プライマー塗装とは、外壁塗装の下塗り・中塗り・上塗り作業のうち、プライマーという塗料を使用した「下塗り」のことを指しています。
外壁塗装において絶対に欠かせない重要な工程ですが、その役割や必要性、種類などの基礎知識を知らない方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、プライマー塗装の役割やその他下塗り材との違い、種類や選び方などを解説しています。
記事後半では、費用相場や塗り方・乾燥時間、DIYの可否についても解説していますので、プライマーでの下塗り塗装を検討している方はぜひ最後までご覧ください。
外壁の塗り替え時期かも...
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「プライマー塗装」とは外壁塗装で行う下塗りのこと
「プライマー塗装」とは、外壁塗装工程の1段階目にあたる「下塗り」のこと、特に「プライマー」という下塗り材を使用した塗装のことを指しています。
主に外壁と中塗り・上塗り塗料をくっつける接着剤のような役割を持っており、最終的な仕上がりや耐久性に大きく影響するため、外壁塗装において絶対に欠かせない重要工程です。
以下からは、プライマー塗装の役割や必要性について、以下の2点を詳しく見ていきましょう。
- 外壁塗装におけるプライマーの役割
- プライマー塗装を省くとどうなる?
関連記事:外壁塗装で下塗りは不可欠!下塗りの重要性と役割、作業手順を解説
外壁塗装におけるプライマーの役割
外壁塗装におけるプライマー塗装(下塗り)は、主に外壁と中・上塗り塗料をしっかり密着させるための「接着剤」のような役割を果たしています。
中・上塗り塗料を外壁に直接塗装すると、表面のわずかな傷や凹凸の影響で塗料の密着性が損なわれ、塗装が剥がれやすくなる可能性があります。
下塗りとしてプライマーを塗装することで、外壁表面を滑らかに整え、上塗りがきれいに乗る基盤を形成。これにより、外壁塗装の耐久性が向上し、美しい仕上がりを長く維持することが可能となります。
プライマー塗装は、外壁の美観や耐久性を維持・向上させるために欠かせない、重要な塗装工程と言えるでしょう。
プライマー塗装をしないとどうなる?
プライマー塗装(下塗り)を省略すると、様々なトラブルが発生するリスクが高まります。
特に多く見られるのが、塗膜の剥がれです。プライマー塗装をしていないと、外壁と塗料の密着が不十分となり、早期に剥がれやひび割れが発生する恐れがあります。劣化が深刻化すれば、塗装の防水・保護性能が著しく低下し、やがて外壁だけでなく建物そのものの耐久性にも影響を及ぼしかねません。
また、外壁に塗料が吸い込まれることによって仕上がりにムラができ、住宅全体の美観が大きく損なわれてしまう可能性も。
このようなトラブルを予防し、住宅の耐久性と美観を長く保つためにも、プライマー塗装は欠かせないプロセスといえるでしょう。
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プライマー以外の下塗り材「シーラー」「フィラー」との違い
外壁塗装の下塗り材には、プライマーの他にも「シーラー」「フィラー」など様々な種類があります。
「シーラー」は、外壁への浸透性が高く、塗料の吸い込みを防ぐ効果が特に強い下塗り材です。基本的な性能はプライマーとそこまで変わらず、どちらもモルタルやサイディングなどの外壁で使われます。
一方「フィラー」は、外壁表面を凹凸や傷を埋め、均一な下地に整えることに特化した下塗り材です。その多くが弾力性を備えた「微弾性フィラー」で、ひび割れが起こりやすいモルタル外壁で主に使用されます。
それぞれの性能にそこまで大きな差はありませんが、用途や場所などによって使い分けられることも多いため、外壁塗装の予備知識として覚えておくとよいでしょう。
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外壁塗装の主なプライマー5種類の特徴と適用外壁
外壁塗装で使用するプライマーには様々な種類があり、大きく以下の5種類に分けられます。
- 水性プライマー
- 油性プライマー
- 防錆性プライマー
- 浸透性プライマー
- 導電性プライマー
それぞれ異なる性質を持っているため、外壁の素材や環境に応じて適した種類を選ぶことが大切です。
水性プライマー
水性プライマーは、環境に優しくニオイが少ないのが特徴的なプライマーです。主に劣化の少ないサイディングやアルミなどの外壁で使用されます。
ただし、浸透性が低いため、劣化や損傷の激しい外壁には向かず、油性プライマーと比べて乾燥に時間を要することがデメリットとして挙げられます。
【適用外壁】劣化の少ないサイディング・モルタルなど
油性プライマー
油性プライマーは、浸透性と耐久性の高さが特徴的なプライマーです。主にモルタルやコンクリート、劣化の進んだ外壁の下塗りに適しています。
水性プライマーよりも、乾燥の早さや耐久性に優れており、より幅広い外壁に使用できますが、塗料特有の刺激臭が強い点には注意が必要です。
【適用外壁】劣化の激しいサイディング・モルタル・コンクリートなど
防錆性プライマー
防錆性プライマーは、名前のとおり金属の錆びを防ぐ性質を持ったプライマーです。鉄部や鋼板の塗装に適しており、ガルバリウム鋼板や金属系サイディングなどの外壁材で使用されます。
特に沿岸部や工場地帯など、錆びが発生しやすい場所では欠かせないプライマーです。
【適用外壁】鋼板・金属系の外壁
浸透性プライマー
浸透性プライマーは、外壁への高い浸透力が特徴的なプライマーのことです。雨水を吸収しやすいコンクリートやモルタルの外壁に適しています。
塗料が外壁の奥深くまで浸透することで、下地の耐久性を高めることが可能なため、ひび割れなどの劣化が進んだ外壁に対しても有効です。
【適用外壁】モルタル・コンクリートなど
導電性プライマー
導電性プライマーは、静電気の発生を抑える性質を持つ特殊なプライマーです。主に工場や研究施設などでの外壁塗装に用いられ、一般住宅で使用されることはほとんどありません。
静電気による塵や汚れの付着はもちろん、火災の発生を防ぐ役割も持っているため、静電気対策が必要な場所では欠かせないプライマーです。
【適用外壁】静電気対策が必要な外壁
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外壁塗装に使用するプライマーの選び方
使用するプライマーを選ぶ際は、以下の3つのポイントに注目して、自宅の外壁に最適なプライマーを選びましょう。
- 外壁材との相性
- 中・上塗り塗料との相性
- 劣化状況・環境条件への適合性
まず注目すべきなのが、使用している外壁材との相性です。サイディングやモルタルには水性または油性プライマー、金属系には防錆性プライマーというように、外壁材に応じて適切なタイプを選択する必要があります。
また、中・上塗り塗料が水性の場合は水性プライマーを、油性塗料の場合は油性プライマーを選択することで、相乗効果で機能性をより発揮させることが可能です。
さらに、劣化が少なければ水性プライマー、劣化が激しければ油性プライマーを。また、雨や台風の多い地域では浸透性プライマー、錆びやすい沿岸部では防錆性プライマーというように、外壁の劣化状況や住宅周辺の環境条件も考慮して選ぶとなお良いでしょう。
外壁や塗料との相性、劣化状況や環境に応じて適切なプライマーを選ぶことで、外壁塗装の仕上がりと耐久性が大きく向上し、長期間にわたって外壁を美しく保つことが可能です。
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外壁塗装に際して知っておくべきプライマー塗装の基礎知識
ここからは、プライマー塗装を行う際に把握しておくべき以下3つの基礎知識を解説します。
- プライマー塗装の費用相場
- プライマーの塗り方・乾燥時間
- 【DIY】プライマー塗装は自分でできる?
プライマー塗装の費用相場
外壁塗装におけるプライマー塗装にかかる費用は、1㎡あたり500〜1,000円程度が目安となります。
プライマーの種類や施工面積、外壁の状態や施工業者によっても費用は異なりますので、より詳細な費用が知りたい場合は、3〜4社ほどの複数業者から見積もりを取得して自宅での費用相場を把握しましょう。
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なお、見積書には「プライマー塗装」ではなく、「下塗り」の項目で記載されているケースが多いため、見落としのないようご注意ください。
プライマーの塗り方・乾燥時間
プライマー塗装の一般的な施工手順は以下の3ステップです。
- 外壁を清掃・補修する
- プライマーを塗布する
- 十分に乾燥させる
まずは塗装前の下地処理として、外壁表面に劣化があれば補修し、汚れやホコリは除去します。その後、ローラーなどを使用してプライマーを均一に塗布しましょう。
そして特に重要なのが、乾燥時間をしっかり確保することです。気温や湿度、使用する製品によっても前後しますが、一般的に水性プライマーで約3~4時間、油性プライマーで約30分~1時間が必要とされています。
なお、乾燥が不十分な状態では原則つぎの工程には進めません。無理に進めてしまうと、プライマー本来の性能が十分に発揮されず、ひび割れ・膨れなどの施工不良が生じやすくなったり、仕上がりにムラができたりして外壁の美観が大きく損なわれる恐れがあります。
手抜き工事や施工不良を防止するためにも、十分な乾燥時間が確保されているか、業者が組んだスケジュールや進捗状況を逐一チェックしておきましょう。
【DIY】プライマー塗装は自分でできる?
結論から言うと、プライマー塗装のDIYは基本的におすすめしません。
プライマーを塗るだけのDIYであれば不可能ではありませんが、プライマー塗装には下塗り前の下地処理や、下塗り後の中・上塗りをはじめとする様々な作業が付随し、それらには専門的な知識と技術が不可欠です。
施工にミスがあった場合には、仕上がりの質が落ちるのはもちろん、塗料本来の機能が発揮できず、最終的な耐久性が著しく低下してしまう恐れがあります。
また、DIYでいくら初期費用を節約できたとしても、慣れない作業による事故や怪我、リカバリーや補修のために余計な費用がかかっては本末転倒です。
そのため、塗装作業に慣れていない方や少しでも不安がある方は、安全性やクオリティを考慮して専門業者に依頼することを強くおすすめします。
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プライマー塗装の基礎知識を身に付けて外壁塗装に備えよう
本記事では、プライマー塗装の役割や種類、選び方や費用相場などを解説しました。
プライマー塗装(下塗り)は、外壁塗装の仕上がりや耐久性を左右する重要な工程です。省略すると、早期の剥がれやひび割れなど様々なトラブルの原因となるため、下塗りがしっかり施工されるかどうか業者にかならず確認を取りましょう。
また、プライマーの種類や選び方、費用や乾燥時間などについても把握しておくと、よりスムーズに外壁塗装を進めることが可能です。住宅の美観と耐久性を長く保つためにも、プライマー塗装の基礎知識をしっかりと身に付け、実際の施工に備えておきましょう。
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