外壁塗装を業者に依頼するときは、契約書の存在が欠かせません。実際の工事では予期せぬトラブルが起きやすいですが、事前に契約書を作成しておけばトラブルの悪化を防げます。
この記事では、外壁塗装で契約書が欠かせない理由について解説します。業者から提出された契約書を見るときのポイントや、万が一トラブルが発生したときの対処法についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:優良な外壁塗装業者の選び方を解説!警戒すべき悪徳業者の見極め方とは
外壁塗装で契約書が必要な理由
冒頭でも解説した通り、外壁塗装には予期せぬトラブルが起きやすく、コストが割り増しになったり手抜き工事をされたりする可能性があります。工事を順調に進めていくには、契約書の作成が欠かせません。ここでは、外壁塗装工事における契約書の役割と必要な理由を解説します。
契約内容の明確化
契約書を結ぶ理由は、依頼者と業者との認識の違いを思い違いをなくし、共通の事項を明確化するためです。契約書を作成せずに工事を始めてしまうと、後々のトラブルに発展する可能性があるからです。
契約書があれば、工事金額や工事の内容、工事の期日などの必要事項がすべて記載されているため、認識の食い違いや記憶違いによるトラブルを予防できます。工事内容や工事を行う責任が明確になるため、依頼者も安心して工事を任せられるでしょう。
トラブルの予防
契約書がない場合、何かトラブルが発生しても正式な文書が残っていないため、業者の不正に対処できない可能性があります。塗装業者に悪意がなかったとしても、認識の行き違いにより、トラブルが発生する可能性があります。
口頭の約束だけでは、あとで「言った」「言ってない」の水掛け論が起きやすく、トラブルがさらに大きくなるリスクもあります。これらの事態を未然に防ぐには、契約書が必要不可欠です。
関連記事:外壁塗装にトラブルはつきもの!知っておきたいトラブル事例と防止策
証拠の保全
工事中に想定外のトラブルが発生した場合でも、あらかじめ契約書を作成しておけば、トラブルを解決しやすくなります。
建物が破損した、第三者に損害を与えたなど、外壁塗装では思いもよらぬトラブルや事故が発生することがあり、事前の計画どおりに工事が行えないケースもあります。そのような場合に備えて事前に契約書を作成しておけば、重要な証拠書類となり、解決までのやり取りがスムーズになります。
外壁塗装に必要な契約書類
外壁塗装で業者と取り交わす契約書類には、いくつか種類があります。どの書類も重要なものなので、内容についてきちんと把握しておくことが大事です。ここでは、外壁塗装で欠かせない5つの契約書類を紹介します。
工事請負契約書
工事請負契約書は、見積もりに合意した後に依頼者と業者が取り交わす契約書のことです。工事請負契約書は契約内容を証明する唯一の書類であり、外壁塗装においてメインとなる書類です。
記載内容をあまり見ずにサインしてしまうと、リフォーム詐欺などのトラブルなどに巻き込まれたり費用面で損したりする可能性があるので注意が必要です。工事請負契約書に記載する内容は建設業法で定められているため、内容に抜けがないか、内容が適切かどうかを確認しましょう。
請負契約約款
請負契約約款とは、契約書の記載項目を具体的に説明した書類であり、トラブルが発生したときの対処法などが記載されています。
外壁塗装には塗料の飛散や物損などがつきものであり、工事中に第三者を巻き込んだトラブルが発生するリスクがあります。そのような万が一の事態を想定して、賠償責任の所在を明確化したのが請負契約約款です。 請負契約約款を見るときは、クーリングオフや賠償責任について記載があるかを確認しましょう。
請負代金内訳書
請負代金内訳書は、工事費用の内訳を詳細に記載した書類です。最終的な工事金額が記載されているので、事前にもらった見積書との差異がないかを必ず確認しておく必要があります。差異がある場合は、費用が追加または削減された理由を明確にしておきましょう。
ただし、請負代金内訳書には決まったフォーマットがないので、わざとわかりにくい内訳書を作る業者も存在します。例えば、工事の工程や数量を「一式」でまとめてしまい、具体的にどの工程に費用がいくらかかっているのかがわかりにくいケースがあります。信頼できる業者でない限り、詳細が省かれた内訳書を出してくる業者とは契約しない方が良いでしょう。
請求書
請求書は、工事完了後に業者から発行される書類で、依頼者に費用を払ってもらうために発行される書類です。請求書に記載される項目は、以下のとおりです。
- 請求金額
- 支払い期日
- 業者の会社情報
- 契約者名
- 工事内容と塗料の単価、数量
支払い方法が銀行振込の場合、上記項目に加えて振込先の銀行口座も記載されています。なお、請求書の形態は紙媒体と電子媒体の場合があり、業者によって異なります。
保証書
保証書とは、工事完了後に不具合が生じた際の保証内容を記した書類です。外壁塗装は工事完了後に変色や剥がれなどのトラブルが生じることがあるため、業者に対応してもらえるように工事の品質保証内容が記載された書類を発行してもらう必要があります。
保証書には、保証期間や適用条件、保証範囲などが書かれているので、契約時にきちんと確認しておきましょう。
外壁塗装の契約書で確認すべきポイント
外壁塗装の契約書を見る機会はあまりないので、「どこを見ればわからない」という人も多いでしょう。ここでは、契約書で確認すべき4つのポイントを紹介します。
工事の金額
契約書には工事の金額が記載されていますが、金額を確認するときは工事の総額だけでなく、内訳まで細かく記載されているかを確認しましょう。
足場費用や高圧洗浄費用、塗料代など、工事の工程ごとにいくらの費用がかかるのか、何㎡を何回塗るといくらかかるのかなど、外壁塗装の詳細な工事費用を確認することが大事です。
工事期間
外壁塗装は天候などによって工期が長引くことがあるため、工事期間が記載されているかを確認しましょう。明確な工事期間が記載されていない場合、いつまで経っても工事が始まらない、または工事が終わらないなどのトラブルが発生する可能性があります。
そのため、「~月~日から工事を始めて、~月~日に工事完了」というように、具体的に記載されていると安心です。契約書に工事期間が記載されていれば、工事が遅れた場合の責任や対応について、業者と具体的な話を進められます。
関連記事:外壁塗装の工期は最低でも2週間?工程中のチェックポイントも解説
支払い方法と期日
外壁塗装費用の支払い方法と期日は業者によって異なるため、事前確認が必要です。支払い方法は、以下の4種類があります。
- 現金手渡し
- 振込
- クレジットカード払い
- ローン払い
また、支払い期日は以下のようにいくつかパターンがあります。
- 全額後払い
- 全額前払い
- 半額前払い、完成後支払い
- 工事前・工事中・工事後の3分割の支払い
悪質な業者に依頼すると、工事前に費用全額を受け取って逃げられるケースもあるため、工事完了後の後払いを選択するのがベストです。
不測の事態が発生した時の対応
外壁塗装では不測の事態が発生しやすいため、万が一のときの対応について記載があるかをチェックしておく必要があります。例えば、工事中に近所の人や通行人に損害を与えてしまった場合、業者と依頼者のどちらが責任を持つかといった記載が必要です。
工事を請け負った業者が賠償責任保険に入っていれば、そこから賠償金などの費用が充填されます。工事を依頼する前に、業者が保険に加入しているかを必ずチェックし、不測の事態が起きた場合に保険会社が賠償をする旨の記載があるかを確認しておきましょう。
外壁塗装でトラブルが発生した場合の対処法
外壁塗装業者の中には、少なからず悪質な業者も存在します。そのような業者に依頼してトラブルが発生したときは、適切な対処が必要です。万が一の事態にも慌てずに対処できるよう、あらかじめ対処法を把握しておきましょう。
クーリングオフ制度を活用する
クーリングオフ制度とは、契約日を含む8日以内は契約解除を申請できる制度です。突然の訪問営業などにより高額な工事契約をしてしまった場合でも、クーリングオフを利用すれば契約を撤回し、損失を回避できます。
クーリングオフを利用する際は、書面やメールなどで下記の項目を記載し、業者に通知しましょう。
- 契約年月日
- 契約者名と住所
- 業者名と担当者名
- 商品名
- 契約金額
- 契約を解除する意向
- 申請日
なお、書面で送る場合は、特定記録郵便や簡易書留など、発信日が残る方法で送信することが大切です。送付した日付が契約日から8日以内であれば有効になるため、到着した日付が契約日から8日を過ぎていても問題はありません。書面で送る前に、コピーをとって証拠を残しておくと安心です。
なお、契約書や約款にクーリングオフの記載がなかった場合は、契約日から8日が過ぎていてもクーリングオフが可能になります。
第三者機関に相談する
業者との間でトラブルが生じたときは、下記の第三者機関に相談するのも一つの方法です。
- 公益財団法人住宅リフォーム紛争処理支援センター
- 独立行政法人国民センター
- 弁護士
住宅リフォーム紛争処理支援センターは、国土交通大臣指定の相談窓口であり、住まいに関する幅広い悩みを相談できます。独立行政法人国民センターは、悪質商法などの消費者トラブルに関する相談を受け付けており、裁判をせずに紛争を解決する手続きなどを紹介してもらえます。弁護士に依頼する場合は、住宅トラブルの解決実績が多い事務所を選びましょう。
外壁塗装の契約書を確認して業者とのトラブルを防ごう
外壁塗装の契約書は、業者とのトラブルを未然に防いで工事をスムーズに進めるために欠かせない書類です。契約書には工事の金額や不測の事態が発生したときの対応など、大事なことが記載されているので、契約前にきちんと確認しておきましょう。
不明点がある場合は、契約を結ぶ前に業者に質問や相談をすることが大切です。契約書の内容を隅々までチェックして納得してから契約書に捺印し、業者とのトラブルを防ぎましょう。