陸屋根防水には複数の種類があるため、どれを選ぶべきか迷っている方も多いでしょう。防水工事の種類によって費用や耐用年数が異なるため、よく比較して検討する必要があります。
この記事では、陸屋根防水の種類と費用、防水効果を上げる方法などを紹介します。工事業者の選び方も解説するので、陸屋根防水をする際の参考にしてください。
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陸屋根とは?
陸屋根(りくやね、ろくやね)とは、傾きのない平らな形状の屋根のことです。
屋根の面が平らになっていて雪が落ちてくる心配がないため、主に降雪地域で選ばれることが多い傾向にあります。屋上スペースにして庭園や洗濯物干し場として活用できることから、最近はキューブ型の家や狭小地などに採用されるケースも増えています。
陸屋根に防水が必要な理由
陸屋根に防水工事が必要とされる理由は、屋根に雨水が溜まりやすいためです。通常の三角屋根は傾斜がありますが、陸屋根は傾斜がないため、防水工事が必要不可欠です。防水工事を施さなかった場合、雨漏りの絶えない建物になってしまいます。
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陸屋根防水の費用と耐用年数を種類別に紹介
陸屋根防水の工事には主に下記の3種類があります。
- 塗膜防水
- シート防水
- アスファルト防水
またそれぞれに応じて費用や耐用年数は種類ごとに異なります。下記ではそれぞれの特徴と、費用について見ていきましょう。
塗膜防水
塗膜防水は、液体状の防水塗料を塗って防水のための塗膜を作る工法です。耐用年数は10年前後ですが、何度も繰り返し重ね塗りすることができ、メンテナンス費用も安く済みます。細かい部分まで塗りやすいため、エアコンの室外機がある場所でも防水が可能です。
塗膜防水には、ウレタン防水とFRP防水の2種類があります。
ウレタン防水 | FRP防水 | |
費用(1m²あたり) | 4,000~6,500円 | 4,000~7,500円 |
耐用年数 | 8~10年 | 10~12年 |
工期 | 約1週間 | 1~2日 |
ウレタン防水は、ウレタン樹脂の上にトップコートを塗って仕上げる方法です。費用を抑えやすい一般的な工法ですが、職人の技量によって仕上がりに差が出やすいデメリットがあります。
FRP防水は、FRPと呼ばれるプラスチック製のシートを使う方法で、人の出入りが多い陸屋根やベランダに適した工法です。1~2日の短期間で施工できるのがメリットですが、施工費用とメンテナンス費用が少し高めとなっています。
シート防水
シート防水は、専用シートを床面に貼って防水する工法です。工事費用と維持費用が安く、耐久年数が10~20年と長いため、コスパは良好です。
多くの陸屋根で採用されている工法ですが、平坦でなく設置物が多い特殊な陸屋根には向きません。高層ビルなど風が強い場所も、シートが飛ばされる可能性があるため不向きです。
シート防水には、塩化ビニールシート防水とゴムシート防水の2種類があります。
塩化ビニールシート防水 | ゴムシート防水 | |
費用(1m²あたり) | 3,500~7,500円 | 2,500~7,500円 |
耐用年数 | 10~20年 | 10~15年 |
工期 | 1~4日 | 1~4日 |
塩化ビニールシート防水は、耐久性や防水性に優れており、紫外線にも強いメリットがあります。その一方で、劣化が進むと断裂が起きやすいのがデメリットです。
なお、ゴムシート防水では、塩化ビニールシートよりも薄いシートを使うため、耐久性は高くありません。一方で柔軟性が高く、地震に強いメリットがあります。
アスファルト防水
アスファルト防水は、溶かしたアスファルトとアスファルトルーフィングシートを重ねて施工する工法です。防水工事の中で最も歴史の古い工法であり、高い防水性能を誇ることから、多くの公共施設やマンションに施工されています。
メンテナンス回数を少なくしたい方におすすめの工法ですが、非常に重いため、木造住宅には不向きです。
アスファルト防水には、アスファルトでできたシートをバーナーであぶりながら貼り付けるトーチ工法と、粘着剤で貼り付ける冷工法の2種類があります。
熱工法 | トーチ工法 | 常温工法 | |
費用(1m²あたり) | 約7,800円 | 約8,200円 | 約8,900円 |
耐用年数 | 15~25年 | 15~20年 | 15~20年 |
工期 | 6~10日 | 6~10日 | 6~10日 |
熱工法は硬化が早く、工期を短くしたい場合に用いられますが、施工中に熱や煙が発生するため、近年は他の工法を選ぶケースが増えています。
トーチ工法はアスファルトを溶融しないため、ニオイや煙が気になりません。安全性の高い工法ですが、ルーフィングシートが分厚く、細かい部分の施工には不向きです。
常温工法は火を使わず施工する方法で、密集地や狭小地での施工に向いています。ただし、施工費が高額なため、他の工法と併用する場合もあります。
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陸屋根防水をするタイミング
陸屋根に以下のような劣化症状が現れた場合、防水工事を行うタイミングだと言えます。
- コケや雑草が生えている
- 床面がヒビ割れている
- 水溜まりが長引く
- 排水口の詰まりが直らない
- 浮き・膨れ・めくれがある
- 破損箇所がある
陸屋根の防水層に破損している箇所を見つけた場合は、早急に工事を依頼しましょう。放置しておくと水が大量に染み込んでしまい、建物そのものに影響が出てきます。工事費用がかさむ恐れもあるため、劣化症状を放置するのは危険です。
また、前回の防水工事から10年以上が経過している場合も、改修時期のタイミングだと言えます。見えない部分で劣化が進んでいる場合もあるため、業者に依頼して一度チェックしてもらいましょう。
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陸屋根の防水効果を上げる方法
ここまで陸屋根防水の工事についてご紹介してきました。次に下記から、陸屋根の防水効果を長持ちさせる下記の3つの方法を紹介します。
- 排水溝をこまめに掃除する
- 室外機や植物は置かない
- 早めにメンテナンスをする
排水溝をこまめに掃除する
排水溝まわりは、葉やゴミなどが詰まらないように定期的に掃除を行いましょう。排水溝が詰まってしまうと、陸屋根に水溜りができて防水層を劣化させる原因になります。
排水溝の内部まできれいに掃除して、水が流れやすい状態を維持することが大切です。
室外機や植物は置かない
防水層を劣化させないためにも、室外機や植物は極力置かないようにしましょう。
室外機を直置きすると、防水層に負担がかかり、劣化を早める危険があります。ゴム板などの上に置くなどして、防水層に負担をかけない工夫が必要です。
また植物を置くと、風で飛ばされた種子が陸屋根の床面で成長してしまい、防水層を突き破ることがあります。植物をどうしても置きたい場合は、風で飛ばされた土をこまめに掃除しましょう。
早めにメンテナンスをする
防水工事の仕上げに塗るトップコートが色褪せてきたら、早めに塗り替えることも大切です。トップコートには紫外線を防ぐ役割がありますが、トップコートが劣化すると防水層が紫外線の影響を受けて劣化してしまいます。
早めにメンテナンスをすることで、ヒビ割れや破損などを防ぐことができ、修繕費用の節約にも繋がります。
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陸屋根防水の業者を選ぶポイント
陸屋根防水の工事は専門性が高いため、業者に依頼するのが無難です。陸屋根防水を取り扱っている専門業者や塗装業者、リフォーム会社などに依頼しましょう。
ここでは、陸屋根防水の業者を選ぶときにチェックすべき3つのポイントを紹介します。
実績が豊富
防水工事は専門的な知識と技術が求められるため、施工実績があるかどうかは重要なポイントです。ホームページ上で過去の実績や施工事例を公開している会社も多いため、その内容に問題がないかチェックしてみましょう。例えばシート防水を依頼したいなら、シート防水の施工事例が豊富な業者を選ぶのが良いです。
なお、自社で施工しているか、「防水施工技能士」などの有資格者が在籍しているか、なども確認しておくと安心です。自社施工であれば外注依頼による余計なコストがかからず、安く済むこともあります。
アフターフォローが充実している
万が一工事に不具合があった場合に備えて、アフターフォローが充実している業者に依頼しましょう。保証の充実した業者に依頼すれば、再工事が必要な場合にすぐに対応してくれるため安心です。
ただし保証内容は業者によって異なるので、事前確認が必要です。どのような場合に保証を受けられるのか、保証は施工後何年まで受けられるのかなど、細かいことを契約書に記載してもらっておきましょう。
相見積もりをとって業者を比較する
実際の依頼前には3社ほどの業者から相見積もりをとり、工事費やサービス内容を比較しましょう。複数業者を比較することで、適正金額がわかり、技術力や信頼性などをチェックできます。
最初から1社だけに絞ってやりとりをすると、相場が不透明のままになるため、工事費が高くなりがちです。中には不必要な工事費を請求してくる悪徳な業者もいるので、必ず複数の業者を比較して優良な業者を選定するようにしましょう。
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陸屋根防水は早めのメンテナンスが大事!信頼できる業者に依頼しよう
陸屋根は傾斜がなく、水が溜まりやすいため、防水工事が不可欠です。陸屋根防水工事には塗膜防水や防水シート、アスファルト防水など複数の種類があり、それぞれ費用や耐用年数が異なります。
現在は塗膜防水が主流ですが、安価なシート防水や、高い防水性能を誇るアスファルト防水もおすすめです。業者と相談しながら、適切な防水工事を施工してもらいましょう。施工実績が豊富で、保証などのアフターフォローが充実している業者なら、安心して依頼できます。
陸屋根の雨漏りを防ぐには、普段から掃除をこまめに行い、メンテナンスをしっかり行うことも大切です。早めにメンテナンスをすることで、防水効果を長持ちできるでしょう。