外壁塗装を検討している人にとって、仕上がりの品質はとても重要です。その中で注意したいのが「ピンホール」です。塗装の施工不良などが原因で、ごく小さな穴が発生することがあり、放置すると見た目の悪化だけでなく塗膜の劣化にもつながります。
この記事では、ピンホールとは何か、発生の原因や対処法、施工業者選びのポイントまでを分かりやすく解説します。外壁塗装を考えている方はぜひ参考にしてください。
外壁の塗り替え時期かも...
ピンホールとは?
ピンホールとは英語で「pinhole」と書き、直訳すると「ピンで突いたような小さな穴」を意味します。外壁塗装においては、施工後に壁の表面に発生する極小の穴を指します。その直径は約0.1mmから1mm程度で、肉眼で確認できるものもあれば、光を当てなければ判別できないものも存在します。
本記事でも後述しますが、ピンホールは主に塗料が乾燥する際に発生する気泡が原因で生じます。塗膜が乾燥する過程で、気泡が破裂し、表面に微小な凹みや穴ができるのです。
なおピンホールより大きな穴は「ピックリング」、噴火口のような形状のものは「クレタリング」と呼ばれ、これらも塗装面の問題として分類されます。
確かに穴自体が数個であれば機能上は大きな問題にならない場合もあります。しかし壁の表面に何十個、何百個とピンホールがあったり、ピックリングやクレタリングが多数あったりすると、施工不良の可能性が高いです。このような状態を放置することで、塗膜の劣化や外壁へのダメージを引き起こしてしまいます。
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様々な劣化の原因になるピンホール
ピンホールが大量に発生した場合、外壁にはどのような影響があるのでしょうか。ピンホールは見た目の問題だけではなく、外壁全体の機能や耐久性にも大きな影響を及ぼします。その具体的なデメリットを詳しく見ていきましょう。
塗膜が剥がれやすくなる
塗膜が均一で密着性が高いほど外部の衝撃や摩擦に耐えられますが、ピンホールがある部分は構造的に弱くなるため、剥がれが進行する可能性があります。
特に台風や強風が吹く地域では、風圧により塗膜が浮き上がり、最終的には剥がれる原因となります。また寒冷地では膜の裏側に浸透した雨水が冬場に凍結し、膨張することで塗膜がさらに剥がれやすくなることもあります。
雨水や風が塗膜の下に入り込む
ピンホールを通して塗膜の下に雨水や湿気、風が浸透することがあります。結果として塗膜の防水性が低下し、外壁そのものの劣化を早めます。雨量の多い地域では塗膜下に蓄積された水分が乾燥せずに溜まり続けるため、外壁素材にダメージを与えやすくなります。
塗装の機能が低下する
ピンホールがあることで塗装本来の機能である防水性、遮熱性、防汚性などが十分に発揮されなくなる可能性があります。この状態が続くと、建物全体の寿命や快適性に影響を及ぼします。
見た目が悪くなる
ピンホールが多い場合、塗装表面が不均一になり、見た目の美しさが損なわれます。光の反射や影のつき方が変わることで、塗装仕上げのクオリティが低下し、建物全体の外観価値が減少します。外観の質の低下は、売却や賃貸時にマイナスの評価を受ける要因にもなるため注意が必要です。
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ピンホールが発生する原因は?
ピンホールは、施工中やその直後に大きな地震や豪雨があった場合などにも発生することがあります。そのため、必ずしも施工業者だけが原因とは限りません。
しかし多くの場合は管理ミスや清掃不足、技術不足など、施工業者の不備が原因となることがほとんどです。下記では業者の施行不良によるピンホール発生の原因について紹介します。
塗料が薄い、もしくは濃い
外壁塗装では、塗料を水や溶剤で薄めて使用することが一般的です。この作業を「希釈」と言います。希釈は塗料の粘度を調整するために行われ、塗料を適切に塗るために重要な作業です。しかし一方で、希釈しすぎると塗料が薄くなり、空気が入りやすくなります。そのためピンホールが発生しやすくなるのです。
逆に塗料が濃すぎてもピンホールの原因となります。塗料を規定の割合で薄めることが基本ですが、現場の気温や湿度、日照時間などによって微調整が求められます。適切な濃さの塗料を使うのには、施行業者の技術と経験が問われるところでもあるのです。
塗料の塗りすぎによるもの
外壁塗装は下塗り・中塗り・上塗りの3段階で行われますが、特に下塗りや中塗りの段階で塗料を規定量より厚塗りしすぎると、塗料が乾きづらくなり、内部に気泡が入りピンホールが発生しやすくなります。
汚れ、不純物が混ざっている
壁面にゴミや砂ほこりがついていたり、塗料に不純物が混ざっていたりすると、外壁と塗料がうまく接着せず気泡が生じてしまいます。主に塗装前の壁面の洗浄ややすりかけが十分でなかった、下地処理が適切でなかった、塗料の管理が良くなかったことが原因で起こる問題です。
気温が低い、もしくは高い
気温が低いと塗料の乾燥に時間がかかり、空気が入りやすくピンホールの原因となります。塗料のメーカーの多くは、気温5℃以下、湿度85~90%以上の環境では施工を避けたほうが良いとしています。また気温が40度くらいになると、逆に塗料の表面が早く乾燥します。そのため内側との乾燥にムラができ、こちらもピンホールが発生する原因となります。
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ピンホールを防ぐために実施するべきこと
解説した通り、ピンホールは様々な原因によって引き起こされます。ピンホールが起こる原因をもとに、ピンホールを未然に防ぐためには、下記の項目を守って塗装することが必要です。
- 施工時の環境や手順の適切な管理
- 適切な機材を使う
- 規定量を守り、厚塗りしない
- 壁面にゴミやほこりが残らないようにする
- 塗料に不純物が入らないようにする
- 温度や湿度を把握し、塗料が乾燥しやすい条件を確保
上記の項目はもちろん、信頼できる業者を選ぶことが大切です。経験豊富で適切な技術を持った業者を選ぶことで、ピンホールの発生を防ぎ、より良い仕上がりを実現できます。
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ピンホールを見つけた場合の対処法
ピンホールは塗装したばかりの頃にはなく、施行後1〜2週間後くらいから現れてきます。立ち会いの完了検査後もしばらくは外壁の様子をチェックしておきましょう。
可能なら施行前、施行中、施行直後、数日後と細かく画像も撮りながら記録していきます。ここでは施行後にピンホールを見つけた場合どうすれば良いのか、その流れを順番に紹介していきます。
- ピンホールの記録を残す
- 保証の確認
- 補修を業者に依頼
- 対応してもらえなかった場合の対処
1. ピンホールの記録を残す
どこにどれくらいのピンホールがあるか、発見はいつだったか記録しましょう。スマートフォンなどで撮影し記録に残すことで、この後の施行業者とのやりとりがスムーズになります。
2. 保証の確認
次に契約書の内容を確認しましょう。施行業者との契約時に不具合に対する補償が記載されていることがあります。また併せてアフターフォローの内容についても確認をしておくと安心です。
関連記事:外壁塗装のアフターフォローとは?サービス内容や業者選びのポイントを解説
3. 補修を業者に依頼
補償・アフターフォローの内容に含まれていた場合は施行業者に連絡を取り、補修を依頼しましょう。なおその際には①の記録内容についても共有をしておくと施工がスムーズになります。
4. 対応してもらえなかった場合の対処
もし施行業者が対応してくれない場合、消費者生活センター、弁護士など第三者に相談することで有効なサポートを得られることがあります。なかなか対応してもらえない場合、お金はかかりますが別の業者に依頼し直すというのも選択肢の一つです。
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関連記事:外壁塗装にトラブルはつきもの!知っておきたいトラブル事例と防止策
ピンホールの塗装補修の作業内容について
ピンホールが発生した場合、通常は全体の塗装をやり直すのではなく、ピンホールがある部分だけを部分的に補修する「レタッチ」が行われます。レタッチとは、塗装面に発生したピンホールを目立たなくするために、特定の部分に塗料を重ね塗りして修復する作業です。この方法は、塗装全体を再施工するよりも手間とコストがかからず、効率的な対応となります。
しかしピンホールが大量に発生したり、塗膜に大きな不具合(ピックリングやクレタリングなど)が生じている場合は、部分的なレタッチでは十分に修復できないことがあります。
その場合は塗装を一度剥がして再施工する必要が出てきます。状態が悪い場合には、壁面全体の状況をよく確認し、どのような補修方法が最適かを業者と相談することが重要です。
DIYでの補修は避ける
施工業者が補修に対応しない場合、自分で補修を試みる方もいるかもしれません。
しかしDIYでのレタッチはデリケートで難しい作業です。特に初めて塗装を行う場合、正確に塗り重ねるのは簡単ではなく、逆にピンホールが増えるリスクが高くなります。
また高所での作業が必要な場合は、落下などの危険も伴います。これらの理由から、塗装の補修は専門知識と経験を持つ業者に依頼する方が安全で確実です。
業者選定は外壁塗装の重要なポイント
ピンホールが発生する原因の多くは、施工業者の技術や管理の不備によるものです。そのため、外壁の塗装を依頼する際には、信頼できる業者を選ぶことが重要といえます。選定のポイントとしては次のようなものがあります。
- 作業日程や価格
- 過去の実績
- 保証内容を確認
- アフターフォローがあるかどうか
- 数社見積りを取る
よい業者であっても、環境・条件によってはピンホールが発生することがあります。保証やアフターフォローがついている業者を選ぶことで、こうした事態にもしっかり対応できるでしょう。これから外壁塗装を考えている方は、技術や実績のある複数の業者に話を聞き、信頼のおける業者を選ぶようにしてください。
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