外壁タイルはデザイン性が高く、機能性に優れていることから、住宅で使用されることの多い外壁材です。一口に外壁タイルといっても素材やサイズは複数あり、たくさんの種類が存在します。種類が多すぎて、どれを選べば良いか迷ってしまうこともあるでしょう。
そこで本記事では、外壁タイルの種類を素材やサイズ別に詳しく解説します。外壁タイルの選び方も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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外壁タイルの素材の種類
外壁タイルの素材には「磁器質」「せっ器質」「陶器質」の3種類があります。それぞれタイルの硬さや吸水性が異なるので、使用する場所に合わせて適切な素材を選びましょう。
磁器質
磁器質は、長石や石英などを約1,200〜1,350度の高温で焼き固めたタイルです。他の素材よりも高温で焼き固めているため、硬度が高く耐久性に優れています。また、吸水率が1%以下と非常に低く、耐衝撃性や耐摩耗性にも優れることから、外壁タイルにもっとも適した素材といわれています。
見た目にツヤを出したり天然石のような自然の風合いにしたりなど、デザイン面でもさまざまな仕上げが可能です。気候の変化にも強く、変形や変色などが起こりにくいため、雨の多い地域や寒冷地にもおすすめです。
せっ器質
せっ器質は、粘土や長石などを1200度前後で焼成したタイルです。磁器質より加工しやすく、気候の変化に強いため、外壁によく使用される素材です。
透明性や硬さは磁器質に劣りますが、柔らかいため、表面に好みの加工を入れられます。また、見た目に素朴な味わいがあり、自然な色むらがあるため、外壁に自然の風合いを取り入れたい場合におすすめです。
釉薬をかけたツヤのあるものから、釉薬を使わない素焼きのような質感まで、さまざまな質感から選べるのもせっ器質の魅力です。
陶器質
陶器質タイルは、約1,000度前後で焼き固めたタイルです。磁器質とせっ器質よりも低い温度で焼くため、発色が良く、色彩のバリエーションが豊富です。また変色や劣化がしにくい利点もあり、メンテナンスの頻度を少なく抑えられます。
ただし、他のタイルに比べて吸水性が高いため、凍害を起こしやすいといったデメリットがあります。そのため、屋外や水を扱う場所で使用するのは不向きです。外壁に使用すると劣化が早まるため、内装に使用する方法が主流になっています。
外壁タイルのサイズの種類
タイルにはさまざまなサイズがありますが、外壁によく使用されるサイズは主に4種類あります。
サイズは外観デザインに大きな影響を与える要素なので、代表的な種類だけでも覚えておきましょう。
45二丁
45二丁タイルとは、45mmを2枚並べた45mm×95mmのサイズです。外壁タイルの中でも価格が安く、300㎜×300㎜のユニットタイプになっているケースが多いです。
ユニットタイプは施工が簡単で、工事費用も安く抑えられるメリットがあります。耐久性にも優れるため、コストパフォーマンスは良好です。
積みレンガのシックなテイストとモダンなテイストが合わさった雰囲気が特徴で、マンションなどにもよく使用されています。
小口平
小口平とは、幅108mm×高さ60mmサイズの外壁タイルです。レンガの小口面の寸法とほぼ同じ大きさであることから、小口平と呼ばれています。
小口平には様々な面状とカラーリングがあり、コーディネート次第でスタイリッシュな壁面に仕上げることが可能です。小口平は内外装の壁面へ使用されるタイルとしてかつて主流タイルでしたが、最近は種類が少なくなっており、使用も減少しています。
二丁掛け
二丁掛けは、積レンガの側面と同じ227mm×60mmサイズのタイルです。外壁に使われることが多いスタンダードなサイズであり、インテリアにも使用されています。
二丁掛けは本物のレンガを積んだような外観が特徴で、シックで重厚感のあるデザインに仕上がります。デザインやカラー、質感まで種類も豊富にあり、好みに合わせて選べるのが利点です。
ブリック
ブリックは、軽量セメントにレンガや石材を混ぜた薄いタイルで、そのサイズは多様です。デザインやカラーのラインナップも豊富なため、レンガよりも自由度が高く、壁の一部だけ抜き取るようなレイアウトも可能です。
ブリックは本物のレンガのような見た目をしていることから、本格的な質感や高級感を演出したい場合に適しています。本物のレンガや石材を使用できないインテリアや内装などにも、ブリックがよく使用されます。
外壁タイルの色味の種類
外壁タイルの色味は「無釉タイル」と「施釉タイル」の大きく2種類に分けられます。どちらを選ぶかによって機能性や見た目の雰囲気が異なってくるので、それぞれの違いをここで確認しておきましょう。
無釉タイル
無釉タイルとは、表面に釉薬を施さずに素地のまま仕上げたタイルのことです。釉薬とは、タイルを焼く前に表面に塗るガラス層のことで、色やツヤなどを表現したいときに使用されます。
釉薬をかけずに焼いた無釉タイルは、見た目の素朴な風合いが特徴で、土本来のぬくもりが感じられます。タイル素地と表面が同じ素材のため、摩耗しても損ないにくく、タイル表面に欠けが生じても目立ちにくいのがメリットです。
施釉タイル
施釉タイルとは、表面に釉薬を施したタイルのことです。釉薬には表面に色や光沢を出す効果があるだけでなく、水漏れや汚れを防ぐ実用性も兼ね備えています。
釉薬にはさまざまな種類があり、釉薬の焼成方法や温度、釉薬を掛ける回数などによって表面の色や光沢、強度などが変わります。複数の釉薬を組み合わせた施釉タイルもあり、豊富なバリエーションから自分好みのタイルを選択することが可能です。
外壁タイルの工法の種類
外壁タイルの見た目だけでなく、工法にも異なる種類があります。どの種類を選ぶかによって仕上がりに差が出てくるため、工法の違いをきちんと把握しておきましょう。
湿式工法
湿式工法は、セメントに水と砂を混ぜて作ったモルタルで外壁タイルを貼る昔ながらの工法です。手作業が基本であるため職人の腕の良し悪しが出やすく、モルタルの練り具合や仕上がり具合にばらつきが出るケースもあります。
また施工に時間がかかりやすいため、現在では採用が少なくなってきており、後述の乾式工法を利用するケースが増えています。
乾式工法
乾式工法は、下地パネルの上に接着剤で外壁タイルを貼りつける新しい工法です。近年は技術革新が進み、接着剤の性能が向上してタイルが剥落しにくくなっています。
モルタルより高価な接着剤を使用するため、湿式工法に比べるとコストはかかりますが、施工が容易で職人の腕の差が出にくいのが利点です。また、職人の技術力による影響が少なく、均一に仕上がりやすいことから、現在は乾式工法を用いたタイル貼りで主流になっています。
外壁タイルを選ぶときのポイント
一口に外壁タイルといっても、色味やサイズなどさまざま種類が存在するため、どれを選べば良いか迷ってしまうこともあるでしょう。
そこでここでは、外壁タイル選びをスムーズに進めていくために押さえておくべき3つのポイントを紹介します。
仕上げたいイメージを決めておく
あらかじめ仕上げたい外壁のイメージを決めておくと、タイルの色や素材を選びやすくなります。「モダン」や「和テイスト」など大まかなイメージを決めておくだけでも、施工業者がおすすめのタイルを提案してくれるため、自分好みのタイルを選定しやすくなります。
イメージで選ぶときは、サイズにも着目しましょう。タイルのサイズが小さいと、見た目が均一で洗練された印象に仕上がります。逆に、サイズの大きいタイルは迫力があり、素材の質感を活かしやすいメリットがあります。
コストパフォーマンスに着目する
外壁をすべてタイルで覆うとなると高額になるため、コストパフォーマンスを考えることも大切です。1㎡あたりの価格差は少額でも、外壁全体分のタイルを購入すれば価格差は大きくなります。
価格が安くても、デザイン性や機能性に優れた外壁タイルは存在します。価格の高いタイルを選んだからといって、必ずしもイメージ通りの外壁に仕上がるわけではないので、予算オーバーにならないようにコストパフォーマンスにも着目しながら外壁タイルを選びましょう。
外壁タイルの具体的な相場や耐用年数を知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
外壁タイルの特徴とメリット・デメリットを解説!種類・サイズの選び方も
施工方法
外壁タイルの施工方法は業者によって異なるため、どの施工方法を選ぶかによって工事を依頼する業者も異なってきます。また、外壁タイルには湿式工法に向いているものと乾式工法に向いているものがあるため、どちらの工法を選ぶかによって施工に用いる外壁タイルも変わります。
現在、一般住宅の外壁タイルは乾式工法による施工が主流です。しかし、オリジナリティ溢れる仕上がりを実現したい場合は、自由度の高い湿式工法の方が向いています。湿式工法と乾式工法のそれぞれの特徴やメリットを把握したうえで、適した施工方法を選びましょう。
外壁タイルの種類を知り、家づくりに活かそう!
外壁タイルには素材からサイズまでさまざまな種類があり、どのタイルを選ぶかによって外壁の仕上がりも大きく変わってきます。同じタイルでも複数の種類があるため、それぞれの特徴や違いを理解したうえで選ぶと、満足のいく家づくりができるでしょう。
外壁タイルの選び方に困ったときは、業者に相談するのも一つの方法です。外壁のリフォームを考えている方は、「外壁塗装の窓口」までぜひ一度お問い合わせください。