FRP防水とは、ベランダ・バルコニーの床面の防水工事で用いられることの多い工法で、船舶やバスタブなどにも使われる防水性の高い素材を使って施工するのが特徴です。衝撃に強く高い耐久性が期待できるほか、短い工期で施工できるので、ベランダから雨漏りが発生し、早急な修理が必要となっている時にも適しています。
本記事では、FRP防水の特徴やメリット・デメリット、耐用年数と費用相場についても解説します。ウレタン防水やシート防水といった他の工法についても解説しているので、ベランダ・バルコニーの防水工事を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
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FRP防水の特徴とは?
FRP防水は、船舶やバスタブにも使われるFRP(Fiber Reinforced Plastics)と呼ばれる素材を使い、ベランダ・バルコニーの防水性を高める工法です。FRPは「強化繊維プラスチック」と呼ばれ、ポリエステル樹脂にガラス繊維を組み合わせることで、高い耐久性・防水性を実現した素材です。非常に強度が高い素材なので、屋上駐車場や工場の床面、温泉施設、プールなどにも使用されている実績があります。
戸建住宅やマンション・アパートにおいて、ベランダ・バルコニーの床面の防水工事として、最もよく使われているのがFRP防水になります。他にもウレタン防水・シート防水・アスファルト防水といった工法が用いられるケースもあるので、詳しくは後述します。
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FRP防水の耐用年数
FRP防水の耐用年数は、約10年〜25年とされています。ただし25年間メンテナンスフリーで使えるというわけではなく、約10年周期で表面のトップコートを塗り直したり、ひび割れている箇所を補修したりする必要があります。なお、FRP防水以外の工法を選んだとしても約10年程度でメンテナンスが必要となるケースが多く、FRP防水だけがメンテナンスの手間がかかるわけではないのでご安心ください。
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FRP防水の費用相場
FRP防水の施工にかかる費用相場は、1平米あたり4,000円〜8,000円ほど。一般的な広さのベランダかつ大規模な下地補修などが必要ない状態であれば、約10万円〜15万円の予算で収まることが多いです。こちらの金額には、周囲の養生代や高圧洗浄代、補修代なども含まれているので、大幅に追加費用が発生することは少ないでしょう。
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FRP防水のメリット
次に、FRP防水でベランダ・バルコニーを施工するメリットについて、下記の3つの観点から解説します。
- 防水性が非常に高い
- 衝撃に強く耐久性に優れる
- 短い工期で施工できる
一つひとつ詳しくご紹介しましょう。
防水性が非常に高い
FPR防水は、ポリエステル樹脂にガラス繊維を組み合わせることで、非常に高い防水性を実現した工法です。住宅のベランダ・バルコニーよりも厳しい条件下となる屋外駐車場や船舶、工場の床などにも使われてきた実績があるので、正しくメンテナンスされていれば他の工法と比べても防水性能はトップクラスです。雨漏りが発生しやすいベランダ・バルコニーに高性能な防水層を形成し、住宅の寿命を延ばしたい方におすすめです。
衝撃に強く耐久性に優れる
FPR防水は、素材自体の耐久性にも優れているので、ベランダの上に室外機を置いたり、子どもやペットが走り回ったとしても劣化しない丈夫さも備えています。車が走る屋外駐車場でも用いられているほどなので、衝撃が加わって表面が傷んでしまうことも少ないです。ベランダ・バルコニーをさまざまな用途で活用する予定がある方は、床面の耐久性を重視してFRP防水を依頼することをおすすめします。
短い工期で施工できる
FPR防水は他の工法と比べて、施工後の乾燥時間(硬化時間)が短いので、短い工期で完了するメリットもあります。目安となる工期は1日〜2日ほど。雨漏り修理で素早くベランダの防水工事を済ませたい時にも適しているほか、引越し前後の忙しい時期にもスケジュールに組み込みやすい魅力があります。ベランダが使えない時間を最小限に抑えたい場合にもおすすめです。
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FRP防水のデメリット
一方でFRP防水には、次のようなデメリットも存在することに注意しましょう。
- 費用がやや高額
- 変形しやすい床面では施工不可
- 施工中は独特の刺激臭がある
それぞれ詳しくご説明します。
費用がやや高額
FRP防水は、防水工事では一番人気の工法であるものの、他の工法と比べると費用はやや高めです。ウレタン防水やシート防水など、安価な工法を選ぶことでFRP防水の半額ほどの費用で施工できることもあります。費用をなるべく抑えたい場合には、FRP防水はやや不向きになることもありますが、耐用年数やメンテナンス性を踏まえると、FRP防水を選ぶのがベストとなるケースも多いです。原則としてこれまで使っていた工法で防水工事を行うのが基本ですが、別の工法も検討したい場合にはリフォーム業者に相談してみると良いでしょう。
変形しやすい床面では施工不可
FRP防水には伸縮性が乏しいという性質があり、木造のベランダのような歪みが生じやすい場所ではひび割れを起こす危険性が高くなります。そのため木造かつ10平米以上の広さのベランダでは施工不可とされるケースが多く、雨漏りによって柔らかくなってしまった下地のベランダにも不向きです。FRP防水を実施する際には、事前に下地に劣化や破損がないかをしっかりと確認しておくことが大切です。
施工中は独特の刺激臭がある
FRP防水では、樹脂を希釈する際に用いる「スチレンモノマー」と呼ばれる液体により、シンナーよりも強い独特の刺激臭が発生することがあります。樹脂が硬化すれば臭いは消えるので長期にわたって刺激臭が広がるわけではないですが、家が密集する住宅地では周囲への配慮が必要になるでしょう。また、近年では刺激臭が少ない「環境対応型」タイプの材料が使われることもあるので、臭いが気になる場合にはリフォーム業者に相談してみると良いでしょう。
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FRP防水と他の工法との違い
ベランダ・バルコニーの防水工事では、FRP防水以外にも次のような工法が使われることがあります。
- ウレタン防水
- シート防水
- アスファルト防水
これらの工法との違いについて、費用相場や耐用年数などの観点からご紹介しましょう。
ウレタン防水
ウレタン防水は、ウレタン樹脂を原料として防水層を形成する工法です。FRP防水と同様に、防水性・耐久性に優れる工法ではありますが、耐用年数は8年〜13年ほどとやや短めです。費用相場は3,000円〜7,000円と、FRP防水と大きな差は生まれないため、戸建住宅のベランダ・バルコニーの防水工事で使われるケースは少ないです。工期も4日〜5日ほどと、やや長めになります。
ただしFRP防水とは異なり、樹脂そのものに伸縮性があるので、木造住宅のベランダなども問題なく施工できるメリットがあります。凹凸のある場所や傾斜のある場所など、伸縮性が求められる場所を施工する場合にはウレタン防水が候補となるでしょう。
シート防水
シート防水は、防水性のあるゴム製または塩化ビニール製のシートを全面に敷くことにより、床面の防水性を高める工法です。シートを被せるだけで施工できる手軽さがあり、下地の状態も問われないので、施工のハードルが低いという特徴があります。シートの設置方法には、接着剤を用いる方法と、ビスを使って固定する方法があります。
耐用年数は10年〜15年程度、費用相場は3,000円〜7,500円ほどと安価な傾向にあります。施工の手間がかからないので1日〜4日ほどの工期で完了するのも魅力です。ただし、シートを敷くのが難しい複雑な形状の場所や、表面に凹凸のある場所には適さない工法です。強風によって飛ばされてしまうリスクもあるので、風の影響を受けやすい場所にも不向きです。
アスファルト防水
アスファルト防水は、防水シートとアスファルトを組み合わせることで高い防水性を発揮する工法です。陸屋根や屋上駐車場などの防水工事を行う際に用いることが多く、広い範囲を施工する際に使われやすい傾向にあります。耐用年数は15年〜25年と非常に長く、トップコートのメンテナンスを行うことで長寿命を実現することができます。
ただし重量のあるアスファルトを敷き詰める工法なので、建物への負担を抑えるためにも、一般的な住宅のベランダに用いられるケースは少ないです。自宅の屋上が陸屋根で、屋上の防水性を高めたい場合に候補となるでしょう。非常に大掛かりな工事になるので、1週間〜2週間ほどの工期が必要になることにも注意が必要です。
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まとめ
FRP防水は、戸建住宅のベランダ・バルコニーの床面の防水工事で使われることが多い工法です。ポリエステル樹脂にガラス繊維を組み合わせることにより、高い防水性・耐久性を実現した素材を用いているため、長寿命かつ衝撃に強い防水層を形成することが可能です。乾燥・硬化にかかる時間も短いので、短い工期で施工が完了するメリットもあります。
一方で、ウレタン防水やシート防水と比べると、FRP防水はやや高価となるケースが多いほか、素材自体に伸縮性がないので、柔らかい床や凹凸のある床などでは施工不可とされることがあります。また、工事中は独特の刺激臭が発生することがあるのでご注意ください。
本記事で解説してきたFRP防水の特徴とメリット・デメリットを踏まえて、ベランダの防水工事を依頼しましょう。