外壁塗装や屋根塗装をしようと思ったときに悩むのが業者選び。そもそも悪質業者は優良業者のフリをしていることがほとんどですので、優良業者と悪質業者を見分けるのは簡単ではありません。そこで、どうすれば優良業者を見つけられるのか、悪質業者に依頼するとどうなってしまうのかについて詳しく見ていきましょう。
1 . そもそも優良業者とは?
外壁塗装や屋根塗装は人生でそう何度も行うことではありません。長いと20年以上も塗装工事を行う必要がないこともあります。そのため、塗装に関する専門知識を持っている人は多くありません。
そんな依頼者の知識不足につけこんで、手抜き工事をしたり、実際の費用より高額の見積を請求したりする業者は少なくありません。悪徳業者の思う壺にならないように、優良業者を見抜くポイントを具体的に見ていきましょう。
1-1 正しい工事を行う
外壁塗装や屋根塗装を請け負う側は専門知識を持っていることが求められますが、依頼する側は基本的に専門知識を持っていない素人であることがほとんどです。自分の家とは言え、外壁や屋根の状態がどうなっているのか分からないことが多いでしょう。
どのような工事をすればいいのか、具体的にどんな工事が行われるのかなど、分からないことも多いです。そのため、分からないのをいいことに手抜き工事を行い、不当な利益を得ている業者が山ほどいます。
依頼する側は、どのような工事が必要なのか、どのような塗料を選ぶ必要があるのかなどの基礎知識を身に着け、正しい工事を行う業者に発注するようにしましょう。
1-2 アフターサービスの充実
手抜き工事はもってのほかですが、正しい工事をしたとしても、工事のあとのサービスが十分でなければ優良業者とは言えません。工事をしたときには想定していなかった、思わぬトラブルが発生する可能性はゼロではありません。
トラブルを未然に防ぐ最も有効なアフターサービスは「定期点検」です。定期点検をこまめに行っていれば、仮に外壁に思わぬ被害が発生しても、その修理の費用は最小限で抑えることができるからです。
また、「保証サービス」も重要です。家電や携帯電話と同じように外壁塗装にも保証サービスが設けられていますが、その内容は業者によってまちまちです。保証があるからといって安心せず、どんな内容を保証してくれるのかを事前に確認しましょう。
1-3 適正価格での施工
手抜きをせず、正しい工事をしたとしてもそれが適正な価格でなければ意味がありません。相場よりも高額な費用を請求する悪徳業者も存在するのです。悪徳業者にだまされないために、適正相場を知っておかなければいけません。
見積書に設けられた項目ごとの相場を把握し、概算費用の算出などは最低限できるようにしておきましょう。業者も悪いところばかりではありません。サービスの行き届いた良心的な業者も多く存在するので、冷静な目で見極められるようにしましょう。
こんな業者には要注意!世の中には優良業者のフリをして悪質な工事を行う業者もいます。どんなところで見抜けばいいのか、以下にまとめてみました。
■ 雨の日にも無理な工事を行う ■ 塗料や技術について大げさにアピールしてくる ■ 不安を煽る ■ 大幅な値引きを提案してくる
雨の日にも作業を行うのは、業者のスケジュールに余裕がないためかも知れません。
余裕のない工期は大きなミスを引き起こしてしまう原因となるため、しっかりと工事スケジュールが立てられる業者かどうかもチェックしましょう。塗料に雨水が混じってしまい、品質が悪くなってしまうことも考えられるので、こういった業者は避けましょう。
また、「この塗料を使えば、再塗装する必要がありません」と言ってきたり、「当社オリジナルの塗料を使えば、塗装回数を減らすことができるので費用を抑えられます」など大げさな技術や塗料性能をアピールしてきたりする場合も危険です。
基本的にどんな塗料も経年劣化は避けられませんし、「塗装回数を減らせる」というセリフも手抜き工事をするための嘘である恐れがあります。あまりにも大げさな表現が出てきたときは疑ってみてください。
そして、「いますぐ工事着工しないと危険な状態にある」と不安を煽ったり、「今すぐ契約書にサインしてくれれば、費用を安くできる」など、大幅な値引き提案をして契約を急ごうとする業者も危険です。そのような手口でしか契約数を増やせない恐れがあり、信頼できる工事が行えず悪い評判がたっている業者かもしれません。
即決するのではなく、一度ゆっくりと考える時間をとってみるようにしてください。
2 . 悪質な業者に塗装を依頼するとどうなる?
優良業者や悪質業者などの言い方は抽象的なため、実際にどのような工事をされるのか具体的にイメージできず、危機感を抱くことができない場合もあるでしょう。そこで、悪質な業者に工事を依頼してしまうと、どのようなことになってしまうのかをご紹介します。
2-1 2度塗りで工事を終えてしまう
外壁塗装や屋根塗装は下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが基本です。下塗りは下地を補強し、仕上げ塗料と下地との密着性を高める働きをします。
中塗りは、下塗り用塗料の色を消して、上塗り用塗料との密着性を高めるために行います。中塗り・上塗りと仕上げ塗料を2回以上塗らないと、塗料が持つ防水性や遮熱性などの性能が十分に発揮されず、すぐに塗料が剥がれてしまったり、下地が劣化してしまったりして問題が生じてしまいます。
上塗りは中塗りで生じた色ムラや気泡を改善する役割があります。
しかし、悪質な業者は下塗り、上塗りの2度塗りで工事を終えて工期を短縮し、塗料費用をごまかそうとする場合があります。そのため、見積書をしっかりと見て、3回以上の塗装回数があるかどうかをしっかりとチェックしましょう。
2-2 塗装前の洗浄を適当に済ませる
屋根塗装や外壁塗装は、塗装する前に高圧洗浄機で汚れやカビなどをしっかりと落とさないと適切な工事が行えません。汚れやカビの上から塗装してしまうと、塗料がすぐに剝がれてしまい、塗料の性能が発揮されず、すぐに塗装し直すことになってしまいます。
悪質業者は工期を短くするために、この工程を適当にすませてすぐに塗装工程移ろうとすることがあります。
塗料の性能が十分に発揮されないので、しっかりと洗浄してもらうようにしてください。
2-3 下地処理が適当
下地処理が適当なことも危険です。下地処理とは外壁材や屋根材のひび割れや欠損、サビなどを修繕して建物の劣化を防ぎ、塗装できる状態にすることを指します。
下地調整が適当な場合、ひび割れや欠損、サビの上から塗料を塗っていくことになるので、そこから塗料が剥がれてきて雨水の浸入につながります。塗装後のトラブルの多くは、下地処理不良が原因であると言われているほど大切な工程になります。
2-4 塗料を水で薄める
悪質な業者は塗料に水を入れて、塗料代を浮かせようすることもあります。
塗料には適切な濃度があります。その濃度で塗っていかないと、防水性や遮熱性などの塗料の性能が十分に発揮されなくなってしまいます。例えば、耐用年数が10年前後の塗料なのに水増しされて工事をされると、適切な耐久性が発揮されず、3年程度で塗料が剥がれてきてしまうこともあります。
見積書に記載されている塗料ではなく、それよりもグレードの低い塗料を使って工事をすることもあるので注意してください。
2-5 乾燥時間を十分に取らない
塗装工事をする場合、塗料が乾燥してから次の塗装工程に移っていく必要があります。しかし、悪質な業者は工期を短くするためや人件費の削減のために乾燥時間を十分に設けず、中塗りや上塗りをしていくことがあります。
乾かないうちに塗料を重ね塗りしていくと、先に塗った塗料が剥げてくることがあり、適切な性能が発揮されなくなってしまいます。
中塗りや上塗りをするときは十分に塗料が乾いてから行う必要があることを覚えておくといいでしょう。
2-6 助成金を受け取れないケースも
悪質な業者は塗装工事の契約を取るために「助成金が受け取れる」と言ってくることがあります。自治体から助成金や補助金が出るなら、活用したいと思うでしょう。しかし、国が定める外壁塗装向けの助成金・補助金制度はなく、市町村の制度を利用することになります。
しかし、市町村側の予算が限られており、すぐに申し込みが打ち切られてしまうこともあります。
「助成金が利用できる」と言われてその気になって契約をしたけれど、実際は活用できなかったというパターンもあるのでしっかりと確認するようにしてください。
3 . 優良業者を見つけるためのチェックポイント
悪質な業者に工事を依頼してしまうと、手抜き工事をされて塗装し直すことになるケースもあります。そうならないために、優良業者をしっかりと見つけておきたいところでしょう。そこで、具体的にどこをチェックすれば優良業者を見つけることができるのかをご説明します。
3-1 年間の施工数や創業年数はどの程度か
最初にチェックしたいのは、年間の施工数や創業年数です。1年間でかなり多くの塗装工事を請け負っている業者である場合、豊富な経験と技術力を持っていることが期待できます。
悪質な業者は詳しい施工実績をアピールできないため、ここが優良企業を見抜くポイントとなります。
また、かなり昔に創業している場合、地域に密着して活躍してきた可能性が高く、評判の良い業者であることが考えられます。最近はネットですぐに口コミが広まる時代なので、評判を見てみるといいかも知れません。
悪質な業者はすぐに依頼が来なくなり、長年の活動ができなかったり、すぐに活動エリアを移したりして地域に定着していないことが多いです。
年間の施工数や創業年数は、優良企業を見分けるいい判断材料になるでしょう。
3-2 詳しい見積書を作ってくれるか
詳しい見積書を作ってくれるかどうかもチェックしておきたいところです。
一般的に見積書は事前調査によって塗装面積を導き出し、工事に必要な材料の種類と量を計算します。そこから具体的な費用を導き出すのですが、大まかな記載しかない場合は、施主がその内容を確認することができません。
例えば、「屋根塗装一式」と記載されている場合は、どれくらいの面積を塗装するのか、どれくらいの塗料が必要なのかが分かりません。業者が費用を水増ししていたとしても、それを指摘することがでなくなってしまいます。
優良企業であれば、見積書にどのような作業をするのかについての工程内容と外壁や屋根の塗装面積、塗装回数、使用する塗料の製品名、単価などを詳しく記載してくれます。
専門知識がない施主でも分かるように、しっかりとした見積書を作ってくれるかどうかは優良企業を見抜くポイントになります。
3-3 外壁塗装に関する資格を保有しているか
最近ではホームページを持っている業者がほとんどですので、優良業者を見つけようと考えるなら、一度はホームページを見てみることをオススメします。外壁塗装に関する資格を保有している業者であれば、しっかりとした工事をしてくれることが期待できます。外壁塗装や屋根塗装を行う場合どんな資格があるのか、具体的に見ていきましょう。
3-3-1 塗装技能士
塗装技能士とは、その保有者に高い塗装技術と知識があることを証明する国家資格です。この資格を持っていなくても外壁塗装や屋根塗装の仕事をすることはできますが、保有している人に依頼をした方がより安心できるでしょう。
とくに一級塗装技能士を取得するには7年以上の実務経験を満たしていることが条件となります。その上で、実技試験と学科試験に合格しなくてはなりません。
塗装工事を依頼しようと思っても専門知識を持っていないと相手がどれくらい信頼できる業者なのか見分けることが難しくなってしまいますが、塗装技能士が在籍する業者に依頼すれば、しっかりとした施工が期待できます。
3-3-2 雨漏り診断士
外壁塗装や屋根塗装を行う理由に雨漏りの防止が挙げられます。そのため、雨漏り診断士がいる業者に工事を依頼することもオススメです。
雨漏り診断士はNPO法人雨漏り診断士協会が認める資格保有者を指します。この資格を取得するには「建物の基礎知識」と「雨仕舞いの基礎知識」、「防水・塗装の基礎知識」、「雨漏り診断の基礎知識」、「雨漏り診断の実例・実務」を勉強する必要があります。
防水・塗装の基礎知識がなければ取得できないので、塗装工事を行う際に役立つ資格と言えます。また、雨漏りの知識を塗装工事に反映させることも期待できます。
3-3-3 外壁診断士
外壁診断士とは一般社団法人全国住宅外壁診断士協会が認定する資格者を指します。外壁の劣化状況を判断し、どのような工事が必要かを見極め、工事後のメンテナンスについてもアドバイスができるまさに外壁の専門家と言えます。
そのため、この資格習得者がいる業者であれば、適切な塗装工事を行ってくれることが期待できるでしょう。
3-3-4 外壁劣化診断士
外壁診断士のほかにも、一般社団法人住宅保全推進協会が認定する外壁劣化診断士という資格もあります。
この資格は、建物の構造や建築材料、屋根・外壁の劣化状態に関する知識が求められます。そのため、外壁劣化診断士がいる業者に依頼することで、劣化状況に応じた工事の提案や修復工事を行ってくれることが期待できるでしょう。
3-4 「外壁塗装の窓口」のマッチングサービスを利用する
外壁塗装を請け負っている業者のホームページを一つ一つ見ていって、自分で優良業者を見つけるのはとても大変です。そこで、業界最大級の外壁塗装専門マッチングサービスである「外壁塗装の窓口」を利用する方法も有効です。
「外壁塗装の窓口」では、塗装を行いたい外壁面積などを入力すれば、優良外壁塗装会社から見積もり結果が届きます。まだ契約するつもりがないなら、匿名での見積もり診断が可能です。気に入った会社を見つけることができれば、そのまま正式な見積もり依頼を行えます。
また、塗装をメインとしている専門業者であるかや自社施工管理の塗装専門店か、資格を持っているかが審査内容であるため、中間マージンのとられない優良塗装会社のみとのマッチングが行われます。
適正価格や塗装相場なども簡単に分かるので、活用しても損することはないでしょう。
4 . 事前調査をしっかりと行って優良業者を見つけましょう
塗装工事の依頼を行う場合、優良業者を見つけることがとても大切になります。悪質な業者に依頼してしまうと、塗装工事をし直さなければならないことになってしまうケースもあり、費用がかさんでしまいます。
しかし、予備知識もなく優良企業を見つけるのは大変です。そのため、しっかりとした知識を身に着けて塗装業者の事前調査を行いましょう。