外壁塗装は明確な定価がなく、業者によって見積もり金額が変わるため、悪意ある業者の詐欺被害に遭ってしまうことがあります。「点検商法」もしくは「訪問営業」によって強引に契約を進めようとする傾向があり、不安を煽ってその場での即決を促す手口が横行しており、国民生活センターへの相談件数も増加傾向にあります。
本記事では、外壁塗装の詐欺でよくある手口について、具体的なセールス文句とともに解説します。外壁塗装で詐欺に遭ってしまわないための対策についても紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
訪問営業による外壁塗装の詐欺は増加傾向
2023年5月の国民生活センターのデータによれば、「訪問販売によるリフォーム工事」「点検商法」のそれぞれについて、寄せられた相談件数は下記の通りとなっています。
訪問販売によるリフォーム工事
年度 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
相談件数 | 8,786 | 9,753 | 10,076 | 1,238(前年同期991) |
点検商法
年度 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
相談件数 | 7,024 | 7,431 | 8,133 | 1,082(前年同期796) |
いずれの相談件数も年々増加傾向にあり、2023年のデータでも前年同期と比べて相談が増えていることが読み取れます。上記の数字には外壁塗装だけではなく、屋根工事や増改築工事、内装工事なども含む件数となっていますが、外壁塗装における詐欺被害の相談件数も増えていると予想できます。
外壁塗装は家のメンテナンスには欠かせない工事であり、今後も外壁塗装の詐欺の手口が広まれば相談件数は増え続けると考えられます。万が一、自宅に悪意ある業者の訪問営業がやってきたとしても冷静に対処できるよう、詐欺の手口と騙されないための対策を知る必要があります。
外壁塗装の詐欺でよくある手口とは?
続いて、外壁塗装の詐欺でよくある手口について、以下の7つを順番に解説します。
- 外壁の傷みを指摘して不安を煽る
- 数十万円以上の大幅値引きを提案してくる
- 考える時間を与えず即決を迫る
- アバウトな見積書で内訳をわかりにくくする
- 代金の全額前払いを要求される
- 高性能なオリジナル塗料を勧めてくる
- 塗り回数を減らして塗料の使用量をごまかす
それぞれのセールス文句についても紹介するので、悪意ある業者がどのような手口を使っているのかを確認しておきましょう。
外壁の傷みを指摘して不安を煽る
外壁塗装の詐欺の手口として多いのが、外壁の傷みを指摘して不安を煽ってくるケースです。「外壁が非常に傷んでいる。すぐに直さないと大変なことになる」など、こちらの不安につけ込むようにして契約を迫ってくるのが特徴です。本当に外壁の劣化が進んでいることもあるかもしれませんが、劣化しつつも緊急性はない場合にも、必要以上に不安を煽ってくることがあります。
そうした業者の訪問営業を受けた場合には、具体的にどのような箇所が傷んでいるのか、劣化している部分に立ち会ったり、写真を撮ってもらったりして根拠を示してもらうと効果的です。もしくは別の業者にも外壁の状態を点検してもらい、緊急性のある劣化具合なのかを調べてもらうと安心です。
数十万円以上の大幅値引きを提案してくる
外壁塗装で悪意ある業者がよく使う手口として、大幅な値引きを提示してくるケースが挙げられます。「通常は200万円だが、今すぐ決めてくれたら150万円に値引きする」「足場代無料で100万円に値引きする」など、数十万円単位の大幅な値引きであることが特徴です。
優良業者の中にも値引き交渉ができるケースはありますが、数千円〜数万円程度の値引きが相場です。50万円や100万円などの高額な値引きは、施工品質にも影響を与えてしまうため、優良業者ならそのような提示方法はしません。大幅な値引きで値頃感を演出するのは、本来は150万円の工事を200万円と伝え、まるで50万円値引きされているかのように見せる「二重価格表示」の可能性があるので注意が必要です。
考える時間を与えず即決を迫る
悪徳業者による外壁塗装の詐欺の手口として、考える時間を与えずに即決を迫るパターンもあります。「今すぐに工事を進めるくらいでないと危ない」「今日までに契約したら料金が半額になるキャンペーンを使える」といったセールス文句で、とにかく早く契約を結ぼうとする傾向があります。
というのも、相手に考える時間を与えてしまうと、優良業者の見積もりを取り寄せて比較され、詐欺であることがバレやすくなるからです。家族に考え直すように説得され、契約を獲得できなくなるなどの事態を避けるためにも、その場で即決させようと迫ってくるのです。外壁塗装は、場合によっては数百万円もの料金が発生する大きな買い物ですので、1社だけで決めることなく、複数の業者の見積もりを見比べながら決めるのが大切です。
アバウトな見積書で内訳をわかりにくくする
悪意ある外壁塗装業者の中には、見積書をあえてアバウトに作成し、内訳がわかりにくくしていることもあります。たとえば見積書の内訳を「一式」という言葉で一括りにしてしまい、どの工程にいくらの費用がかかるのかが詳しく書かれていないケースも多いです。内訳が書かれていなければ、各工程に必要な費用が把握できず、他社の見積もりとも比較できないため、割安なのかどうかが判断しにくくなります。
外壁塗装の契約を結ぶ時には、必ず見積書や契約書にしっかりと目を通し、疑問を解消しておくことが大切です。見積書を渡された時に「一式」で一括りにされている項目が多くみられる場合には、具体的な内訳について問い合わせて、誠実ある対応をしてくれるかどうかをチェックすると良いでしょう。
関連記事:外壁塗装の見積もりは何社取れば良い?見積書のチェックポイントと費用相場を解説
代金の全額前払いを要求される
外壁塗装で危険な詐欺の手口として、代金の全額前払いを要求されるパターンも挙げられます。外壁塗装の支払い方法は、全額後払い、もしくは工事前と工事後の分割払いであることが多く、優良業者であれば全額前払いを要求されることはほとんどありません。にもかかわらず料金の全額前払いを指定するということは、契約金も持ち逃げを企んでいる可能性があります。
業者に持ち逃げされることを防ぐためにも、全額前払いの業者には外壁塗装を依頼せず、全額後払いの業者を積極的に選ぶと良いでしょう。
高性能なオリジナル塗料を勧めてくる
悪意ある業者の中には、外壁塗装で使う塗料として高性能な自社オリジナル塗料を勧めてくることもあります。「この塗料なら30年再塗装が不要になる」など、寿命の長さをアピールしてくるセールス文句が多いです。しかし外壁塗装においては、オリジナル塗料はメーカー製の塗料と比べて質が低く、業者が利益を得るために割高な価格設定になっていることもあります。
そのため自宅の外壁塗装に使う塗料として自社オリジナル塗料、特に耐用年数が30年あるなどの高性能すぎるオリジナル塗料を勧めてくる時には警戒が必要です。
関連記事:外壁塗装の塗料4種類の選び方を解説!相場・耐用年数から最適な塗料を選ぼう
塗り回数を減らして塗料の使用量をごまかす
外壁塗装で使う塗料の使用量をごまかして経費を浮かせるために、塗り回数を勝手に減らしてしまう業者も存在します。本来であれば外壁塗装では、下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りを行うのですが、中塗りを省いて2回塗りで済ませてしまうケースがあるのです。当然、正しい塗装方法ではないので塗料の性能が十分に発揮されず、施工不良を起こしたり塗装の寿命が縮んだりする原因になります。
業者の作業をすべて監視して塗り回数をチェックするのは困難ですが、少なくとも契約書や見積書の中で、しっかりと3回塗りを行うことを明記されているかをチェックしておきましょう。
外壁塗装の詐欺に遭って騙されないための対策
ここまで紹介してきたような手口で外壁塗装の詐欺に遭わないためには、次のような対策に取り組むことが大切です。
- 訪問営業で即決しない
- 他社の見積書と比較してみる
- 外壁塗装の相場を把握しておく
それぞれのポイントを押さえておきましょう。
訪問営業で即決しない
外壁塗装の詐欺に遭わないためには、訪問営業の業者で即決しないことが最も重要です。たとえ訪問営業の業者が来訪したとしても、一旦見積書だけ作成してもらい、その場で契約を結ばないようにしてください。その後、改めて別の業者に外壁塗装の見積もりを依頼し、業者からの説明や見積書の内容について大きな齟齬がないかをチェックすると良いでしょう。
関連記事:優良な外壁塗装業者の選び方を解説!警戒すべき悪徳業者の見極め方とは
他社の見積書と比較してみる
外壁塗装の詐欺を避けて、優良業者に工事を依頼するためには、なるべく複数の業者の見積もりを比較することが大切です。複数の業者からの見積もりを取り寄せることで、自宅の工事の平均的な料金や相場を把握しやすくなり、割高な業者や安すぎる業者を避けることに役立ちます。その際には、使用する塗料の種類・グレードや塗装面積を統一しておき、内訳ごとに料金を比較しやすいように工夫するのが効果的です。
関連記事:外壁塗装では相見積もりが不可欠!費用を抑えて信頼できる業者を選ぶためのポイント
外壁塗装の相場を把握しておく
外壁塗装には決まった定価は存在しませんが、家の広さごとにある程度の相場の目安を計算することができます。たとえば延床面積30坪の広さの家であれば、70万円~100万円ほどが外壁塗装費用の目安です。この金額と大きく異なる金額を提示された場合には、どのような項目で費用が発生しているのかを見積書で詳しくチェックするようにしてください。費用項目に疑問点があれば業者に質問して、料金に納得した上で依頼するのが大切です。
なお、外壁塗装の費用相場については、下記のページで詳しく紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
関連記事:【2024年版】外壁塗装の費用相場はいくら?10坪〜100坪の適正価格と安く抑えるコツ
まとめ
外壁塗装における訪問営業や点検商法といった詐欺の手口には、外壁の傷みを指摘して不安を煽ったり、数十万円以上の大幅な値引きを提案したりするケースが挙げられます。考える時間を与えずに即決を迫ったり、アバウトな見積書で内訳をわかりにくくするのも悪徳業者の常套手段なので、警戒する必要があります。
また、外壁塗装の詐欺にあって騙されないよう、訪問営業では即決しないことを心がけたり、他社の見積書と比較しながら検討したりする対策が効果的です。本記事の内容を参考に、外壁塗装の詐欺に巻き込まれてしまわないように身を守りましょう。