1 . 外壁塗装に使われる塗料とは?
外壁塗装工事で使われる塗料は年々改良され、種類が増えています。
塗料選びを業者に一任したところ「自分の要望とは違って耐用年数が短かった・・・」などの失敗をしないように、塗料の特徴や選び方について、最低限の知識を身に付けておきましょう。
1-1 塗料を構成する4成分(合成樹脂、添加剤、顔料、溶剤類)
塗料の組成は「合成樹脂」「添加剤」「溶剤類」「顔料」の4つからできています。「合成樹脂」は、乾燥して塗膜になるもので、「アクリル」「ポリウレタン」「シリコン」「フッ素」などの種類があります。樹脂の特性により、耐候性、柔軟性などが決定します。
また、「添加剤」には、「可塑剤」「防カビ剤」「ツヤ消し剤」などが「添加剤」に該当します。「顔料」は塗料に色をつける働きをし、溶剤は、シンナーや水のことを指します。
1-2 それぞれの成分の働き
「合成樹脂」は塗膜を作る役割をしますが、樹脂によって耐用年数が異なります。
また、「添加剤」は、「可塑剤」「防カビ剤」「ツヤ消し剤」などのことを指し、塗料の性能を向上させます。「溶剤」は樹脂の希釈に使い、「顔料」には塗料に色を付ける働きのほかに、塗膜を肉厚にする、塗膜の強度を高める、サビを防ぐなどの機能があります。
2 . 代表的な塗料を知る
現在、代表的な塗料は、「アクリル塗料」「ウレタン塗料」「ウレタン塗料」「フッ素塗料」です。
2-1 グレードによる分類
塗料にはグレードがあり、価格も性質も様々です。ここでは、グレードによる耐久性・価格の違いを紹介しますが、単に「単価が安いから」という理由で飛び付くのは危険です。つい、工事費に目が行きがちですが、この先同じ家に何年住み続けるか、また何年毎に塗り直しのメンテナンスが必要になるかも考えて塗料を選ぶようにしましょう。
2-1-1 アクリル塗料
「アクリル塗料」の主成分は、アクリル樹脂です。アクリル樹脂は軽量で塗りやすい上に発色も良く、1㎡あたり1,000〜1,800円程度とリーズナブルですが、耐用年数が3〜8年程度と短いことがデメリットです。
以前はアクリル塗料が主流の時代もありましたが、現在は、耐用年数が短いことが理由であまり使われなくなりました。どうしても施工費を安く抑えたい人や、塗装を頻繁にする予定の人は、デメリットをよく理解した上で選んでもいいかも知れません。
2-1-2 ウレタン塗料
柔らかく、密着性に優れている「ウレタン塗料」は、複雑な形状のものにも塗りやすいので、モルタルや鉄・アルミ・コンクリート、木材の塗装に向いています。
硬度があり、剥がれにくいというメリットがありますが、仕上がりに独特な光沢があるので、好みがハッキリと分かれます。耐用年数は5〜10年程度、価格は1㎡あたり1,700〜2,500円位です。10年に1回は塗り直しを行う予定の人にはオススメです。
2-1-3 シリコン塗料
「シリコン塗料」は透湿性に優れ、結露が発ししにくいこと、耐久性・耐水性・費用などのバランスが良いことが理由で人気のある塗料です。耐用年数は約7〜15年、シリコン塗料の1㎡あたりの施工費は2,300〜3,500円位です。
2-1-4 フッ素塗料
フッ素樹脂を使った「フッ素塗料」は、酸性雨や紫外線に強く、汚れが付着しても雨で流れ落ちるという特徴があります。頻繁なメンテナンスが必要ないことから、高層ビルなどにも用いられている塗料です。滑りやすいので、雪もスルリと落ち、豪雪地帯でも好まれています。
耐用年数は12〜20年と非常に長く、耐熱性・耐寒性も高いのですが、費用は高額です。1㎡あたり3,500〜5,000円の商品が多いようです。初期費用はかかりますが、同じ住まいにずっと住む人、二世代で同じ家に住み続けたいと思う人は、トータルで考えるとコストパフォーマンスが良い場合もあります。
2-2 使用方法による分類
塗料の分類方法で、「1液型」「2液型」と分類される場合があります。これは、1液型と2液型は、「塗料が1つの缶にまとまっているか」「塗料液と硬化剤がそれぞれ別の缶に分けられているか」で分類されます。
2-2-1 ・1液型塗料
「1液型」は、適切な量の硬化剤が混合され、1つの缶の中に入っているタイプです。「2液型」は、硬化剤と塗料を混ぜると、すぐに固まってしまうため、短時間で使いきる必要がありますが、「1液型」の塗料は余ったら、翌日も同じように使用することができます。しかし、あらかじめ硬化剤が含まれているため、常に缶の中で硬化反応を起こし、徐々に固まっていくので、製造日から3カ月~1年以内で使い切る必要があります。
価格面は、「2液型」に比べ割安ですが、塗ることができる場所が限られます。コンクリートやモルタル、サイディングボードは塗装可能ですが、金属など、相性の悪い素材があるので注意しましょう。
2-2-2 ・2液型塗料
「2液型」は、硬化剤と塗料が別の缶に入っていて、使用前に2つの素材を混ぜ合わせた上で、水かシンナーで薄める必要があります。一度混ぜた2液型の塗料は、硬化反応を起こして徐々に固まり始めますので、3~8時間くらいで使い切る必要があります。
「2液型」は、硬化剤と塗料を混ぜたとき、大きな化学反応が起こり、塗膜が基材に密着性しやすくなるために、塗装箇所を選びません。「1液型」では密着しにくい、鉄やアルミニウム、ステンレスなどの金属類にも施工が可能です。また、密着性が高いために、「1液型」に比べて耐用年数が長くなります。
2-3 「伸び」による分類
塗料の伸びる機能のことを「弾性」と言います。つまり「弾性塗料」とは、ゴムのように伸び縮みする性質を持った塗料です。粘性が高いので、一般的な塗料よりも厚塗りをします。
弾性が高ければ高いほど、ひび割れが起こりにくくなり、水が内部に入るのを防ぐので、防水性が高くなります。弾性塗料は、弾性の弱い方から順に「硬質塗料」「微弾性塗料」「弾性塗料」があります。
2-3-1 硬質塗料
「アクリル」「ウレタン」「シリコン」「ラジカル」「フッ素」などの樹脂塗料は、硬質塗料に分類されます。塗膜が硬いほど外壁に加わった衝撃を受けやすくなるため、ひび割れが起きやすくなります。
2-3-2 微弾性塗料
「高弾性塗料」はJIS規格がその定義を「20度の環境で120%以上伸びる」と明確に定めていますが、「微弾性塗料」については慣習的な定義があるのみです。一般的な微弾性塗料の定義は、気温が20度の環境で50〜100%程度伸びる塗料のことを指します。2〜3年で弾性がなくなってしまうことも特徴です。
2-3-3 弾性塗料
弾性塗料は伸び縮みする性質があるため、塗膜がひび割れしにくい塗料です。ひび割れがなければ、見栄えが良い上、雨風から外壁から住宅内部に入り込むリスクも少なくなります。
弾性塗料の一番のデメリットは、耐用年数が短いことでしょう。また、施工が難しく、膨らみやすいという欠点もあります。
2-4 ツヤによる分類
人間は、目に入ってくる「光の量」によってツヤの有無を判断します。
外壁のツヤは、同じ塗料でも度合いに差が出ます。ツヤあり塗料を使用した場合、外壁は光を正反射するため目に飛び込んでくる光の量が増え、輝いて見えます。一方、ツヤ消し塗料を使用した場合は外壁が光を乱反射するため、目に飛び込んでくる光の量が減り、眩しくないと感じるのです。
2-4-1 ツヤあり・ 7分ツヤ・5分ツヤ・3分ツヤ
光沢度の高い方から順に、ツヤあり>7分ツヤ>5分ツヤ>3分ツヤ>ツヤ消しの5段階に分類されます。これは、光の反射率の違いによる分類で、「ツヤ消し」は5%以下、「3分ツヤ」は10%以上20%以下、「5分ツヤ」は30%以上40%以下、「7分ツヤ」は55%以上65%以下、「ツヤ有り」は70%以上と決められています。
2-4-2 ツヤ消し
高級感を醸し出し、落ち着いた雰囲気に仕上がるのが「消し」の塗料です。ツヤ消しの塗料は、ツヤ有の塗料に添加物である「ツヤ消し剤」を混ぜ合わせたものです。「ツヤ消し剤」は塗料の不純物なので、耐用性がツヤ有りの塗料よりも劣ります。
基本性能をしっかり保ちたい人は、ツヤがある商品をオススメします。
2-5 色による分類
塗料は、色により分類すると、「エナメル塗料」と「クリヤー塗料」に分けられます。「エナメル塗料」は色が着いた樹脂で「クリヤー塗料」は、透明な樹脂です。
2-5-1 エナメル塗料
エナメル塗料には、着色効果のある顔料が入っています。顔料には、サビを防ぐ、塗膜の厚さを増加させる、遮熱効果があるなどのメリットがあるため、外壁塗装で耐久性を高めたいなら、エナメル塗料が適しています。
2-5-2 クリヤー塗料
クリヤー塗料は、顔料が入っていない無色透明の塗料です。
外壁自体の色味やデザインを重視している人にはクリヤー塗料がオススメです。また、クリヤー塗装は外壁にツヤを出すことができ、光沢感が強い物、抑えた物など、様々な製品があります。
2-6 その他特殊な塗料
近年は塗装本来の目的だけでなく、「空気をキレイにする」「室内外の熱交換を少なくする」などの付加機能がある特殊な塗料も発売されています。
2-6-1 ラジカル制御型塗料
ラジカル制御塗料は、価格は2,500~3,000円/㎡程度でシリコン塗料とほぼ変わらず、耐用年数は12~15年とシリコン塗料より長いので、コストパフォーマンスが高い商品です。チョーキング現象が発生しにくく、ほとんどが水性1液型で作業しやすいので、これから広く普及すると思われる塗料です。
2-6-2 光触媒塗料
光触媒塗料は、太陽の光に反応して汚れを分解する、化学反応を利用した塗料です。塗料に含まれる酸化チタンが、太陽光の中の紫外線に反応し、空気中の大気汚染物質を分解する働きがある、活性酸素を発生させます。
活性酸素は空気中の大気汚染物質を分解する働きがあるため、壁面に汚れが蓄積しにくくなります。汚れが減ると劣化速度も遅くなるため、耐久性が上がり、15〜20年程度の耐久性を維持できます。
2-6-3 無機塗料
有機塗料とは「アクリル」「シリコン」「フッ素」などの樹脂成分が入った塗料で、樹脂が紫外線によって分解されることで、退色や変色などの劣化症状が発生します。
これに対して無機塗料は、劣化の原因となる樹脂成分を含んでおらず、ガラスなどの無機物が主成分となっているため、20年以上の耐久性があると言われています。汚れも付きにくく、大変優秀な塗料ですが、塗膜が非常に堅いために、外壁材との相性が悪いとひび割れてしまうのがデメリットです。
2-6-4 遮熱・断熱塗料
「断熱塗料」「遮熱塗料」はともに、室内の温度上昇を抑える機能を持つ塗料です。「断熱塗料」は熱伝導を抑え、室内の温度上昇を抑えるのに対し、「遮熱塗料」は光を反射し、外壁や屋根などが受ける熱の影響を少なくすることで、室内の温度上昇を抑えます。断熱塗料は、室内外の熱の移動を抑える機能があるため、温度上昇だけでなく、冬に保温が可能ですが、遮熱塗料にはその効果はないので、冬の寒さには対応できません。
3 . 塗料の選び方
塗料の選び方は塗料の特徴から選ぶ方法と、塗料メーカーから選ぶ方法があります。
3-1 塗料の特徴から選ぶ
塗料の特徴から選ぶ場合は、下記の順で塗料の種類を絞っていきます。
3-1-1 グレードを決める
まずは、塗料のグレードを選びます。グレードは、低い順から「アクリル塗料」「ウレタン塗料」「シリコン塗料」「フッ素塗料」となります。各塗料の特徴と価格は、この記事の「2-1 グレードによる分類」を参考にしてください。
基本的には、価格重視であれば「ウレタン塗料」か「シリコン塗料」を選び、耐久性を重視するなら「フッ素塗料」を選ぶことをオススメします。
3-1-2 1液型か2液型かを決める
続いて、あらかじめ硬化剤が塗料に混ざっている「1液型」にするか、別々の缶に入っている「2液型」にするかを決めます。「1液型」価格が比較的安く、混合の手間がかかりませんが、すぐに使わないと固まってしまいます。
「2液型」は液を混ぜなければ長期保管に耐えられますが、混ぜる割合によって仕上がりが異なるので、やや「玄人向け」です。
価格は「1液型」に比べ高めですが、耐久性があります。
3-1-3 弾性の違いで選ぶ
「弾性」の違いにより、弾性の弱い方から順に「硬質塗料」「微弾性塗料」「弾性塗料」の3種類に塗料は分類されます。弾性のあるものは、モルタルのひび割れなど凹凸がある外壁の補修に使われます。一方で、弾性塗料は「膨れる」という性質を持つためにサイディングには合いません。
3-1-4 光沢感で選ぶ
一般的な塗料はツヤがあることが多く、光沢度の高い方から順に、ツヤあり>7分ツヤ>5分ツヤ>3分ツヤ>ツヤ消しの5段階に分類されます。「ツヤ消し」とある場合は、添加剤としてツヤ消し剤が混入されていて、ツヤ有り塗料の光沢度が70以上あるのに対し、光沢度が5以下になっています。ツヤ消し剤は塗料の不純物なので、基本性能をしっかり保ちたい人は、ツヤがある商品をオススメします。
3-1-5 オプション機能を選ぶ
最近の塗料は、住宅性能を高めるための機能を重視した商品がたくさん発売されてきています。下記のような性能があるので、必要に応じて機能が強化されているものを選びましょう。
但し、機能が強化されている塗料は価格が高額になりますので、予算オーバーにならないよう、注意が必要です。
■ ラジカル制御型塗料
太陽光による劣化を引き起こす物質を抑制します。耐久性は12~15年くらい。価格は2,500円~3,000円/㎡程度。
■ 光触媒塗料二酸化炭素などの窒素酸化物を除去する、酸化チタンによる自浄効果を持つ高機能な塗料。価格はシリコン塗料の2倍くらいと高額になりますが、耐久性は高く、耐用年数は20年程度あります。
■ 無機塗料石やレンガ、ガラスなど、炭素を含まない無機物は紫外線では劣化しません。その特徴を活かして造られた塗料は、「半永久的に耐久できる」と言われています。
■ 遮熱塗料/断熱塗料遮熱塗料は、太陽光の赤外線を高効率で反射し、屋内の温度上昇を抑える機能があり、断熱塗料は、太陽光を建物内部に伝えにくくさせ、室温の上昇を抑える機能があります。省エネやCO2削減に役立つ塗料で補助金や助成金を受けるための要件になることが多いです。
3-2 塗料メーカーから選ぶ
塗料メーカーは多種ありますが、代表的なメーカーについて、いくつか紹介します。
3-2-1 日本ペイント
塗装業界のリーディングカンパニー。コロナ対策で、近年接触感染対策テープなどを販売しています。
3-2-3 エスケー化研
同社によれば、建築仕上げ塗材国内シェアNo.1。公式サイト内で塗り替えシミュレーションが体験でき、一般の人が使いやすいよう、サイトが工夫されている。性能はもちろん、意匠性にこだわった塗料が揃っています。
3-2-4 菊水化学工業
https://www.kikusui-chem.co.jp/
下地調整塗材から仕上げ塗材まで幅広い製品を揃えることができる、総合建築塗料メーカーです。自社製品を自社で施工するサービスもあり、お客さんに対して最期まで責任を持とうとする姿勢が感じられます。
3-2-5 アステックペイントジャパン
仲介業者を挟まない直販体制により、高品質な商品を、低コストで販売しています。近年は、排ガスの汚れを寄せ付けない、「超低汚染塗料」を開発するとともに、「美壁革命」をキャッチフレーズに、美しさがずっと続く商品を開発しています。
3-3 塗装業者の取扱塗料から選ぶ
どんなに良い塗料を使っても、塗装する職人が上手でないと、塗料の性能を十分に発揮できません。外壁塗装と一口に言っても塗料の種類は様々で、それに伴って塗り方も異なります。
塗装をキレイに仕上げるために、外壁塗装業者が取り扱う塗料から選ぶのも一つの方法です。塗るのが難しい新商品を塗ってもらうよりも、職人さんが塗り慣れた商品を使ってもらった方が、キレイに仕上がり、かえって耐用年数が増すというケースもあるのです。
3-4 第三者に相談する
塗料選びに迷ったら、第三者に相談するのも1つの方法です。無料相談を利用するのもいいですし、メーカーの相談窓口に聞いてみても回答してくれるでしょう。
4 . 塗料の費用相場を知る
塗料の費用相場を知ることは、業者の人が不正に費用を水増ししていないか、手抜き工事をしないかを判断するために必要です。
4-1 塗料の価格差は耐用年数の差
耐用年数は、「塗料の種類」によって異なります。確定申告では、塗装工事の費用を減価償却する場合がありますが、塗料の耐用年数の違いは、税金の計算が違ってくるためとても重要です。樹脂の種類別でみる耐用年数は、おおよそですが下記の通りです。
■ アクリル系塗料 5~7年 ■ ウレタン塗料 8~10年 ■ フッ素系塗料 15~20年 ■ ラジカル系塗料 8~15年 ■ ピュアアクリル塗料 12~15年 ■ 光触媒塗料 10~15年 ■ 遮熱系塗料 15~20年 ■ 無機系塗料 15~20年
塗料の価格は、耐用年数が長いものほど高くなる傾向があります。安価なものは、耐用年数が短いため再塗装をする頻度が多くなり、長期間で考えると高価な塗料の方が、お得になることもあります。
4-2 塗料別1缶あたりの相場
塗料は1缶(約18ℓ)でおおよそ40㎡~50㎡塗装することが可能です。つまり、一般的な床面積30坪(塗装面積119㎡)の住宅であれば、3~4缶あれば足りる計算です。
4-2-1 アクリル塗料
耐久性は短いものの安価で発色が良いため、以前はよく使われていました。しかし、耐用年数が3〜8年程度と短いために、近年はあまり利用されなくなりつつあります。
4-2-2 ウレタン塗料
塗料自体の「伸び」が良いために、凹凸のある外壁に藻適しているのが「ウレタン塗料」です。硬度があって剥がれにくいというメリットがありますが、耐用年数は5〜10年程度なので、この塗料を選ぶ人は、頻繁に塗り替えすることをオススメします。
4-2-3 シリコン塗料
価格と機能のバランスが良い塗料なので、どの塗料を選んだら良いか分からない人には、シリコン塗料をオススメします。シリコン塗料は、建築塗料市場において8割のシェアを占めるほど人気があります。透湿性に優れ、結露が発ししにくいことも人気の理由となっています。
4-2-4 フッ素塗料
フッ素塗料の一番のメリットは、耐久性・耐候性の高さでしょう。外壁への密着度が高く、長期間風雨にさらされても、シリコン塗料と比べて劣化のスピードが緩やかです。
シリコン塗料の耐用年数が10~15年であるのに対し、フッ素塗料の耐久年数は外壁で15~20年、屋根でも12~15年と言われています。価格は少々高めですが、防藻・防カビ効果もあり、コストと効果のバランスが良い塗料です。
4-2-5 光触媒塗料
「光触媒」とは光によって化学反応を促進させる物質のことで、「光触媒塗料」は、太陽の光を利用して、表面に着いた汚れを分解させ、周囲の空気をキレイにする製品のことを言います。一般的には塗膜を劣化させる原因は紫外線ですが、光触媒塗料は、紫外線を汚れの分解に利用しているために、劣化の速度が緩やかになります。
4-2-6 遮熱・断熱塗料
断熱塗料は熱を伝わりにくくする為の塗料で、室内の温度を逃がしにくくする効果があるため、冬でも室内温度を保とうとする働きがあります。
一方の遮熱塗料は熱を反射し、遮るための塗料です。期待できる効果は外からの熱の遮断のみであり、冬の寒さを遮ってくれる訳ではないので、効果は断熱塗料に劣ります。
5 . 塗料の特徴や耐用年数を知って、後悔のない工事をしましょう
塗料を構成する成分は、「合成樹脂」「添加剤」「顔料」「溶剤類」があり、「合成樹脂」の種類には、「アクリル塗料」「ウレタン塗料」「シリコン塗料」「フッ素塗料」があり、この記載の順にグレードが高くなることを見てきました。
また、あらかじめ硬化剤を混ぜてあるか、そうでないかにより「1液型塗料」「2液型塗料」に分類できます。そのほかにも塗料の「伸び」「ツヤ」「色」などの分類もあるので覚えておきましょう。
加えて、塗料の費用相場と耐用年数を覚えておけば、自分が発注した塗装業者が、手抜き工事をしていないか、もしくは水増し請求をしていないかが分かり、どの塗料を使うと長期的に見て、コストがかからないか知ることができます。