建築やリフォーム、太陽光パネルの設置など、屋根面積はさまざまな場面で必要となります。
しかし、図面が手元にある場合とない場合では、その計算方法や手順が大きく異なります。本記事では、図面をもとにした計算方法と、図面がない場合にできる簡易的な求め方を、それぞれ具体的に解説します。
屋根面積が必要になる主なシーン
屋根面積が必要になるシーンは多く、新築時の設計計画や材料費の算出はもちろん、リフォームや修理での屋根材の交換、防水工事や塗装における材料の見積もり、太陽光パネル設置時のスペース確保時などが挙げられます。また、保険加入や税金計算においても、屋根面積が査定の基準になることもあります。
屋根のリフォーム・塗装時の金額・時間算出
屋根材のリフォームや修理、塗装を行う際、使用する塗料や材料の正確な量を見積もるため、屋根面積が用いられます。たとえば屋根材の場合、どれくらいの枚数・面積の屋根材が必要になるかを正確に把握する必要があります。
さらに、屋根材だけでなく、工事にかかる時間や金額の見積りにも大きく関わってきます。大規模なリフォームでは、屋根面積が広ければ広いほど、比例して施工にかかる労働力や時間も必要になるからです。
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火災保険や税金
上記に関連して、火災保険でも屋根面積が必要になることもあります。屋根が大きい建物は、修繕や補修にかかるコストが高くなる傾向があるため、保険会社はリスク評価を行う際に、屋根面積を基に補償額や保険料を設定することもあります。
また、税金面で屋根面積が関連してくることも。地域によっては、評価基準の一部として屋根面積が使われ、結果的に税金が増える可能性もあるのです。
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太陽光パネルの設置時
太陽光発電設置義務化など、近年では屋根に太陽光を設置する家も増えていますが、屋根に太陽光を設置する場合、パネルを何枚設置可能か、発電量・発電効率を算出する必要があるため、屋根面積は非常に重要になります。
また太陽光パネルを設置する際の見積り時にも大きな参考元となるため、金額感にも関わってくる要素になります。
屋根面積の求め方(図面がない場合)「Googleマップで算出する」
それでは早速、屋根面積の求め方について解説します。
まず、建物の図面がない場合、おおよその“屋根投影面積”を計測して計算する方法が一般的です。 屋根投影面積とは、真上から見たときの屋根の平面積のことです。屋根の勾配や高さを考慮せず、単純な水平な面積のことを指しており、建築設計や材料の見積もりの基礎データとして使用されることがあります。
下記ではこの“屋根投影面積”を計測して計算する方法について、解説していきます。
1.Googleマップで屋根を表示する
まずはGoogleマップで自宅の住所を検索し、住所を表示させ、メニューから航空写真を押して、画面表示を切り替えます。航空写真を拡大すると、自宅の屋根が大きく表示されます。この写真が屋根投影図です。
画面に表示された屋根の形を、大まかで良いのでメモしておきましょう。メモをとった図形に対して、今度は各数値を書き加えていきます。そのため、数値を加えやすくなるよう、余裕を持った形で図形を書いておくのがおすすめです。
2.屋根の長さを測る
次に、屋根の各辺の長さを測ります。航空写真で長さを測る開始地点を右クリックして、表示されたメニューから「距離を測定」を選びます。続いて、長さを測る終了地点を左クリックすると、開始地点から終了地点までの長さが表示されます。この手順で各辺の長さを測り、図形に書き加えていきましょう。
※上記の通り、Googleマップ上で各辺の長さを測ることもできますが、家の外に出て外壁と軒の出の長さを測った方が、より正確な数値を算出できます。
3.屋根の投影面積を計算して1.1倍する
屋根の各辺の長さを測り終えたら、「縦幅×横幅」の掛け算で屋根投影面積を求めます。そして算出した屋根投影面積を1.1倍することで、屋根面積が判明します。
屋根面積の求め方(図面がない場合)「床面積を使用する」
上記では図面がなかったとしても、より正確に算出したい方向けの方法となっています。そのため、Googleマップを開きながら計算したりと、少し面倒な方もいるでしょう。
おおまかな屋根面積を知りたいという場合は、1階の床面積から求めるといった方法があります。求め方は非常に簡単で「1階の床面積×1.1」です。なお、屋根の勾配が緩やかな場合は、1.2に変えて計算します。
ただし、これらで算出された数値はあくまで概算です。実際は屋根の形状や勾配によって面積が異なるため、参考程度にとどめておきましょう。
屋根面積の求め方(図面がない場合)「瓦の枚数から計算する」
屋根に瓦を使用している場合、瓦の枚数を利用して屋根面積を算出する方法もあります。というのも、瓦は1坪(約3.3㎡)あたり平均で53枚使用されています。つまり、屋根に使われている枚数÷53をすることによって、大体の面積(坪)が判明することになります。
屋根面積の求め方(図面がある場合)
建築図面がある場合は、「屋根投影平面積(床面積+軒の面積)×勾配伸び率」で屋根面積を求めることができます。建築士や設計士と同じように、正確な数値を求められるようになります。
1.屋根投影平面積を求める
最初に、屋根投影平面積を求めましょう。屋根投影平面積の出し方は簡単で、床面積と軒の出面積を足すだけで算出できます。
2.勾配伸び率を掛ける
屋根投影平面積を求めたら、今度は勾配伸び率を掛けます。
勾配伸び率とは、底辺に対して斜辺の長さを求める場合の倍率のことです。ここまでで計算しているのはあくまでも平面上での計算式です。屋根には勾配がついており、勾配が急になるほど屋根の頂点が高くなり、比例して屋根の長さも伸びます。つまり、勾配の程度によって屋根の長さが変わるため、計算する際は勾配伸び率を掛けて正確な数値を出す必要があるのです。
建築図面には屋根の部分に「5/10」といった分数勾配が記載されています。この数値を勾配伸び率の表に当てはめて算出します。
勾配 | 勾配伸び率 | |
尺貫法勾配 | 分数勾配 | |
5分 | 0.5 / 10 | 1.001 |
1寸 | 1.0 / 10 | 1.005 |
1寸5分 | 1.5 / 10 | 1.011 |
2寸 | 2.0 / 10 | 1.02 |
2寸5分 | 2.5 / 10 | 1.031 |
3寸 | 3.0 / 10 | 1.044 |
3寸5分 | 3.5 / 10 | 1.05 |
4寸 | 4.0 / 10 | 1.077 |
4寸5分 | 4.5/ 10 | 1.097 |
5寸 | 5.0 / 10 | 1.118 |
5寸5分 | 5.5 / 10 | 1.141 |
6寸 | 6.0 / 10 | 1.166 |
6寸5分 | 6.5 / 10 | 1.193 |
7寸 | 7.0 / 10 | 1.221 |
7寸5分 | 7.5 / 10 | 1.25 |
8寸 | 8.0/ 10 | 1.281 |
8寸5分 | 8.5 / 10 | 1.312 |
9寸 | 9.0/ 10 | 1.345 |
9寸5分 | 9.5 / 10 | 1.379 |
矩勾配 | 10.0 / 10 | 1.414 |
9寸返し | 11.0 / 10 | 1.487 |
8寸返し | 12.0/ 10 | 1.562 |
引用元:https://i-yane.jp/various-materials-collection/slope-growth-rate/
これらの勾配伸び率を屋根投影平面積にかけることで、正確な数値を算出できます。
屋根面積を求めるときの注意点
屋根面積の求め方は複数あり、屋根の形状もさまざまあるため、実際に面積を求めるときは注意すべきポイントがあります。正確に算出するために、ここで注意点を確認しておきましょう。
業者によって面積の求め方が異なる
折半屋根のような複雑な形状の屋根は、業者によって面積の求め方が異なる場合があります。面積を求めるのに使用する係数が1.4の業者もあれば1.7の業者もあるため、相見積もりの際に金額が異なるケースが多いです。正確に求めなければ、例えば塗装の場合、塗料が不足して追加注文が必要になったり、逆に塗料が余ってコストが無駄になったりすることも。
疑問点がある場合は、どのように面積を求めたのか直接質問してみましょう。あらかじめ計算方法を把握しておけば、「計算する際にどの係数を使ったのか」といった具体的な質問ができるため、業者選定をしやすくなります。
軒の出・下屋根を含めて計算する
屋根面積を求める際には、軒の出ている部分や下屋根を忘れないようにしましょう。1階の床面積から屋根面積を計算する際に、軒の出を含めずに計算してしまうと、実際の数値と差が出てしまいます。
また、上屋根以外の下の階にある下屋根も忘れないようにしましょう。住宅の上からの写真を用いて計算する場合、1階部分の屋根を忘れて計算してしまうことがあります。特に複数建ての場合は、下屋根を含めずに計算すると、屋根の面積が大きく変わるため注意が必要です。
屋根面積の求め方を知り見積書を正しく読み取ろう
屋根面積の求め方には複数あり、図面がなくてもおおよその数値は算出できます。あらかじめ計算をして面積を把握しておけば、屋根をリフォームするときの相場費用を把握でき、業者を選定する際の役に立ちます。
ただし、屋根材や屋根形状によって数値が変わるので、計算した数値と正確な数値とは異なる場合があります。また、業者によって面積の求め方が異なるため、見積書でわからない点があれば質問するなどの対応が必要です。注意点も把握しながら、屋根面積を上手く活用してリフォーム工事を成功させましょう。
正確な屋根面積を知りたい方や屋根のリフォームを検討している方には、「外壁塗装の窓口」が役立ちます。外壁塗装の窓口では、全国の優良リフォーム会社の中から依頼者の状況に適したお見積りを提案します。
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