類があります。詳しい内容については下記の記事も併せてご覧ください。
https://gaiheki-madoguchi.com/articles/123
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二液型塗料のメリット
二液型塗料の概要については掴めたところで、下記からは二液型塗料の具体的な下記のメリットについて解説します。
- 高品質な塗膜に仕上がる
- 耐久性が高い
- 硬化時間が短い
耐久性が高く、長期的なコスト削減にもつながる
二液型塗料は強固な塗膜が形成され、建物全体の耐久性アップにも繋がります。形成された塗膜は紫外線や雨風、温度変化、といった外壁に影響を与える過酷な条件にも強く、ヒビ割れや剥がれのリスクも軽減されるため、外壁や屋根、引いては建物全体の寿命を延ばす効果があります。
また耐久性が高いことから、長期的に見た際のコストパフォーマンスが良好になるという点にも注目です。二液型塗料は初期費用がやや高い傾向がありますが、高い耐久性によって、メンテナンス頻度を抑えられるようになるからです。一度の施工で10~15年程度の耐久性が期待できるため、頻繁な塗り替えをせずにすみます。
密着性が高く、幅広い下地に使用可能
二液型塗料は優れた密着性があることから、コンクリート、モルタル、金属などの様々な下地に使用可能です。加えて密着性が高いことから、下地との剥離が起こりにくく、雨漏り防止や塗り直しの頻度削減が期待できます。
また硬化後の塗膜が緻密で水を通しづらいため、外壁へ水分が侵入することも防げます。外壁内部の湿気やカビの発生を抑制し、建物の構造部分の劣化を防ぐこともできるようになるのです。
硬化時間が短く、工期の短縮にもつながる
二液型塗料は硬化剤を使うため、数時間ほどですぐに乾燥します。硬化時間が短く、短時間で重ね塗りができるため、工期の短縮が可能です。また、施工期間を短くできるというメリットから、天気が不安定な時期でも塗装が可能です。
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二液型塗料のデメリット
二液型は耐久性に優れた利点がある一方で、作業や保管に手間がかかる難点もあります。取り扱いが難しい塗料でもあるため注意が必要です。最も適した塗料を選ぶためにも、良い面だけでなく悪い面もしっかり把握しておきましょう。
作業に手間がかかる
二液型は、硬化剤を混ぜ合わせなければ使用できません。主材と硬化剤の割合は細かく決められており、計測器を用いて混ぜる必要があります。硬化剤の配合率を正確に守らなければ、塗膜が固まらないという硬化不良の状態に陥ります。
混合作業には専門知識や技術が必要になり、取り扱いの難易度は高めです。少しの誤差でも硬化がうまくいかず、気温や下地の状態でも変わるので、DIYには不向きとなっています。
一度混ぜると再利用できない
二液型は硬化スピードが早く、硬化剤を混ぜた直後から硬化が始まるため、作り置きができません。一度混ぜたら、その日のうちに使い切らなければならず、再利用はできません。
量が足りなくなったときは毎回混ぜ合わせなくてはならないため、作業に手間がかかります。塗り始めると数時間ほどで固まってしまうため、作業スピードにも注意が必要です。硬化のスピードは気温や湿度に左右されますが、3~8時間以内に使い切る必要があります。
保管しにくい
硬化剤はデリケートで劣化しやすいため、保管場所には注意が必要です。気温が高いところや直射日光が当たるところに置くと劣化してしまい、塗装後に硬化不良を起こします。
また、硬化剤を混ぜた二液型塗料は、そのまま保存できません。硬化剤を混ぜた時点で硬化が始まるため、混ぜた後すぐに使い始める必要があります。早いと3時間ほどで固まってしまうので、DIYで使うには非常に難易度が高いといえます。
価格が高い
二液型は一液型よりも価格が1割ほど高めです。1㎡の価格で比較すれば大した差ではないものの、家全体で比較すると大きな価格差となります。
また屋根や外壁の塗装では上塗りを二回行うので、価格差は数万円に上ります。しかし、耐久性が高いため、一液型よりもメンテナンス頻度やコストを安く抑えられます。上述した通り、長い目で見れば、二液型はコストパフォーマンスに優れているといえるでしょう。
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二液型塗料を使用する際の注意点
二液型の取り扱いは難易度が高く、使用方法を間違えると仕上がりがうまくいかないこともあります。失敗を防ぐためにも、ここで使用時の注意点を確認しておきましょう。
硬化剤の混ぜ方を間違えると施工不良を起こす
二液型は主材と硬化剤の配合割合が決められており、混ぜ方を間違えるとムラなどの施工不良を引き起こします。硬化剤を入れすぎるとすぐに硬化してしまい、逆に少なすぎると乾燥しにくくなります。
また塗料に応じて、配合割合は変わります。そのため、決められた比率をしっかりと守ることが重要です。計量器を使って適切な比率を守ることで、高品質な塗膜が形成され、耐久性も上がります。
硬化剤なしで塗ると塗料が固まらない
主材だけで塗装すると塗料が硬化せず、いつまでも乾燥しないといった施工不良を引き起こします。硬化剤を混ぜてから塗れば数時間ほどで乾燥しますが、硬化剤を入れないと乾燥するまでに1日以上かかります。乾燥に時間がかかれば、工期も伸びてしまい、工事完了までに多くの日数が必要になります。
また塗料がべたついたままだと異物が付着し、品質トラブルにもつながります。施工不良を防ぐためにも、硬化剤の使用は不可欠です。硬化剤を混ぜるのが面倒な場合は、一液型の使用をおすすめです。
硬化剤を目分量で混ぜ合わせる業者が存在する
DIYではなく塗装業者に依頼する場合、塗装業者の技術にも注目しましょう。というのも塗装業者の中には、配合割合を計測せずに目分量で混ぜる業者が存在するからです。
上述した通り、主材と硬化剤の配合割合は細かく決まっており、計測器で測りながら混ぜる必要があります。しかし、知識や技術がないと難しく、非常に手間がかかるため、目分量で混ぜたり主材だけを使ったりする業者もいます。目分量で混ぜたり硬化剤を混ぜずに塗装したりすると、施工不良が起きやすいため注意が必要です。不安な場合は、塗料を混ぜ合わせる段階の写真を撮影してもらうように業者に依頼しておくと良いでしょう。
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二液型塗料の代表的な商品
二液型の良い点と悪い点、扱い方の注意点を把握したところで、ここでは二液型塗料の代表的な商品を2つ紹介します。硬化剤は主剤とセットで販売されており、別途購入は必要はありません。多くの現場で使用されている商品を紹介するので参考にしてください。
エスケー化研株式会社「クリーンマイルドシリコン」
エスケー化研が販売する「クリーンマイルドシリコン」は、高い耐久性と適用下地の多さが魅力です。耐用年数は12〜15年、価格は2,200〜2,900円/㎡で、耐用年数と価格のバランスがよく、コストパフォーマンスが高いのが特徴です。
適用下地はコンクリート、セメントモルタル、ALCパネル、金属など幅広く、部位ごとに塗り変える手間とコストがかかりません。さまざまな場所にまとめて塗装できるため、異なる素材を使用している外壁や屋根の塗装におすすめです。
日本ペイント株式会社「ファインSi」
日本ペイントが販売する「ファインSi」は、10〜15年前後の耐用年数があり、さまざまな下地にも使えます。
下地の影響をほとんど受けずにきれいに発色し、臭気もマイルドなため、作業性も良好です。価格は2,720〜3,300円/㎡で、コストパフォーマンスが高いため、価格と耐久性の両方を重視した商品を選びたい人におすすめです。
ロックペイント株式会社「ユメロック」
高耐性で、美しい仕上がりが特徴の二液型塗料です。塗料用シンナーで希釈が可能なため、下地旧塗膜を侵しにくく、幅広い用途に使用できます。
仕上がりについても、艶有り・半艶・艶消しなど選択肢が豊富で、用途やデザインの好みに合わせた仕上げが可能です。また独特の臭気もなくマイルドなにおいとなっているため、近所への配慮を気にする方にもおすすめです。
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二液型塗料の扱い方を知り、外壁塗装を成功させよう
二液型は一液型と比べて下地の密着性や強度が高く、高品質かつ耐久性の高い塗膜に仕上がります。混合作業に手間がかかるのが難点ですが、耐久性や耐候性が求められる屋根や外壁の塗装には二液型がピッタリです。住宅の塗装を業者に依頼するときは、二液型と一液型のどちらを使うかを事前に確認しておきましょう。
見積もりを依頼するときは、塗料の種類だけでなく混ぜ方なども聞いておくと、失敗を防げます。塗装業者を探すときは「外壁塗装の窓口」が役立ちます。全国5,000社以上の優良店の中から依頼者の要望に沿った施工店を紹介します。相談から見積もりの取得まで完全無料で利用でき、経験豊富なアドバイザーが施工後まで一貫したサポートを提供します。外壁塗装を検討している方はお気軽にご相談ください。
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