雨樋(あまどい)は、屋根から流れる雨水を受け止めて、外壁や基礎部分が劣化しないように防ぐ役割を持ちます。雨樋が劣化してしまうと、水漏れが発生して住宅を傷める原因になるため、破損が見つかった時にはすぐに修理を依頼することが大切です。
しかし雨樋全体の劣化が進行している場合や、広範囲で雨樋の修理・交換が必要な場合には、数十万円単位の修理費用が発生することがあり、自宅の雨樋修理にかかる費用が気になる方も多いでしょう。
そこで本記事では、雨樋修理にかかる費用相場について、修理・交換の流れやDIYでの修理は避けた方が良い理由、依頼すべき業者の見極め方などとともに解説します。
雨樋とは?
雨樋とは、住宅の屋根の外周に設置されてる設備で、屋根から流れる雨水を受け止め、地面に排水するものを指します。
雨樋を設置せず雨水を直接流してしまうと、地面に落ちて飛び跳ねた汚れや水分が外壁・基礎部分を傷めてしまい、住宅を劣化させる原因になります。普段はあまり注目することは少ない設備ですが、外壁や住宅の寿命を延ばすためには定期的なメンテナンスが欠かせません。雨樋は金属または樹脂製のパーツが使われていることが多く、経年劣化によって破損するリスクが高まります。
経年劣化が原因で雨樋の耐久性が低下したまま放置してしまうと、台風や大雨、積雪の重みによって外れてしまうこともケースも多いです。雨樋の耐用年数は約20年が目安となっているため、新築から20年以上経過する住宅では一度雨樋の交換を検討してみると良いでしょう。
雨樋修理にかかる費用相場
雨樋修理にかかる費用は、住宅の築年数・劣化状況や、家の規模に応じた雨樋の長さによっても変動するほか、一部のみの補修・交換が必要なのか、雨樋全体の修理が必要なのかによっても変わってきます。
ここでは一般的な広さの住宅である30坪の戸建住宅において、雨樋修理の内容ごとに費用相場を解説します。
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部分的な補修・交換は5,000円〜3万円程度
雨樋の部分的な補修・交換にかかる費用は、5,000円〜3万円程度が目安です。
雨樋の一部のみが割れてしまった場合など、部分的な交換で工事が完了する場合には、1万円以内の費用で修理できるケースもあります。広範囲にわたる雨樋の修理であれば、1m単位で修理費用が計算されることに注意しましょう。
雨樋全体の修理は15万円〜50万円程度
雨樋全体の経年劣化が進んでいる場合や、自然災害によって破損してしまった場合には、雨樋全体の修理費用として15万円〜50万円ほどの見積もりが目安となります。
高所での作業が発生し、足場を組む必要がある現場では、足場の設置費用が上乗せされるため数十万円単位での費用が必要となります。見積もりを依頼する業者、もしくは住宅の劣化状況によって価格には幅があるため、正確な金額は業者からの見積書を取って確認すると良いでしょう。
雨樋の清掃は1万円〜3万円程度
雨樋に落ち葉などのゴミが詰まってしまい、自力では掃除できない箇所の清掃を依頼する場合には、1万円〜3万円程度の費用が目安です。
雨樋の清掃のためには、屋根に上がったり足場を用意したりして高所での作業が必要になるほか、トング・ブラシ、水を流すためのホースなどを準備する必要があります。自分では高所で安全に作業するのが難しい場合や、道具を用意するのが手間に感じる場合には、遠慮なく雨樋清掃を依頼してみましょう。
雨樋修理が必要になる原因
雨樋が破損してしまい、修理が必要となる原因としては、次の5つが挙げられます。
- 経年劣化
- 自然災害
- ゴミの詰まり
- 傾斜のズレ
- 継手の外れ
経年劣化によって雨樋のパーツがひび割れたり、穴が空いたりして修理が必要になるケースがあるほか、台風・大雨や積雪による重みによって雨樋が落下してしまう事例も珍しくありません。ゴミの詰まりによって雨樋に雨水が流れなくなっている場合には、雨樋を清掃することで改善できることがあります。
また、雨樋は雨水を地面に流すための「集水器」に向けて水が流れるよう、傾斜をつけて設置されるのが通常ですが、雨樋の支持金具が緩んだり歪んでしまったりすると、傾斜のズレによってうまく雨水が流れなくなるケースもあります。ほかにも、雨樋の継ぎ目にあたる「継手」が外れたり隙間ができたりして、雨水が漏れてしまう場合にも修理が必要です。
雨樋修理・交換の流れ
雨樋を修理・交換する場合には、次のような手順に沿って工事を進めるのが一般的です。
- 新たに設置する雨樋を調達する
- 既存の雨樋・支持金具を取り外す
- 新たな雨樋・支持金具を取り付ける
- 雨樋に傾斜をつけて集水器に雨水が集まるように調整する
- 雨水を地面に流す「縦樋」を取り付ける
住宅の周りに雨樋・金具を取り付けるだけの簡単な作業のように思えるかもしれませんが、これらの工程のほとんどは高所での作業になるため、足場を設置するなど安全を確保して工事を進める必要があります。また、雨樋に傾斜をつける工程では、タコ糸を張りながら微妙な傾斜を調整する必要があるため、専門の技術が求められます。
自分で交換するのが難しそうに感じられる場合には、無理せずに雨樋修理を専門とする業者に相談するようにしましょう。
雨樋修理のDIYは避けた方が良い理由
雨樋修理のためには、全体を交換する場合には数十万円単位で費用が発生するため、DIYで少しでも節約できないかと考える方は多いです。雨樋が一部だけ破損した場合であれば、DIYで安価に直すこともできるかもしれません。しかしDIYで修理しようとした結果、雨樋を支える金具が歪んでしまい、うまく雨水が流れなくなってしまうことも考えられます。
また、足場・はしごなどで安全を確保せずに高所での作業を行った結果、屋根から転落して大怪我を負ってしまうリスクも存在します。雨水を屋根から地面へ流す「縦樋」の手が届く範囲を修理する場合を除いて、原則として雨樋修理のDIYは避け、プロの業者に依頼することをおすすめします。
雨樋修理を依頼すべき業者の見極め方
最後に、雨樋修理の依頼先を選ぶ際に、最適な業者を見極めるポイントについてもご紹介します。雨樋修理に不慣れな業者に依頼してしまい、相場よりも高額な見積もりを提示される事態を避けるためにも、次のようなポイントを踏まえて依頼する業者を選定しましょう。
- 雨樋修理・雨漏り修理を専門とする業者を選ぶ
- 火災保険や修理プランを提案してくれる業者を選ぶ
- 複数の業者から相見積もりを取り寄せる
それぞれ順番に解説していきます。
雨樋修理・雨漏り修理を専門とする業者を選ぶ
自宅の雨樋修理だけを依頼したい場合には、雨樋修理もしくは雨漏り修理を専門とする業者を探し、個別に依頼するのが望ましいです。屋根の修理業者や外壁塗装業者に雨樋の修理を依頼することも可能ですが、雨樋全体の交換などの工事には不慣れなことが多く、見積もり金額がやや高額となったり、工期が長くなったりすることも考えられます。
そうではなく、雨樋修理・雨漏り修理を専門に手掛けている業者を探し、問い合わせるのがおすすめです。地域によっては「地名+雨樋修理」で検索するだけでも雨樋修理専門の業者が見つかることがあります。また、雨漏り修理を専門としている業者も、雨樋修理に強いことが多いので、雨漏り修理を手掛ける業者に相談してみるのもおすすめです。
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火災保険や修理プランを提案してくれる業者を選ぶ
雨樋修理を安心して依頼できる業者を見極めるためには、火災保険の活用や複数の修理プランを提案してくれるかどうかをチェックするのも効果的です。雨樋修理では、台風・大雨などの自然災害によって被害を受けてしまった事例も多く、火災保険がおりるケースは珍しくありません。見積もりの際には、業者の方から「火災保険には加入されてますか?」など、こちらの費用負担を抑えられる提案を行ってくれる業者は、信頼できる相手と判断できます。
また、雨樋修理のための予算に合わせて、複数の修理プランを用意してくれる業者や、こちらの要望を丁寧にヒアリングしてくれる業者も、安心して雨樋修理を任せられるでしょう。担当者との相性なども影響しますので、まずは一度業者に問い合わせて詳しい話を聞いてみることをおすすめします。
関連記事:外壁塗装で火災保険が適用される4つの条件とは?費用を抑えた工事のコツ
複数の業者から相見積もりを取り寄せる
後悔のない雨樋修理のためには、複数の業者から相見積もりを取り寄せることも欠かせません。雨樋の修理内容を統一した上で複数の業者に問い合わせを行い、見積もり金額を比較しながら安価な業者を選ぶことで、雨樋修理にかかる費用を節約することが可能です。
また、複数の業者に問い合わせて話を聞くことにより、信頼できる業者を選ぶのに役立つほか、自宅の場合の雨樋修理の相場を把握することにもつながります。一社の見積もりだけで雨樋修理を依頼する場合、相場や適正価格から外れた費用を請求されることも考えられるため、広告に載っている業者などで即決しないように注意しましょう。
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まとめ
雨樋修理にかかる費用相場として、部分的な修理であれば5,000円〜3万円程度、雨樋全体の修理・交換になると15万円〜50万円程度が目安になります。雨樋の劣化状況によっては、数十万円単位で予算が必要になることに注意が必要です。
雨樋修理が必要となる原因には、経年劣化以外にも自然災害、ゴミの詰まりなどが考えられます。自然災害によって雨樋が破損してしまった場合には火災保険がおりる可能性が高いので、業者に相談しながら申請書類を用意すると良いでしょう。ゴミの詰まりを解消するだけであれば、1万円〜3万円程度の予算で雨樋清掃を依頼することもできるので、積極的に活用しながら雨樋のメンテナンスを実施しましょう。