1 . 雨漏りが発生したら
住宅の築年数が経過すればするほど、雨漏りの発生確率は高まります。
屋根の剥がれや割れ、壁の亀裂、あるいはベランダ周りからの浸水など、雨漏りを放置すると住宅そのものの寿命も短くなってしまいます。では、万が一雨漏りが発生してしまったら、どのように対応すればいいのでしょうか。
ここでは、雨漏り発生時の応急処置と、修理を依頼する業者の選び方を解説していきます。
1-1 室内の被害を最小限にするための処置
雨漏りの原因である場所が分かっている場合、例えば屋根の一部が剥がれたようなケースでは、ブルーシートなどで保護をし、雨水が浸入する入り口を塞げばOKです。ただし、屋根などの高所には危険が伴いますので、誤って落下するようなことのないよう細心の注意を払いましょう。
室内の場合は、雨漏りしている場所の下に新聞紙や雑巾を敷き、水がはねないよう布を入れたバケツを置いておきます。ただ、こうした処置はあくまで応急処置に過ぎません。この後にどのような修理をするのか、ということが重要です。
専門業者に依頼する
もっとも適切なことは、専門業者に依頼することです。なぜなら、素人判断では見つけにくい雨漏りの原因を特定できるためです。
雨水は、思ってもみない場所から浸入していることも多々あります。とくに屋根周りに原因がある場合は、屋根そのものの構造や屋根が雨水を流すメカニズムについても知っていなければなりません。
その点、豊富な知識を持つ専門業者であれば、原因特定と適切な修理方法の判断ができるのです。
バケツで水を受け止める
専門業者に依頼する場合でも、業者が来てくれるまでの応急処置が求められます。雨漏りをそのままにすると、床が水浸しになってしまいます。長い時間そうした状態が続くと、建物自体の寿命を縮めかねません。
そのためにも、雨水を受け止める必要があるのです。もっとも簡単な方法は、落ちてくる雨水をバケツで受け止めてしまうこと。床や壁に雨水が当たらないようにしてしまえばいいのです。
ただし、雨漏りの量によっては、バケツが溢れてしまうこともありますので、溜まった雨水を随時捨てに行くほか、バケツの下に新聞紙やブルーシートを敷いておくなどの対応が必要です。
吸水シートで水を吸い取る
濡れた場所を雑巾でふき取ろうとしても、なかなか吸い取れなかったり、ぞうきんを取り替えたりと、非常に手間がかかります。そんなときには吸水シートがあると便利。吸水シートとは、見た目は普通の布のように見えますが、大量の水を吸収してくれるシートのことです。
このシートはとても便利で、1度使っても3週間くらい日光に当てて自然乾燥させることで、元の状態に戻り、また使えます。限度はありますが、繰り返し使えるのはとても便利です。
とくに効果的な使い方は、雨水を受け止めるバケツの中に給水シートを入れておく方法。落ちてくる雨水を吸い取ってくれるため、雨水の飛び散りを防ぐこともできます。
ホームセンターやネット通販などで、1セット(8~12枚入り)1,000~1,500円ほどで販売されています。
屋根にブルーシートを貼る
瓦の剥がれなど、明らかに屋根に原因がある場合には、その破損箇所にブルーシートを貼ってしまうのが効果的です。陸屋根の場合でも、大きなひび割れがあれば、そこからの浸入が考えられます。
そのような場所をブルーシートを貼って雨水自体の浸入を防げば、少なくとも一時的には雨漏りを止められるでしょう。
ただし、屋根の場合には高所作業となり危険が伴います。万が一、自分で作業をする場合には、細心の注意を払わなければなりません。
雨漏りの箇所を写真に納めておく
雨漏りが発生したら、まず現況の写真を撮っておくことが大切です。依頼した業者も現場調査に来てくれますが、そのときには雨漏りが止まっているケースがほとんどです。現場が乾いてしまって、どのように漏れていたのかが分からないことも見受けられます。
そんなとき、雨漏りの様子を写真に残しておけば、状況説明にも役に立つでしょう。写すときにはより正確で多くの情報が伝わるように、アップと少し遠くから撮影した写真を準備するようにしたいですね。
2 . 雨漏りの発生場所と原因を特定する
修理業者に見積もりを依頼すると、まず現場調査が行われます。これは、雨漏りをした場所から雨水の浸入ルートを特定するためにすること。その上で、浸入箇所がどこなのかを特定し、修理に必要な工事を検討します。そしてその修理に必要な工事と見積もりが提出されてきます。
業者の優劣を判断する方法の前に、まず雨漏りしやすい場所について見ていきます。
2-1 雨漏りが発生しやすい場所
雨漏りが発生しやすい場所というのは、どの住宅でも共通しています。水は上から下へと流れるもの。つまり建物の外回りを見たとき、そういう場所で発生しやすいのです。
勾配のある屋根や垂直に建っている外壁、そうしたものと接しているサッシやベランダ、あるいはあらかじめ雨水を流すために作られた樋(とい)がこれに該当します。
ただし、屋根といっても様々な材料や形状のものがありますし、サッシやベランダ、樋についても同様です。自分の住んでいる住宅のどの部分で、雨漏りが起こりやすいのかを理解しておくことは重要です。
スレート屋根・瓦
ビルタイプで見られる陸屋根をのぞき、一般的な住宅では大きく分けて3種類の瓦が使われています。それぞれの特徴は次の図で説明しますが、共通していることは、強風の影響で雨漏りが起こりやすい場所だということ。
強い風にあおられると、素材にヒビが入ったり欠けたりすることもあります。台風のときなどは、瓦自体が吹き飛ばされることもあるほどです。
瓦の下には、その隙間から風などで吹き上げられた雨水を防ぐための防水シートが敷いてありますが、瓦が吹き飛ばされ、むき出しになったまま放置してしまうと、防水シートが破ける被害が発生することもあるのです。
ここまで被害が大きくなると、修理費用もかなり高額になります。台風が通り過ぎて強風が収まったら、瓦が飛ばされていないか点検することをオススメします。
外壁
外壁から雨水が浸入する原因の多くは、外壁材同士のつなぎめとなるゴム状のコーキングの劣化です。とくに一般住宅で最もよく使われるセメントや繊維質などを原料とした窯業系サイディングは、コーキング材を多く使うので、劣化によってパネルの継ぎ目から雨水が染み込みやすくなります。
じつは、外壁材の劣化よりコーキングの劣化のほうがはやいので注意が必要です。
外壁材の耐用年数が10年程度なのに対し、コーキングは5~7年経過すると劣化し始めるとされています。
ベランダ
ベランダの場合、外壁とのつなぎ目から雨が入り込み雨漏りするケースが多いです。
つなぎ目から雨水が浸入している場合は、コーキング処理など、比較的手のかからない方法で処置が可能です。全体のメンテナンスはウレタンを使った防水工事など、数種類あります。
ベランダのメンテナンスを考える機会は少ないと思いますが、雨漏りトラブルが起こりやすい場所です。また、ベランダそのものの劣化もあるので、定期的にメンテナンスすることをオススメします。
窓・サッシ
台風など強風を伴う雨が降った際に、サッシの縁から雨水が浸入したという経験はありませんか。実は、サッシや窓は建築材のつなぎ目となるため、雨漏りが起こりやすい場所なのです。
窓・サッシの周囲はコーキングでカバーされているので、劣化すると雨水は簡単に浸入してしまいます。数年に一度は点検を実施しましょう。
谷樋板金
屋根材の接合部に設ける「谷桶(たにとい)」。屋根に降り注いだ雨水を一旦溜めておく場所であり、よく雨漏りが起こります。経年劣化のほか、オーバーフローが起きた際にも雨漏りします。
谷樋が経年劣化すると谷樋の素材がゆがんだり、曲がったりします。それによって雨水が排水できなくなり、いずれはサビとなってしまいます。
オーバーフローとは、谷桶に溜まっているゴミなどが原因で、雨水を排水しきれずに水が溢れ、逆流を引き起こして屋根の内部に浸水することです。
すべての屋根に付いている訳ではありませんが、ガルバリウムやトタンなどの金属系の屋根の建物であれば、注意が必要になるでしょう。
棟板金
棟板金とは、スレートやコロニアル・金属屋根の頂点についている板金のこと。釘やビスで屋根材に固定するため、時間が経つと緩んで金属自体が浮いてきてしまいます。
緩むと雨が屋根内部に浸入してしまうので、7〜10年に一度くらいはメンテナンスが必要です。屋根材と一緒にメンテナンスするのがベストです。
2-2 場所ごとの修理方法
雨漏りが起こりやすい場所は「屋根」「外壁」「ベランダ」です。ここでは、場所ごとの修理方法について紹介します。それぞれの場所で必要な工事はどういうものなのかを知っておきましょう。
屋根
屋根修理の主な工法は、「葺き替え」や「塗装」です。「葺き替え」は屋根材全体が劣化してしまっている場合や、破損が広範囲に及んでいる場合に行う工事で、スレートや金属、瓦などの屋根材に交換します。
工事にあたって、古い屋根材を全部剥がすため、下地をメンテナンスしたいときにも適しています。
一方で、現在の屋根材を撤去せず、新しい屋根材で覆う方法を「カバー工法」といいます。この場合、屋根材を剥がす必要がなく、工期と費用を削減できますが、建物への荷重が増加するため、専門家に相談して施工可能かどうかを確認しましょう。
外壁
外壁の修理方法には「塗装」と「シーリングの補修」の2種類があり、雨漏り被害の程度によって工法が異なります。軽度のひび割れならばシーリング補修のみで済みますが、ある程度大きなひび割れには、シーリング補修に加えウレタンやシリコンなどの塗料を外壁に塗装して対応します。
ベランダ
ベランダは、水に強いコンクリートなどの上に防水層があり、さらにトップコートという液状の樹脂で覆われています。軽い傷であればトップコートの修復で対応可能です。トップコートは、表面のコーティングを塗り替えるだけなので、時間や手間がかかりません。
ところが防水層にまで傷が付いている場合は、そこからやり直す必要が出てきます。この場合、ベランダの防水層全体を修繕することになります。
防水層の工法には以下の3種類があります。
■ FRP防水工法
プラスチック繊維を樹脂で固めることで、固くて衝撃に強いベランダに仕上げます。人が多く出入りすることが想定されるのであればオススメです。
■ シート防水工法
塩ビシートなどを床に貼る工法です。メンテナンスの手間がかからないので使い勝手の良い防水方法ですが、避難ハッチやドレーンが多い場合には、破けやすいため適さないこともあります。
■ ウレタン防水工法
塗膜防水の一種であるウレタン防水は、ウレタン樹脂を塗り広げるので、凹凸のあるベランダでも対応可能です。
このほか、ベランダで雨漏りする可能性が高い外壁とのつなぎ目は、シーリング材を打ち直す、あるいは補修しておくことも大切です。
3 . 工事別の費用相場
防水工事にもいろいろあることが分かったと思いますが、それぞれの工法によって価格にも違いがあります。適正な価格で工事をしてもらうためにも、費用の相場を知っておくことが大切です。
もしも高額な修理代を請求されたとき、金額が妥当かどうか、ある程度判断ができるでしょう。
3-1 修理箇所ごとの費用相場
費用相場を知る上でポイントとなるのは工事をする場所です。ここではまず屋根と外壁、ベランダの費用の相場をご紹介します。ただし、必ずこの価格でできるということではありません。あくまでも目安であり、業者によって当然バラツキが大きくあるもの。
自宅を修理する上で必要なことが網羅されているかを確認する意味でも、数社から相見積もりを取るべきでしょう。
屋根
屋根の修理費用の目安は下記の通りです。
外壁
外壁の場合、シーリング補修と塗装による修理を行うならば100万円以上が相場です。重ね貼りする場合は150万円以上、貼り替えするなら最低でも200万円は見ておくべきです。
ベランダ
■ トップコート
トップコートの塗り替えにかかる費用は、DIYなら1㎡あたり5,000~1万円、業者なら1㎡あたり1.5~2.5万円程度。塗り替えは5年を目安に行います。
■ FRP工法
工期が1~2日程度で傷みにくいFRP工法は、1㎡あたり4,000~8,000円が相場です。
■ シート防水
日差しの強い場所に向いていますが15年を目安に交換が必要なシート防水。施工費用の目安は1㎡あたり3,500~7,500円になります。
■ ウレタン防水
こちらもシート防水同様、1㎡あたり3,500~7,500円が相場。経年劣化に弱く工期は長くなりますが、凹凸がある下地に不向きな「シート防水」に比べ、下地の材質を問わず施工が可能です。
このように、防水にも種類があり、施工する場所や屋根材によっても最適な工事内容は異なります。自宅の屋根の形状や材料を確認して、工法を選ぶ参考にしましょう。
3-2 修理費用が高額になるケース
雨漏りの原因が分からずに放置してしまうと、広範囲に被害が広がって修理費用が嵩みます。天井にシミを見つけ、表面の部分修理だけで済む場合なら20~35万円で済みますが、雨漏りが複数個所で発生し、内部の下地を含む全体的な工事になると60~250万円かかる、といった具合です。
また、使う材料によって費用が高額になるケースもあります。外壁塗装でウレタン塗装を使う場合は1㎡あたり1,700~2,200円と安価ですが、紫外線で劣化しない半永久的な耐久性を持つ「無機塗料」だと単価は倍近くなります。
経年劣化による雨漏りの場合
施工不良などもありますが、雨漏りの原因としてもっとも多いものは経年劣化です。屋根や外壁は日々、紫外線や風雨にさらされているため、建材の表面を塗装で保護していても、室内に使われている建材に比べて早く劣化します。
部材によっても耐用年数が異なり、外壁の場合は10年程度、ベランダの防水シートは15年程度で劣化が起こって雨漏りリスクが高まります。建材には必ず経年劣化が起こるということと、耐用年数が建材によって異なることを頭に入れ、修理のタイミングを見極める必要があります。
大がかりな調査を行った場合
雨漏りの原因は多くの要素が絡んでいます。そのため、雨漏りの修理では修繕前の調査が非常に大切です。追加工事をしないためにも、念入りに調査しましょう。調査の種類と費用は次の通りです。
ほとんどの業者が最初に実施するのが目視調査です。文字通り目で見て状況を確認し、ひび割れや屋根のズレ、外壁の浮きなど、目で見える範囲で雨漏りの原因になりそうな異常箇所を探します。
散水調査では、原因となりそうな場所にホースで水を流し、実際に雨漏りが起こるかを再現します。この方法では内部の様子までは見えないため、原因と雨漏り箇所が近い可能性が高いときに適している調査方法です。
発光液調査は、「紫外線投射発光調査」「レインボービュー調査」などとも呼ばれ、紫外線ライトを当てると、発光する液体を使います。
赤外線サーモグラフィ調査では、雨漏りの原因を突き止めるために建物を高感度赤外線カメラで撮影し、外壁などの表面温度の違いから、雨漏りしている箇所を特定する方法です。
雨漏りの症状を長期間放置していた場合
雨漏りをそのままにしておくと住宅の寿命が縮まるというお話をしてきましたが、実際にどのようなことが起こるのでしょうか。次に具体例を挙げてみます。
■ 住宅の劣化
資産としての住宅の価値が下がってしまいます。
■ 害虫の発生
湿気が家の中に溜まり、害虫が発生する場合があります。代表的な害虫はシロアリ。大量発生し、電線や柱、断熱材などを蝕まれてしまいます。
■ 漏電
電気配線や電気器具の絶縁体に雨水が侵入すると漏電が起こり、家電の故障や停電の原因となります。
さらに放置すると、感染症やアレルギー反応などの二次被害が起こってしまいます。
4 . 費用を抑えるポイント
住宅を修理する場合、それにかかる費用は決して安いものではありません。ですから、できるだけ費用を抑えたいと誰もが思うことでしょう。修繕費用を抑えるためには、修繕範囲を少なくするため、早期に対処してもらうことが大切です。
また、公的制度や火災保険など、補助や保証をできるだけ受けるようにすることも重要なポイントです。
4-1 発見後すぐに修理を依頼する
雨漏りの修理代を抑えるために一番大切なことは、発見したらすぐに対応することです。天井からポタポタと水が落ちてきたのを発見した時点で、住宅の腐食状態はかなり進行していると思ってください。
たかが雨漏りと思わず、ひどい場合は、建物の建て替えにまで及ぶということを念頭に行動しましょう。
4-2 火災保険を使えば無料で修理できる!?
火災保険を使えば、雨漏り修理の際でも保険会社から補償が下りることがあるのをご存知でしょうか。
■ 台風などの強風で瓦がずれた、スレートが浮いた、雨樋が外れた
■ 雹(ひょう)が降って、天窓に穴があいた
■ 強い風雨で瓦屋根の漆喰が崩れた
■ 雪の重みで雨樋が壊れた
■ 竜巻で物が飛んできて屋根に当たって破損した
上記のような理由で修理を行った場合は、補償が下りる可能性が高いです。
ただし、加入した火災保険の契約内容に「風災/雹(ひょう)災/雪災」がないと、保険金は下りませんので事前に確認をしておきましょう。
5 . 業者選びのポイント
工事にかかる費用については、おおよそのところを理解できたかと思います。予算の枠組みが分かれば、次は良い業者を選ぶことを考えましょう。高い費用を払ったのに、雨漏りが直らなかったというのは絶対に避けたいところです。
業者選びの際は、次の点に注意してください。
5-1 発生箇所ごとに依頼する業者は違う
雨漏りといっても、原因は屋根だけではなく、サッシと外壁の隙間からの雨水の浸入や外壁のひび割れ、あるいはコーキングの劣化、エアコン周りなど、壁を貫通する配管孔からの浸水もあるでしょう。
そして工事業者の過失による施工不良も考えられます。このようにたくさんの原因がありますが、それぞれの箇所の専門家がいるということを理解しておいてください。
たとえばサッシ周り。サッシ自体のゆがみが原因であれば、サッシ業者の出番です。サッシと壁の隙間からの雨漏りであれば、その程度具合によって施工する業者も変わってきます。
修理を依頼する場合、多くの人が工務店など建築業者に連絡するのではないでしょうか。
ここで知っておきたいことは、建築業者がすべての工事を自社でやっている訳ではないということ。工事現場には、塗装の専門業者やサッシの専門業者、防水の専門業者などたくさんの人たちが参加しています。
建設会社の役割は、これらを取りまとめて、工事がスムーズかつ適切に行われているのかを管理することです。この管理を担当するのが現場監督です。工事現場は、現場監督の指揮のもと、さまざまな業者が専門的な技術を駆使することで成り立っています。
このいずれが欠けても、工事には不手際が発生しかねません。それゆえ、現場調査の段階でも、建築業者の担当者が専門業者を同伴して訪れることもあります。大切なことは管理体制がきちんとできているのかを依頼する側が見極めることでもあるのです。
5-2 資格の有無を確認する
工事の規模によっては、専門業者に直接依頼される場合もあるでしょう。
どのような工事においても、依頼する業者の実績や経験は大切なこと。とくに雨漏りというのは、原因の特定が困難ということもあり、業者選定は容易ではありません。
そこで、業者を選ぶときのポイントとして「実績」と「見積内容の詳しさ」だけは、しっかりと見定めるようにしましょう。仮に修理費用が安くても、実績がなければ満足した施工をしてもらえません。そして、見積書の内訳が大まかな金額でしか書かれていない場合は、適正な価格なのかすら分かりません。
近年は「雨漏り診断士」という資格も設けられました。資格を所持している業者を選ぶのも1つの方法と言えるでしょう。雨漏り診断士とは「NPO法人雨漏り診断士協会」から認められた資格者のことです。
資格を取得するためには、建物の基礎知識や雨仕舞いと防水・塗装の基礎知識、雨漏り診断の実例・実務など、雨漏り調査に必要な知識習得が必要となります。そのため、この資格を保有しているかどうかを確認することは、安心して修理してもらうための判断材料になるのです。
5-3 修理後に保証期間を設定しているか
新築住宅の場合、平成12(2000)年4月1日から、工事請負契約や売買契約において10年間の「瑕疵担保期間」が義務付けられるようになり、修理や賠償の請求ができるようになりました。
既存住宅の場合は、新築住宅のような法律による保護がないのが現状ですが、自主的に保証期間を設けている業者もいるので確認しましょう。
民法637条では、屋根工事等の請負工事について、瑕疵担保責任期間を1年間と定めています。1年間の保証はありますが、請負契約書の特約に、更に長期保証期間を設定してくれるか直接交渉をしてみてもいいでしょう。
6 . 自宅で雨漏りが発生したらまずは応急処置をして、迅速に業者を呼ぶようにしましょう
自宅で雨漏りが発生したときは、それ以上に被害が広がらないように応急処置をして、迅速に業者を呼ぶようにしましょう。
雨漏りの修理箇所は、広範囲にわたることが多いため、修理業者の選定に困ってしまう人も多いと思います。しかし、依頼する側も雨漏りや不備の内容についてある程度の知識を持っておけば、修理の質はキープしながら、修繕費を抑えられるでしょう。